二次創作小説(紙ほか)

Re: メカクシティアイ【カゲプロ二次創作】 ( No.2 )
日時: 2020/01/11 22:01
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

目を潜る−空閑夜霧−

「はぁ…まただ。全く最近は不良共の喧嘩が多いな」

警官はそう呟いた。俺は遠くでそれを耳にしてその場を後にした。あそこで伸びている

チンピラと喧嘩したのは俺だ。兄弟揃って喧嘩っ早い性格でまとめ上げていたのは母親だった。

「お帰りなさい夜霧…また喧嘩してきたの?全く貴方って子は…先に手当てするわね」

「いや、いいよ。自分でやる」

「そう?ごめんなさいね夜霧、夕飯。すぐに作っちゃうわね」

母親はそう言って台所に立った。テーブルには救急箱が置いてある。俺がそう答えることを

知っての事だろう。親には息子の考えることがお見通しらしい。

「お前、ホント喧嘩しかしねえな」

そう言ったのは次男の夜見だった。因みに俺は長男。

「お前が言うのか?聞いてるぜ高校の番長」

「変わらねえだろうが不良に喧嘩売りまくってる奴が」

「言っておくが俺が売ったんじゃねえ、向こうが安く売ってるから仕方なく買ってんだよ」

「どちらも言ってることは同じです」

母親は料理が盛られた皿を置き責め立てるような口調で言う。それで俺たちは押し黙る。

父親は遠くで働いているためほとんど家に帰って来ない。そのためほぼ女手一つで俺たちは

育てられた。

「二人とも、喧嘩沙汰はいい年になったらやめるのよ。貴方たち顔は良いんだからきっと

モテるわよ」

母親はにやけ顔で話す。夕飯を食べ終わる。その後は風呂に入る。湯舟に浸かると生傷が

ヒリヒリと痛む。喧嘩ばかりで全身生傷だらけ、いつも手当てをしようとするのは母親だった。

眠りについた。

—オイ!やめろ!!

—いいのよ…私は、子どもを守れないで母親を名乗れないわ!

—馬鹿野郎!!!行くんじゃねえ!

「ッ!!?」

額には汗ぐっしょりで目が覚めた。下の階に降りると母親だけが台所に立っていた。

「夜見、今日から高校の宿泊行事でいないからね」

そういえばそんなことを言っていた。

「あ、そうだ。今日ぐらい少し贅沢しちゃおうかしら。外食なんてどう?お寿司、食べに

行きましょう?」

「いや、俺は—」

インターホンが鳴り母親は扉の方へ行く。すぐに悲鳴と銃声が聞こえた。走って玄関へ行くと

二人組の男が銃を握って立っていた。

「お前ら!!」

近くの金属バットを握り走り出した。しかし銃弾が俺の頭を貫いた。倒れたと同時にサイレンが

聞こえた。意識を失う寸前、赤い目が見えた。