二次創作小説(紙ほか)

Re: 〜路地裏Diary〜 ( No.20 )
日時: 2020/06/03 09:42
名前: ねずみかちょー。 ◆fCJR3geAiY (ID: /dHAoPqW)

第15話

『なぁ、鬼太郎…』

俺は、怖々鬼太郎に言葉を投げかける。
すると、鬼太郎は相変わらず表情を崩さず、でもこちらの目をきちんと見て答えた。

『なんだ、ねずみ男?』

一瞬は、その眼圧に圧倒されたが、今はそうも言ってられない。

『なぁ、その懐中時計ってそんな大変なものなのか?』

そう俺が問いかけると、鬼太郎は返事の代わりにコクリと1度だけ頷いた。

その顔を見て、俺も覚悟を決めた。

『…よっしゃ、こうなりゃいっちょ、やってやる』

そう自分に言い聞かせるように呟き、息付く暇もなく大きな岩の根元を掘り進めていく。

後ろでは、塗り壁が懐中時計を粉々に砕いて、土の中に埋めやすいようにしているようだ。

長い年月をかけて蓄積されたであろう地層は、とんでもなく硬い。
だが、必死に掘り進めていくと、ようやくひとつの小さな穴が開いた。

ー さぁ、これで埋められるな…!!

そう思った矢先、凄まじい爆発音が聞こえ、続いて後ろで塗り壁や猫娘、砂かけたちの叫び声が聞こえた。

『どうした!?』

そう言って振り向くと、なぜだか一緒に居た仲間が全員、懐中時計と共に消え去っていた。

そう、俺1人残して。