二次創作小説(紙ほか)

Re: BORUTO甘露寺伝 ( No.7 )
日時: 2019/12/29 19:59
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

「えぇ…?ここを歩くのォォォォ!!」

とある森にミロクの声が響いた。

「鈴を三つ奪う事、ねぇ…嫌な予感しかしないな」

紙に書かれた文を見てナガトが頭を掻く。先頭を歩いていくミロクを何かに気付いたナガトと

ヤヒコが後ろに引っ張った。驚いた彼女の足元にクナイが何本か降って来た。

「よぉ、しっかり白眼は使いこなしてるみたいだなナガト」

木の枝の上に仁王立ちしていたのはうちはコタローだった。彼の両手足には鈴があり

少し動くと鈴の音が鳴る。

「まさか…その鈴の事!!?」

「ミロクの言う通り、簡単だろ?俺から三つの鈴を全て奪う、ってな…ッ!?」

コタローが少し驚き後ろに跳んだ。

「何をしてんだと思ってたがミロクを盾にして印を結んでたんだな」

「甘露寺家にはあらゆる瞳術が効かない。それに写輪眼には透視能力は無いからな」

ナガトの説明にコタローは度肝を抜かれた。それなりに特徴は熟知している様だ。

「なら…写輪眼の力も知ってるよなぁ!」

コタローが狙っているのはヤヒコだ。二人の視線が合ってしまう。ミロクが素早く印を結ぶ。

—忍法・風砂塵。

上手く避けたヤヒコがスッと手を伸ばし右手首の鈴を奪い地面に降りた。

「ナイスサポート」

「そりゃどうも」

Re: BORUTO甘露寺伝 ( No.8 )
日時: 2020/01/17 18:36
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

残りの鈴は後二つ。

さて、どう来る?術の要となるミロクを止めるのを先にするべきか…。

コタローはヤヒコの攻撃を受け流しながら考える。それだけの余裕があるということだ。

数日前、娘を溺愛する美弦はミロクに術を教えていた。

「そうはいっても、特徴的な印だから悟られにくい一方、その後に対処されるということも

ある。そこのところをしっかり考えろよ」

なんだ、あの印は…?ミロクの方に目をやったコタローが目を見張るもの、それはミロクの

印だ。途中で四角形を作っている。

—風遁・花吹雪!

「ヤヒコ!」

ナガトの声にヤヒコが反応し後退する彼を追おうとするがその手を阻まれた。

もう一度手を伸ばす。その掌には幾つもの掠り傷がついていた。

—火遁・豪火滅却!

炎を取り巻き花吹雪は竜巻へと姿を変えコタローを呑み込んだ。宙を飛んだ一つの鈴を

ミロクがキャッチする。風遁・花吹雪は火や水、雷などの属性を取り込むことで

パワーアップさせることができる。

「そうだったな…甘露寺一族、かなり特殊な忍術を扱う一族だと聞いていたのに…さてと

後1つは簡単には渡さねえぞ?」

「しまっ—!!」

誤ってヤヒコはコタローの方を見てしまった。烏の…羽?動けないことに気が付いた。

魔幻・枷杭の術。

「まずは一人、そう簡単に破れると思うな」

Re: BORUTO甘露寺伝 ( No.9 )
日時: 2020/01/19 18:32
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

「マジかよ。できんのかミロク」

ヤヒコは耳を疑う。

「だけどその術は山中一族特有の術だろ。なんでミロクが…」

山中一族は精神を操る術を扱う。心転身の術だ。それに似た術をコタローに掛けるという。

「掛けるのは私、頑張ってみるからさ。お願い!」

「任された。俺とヤヒコはサポートに徹しておこう」

ナガトはコタローが迫ってきているのを確認し合図を送る。辿り着いたコタローは足を

止めた。

「腹は決まったみたいだな」

「ここで決着をつけます!」

—忍法・転身の術!

指で四角形を作りコタローをのぞき込む。一瞬、瞬きをしたとき。

「なっ!?これは…」

ミロク、否ミロクと体が入れ替わったコタローが混乱している。心転身の術とは違う。

「せ、成功したァァァァァァ!!!!」

コタローの体に入り込んだミロクが叫んだ。左手首に括り付けてある鈴を取りナガトに

手渡した。目を閉じると元の体に戻った。

「これで三つ…私たちの勝ち!」

「…!こりゃあ一本取られちまったな」

コタローは頭を掻いた。だがふと笑みを浮かべてミロクを見た。

「それは心転身の術とは違うな」

「その術をリスペクトして作ったんです」

夜、ミロクが眠った後、家では笑い声が聞こえた。笑っているのは美弦だ。

「はーはっはっは!!そりゃあ面白いな!」

『笑い事じゃないですよ美弦さん…』

コタローだ。彼らの会話をシノブは笑みを浮かべながら聞いていた。

「くっくっく…恥ずかしいもくそもねえな。言ったろ?俺たち甘露寺一族は自分なりの術を

扱える。他人の術を借りたりもできるってな。お、悪ィが終わりにするぞ。夜食が

冷めちまう」

そういって美弦は電話を切った。