二次創作小説(紙ほか)

Re: 怪盗キッドの妹が転生者な件について ( No.17 )
日時: 2019/05/13 19:03
名前: ぽん酢時計 (ID: 3nlxUYGs)


 五時間目。チャイムと共に静かになった校舎。

 その中に1人、立ち入り禁止の筈の屋上に駆け上がる不届き者の私がいた。

 下見で侵入するときのように一本の銀の棒で鍵を開ける。

 「やっぱ。ここにいたな。快斗。」

 と私は屋上のフェンスに寄りかかって寝ている快斗に駆け寄った。

 「ったく。探すのに手こずらすなっての。」

 私は快斗の寝顔を写メで撮って(快斗ファンに売れるため)から快斗の鼻を摘まむ。

 ぐがっ、と間抜けな声を出して、快斗は重い瞼を開けた。

 「ねぇ。何約束すっぽかして、こんなとこに居るの。」

 私はさっきから不満しか言っていないような気がしてこれでやめにする事にした。

 「ん?。あぁ、うん。」

 快斗は無防備に欠伸をした。

 これが本当に月下の奇術師やら平成のアルセーヌ·ルパン等と

 呼ばれている怪盗キッドなのかと疑ってしまう。

 「ほい。今度のヤツの情報。」

 私は4つに折り畳んだ紙を快斗に渡した。サンキュ、と快斗は紙を開いた。

 「防犯カメラは全部で41個。小型のやつが多いから探すのに大変だったんだかんな。」

 私はそう言って溜め息を吐いた。

 「警備は薄め。今回のは変装出来ないかもね。

 トイレも使用禁止だし、絶対に1人にならないようになってる。」

 と言って私はタブレットを快斗に突き付けた。

 青の画面に白線が引いてある。それは建物の間取りだ。

 「行きが14パターンで、帰りが18パターン。」

 私は落ち着いた様子で説明した。

 「で?。どうした。快斗。」

 私がそう言った時、ポーカーフェイスが一瞬だけ解けた。

 「なんの話だよ。」

 快斗は平然を装いそう言った。

 「何って。此方が聞いてんでしょ。話なさい。」

 快斗はそっぽを向いた。これはポーカーフェイスの限界を示している。

 「う…。わ、わーったよ。」

 快斗は渋々私に向き直る。少しだけうつ向いている快斗の表情は、動揺を示していた。

 「青子に間近で、顔………。見られた。」

 快斗がそう言う。こんなシーン。本編には無かった筈だ。

 「それで……。快斗でしょ、って?。」

 私が問うと、快斗は浅く頷いた。




 まずい。非常事態だ。