二次創作小説(紙ほか)

Re: 撫子の魔女【ハリー・ポッター二次小説】 ( No.6 )
日時: 2020/01/03 17:59
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

蛇寮。その一つの部屋に一人の男子生徒が入って来た。7年生でクィディッチチームに
所属する純血魔法使いヴィン・ハウストウという。相部屋のへリング・グレスティアは彼が
戻ってきたことに気付いた。

「あ…」

人との関わりが苦手なへリングにヴィンは積極的に声を掛けている。

「ゴメン、遅くなっちまった」
「…気にしてない」
「そっか。なら良かった…はぁ、なんでスリザリンには純血主義者が多いんだろうな。
何であろうと何も変わらないのに」

ソファに深く腰掛けヴィンは大きなため息を吐く。「そうだな」と簡単に返した。へリングの
心に薄く雲がかかった。蛇寮と比べ他の寮の生徒はあまりいない気がする。特に獅寮の生徒は
マグルのサクヤにとても友好的だ。翌日、図書館で何かを探す2年生のスリザリン生、
ティノ=バルミューダにヴィンは声を掛けた。

「じ、実は…俺のペット、ジルがいなくなっちゃって…」
「確か…犬だよね?サモエドだったか。だったら…あの子が抱えてる犬じゃないのか」

ヴィンが指差した方向には白いモコモコの犬を抱っこして辺りをキョロキョロしている
グリフィンドールの少女がいた。それに気が付くとティノはすぐに走っていき彼女の背中に
飛びつく。

「ジル!!勝手に逃げないでくれよ!」

ジルがつぶらな瞳をティノに向けて吠えた。驚きで思考停止していたサクヤは状況を把握し
納得。ジルを彼に返した。

「ありがとな!えっと…サクヤ」
「はい」

サクヤが何処かに移動した後、ティノは首を傾げる。背はティノより高い。だが2年生で彼女を
見た覚えはない。まさか…あれで1年生!?

Re: 撫子の魔女【ハリー・ポッター二次小説】 ( No.7 )
日時: 2020/01/03 19:56
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

サクヤが隻眼の白梟の頭に手を伸ばし優しく撫でた。梟は嬉しそうにバサバサと羽を動かす。

「珍しいハクは俺以外に撫でられるのを嫌うのに…」
「同じ日本人だからじゃねえの?」

梟ハクの飼い主は4年生の日本人、純血の魔法使いであるマキタ・シノノメ。日本人とは言いつつ
魔法での失敗で金髪になり目の色はピンク色に変わってしまった。

「オイオイお前、それで喜んでるのか?おこちゃまだな!」
「鼻血出てんぞティーグ」
「あのティッシュ使う?」
「有難く使わせてもらう」

上から目線で行って鼻血出して見下した相手にティッシュを借りているティーグに馬鹿すぎると
思いながら息を吐いたヴァイア。ティーグはサクヤからティッシュを貰い鼻に当てる。

「く、クソ!見下してくる男に親切にしてくれるなんて!その優しさに惚れた、
付き合ってください!」
「それよりスリザリンにも良い人がいるんだなぁっと思ったんだよ!」

スルースキル発動でティーグはついに涙まで流れて来た。

「ティノさんとか。あ、でもでもタメ口でいいからなって言われたんだよ!」
「へぇ、でもあんまり先輩呼びしてる人っていないよな。俺もしてないけど」
「先輩後輩の関係は日本にあるだけだからね」

マキタが解説した。

「やぁ、みんなでお話?私も混ぜて」

そう言って端に座ったのはエリーゼだった。

「エリーゼ、先生に書類届けてたんだろ?もう戻って来たのか」
「うん。先生たちも忙しいみたいでね。どう?ここでの生活には慣れて来た?」

サクヤが頷くと彼女は「そっか、それは良かった」と笑みを浮かべた。

Re: 撫子の魔女【ハリー・ポッター二次小説】 ( No.8 )
日時: 2020/01/03 21:25
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

生徒がいない職員室で職員会議が行われた。老人校長アローゼンを中心にして座っている。

「まさか死喰い人が復活するとはな」
「死喰い人は名を改めブラッドナイトと名乗っているようです。それに繋がっているGRAYと
呼ばれる存在もいると噂されています」

そう言ったのはライネックだ。ブラッドナイトの前身は死喰い人、彼らは過激な純血主義者の
集まりだ。そしてブラッドナイトはホグワーツを闇の帝王が倒れた聖地であり重要な場所と
考えている様だ。

「ここ、一度死喰い人と生徒らが戦ったんでしょう?ならきっと大丈夫です」

簡単にそう言ったのは一番若い男ニコ・ウェルナー。古代ルーン文学を教えている。教師陣は
いつブラッドナイトが仕掛けてくるか分からないため警戒をしている。そんな事を知らず
生徒たちは勉学に励んでいる。今日も図書館に色んな生徒が集まって来た。司書の
ビクトール・フェルナンドはグリフィンドールの少女とスリザリンの少女を見つけた。
確かグリフィンドールの方はサクヤ、スリザリンの方はパメラ・キラスキン。そういえば
パメラが借りていた本がまだ返されていない。近付くとパメラが一方的にマグルのサクヤを
罵っている様だ。そこに割って入って来た生徒が二人いる。一人はスリザリン、ヴィルアだ。

「パメラ、もうやめておけ」

そしてサクヤを連れて行ったのはマキタだ。

「流石はマグル。腐った血の持ち主はこれぐらいで逃げるんですね」

ヴィルアの制止を無視してパメラはサクヤを見下す。それを言われてもサクヤは表情を
変えずに答える。

「だって喧嘩をするために来てるわけじゃないでしょ?」

そう答えてサクヤはマキタと共にその場を後にする。ビクトールはパメラに拳骨を落とした。

「本、貸し出し期間を過ぎてるぞ。それとさっきのガキが言ってた通りだな。喧嘩するなら
出てけ。それと本をさっさと返却しろパメラ・キラスキン」

ジンジンする頭を抱えパメラは渋々本を返した。ビクトールが去った後、ヴィルアが話し出す。

「あの先生、瞬間記憶力ってのを持っててよ。一度見たことは絶対に忘れない、本の期限も。
で、悪さする生徒には男女平等で拳骨を落とすんだよ」

Re: 撫子の魔女【ハリー・ポッター二次小説】 ( No.9 )
日時: 2020/01/03 22:04
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

「わ〜〜〜!!サクヤちゃん、大丈夫でした!?凄い怖い人に酷いことを言われてて…」

エリュアールはサクヤに抱き着いてきた。二人の頭をエリーゼが撫でた。

「エリュアール、サクヤ、どちらもよく耐えたね。手を出さずに…サクヤ、かっこよかったよ。
今日の事は誇って良い事だ」
「…はい。パメラさん、言葉だけだったから。ビンタとか飛んでこなくて良かったです!」
「あ!いたいた、貴方もマグルなのね?さっきスリザリンの女に絡まれてた子でしょ?なんか
日本の女剣士みたいだった。驚かせちゃってごめんなさい、私はロゼッタ・ブラウン。サクヤ、
よろしくね」

ロゼッタも同じマグルだ。

「あぁ、シノノメが庇ってたのってお前か。俺と同じ日本人」

黄色のマフラー、ハッフルパフの生徒だ。マキタの事を知っている様だ。彼は苦笑する。

「筋肉馬鹿のカナタさん、どうしたんだ?」

カナタ=シロガネ、確かに体格がいい。黒いローブもしたのシャツも全開にしている。
これを機に様々な生徒から少し興味を持たれるようになってしまったようだ。一方、パメラは
他のスリザリン生と一緒にいた。

「ヴィルアさんに止められるとは思ってもいませんでした。しかし何故あんな女を…?」
「全員がマグル迫害に賛成してるわけじゃない。それにあそこでお前が手を上げていても
サクヤは何もしないで耐えていた。まぁ突っかかる時点でお前の負けだパメラ」

ヴィルアに正論を言われてしまいパメラは押し黙った。

「そうだなヴィルアが正しいな今回は」

ヴィンも話し出した。