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　「おい、盗子。おくれっぞ。てか、俺先に青子ん家行ってるかんな。」

　髪を結んでいる途中に快斗がそう言った。ここはあえてスルーをする。

　「つかさ、髪短いのに結んでどうすんだよ。ポニーテールにしてる訳じゃないし。」

　先に行ってる、とか言いながらさりげなく待ってくれる快斗。うわ、イケメンって怖い。

　「うっさ。さっさと行けよ熟年夫婦。奥さんに早く会いたいでしょ。」

　ああ、今日は快斗が初めて"怪盗キッド"になる日だ。くっそ楽しみ。

　………とか考えていたので、超テキトーな回答をした。




　「あ、盗子おはよう。」

　中森家にいくと、エプロン姿の青子が出てきた。

　転生して変わったことのひとつ目は、朝食と夕食を青子の家で食べることと、登校が一緒になったことだ。


　「おはよう。今日もお世話になりまーす。」

　と、挨拶をして中森家に上がった。

　「あ、俺への挨拶はないのね。」

　私の斜め後ろで快斗がそう言ってハハハと笑った。

　「あれ、快斗焼きもち??。」

　目を細くして、いつものように弄る。

　反応が小学生のようなので、これも毎日の定番だ。

　それも、今日から快斗が怪盗キッドに成るのでもっとおもしろくなるだろう。