第22話ここまで梨緒が説明してくれた情報は、心の中に浮かんでくる『怒り』や『焦燥感』などといった感情によって、ほぼ耳へは届かなかった。訳もなく心臓の鼓動が早まっていくのが感じる。『くそ…!』下を向き、ぐっと血管が浮かぶほど拳を握りしめる。俺はこいつに何もしてやれない。そんな惨めさが、どんどん心を貪っているような気がしてならなかった。自分の非力さを、これほど感じた日は初めてだった。ー何で、何で、何で…!!