二次創作小説(紙ほか)

Re: 〜路地裏Diary〜 ( No.83 )
日時: 2024/10/21 09:43
名前: ねずみかちょー。 ◆fCJR3geAiY (ID: 4mXaqJWJ)

第76話

そんな俺の心の内を見抜いたのか、夢魔の目が一瞬妖しく光る。

「ひ、ひいぃ……」

ドラマやアニメのような勇ましい台詞を言ってやりたかったが、足はガクガク震えて情けない声しか出てこなかった。

すると、夢魔は少し体の向きを変え、俺の方へ歩み寄ってきた。

や、ヤバいぞこれは……
身の危険を感じて目をつぶると、何だか生ゴミを発酵させたような生臭い臭いが漂ってきた。
すぐ傍で夢魔の息遣いが聞こえる。
恐らく、俺を食うために、あんぐりと口を開けているのだろう。

妙に冷静になっている自分にも驚いたが、今はとにかく、この状況を切り抜ける方が先だ。
考えろ、考えろ、考えろ……!!

「「ギャーース!!!」」

次の瞬間、鼓膜が張り裂けそうな程の大声で、夢魔は俺の耳元で叫び声を上げた。
おかげで、必死で考えていた作戦が頭から吹っ飛んじまったじゃねぇか。

この後、どうするつもりだろうか。
不意打ちして飛びかかり、襲うつもりか……
嫌な想像が膨らんで止まらない。
俺は、奴を睨みつけ、できるだけ距離をとることに決めた。

ただ、その想像はいとも呆気なく打ち消された。
夢魔は俺たちの考えもしない、友好的な表情を浮かべていたのだから。