二次創作小説(紙ほか)

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.1 )
日時: 2020/01/13 19:14
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

「はい、オーケー。水色の紋章よ」

「ありがとうございます。ミラさん」

アストリアの右太腿には水色の紋章がつけられた。これが何よりも嬉しくて彼女は

笑顔を浮かべている。

「アストリア、貴方にはこれから始まる大魔闘演武でAチームに入ってもらいますが

よろしいですか?」

「え?いいの!?私で…」

戸惑う様子を見るとメイビスは笑った。

「貴方の魔法は造形魔法に近い。そしてエルザの換装にも近い。とても頼れると思います」

そう言った後、彼女は一人で全員に背を向けて座る白髪の男に声を掛ける。掛けられた

男は色白で黒と灰色のオッドアイが印象的だ。その顔には笑顔が無かった。彼の名は

アッシュ・メイヴ、グレイと同じ氷の造形魔導士だ。彼はBチームに入ることになった。

「なんか…カッコイイ!」

アストリアが声を上げた。アッシュが微かに驚きを見せる。

「だって白い髪ってなんか綺麗だし、アッシュの顔も相まって凄くカッコよく見える」

「ふふっ、アッシュ。顔が赤いですよ」

メイビスはアッシュを突く。口を開かないが彼は横目でみんなと話すアストリアを見た。

彼の隣にマカロフが座る。

「また良い奴が来たな、あの子は良い子だ」

「…どうせアイツも俺を怖がる」

「そう決めつけるなアッシュ。ゆっくり見極めれば良い、自分の眼で」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.2 )
日時: 2020/01/13 20:55
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

首都クロッカスにやってくるとそこで人魚の踵のメンバーとすれ違う。

「カグラ、久しぶりだな」

「エルザか」

エルザとカグラが向かい合う。だがエルザは他の方に目を向け驚く。他のメンバーも

開いた口が閉じない。

「あ、レイさん!!」

「アストリア!久しぶりですね、元気でしたか?再会できてよかったです」

暗い赤髪の男だ。男子禁制ギルドに男がいるとは思わなかった。

「私が許可した。レイの実力は下手したら私以上」

「言い過ぎですよカグラさん。それと初めまして、エルザさん」

物腰柔らかで細身だが何処か違う。強い闘気を感じる。彼らと分かれた後、会場に

入った。ブーイングが飛び交う。

「んん?ちょっと待ってください!男子禁制ギルド人魚の踵になんと男性魔導士が!?

これはどういうことだぁ!!?」

実況側も観客側も一部のギルドも驚く。

「何故いるかなんて良いだろう?私が認めた男の実力ならそのうち分かる」

カグラはそう言い放つ。入場とオープニングゲームが終わり早速大魔闘演武が始まる。

「はぁ…可愛い!小さくてフワフワ〜」

ミリアーナはレイの肩に乗る小さな青いトラを撫で癒されていた。

「ミリアーナさんは猫科の動物が好きなんですね。折角だし抱いてみますか?」

「え!?いいの!!?やった〜〜」

ミリアーナは虎をギュッと抱きしめる。

「レイって、妖精の尻尾にいる…えっとアストリアだっけ?どういう関係なの?まさか…妹?」

「アラーニャさん。違いますよ。アストリアとは同郷の友だちみたいなものです」

「てっきり許嫁だと思ってた。レイは顔も性格も良いし…恋人ぐらいいると思ってたわ」

アラーニャはレイの頬を突く。

「レイ、お前から見てアストリア・アンピトリテはどう感じる?」

カグラに聞かれレイは目を細める。

「経験は浅いでしょう。ですけど優れた直感とセンスを持ってますからその経験の差を

すぐに埋めてくると思います。舐めてはいけませんよ」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.3 )
日時: 2020/01/14 17:22
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

「アストリア、頑張れよ」

エルザはアストリアの肩を軽く叩く。

「はい!全力で頑張るよ!!」

アストリアは全員に背を向けて闘技場に向かう。相手は四つ首の番犬バッカス。

「な、なんと妖精の尻尾からは期待の新星アストリア選手が参戦!一体どんな戦いを

するのかぁぁぁ!!?」

試合が始まり最初はバッカスの攻撃がメイン。アストリアは彼の攻撃をひらひらと躱す。

酔いの鷹のトリッキーな動きにアストリアは柔軟に対応している。

「私が勝ったら番犬じゃなくて仔犬を名乗ってもらうよ!!星器ステラアームズ

金星のヴィーナスウィップ!」

「こ、これはぁぁぁ!!?まさかエルザ選手と同じ換装か!?」

「いいや違う。それに近いが全くの別物だ」

実況に解説が訂正する。会場に乾いた音が響いた。金色の鞭が唸る。

「何だぁ…これは…!!」

「愛のヴィーナスキス、愛の女神の前にひれ伏しな!!…ってね」

アストリアが鞭をふるう。細長くしなりやすい金の鞭はうねうねとした動きでバッカスを

じわじわと痛めつけていく。更に速度が上がっていく。会場にまた乾いた音が反響する。

「し、勝者は…妖精の尻尾!!バッカス選手、女神の鞭の前に倒れ伏したァァァァァ!!」

闘技場を後にするアストリア。観戦場所に戻ると称賛が飛び交う。

「よくやったな!アストリア」

「勿論!頑張らないわけにはいかないでしょ?」

二日目の夜、妖精の尻尾に二人の客が来た。先に来たのはレイだった。

「お前…人魚の踵の」

「レイだっけか?どうしたのよ」

「実は彼女を連れてきたんですよ」

レイの後ろに立っていたのはユキノだ。レイに手を引かれ彼女を席に座らせる。レイは自分の

着ていたコートを彼女にかけてやる。彼女は剣咬の虎を追い出されてしまった。負けたというだけ

で追い出されてしまったのだ。

「え、ちょっと!ナツ!?」

「わ、私!追いかけてみる!!」

「待って!アストリア…行っちゃった」

レイたちの声を聞かずにアストリアは追ってしまった。

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.4 )
日時: 2020/01/14 17:46
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

剣咬の虎の宿にナツは喧嘩を売りに来た。

「ナツ〜!!」

「アストリア!?なんで追ってきたんだ?」

アストリアは大きく深呼吸してからナツの隣に立った。

「心配してるんだから。それに私も同じだよ…ユキノちゃん、泣いてた。憧れのギルドに

やっと入ることが出来たのに負けたってだけで追い出されて…凄く悲しそうだった」

アストリアの声が小さくなっていく。だがすぐに彼女は顔を上げる。

星器ステラアームズ、木星のジュピターシールド!!」

緑色の光を放つ大きな盾を前に出し衝撃から二人を守る。

「小童、よく察したな。褒めて遣わすぞ」

「そう?それは光栄だけど仲間を泣かせてるダサい人に褒められても嬉しくない」

盾を退けてアストリアは相手を睨む。

「す、スゲェ…マスターの攻撃を盾で防ぎやがった」

「舐めてもらっちゃ困るよ。私の盾」

アストリアは笑みを浮かべる。

「これぐらいで宴はお開きにしようぞ、父上」

そういって止めに入ったのはミネルバだ。彼女はハッピーを抱いている。

「勿論、続けていれば父上が勝つであろう。だがここは許してほしい。さすればこの猫を

返してやろうぞ」

「ごめんナツ…アストリアも、心配で」

ナツは彼女の意見を承諾しハッピーを抱く。その時だ、扉を破り氷の龍が現れた。

「この氷…アッシュの造形魔法だよ!!乗ろう、ナツ!少しの我慢だよ!!」

アストリアが乗り込み彼女はナツを癒しながら彼女たちを乗せた龍は去って行った。

龍は確かに妖精の尻尾の宿に二人を連れて帰ってきた。

「よかった、怪我は無いみたいですね」

「全くヒヤヒヤしたぞナツ。アッシュに感謝しろ!」

マカロフはアッシュを指差し、そういった。ナツは「悪ィ」と謝った。

「あの…レイ様、ありがとうございました。これ以上、迷惑をかけるわけにはいきませんから」

ユキノはコートを返そうとするもレイはそれを拒む。

「俺は大丈夫です。ユキノさん」

二人はここを去って行った。そして三日目、競技パートでは伏魔殿。そこでは驚きの

100体のモンスターをエルザが完全制覇してみせた。残りのチームに順位をつけるために

魔力測定器で順位をつけることになった。Bチームから参加したのはレビィ・マクガーデンの

実兄、レオン・マクガーデン。

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.5 )
日時: 2020/01/14 18:35
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

「ゲッ!初代、まさかアイツを出したってことは…」

全員がメイビスを見る。彼女は笑顔で返答する。

「はい。レオンさんは数少ない妖精三大魔法の会得者ですから」

青い髪を揺らし彼は測定器の前に立つ。そして叫んだ。

「悪いが本気で行かせてもらう!妖精の輝き(フェアリーグリッター)ァァァァァ!!」

大きな光の柱が立ち上る。気付いた時には測定器は9999の数を出し壊れていた。

「こ、これは!?測定不可能だと!?どうなっているんだ妖精の尻尾は!!」

その数を出しながらレオンはその場をすぐに去った。

「お兄ちゃん、お疲れ〜!」

「レビィ!」

妹のレビィはレオンに抱き着く。そんな彼女をレオンも抱きしめる。

「お疲れ〜レオン。流石妖精の尻尾、最凶の魔導士!」

「アンタもこのギルドの要だからな…頼りにしてるよ」

カナは笑顔を向ける。さらに試合は進んでいき、ラクサスが大鴉の尻尾を撃破、彼らの

違反が発覚し彼らは捕まった。4日目の海戦で妖精の尻尾と剣咬の虎の仲はさらに

こじれる。ジュビアも負けて残りはミネルバとルーシィだけ。だがその試合は一方的だ。

「アイツはわざとやってるぞ…」

「なんて酷いことを…」

優勢の剣咬の虎は笑みを浮かべている。妖精の尻尾は怒りを向ける。ルーシィが外に出され

真っ先に駆け付ける。

「ルーシィ!」

Bチームからも珍しくアッシュが自分から駆け付ける。彼は一番酷い痣に手をかざし冷気で

冷やす。

「2位にしてやったから感謝してほしいなんて冗談がキツイと思うけど?」

アストリアはミネルバを睨む。

「お前たちは怒らせてはいけないギルドを怒らせた」

エルザが低い声で告げる。ルーシィは部屋のベッドに寝かされる。暫くして彼女は目を

覚ました。

「ごめん…負けちゃって…」

「気にするなよルーシィ」

ルーシィに対してナツが返した。ルーシィの探す鍵をハッピーが渡す。彼女はそれを大事に

抱き抱えて眠りについた。

「アッシュも助かったよ」

ポーリュシカが彼に礼を述べた。アッシュは首を横に振る。

「俺は冷やしただけ。礼はウェンディたちに言うべきだ」

「そんな…打撲は冷やすのが一番です。アッシュさんはそれを知ってたんでしょう?」

「そうだね…さぁ、アンタたちはさっさと戻りな。まだまだ大魔闘演武は終わってないよ」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.6 )
日時: 2020/01/15 17:02
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

4日目最終試合。これを望んでいた観客は多いだろう。

現最強ギルド剣咬の虎vs7年前最強ギルド妖精の尻尾。

剣咬の虎からは双竜スティングとローグが参戦。妖精の尻尾からはナツとアストリアだ。

アストリアが出ることは全てのギルド、観客が予想していなかったことだ。

「どういうことだ?何故ガジルではない」

「まぁいいじゃねえかローグ。寧ろやりやすいだろ、雑魚一匹なら」

「ちょっと!めっちゃ聞き捨てならない単語が聞こえたんだけど!?」

「落ち着けよ、試合でぎゃふんと言わせてやろうぜアストリア」

腹を立てるアストリアを落ち着かせ、そう声を掛けた。

「初代、何故アストリアを?相手は手強いぞ」

レオンはメイビスの方を見た。

「その通りです。しかし舐めているわけではありませんよ。強いからこそ彼女は

越えるために更に上を行く。絆の力を見せつけるんです!」

試合開始後は妖精の尻尾が先制を仕掛け流れを先に掴む。

星器ステラアームズ火星拳法マーズリム!」

赤い宝石が埋め込まれた黒い手袋とロングブーツ姿のアストリアのドロップキックはローグの

顔面を貫く。

「お前、肉弾戦もできんのか!?」

「星器は様々な武器と能力を持つ。一番いい例は木星の盾、あれは星器の中でも高い防御力を

持つ。火星拳法は近接戦闘ではかなり役立つんだよ。…私がローグをどうにかしてみる!

任せて!」

アストリアは拳を突き出す。「おう」とナツは返し自身の拳を軽くぶつける。アストリアの

四肢に灼熱の炎が燃え上がる。

「—フォボスピエーディ!!」

両手を相手の肩に置き相手を飛び越え着地の瞬間片足で回し蹴りを放つ。その動きはとても

素早く滑らかだった。

「こっちも行くぞォォ!!」

ナツの攻撃がスティングにダメージを与える。二人がアストリアたちを見据える。

「しっかり実力を測れていなかった」

「あぁ、中々手こずらせてくるな…アイツ。だけど俺たちも負けられねえな」

二人の周りに魔力が集中する。何をしようとしているか、彼らが滅竜魔導士であることが

分かっているため察することができる。彼らは第三世代の滅竜魔導士。そして彼らは

自分の意志でドラゴンフォースを使うことができる。

「守ります!!木星のジュピターシールド!!」

アストリアの手に大きな盾が握られ構える。

「—フォート・エウロパ!!」

「ホーリーレイ!!」

光の矢の雨から緑色の壁は二人を守り切る。外から見ればそれは城を守る防壁である。

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.7 )
日時: 2020/01/15 17:44
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

「ナツ、伏せて!!」

伏せたナツの上を盾が通り過ぎる。だが相手は影の中に潜り込み死角に入り攻撃を

加える。経験の差があり対処の仕方に手間取っている。ここは闘技場の地下だ。

観戦場所から見守るレイはいつの間にか前のめりになって試合を見守っていた。

知らずのうちにアッシュも彼女を気にしていた。全員が見守る中、エルザは目を見開き

「否…」思わず呟く。

「ナツもアストリアも諦めちゃいない」

盾は砕け散る。緑の光の粒が辺りに散らばった。身を守る武器が消えた今、彼女を討つ

チャンスだと思い踏み込む。

「こっちにあってセイバーにないもの…それは仲間との絆、これは結構重要だと思うよ。

だから見せてやろうじゃないか!仲間の力って奴を!」

辺りの気温が上がったような気がする。

「さっきの攻撃、実は少しだけ掠ってた。全てを焼き尽くす炎と地球を照らす光を持つ

全惑星の中心!星器ステラアームズ太陽王サンブライト!」

太陽の形を模した金色の杖だ。杖を薙ぎ払うと赤い炎が横に走る。

「一撃で終わらせる!—プロミネンスレーザー!!」

杖を前に突き出すと四方八方から炎のレーザーが放たれる。それらはドラゴンフォースを

使っているスティングとローグを射抜いた。すぐにアストリアがナツの名を叫ぶ。

「火竜の咆哮ォォォォォォォ!!!」

口から吐かれた炎が止めを刺す。そして観客席から歓声が飛び交う。

明日は全員参加のサバイバル戦だ。裏では事件が肥大化しつつある。

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.8 )
日時: 2020/03/15 22:28
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

大魔闘演武は最終日に近付いていた。そこで大きくチームを編成。エルザ達に加え

アストリアをチームに入れる。彼女の腕にはギルドの紋章が書かれた腕章がある。

特別ルール「デコイ」は一名のみ参加させることができて倒してもポイント0だ。

「このルールでは倒すチームと倒さず無視するチームの二つがある。アストリアには遊撃部隊

として動いていただきたいのです」

メイビスはそう頼む。

「分かった。周りを見ながら倒したり仲間を助ければいいんだね?頑張ってみるよ」



全てのチームが動き出したサバイバル。だが妖精の尻尾はデコイであるアストリア以外誰も

動いていない。

「いいですか?まずアストリアは南へ。そこでレイが待っているはずです。戦うことになるので

準備しておいてください」

彼女の言う通り腕章を付けたレイがいた。

「奇遇ですね。お互い同じことを考えている」

「そうだね…でも負けられないからさ」

軽く会話した後、先に動いたのはレイだった。初手を躱すとアストリアは叫ぶ。

星器ステラアームズ水星魔銃マーキュリーガンナー!」

アストリアの両手には青い銃が握られていた。彼女は冷静に構え一発撃つ。水の弾丸がレイの右肩を

掠る。避けたはずが弾丸は同時に動いた。

「追尾型、とはまた違う…私が避ければ弾丸も同じ方向に動くということですね…」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.9 )
日時: 2020/03/16 09:56
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

アストリアは二丁拳銃を一つの拳銃に変え上に発砲する。

「水星雨の如し(レイン・オブ・マーキュリー)」

水の弾丸が上空で破裂し雫となる。その雫は徐々に鋭くなっていき無差別に散らばっていく。

それはレイへの攻撃であり仲間への合図でもある。妖精の尻尾が全員動き出した。

拳銃はライフルに変化し連撃を繰り出す。レイは持ち前の運動神経、反射神経等を駆使し

銃弾の雨を躱していく。


観戦席ではメイビスが呟いていた。

「レイを撒いて次に南側の塔でガジルに加勢を…」

彼女の言葉は聞こえていないがアストリアたちを映していたカメラの画面が煙に包まれ

アストリアはいつの間にかローグとガジルのもとへ来ていた。


「アストリア!」

「ガジル、防御は任せて」

二人がアイコンタクトを取り頷く。アストリアの手には大きな緑色の盾がある。

攻撃を仕掛けてくるローグは影の中に沈み込む。勿論それは分かっている。だからこそしっかり

罠は準備してある。

「不可視の巨星インビジブルジュピター

「なっ!?」

大小さまざまな緑の球体が現れレーザーを放つ。ローグは縫うように躱し攻撃を仕掛ける。

ガジルが迎え撃つ。

「やっぱりここでしたか」

丁寧な口調で話しかけてきたのはレイだった。

「オイオイマジかよ。結構距離が離れてるはずだろ?ここまで全力疾走してきたのか…」

「そうみたい…と、兎に角そっちは任せた!」

二手に分かれる。アストリアはレイの相手をし、ガジルたちから距離を取る。木星の星器は

防御ではピカイチ。倒さなくとも守りに徹するべきだろうか。

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.10 )
日時: 2020/03/16 10:25
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

盾に亀裂が走りアストリアは盾を手放すことにした。

「星器、海王星三叉槍ネプチューントライデント!!」

青緑色の三叉槍、白いリボンが結ばれている。アストリアはそれを連続で突く。真っ直ぐで

避け易いと油断することは無かった。レイは彼女がそんな分かりやすい攻撃をするとは

考えていない。アストリアは手を止め槍を上に向ける。

「長引くと危ないと思った。だから…ここで決める!

隠された海神のサブタレイニアンネプチューン


実況席からは声が上がった。

「な、なんだあれはァァァァァァ!!!!?海か!?あれは海なのかぁ!!?」

観戦席では全員が目を見開いていた。

「あれって地下から出てきてるのか!?」

「違います、あれは彼女の魔力を水に変換したもの…あの水が彼女の魔力量そのもの…!」

カナの言葉にメイビスは返した。

「そうでもないぞ初代。あの中の魔力、アストリアの魔力は半分だがもう半分は幾つか別の

魔力がある。あれは自分の魔力ではない」

レオンがそう言った。言われてメイビスもハッとする。エルザやラクサス、ジュビア、グレイ、

ガジルの魔力がアストリアに吸い込まれているのが見えた。


大きな波と対峙しているレイは苦笑する。

「まだまだ実力が足りませんでしたね…」

大きな波は自身の力の無さを痛感したレイを優しくも荒々しく呑み込んだ。

「アストリア、行くぞ」

ガジルに声を掛けられ別の場所へ急ぐ。既にエルザ達は残っているスティングと対峙する。

そして最後にやってきたのはアストリアだった。彼らの気迫に負けスティングは自ら降参。

ここに再び妖精の尻尾が最強ギルドだと証明された。

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.11 )
日時: 2020/03/17 11:36
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

終わってから数時間の出来事だった。

「アストリア!!」

アストリアは驚いた様子で上を見上げた。大きなドラゴンは口を開いて急降下してくる。

立ち尽くす彼女を誰かが引っ張り彼女たちの周りを氷の壁が覆う。視線の端にキラキラ光る

白髪と上に伸ばされた白い腕が見えた。

「アッシュ!!?」

「もうすぐ崩れる。壁の方によってすぐに脱出できるよう構えておけ」

音を立てて氷壁は崩れる。ドラゴンは一瞬キョロキョロするも逃げていく氷の龍を追う。


一先ず撒いた二人はスティングたちと合流した。

「お前…氷の」

「アッシュだ。滅竜魔導士だろ?少し力を貸せ、ドラゴン相手じゃ俺たちでは微力だから」

四人を見つけたドラゴンは計三体だ。その三体に四人で立ち向かう。

「スティング、ローグ。手を貸して」

アストリアは手を伸ばす。その手に二人が触れると白と黒の魔力が彼女に吸い込まれていく。

アッシュは彼女が何をしようとしているか察した。

「造形魔法に近く換装に近い魔法…私の魔法は魔力を纏う魔法だよ!そしてこれは新しい星器!

天王星剣ウラヌスシュヴァリエ

白く鋭い光を放つ細剣。光属性を持つ剣。そしてその剣はアストリアの魔力で造られにも

関わらずスティングに似た魔力を持つ。

「そんなこともできるのか…じゃあローグのも!?」

「そう、どっちも揃ったよ。天王星と土星の星器」

「しゃべってる暇は無いぞ。細かい質問は後回しだ」

アッシュに言われ全員が動く。アストリアは片手を後ろに引いた。

「生を貫く王のウラヌスエクレール

剣を突き光の細いレーザーを放つ。見た目に寄らず貫通性があり硬いドラゴンの皮膚に穴が

開く。氷の矢が追撃する。その矢はアッシュが放ったものだ。

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.12 )
日時: 2020/03/17 13:33
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

「星器、土星鎖サターンチェーン!」

黒い鎖はアストリアの影から現れドラゴンを拘束する。影がある限り鎖が千切れることは無い。

アストリアは他の三人を見る。

「アイスメイク、クリスタルゲート」

ワープからは氷の鎖に繋がれた鋭い刃がドラゴンを下から上に貫く。

「「聖影竜閃牙」」

二人の合体魔法で止めを刺した。ナツの方も黒幕を片付ける。


「扉も閉じてドラゴン退治も終わったし…やっと落ち着ける〜」

アストリアは胸を撫でおろす。ギルドに戻ってきて全員が落ち着ていつもの日常が戻ってきた。

ナツたちとは別でアストリアとアッシュは別の依頼に出向いていた。依頼というより指名。

太陽の村付近の小さな小屋。ノックをすると人間ではなく可愛らしい人形が扉を開け彼らを

案内した。人形師オズワルド。正規か闇かに関係なくギルドを嫌う男だ。

「ギルドは嫌いだけどギルドに所属する魔導士は別にいいんだね…」

「それはそれ、これはこれだ。ただ会話がしたかっただけ。それにアストリア・アンピトリテ、

お前の魔術は魔装と言う魔法だな?」

アストリアは頷いた。

「…外が騒がしいな」

オズワルドが片手を動かすと近くに置いてあった人形が動き出した。長い赤髪の鎧風の服を着た

人形で…。

「この人形…エルザ人形か」

「あぁ、俺は人形師。最強ギルドの最強の魔導士様の人形を作ればそれなりに戦闘も手助けできる」

エルザ人形が見ているものはオズワルドにも見える。エルザ人形はそっと扉を開くと数人の

男女が立っていた。

「緊急事態らしいな。俺は出ない、さっさと行け」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.13 )
日時: 2020/03/18 12:07
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

帰還しているナツたちとは別にレオン・マクガーデンは速足で評議院、冥府の門対策会議を

している部屋へ急ぐ。彼は若くして聖十大魔導士の肩書を持っている。何かを感じ取り

嫌な予感がする。

「(やっぱりか…!)」

扉を開くとそこは地獄絵図のようだった。瓦礫に潰された人間が多い。

「レ…オン、か…?」

「ドランバルト、良かった無事みたいだな」

レオンは瓦礫を退かし彼に肩を貸す。

「ちょっと待った、そこの魔導士」

レオンは足を止めた。動物風の男は笑みを浮かべて倒れていた人間を見せる。

「この人が死んじゃってもいいのかなぁ?」

「人質か?冥府の門の悪魔は頭が悪いらしい」

レオンは挑発するような笑みを浮かべた。九鬼門ジャッカルの怒りの蓋をかすかに開けた。

「その男は人質ではない。光を屈折させて作り出した幻像」

「はぁ?いやいや、だって息だってしてるし心臓の音だって…ッ!?」

人間の体が透けて消えた。

「俺は光を操る魔導士。こんな若いがこれでも聖十なんでな。それとこれだけは言っておくぞ

…妖精には気を付けろよ?調子に乗るのは良いがここの妖精を怒らせることはお勧めしない」



離れた場所で一息つく。

「そんなに魔力をかなり抑えててもあんな像を創り出すなんて聖十様々だな」

ドランバルトはレオンの腕を見た。右肩、左肩に黒い魔法陣が書かれている。それは大きな魔力を

制御する魔法陣。

「…お前、誰かに冥府の門について聞いて来い」

「使い勝手が荒いな、お前!怪我人にそんなことさせるか?」

「助けてやったのは誰か忘れたのか?お前の魔法なら一瞬で戻れんだから行って来い。俺は一先ず

ギルドに帰る」

そう言ってすたこらとレオンは歩き去ってしまった。

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.14 )
日時: 2020/03/19 16:12
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

ギルドに戻ると既に士気が最高潮になっていた。

「むぅ、レオンか!事情は分かっている、これから冥府の門のアジトへ乗り込むぞ。力を貸せ

妖精女王がいない今、最大戦力は妖精王のお前だ」

「分かってる」

マカロフの言葉にレオンは返した。階段を駆け上がってきたカナは全員をカード化する。

急いでいるため理由を話すことはできなかった。それでも彼女はハッピーたちにカードを手に

アジトへ向かうように指示した。

「カナ、何事だ?」

「爆弾だ。全員を逃がしてちゃあ間に合わないと思ったから全員カード化させたんだ。

怪我してるラクサスたちまで連れてきちゃったけど…」

「仕方ない…」

カナの言葉にレオンはそう言って気にするなと伝える。そして辿り着いたのはキューブ型の

冥界島の下の面にたどり着いた。

「拠点は上の面…行くには地面を」

「ってレオン!後ろ後ろ!!!」

ルーシィは考え込むレオンに叫ぶ。レオンは顎に当てていた手を離すとルーシィの方に目線と共に

向けた。大丈夫だ、と言っているようにも離れてろ、と言っているようにも感じられルーシィは

周りとアイコンタクトを取ってレオンから離れる。

「(かましてやれ、レオン!)」

マカロフが心の中で呟く。

妖精弓フェアリーボーゲン

レオンは視線のみ後ろに向け太陽の光から弓矢を作り矢の雨を降らす。集団がまとめて倒れる。

光を操ることに長けた若き天才魔導士。聖十の一人、光帝レオン・マクガーデン。

「レオンが道を開いた!全員、行くぞォォォォォォォォォォォォォ!!!!」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.15 )
日時: 2020/03/19 17:25
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

水星魔銃にて敵を倒して行くアストリア。氷の造形魔法で敵を一掃するアッシュ。二人は

背中合わせで戦っている。

「数が多いな…」

「だよね、思った。地面でも掘っていきたいぐらいなんだけど…?」

アストリアは視線を下に向ける。地面に亀裂が走り二人組が地面から出てきた。九鬼門キョウカと

妖精女王エルザ・スカーレット。彼女が下から出てきたということは二人が出てきた穴はアジトに

繋がっているということ。全員がそう考え穴の中に飛び込んでいく。一方、そのアジト内を

自由に歩き回る一人の男がいた。九鬼門ではない、そしてエーテリアスでもない。だが彼は

九鬼門に匹敵する悪魔だ。人間の罪、暴食の力を持つ悪魔アズール。彼の隣に立つもう一人の

男もまた悪魔。嫉妬の力を持つ悪魔ベルベット。

「アズール様、御自由に出歩かれては困ります。一応、冥府の門の一員なのですから」

二人の前に立ちそう言ったのはセイラだった。

「そう言われてもなぁ…俺は別にゼレフが人間が、ってのは興味が無い。興味があるのは

見たことが無い魔法を扱う魔導士若しくは力がある魔導士だけだ」

アズールはそう言って彼女を無視した。

「その珍しい魔導士なら今、ここに向かっています。確か、星器と言っていました。纏う魔法、

その人間は貴方に任せます。間近で見たいとは思いませんか?」

その言葉を聞きアズールは居ても立っても居られない。星器という魔法はこの長い年月、

聞いたことも無い魔法だ。

「ベルベット様はどうされますか?」

「一応ついていく。ここにいてもつまらない」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.16 )
日時: 2020/03/19 17:45
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

アストリアとアッシュは九鬼門との戦いには参加していない。相手に鉢合わせしていないからだ。

「どうしよう?何をすればいいかもイマイチ分からないし…一旦戻った方が良いかな?」

「そうだな。さっきの穴から距離は遠くない。戻るか」

アッシュとアストリアは来た道を戻り大きな穴の中に入る。

「も、戻ってきたのか!?アストリア、アッシュ」

ラクサスたちを守っていたギルドメンバーたちが二人に駆け寄る。

「あぁ、向こうにはレオンもいる。どっちにいても変わらないだろうし戻ってきた」

言い終わったアッシュとアストリアの足元に現れた魔法陣。眩しい光に包まれ気付いた時には

二人はいなかった。

「転送魔法…といったところか」

ポーリュシカは呟く。そして強敵と戦うであろう二人の無事を祈る。


飛ばされた場所にいたのはミネルバを連れたスティングとローグ。お互いに何が起きたのか

さっぱり分からなかった。

「何が起きたんだ?って顔してるな。折角だ、参加者はいた方が楽しいだろ?安心しろよ俺は

ゼレフにも興味ない。暴食の力を扱う悪魔アズール、こっちは俺の友だち嫉妬の力を扱う

ベルベット」

端正な顔立ちの二人組。そのうち銀色の鉤爪を持つベルベットはミネルバの方を見た。

「お前らは冥府の門の傭兵と言ったところか…それもかなりの手練れ」

「そう言うお前たちは妬ましいな。悪魔になった女と仲良しごっこか…」

「悪いねベルベットは嫉妬深い男だ。このぐらいが我慢の限界らしい。本題に入ろうか?

星器って魔法を扱うのはお前だろ?アストリア・アンピトリテ。その力、俺に全部見せて

くれよ」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.17 )
日時: 2020/03/19 18:13
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

「アストリア、妾も戦うぞ。そなた達に妾は酷いことをしてしまった…だから!」

ミネルバが全て言い終わる前にアストリアは微笑んだ。

「じゃあ手を貸してミネルバ!私一人じゃ勝てないもの」

「俺たちも手伝うぜアストリア。5vs2ならどうにかなるだろ」

「俺はどっちでも構わないぜ?その星器って魔法は他人の魔力を借りて使うこともできる。

その中でもお前は太陽、土星、天王星はそれぞれナツ・ドラグニル、ローグ・チェーニ、

スティング・ユークリフの魔力を使って完成させたもの。だけど一人の魔力につき一つって

いうわけでも無い。数人の魔力を使って一つの星器を創り出すこともできる。高いレベルになれば

武器だけ、一部だけでなく服のように纏うことができる」

全てを話したアズールは自慢げに笑みを浮かべ挑発する。

「どうも誤解する奴が多くてな。俺はスリルがある事は大好きだ。戦いもその一つ、相手が

どうでるのか、どんな力を使いそうやって挑んでくるのか、それが楽しい。だけど馬鹿じゃない。

魔法を扱う人間が多いんだ。知識として下調べしておくのが普通だろ?」

探せば一つや二つ、星器についての文献があっても可笑しくない。金星の鞭を振るう。電気の音が

鞭から聞こえる。アズールは腕を顔の前で交差させる。腕を体を脚を黄色の鞭が容赦なく

叩く。

愛玩雷獣ヴィーナスビースト!!」

電気は更に強まり鞭はアズールの両手を拘束する。彼の全身に電気が流れる。

「妬ましいな、その力…!」

「させるか」

アストリアの背中に大きな氷の壁が現れる。作り出したのはアッシュだ。ベルベットは歯軋りを

する。未だ大きな動きを見せないアズールとベルベット。だがアズールが突然笑い出した。

「鞭打ちって奴か?良い腕してるな。並の人間否、悪魔もこの痛みには耐えきれねえだろうな…

尤も痛覚があるならの話だが…」

「ってことはまさか…!」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.18 )
日時: 2020/03/19 18:55
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

鞭を掴みアズールは力を入れアストリアを振り回す。それを見たミネルバはアッシュに声を掛ける。

その話を聞きアッシュはアストリアを氷の鳥籠に閉じ込める。柵にアストリアはぶつかる。

「なんだ…?」

アストリアが中から消え氷の鳥籠は水になりその水は鞭を伝ってアズールの方へ流れる。

電気は水を伝う。

「魔力はすっからかんに近いはずなのに…」

「ガっ!?」

ミネルバの腹に膝蹴りを入れたのはベルベット。

「よそ見してんなよアストリア!」

アズールの回し蹴りが彼女の脇腹を抉った。もとより体術は得意ではなく頑丈な体は

していない。結構なダメージだ。気絶していても可笑しくはないが蹴りを放ったアズールの

脚からは血が流れていた。

「これはアストリアの付けた傷じゃないな…氷のナイフか。お相子だな」

宙を飛んだアストリアの体をローグがキャッチする。

「無事か?」

「どうにか。でもめっちゃ痛かった…」

近くで獣のような唸り声が聞こえた。猫背になったベルベットがふと顔を上げる。鋭い牙に爪、

狼のような耳と尾。

「やめとけよベルベット。これは俺の戦いだ」

理性を完全に失ったわけではないようだ。

「良いことを教えてやろうか?アストリア。俺を殺せる星器…月の星器」

それがあったか、アストリアは気付いた。条件となる属性は揃っている。

「さっきも言ったが俺はお前の魔法が見たい。それで負けても構わねえ。何なら俺が負けたら

お前の使い魔になってやる。待っててやるからさ、さっさと見せろ。それともここで全部

潰されたいか?」

Re: FAIRYTAIL*CrystalHeart* ( No.19 )
日時: 2020/03/19 19:17
名前: 日の入り時子 (ID: xs5T8t9X)

大きな遠吠えが聞こえた。完全に理性を失ったベルベットは捨て身タックルしてくる。

「そんなんじゃ狙ってくれって言ってるようなもんだぜ!白竜の咆哮ォォ!!」

白いレーザーはベルベットを貫くも彼はまだ動きを止めない。

「その程度じゃ止められねえよ。嫉妬心に比例して強さが増す。同時に理性も失う」

アズールがそう伝える。敵に敵の情報を教えられた。アッシュが両手を使い大きな氷の

ドームを作り上げ閉じ込める。穴をあける。暴れるベルベットに対抗しアッシュも全魔力を

集中させる。

「早くしろ!出し惜しみするな!互いに半分ずつ魔力を合わせ練って質を高めろ!」

アッシュが叫ぶ。それに驚きつつ言われたとおりにする。

「「聖影竜閃牙ァァァァ!!!」」

「アストリア」

アッシュは落ち着いた口調で彼女に声を掛けた。

「魔力を貸すぞ。使え。三人分の魔力を全部注ぎ込むわけだから終わった後は結構辛くなるだろう」

「大丈夫だよ。だって何かあったら面倒見てくれるでしょ?」

アストリアに全員の魔力を流し込む。アッシュ、スティング、ローグだけじゃなくミネルバの

魔力も全てアストリアに注ぎ込む。そしてアストリアは声を出す。月とは暗い夜に人間を照らす

光。その暗闇は影、儚い光、そして夜の寒さは氷。

「星器、月神アルテミス

アストリアの毛先が白くなる。身に纏ったのは黒いドレスに白いケープ、そして手に持つのは

白い弓。

「これが…暴食を抑える月の力だ!!私たち5人の力だ!!」

「それを絆っていうのか?馬鹿馬鹿しいな!!」

白い弓を引き構える。そして矢を放った。黒い矢は白い光と冷気を伴ってベルベットを貫く。

ベルベットの体に亀裂が走る。

「浄化…か。確かに5つの魔力が詰まっている。もう少し楽しみたかったがしょうがないか」

ベルベットもアズールも消滅。