二次創作小説(紙ほか)
- 第40話「胡桃沢仁乃」 ( No.194 )
- 日時: 2020/05/31 10:06
- 名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)
私の名前は胡桃沢仁乃。
11歳で鬼殺隊に入隊し、現在上から三番目の位〈乙〉の称号を得ている。
ただ一つ、皆と違うのは、
鬼の血が入っても鬼化しない特殊体質、ということ。
あれは今から四年前、まだ私が9つのとき。
もう少しで10歳の誕生日という、寒い冬の日のことだった。
—四年前 仁乃9歳—
うちの家は布屋を営んでいた。
布を染めたり織ったりしたものを町に売りに行く。そういう仕事をしていた。
私は五人姉妹の二番目に生まれた。
麗乃(長女)「仁乃ー。買い出しに行くわよー」
奈乃(三女)「お姉ちゃんいこー」
仁乃「待って。今桜子と美子の着付けしてるから」
美子(末っ子)「お姉ちゃん、ちょっとこの帯きつい」
仁乃「緩いとほどけちゃうよ。これくらい我慢して」
美子「えぇー」
桜子(四女)「コラ! わがまま言わないの!」
仁乃「よし、終わった。おまたせー」
母「ごめん、ついでに町で醤油買ってきて」
麗乃「了解ー」
そう、あの日はお姉ちゃんと奈乃と三人で買い物に行って。
いつもより沢山布が売れたので、金平糖を買って帰ったっけ。
奈乃「(飴を食べながら)これおいしっ」
仁乃「あんまり食べちゃダメだよ、みんなの分もあるんだからね」
奈乃「はーい」
三人「ただいまぁ」
仁乃「今日はたくさん売れたよ。特に私が染めた布が評判良くて」
母「さすが仁乃ね。あなた器用だもの」
仁乃「えへへ」
奈乃「奈乃のも売れたの! ねえねえ凄い?」
母「凄いわね。夜ごはん豪華にしちゃおうか」
三人「やったぁ!」
父「お帰り。寒いから先に風呂入っておいで」
奈乃「仁乃お姉ちゃん、いっしょに入ろ」
仁乃「分かった。ごめんお姉ちゃん、まだ染めてない布の処理お願いっ」
麗乃「はいはい。やっとくから入ってきなさい」
【お風呂】
奈乃「お姉ちゃん、今日ごきげんだね」
仁乃「そうかなー。なんか今日は調子よくてさー」
奈乃「わたしも嬉しいな」
思えば、特別楽しかったことがあった次の日は、何か良くないことが起こった気がする。
【夜】
それは夕ご飯の時間に起こった。
まさに丁度、いただきますの合唱をしようと手を合わせた時、不意に窓が揺れたのだ。
ミシッ ガタガタガタガタッ
桜子「風強いのかな。鍵、ちゃんとしまってるかな」
仁乃「待って桜子、窓の側に行っちゃダメ!」
ガラッッ
桜子「あれ、風ふいてないみたー」
鬼「………自分から姿を現すとは愚かなり」
……鬼が居た。
鬼は、他にも獲物がいっぱいいるのに、よりによって一番近くにいた桜子に向かって。
爪を振りかざした。
グチャッッ グチャグチャッッ
最愛の妹の体が、不意に軽くなって床にドサッと倒れた。
目の前が真っ黒になって、私は一歩も動けなかった。
その間に、父親と母親が倒れた。
美子も気づけば、氷のように冷たくなっていた。
麗乃「なにしてるの仁乃! 奈乃を連れて逃げなさい!」
仁乃「………うんっ」
我に返って、同じようにずっと立ち尽くしていた奈乃の腕を捕まえて家を出た。
絶対に手を離さないでと何度も念を押して。
仁乃「ハァ…ハァ…。大丈夫? 休憩、しようか」
家の前の道の中腹まで逃げて、私は振り返った。
後ろに、妹の姿はなかった。
ただ赤い、真っ赤な血が、奥までずっと続いていた。
仁乃「…………え」
泣く暇もなかった。絶望する暇もなかった。
この後に、もっと大きい悲しみが待っていた。
鬼「ウがぁぁぁぁぁ」
仁乃「………!」
鬼が追ってくる。回れ右をして必死で逃げた。
家にはまだ鬼が居るのに、その時は感情でしか動けなくてひたすら逃げ続けた。
ガラッ
仁乃「………お姉ちゃんっ」
家の扉を乱暴に開け、中にいるであろう姉に向かって助けを求めた。
……家の中にお姉ちゃんはいなかった。
鬼「往生しろおお!」
仁乃「………いやぁぁぁぁっ」
グシャッッ
………体が熱い。
これは自分の血だろうか。腕から血がどんどん溢れ出して止まらない。
羽織を脱いで、それで腕を縛った。
痛い。痛い痛い痛い痛い。
めまいがする。こらえがたい嫌悪感が背中を伝って…
頭が割れそうなほど強烈な頭痛が襲ってきて。
あ、これから死ぬのか。という諦めが脳裏を支配して。
そして。
ボウッッ
何かが燃える音がした。
これは炎の匂いだろうか。すぐ近くで何かが燃えている。
なんだか、凄く呼吸が楽だ。
このまま起き上がれそう。
仁乃「………血鬼術……爆黒炎」
鬼「ギャァァァァァッッ」
鬼の悲鳴を聞いた。心底どうでもよかった。
姉を探そうと家の外に出た。
でも、どこを探しても見つからなかった。
そのうち疲れて、家に戻った後、家族の亡骸と一緒に私は、
仁乃「………つか、れた……」
そう言って、寝てしまった。
自分がどうなったかとか、家族が死んでしまったとか、そういう感情はなく。
いや、あったけれどその時は疲れすぎていて、何も考えられなくて。
泥のように私は眠りに落ちた。
ネクスト→そのあと仁乃はどうなったのか。
次回もお楽しみに。
【出張編:大正コソコソ噂話】
今日の大正コソコソ噂話:夢の話
むう「凄い夢を見たの!」
伊之助「そうか」
善逸「そうなんだ」
有為「へー」
むう「もうちょっと興味もとう?」
睦彦「それで、どんなんだった」
むう「この六人の軌跡のメンバーでショッピングに行く夢」
禰豆子「ムームー」
むう「睦彦は仁乃と回るっていって、善逸は禰豆子と一緒にどっか行った」
炭治郎「めちゃくちゃリアルな夢ですね」
むう「花子くんは寧々ちゃんと回るし、桜ちゃんは夏彦連れてどっか行くし」
むう「私は結局一人にされてしまったのだ、(T_T)」
有為「……へえ」
むう「有為ちゃんは冷たいし…」
有為「心はあったかいので(しれっ)」
全員「今回はここまで。次回もこのコーナーをお楽しみに!」
−−−−−−−−−−
シリアスな展開が続きますが、大正コソコソ噂話は楽しくやろうと思っています。
次回は、コンビしてくれた花子くんキャラから一人ずつゲストに呼んでじっくり話してこうと思い
ます!
次回のゲストは【花子くん】です。お楽しみに!