二次創作小説(紙ほか)
- 最終話「キセキ」 ( No.221 )
- 日時: 2020/06/11 18:47
- 名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)
さい…さいじゅうわ゛…さいじゅう…っ(リアルで泣きそう)
皆さん、ありがとうございました。
−−−−−−−−−−
【それから】
鳥が窓の外でチュンチュン チュンチュンとうるさい。
俺こと竈門炭治郎は、ゆっくりと目を開けた。
炭治郎「……ここは、蝶屋敷?」
アオイ「起きたぁぁっ。良かったですぅぅぅ!」
廊下をぞうきんで拭いていたアオイさんが、俺の声を聞きつけて駆けてくる。
その目には涙が溜まっている。
アオイ「あの後、みんなが気絶しちゃって、大変だったんですよ…っ」
炭治郎「そうなんですか?」
アオイ「みんな、長時間の戦闘で体中の骨が折れてるの」
ベッドの数が足りないので、柱の9人は珠世さんの診療所で治療を受けているらしい。
蝶屋敷に運び込まれたのは、かまぼこ花子隊だそうだ。
横を見ると、善逸がいびきをかきながらすやすやと眠っていた。
他のみんなも、お疲れのようだ。
善逸「ね、ねずこちゃん……カワイイ、好き…」
伊之助「フガ、フガ」
仁乃「……ん。う…すやぁ〜」
戦闘はしんどかったし、疲れたし、怪我した人もいたけれど、
誰も死ななかった。
本当に、良かったと思う。
あのあとすぐ、俺たちは全員で抱き合って、「生きてる! 生きてるよぉ!」と勝利を喜んだ。
彼岸の体は無事、塵になって消えて行った。
他の六新鬼月の姿も、気が付けば見えなかった。
??「いだあああああ!」
??「もうちょっと辛抱してください〜」
この声は、睦彦くんと、きよちゃん?
身体を少し浮かせて部屋の外を見ると、きよちゃんが睦彦くんの足に義足をつけていた。
戦闘の時に珠世さんがつけた義足は、応急処置用の簡単なものだったが、
新しくつけるのは性能のいい、木製のものらしい。
神経と神経を繋ぐ過程で、睦彦くんの悲鳴が聞こえてくる。
炭治郎「頑張れ睦彦くんっ」
睦彦「OKー。いだあああああ!!」
すみ「(カチャリ)はい、終了です。立ってみてください。歩けますか?」
睦彦くんは、よろよろと歩きだした。
ズルッと音を立てて、彼の体が後ろに倒れる。
アオイ「危ないっ」
睦彦「よっと」
転びかけたその時、彼は持ち前のバランス神経でバク転をし、華麗に着地。
……すごい。
桜「八尋さん、あっちの洗濯物お願いね」
寧々「はいッ。夏彦先輩早く早くっ」
夏彦「はいはい。あ、そうそう、お昼は光くんの手作りだって」
ケガが全くなかった花子隊の桜さん、寧々ちゃん、夏彦くんは家事を手伝っている。
花子くんとつかさくんは、まだ怪我が治ってないらしい。
善逸「ん? いい匂いがする!」
伊之助「飯! 喰うぜ!」
仁乃「……ふわぁぁ、良く、寝たぁ」
睦彦「お、皆起きたか」
花子「いててててて。筋肉痛が痛い。白状代投げまくったからかな」
つかさ「お腹の傷が痛いよ〜助けて普ー」
光「ご飯できたっすよー! 運んでくださいっす」
しのぶ「お手伝いお願いします」
一同「はーい」
*************************
累は、あのあと天国に旅立った。
机の上に書置きがおかれてあり、『じゃあね』とだけ書かれていた。
俺たちがこれまで辿ってきた軌跡。
俺たちがこれまで起こしてきた奇跡。
俺たちの旅の中で出会った人。新しい仲間たち。戦った敵。
みんな、それぞれ色んなことを抱えているけど、
きっと大丈夫。
皆でまた一緒に旅をしよう。
また一緒に奇跡を起こそう。
かまぼこ隊のみんなで。
*************************
【一か月後】
花子「んじゃ、俺たちはそろそろ帰るよ」
かまぼこ隊一同「えっ」
花子「リーダーがいなくなって、七不思議が困惑してると思うし」
寧々「私も、親友の葵に会いたいな〜」
光「だからまた呼んでくださいっす。確かあと二週間くらいで夏休みなので」
炭治郎「うん、また一緒に美味しいものでも食べに行こう」
善逸「寧々ちゃん、俺の事忘れないでね!? お願いだよ!」
睦彦「色々、ありがとな。また会おうぜ」
寧々「うん。だから有為ちゃん、今度は自分の意志で召喚してね」
有為「………考えときます」
桜「あっちに帰ったらまた七番様たちとは敵対するわね」
夏彦「そうだねー☆ 寧々ちゃん、俺に負けないようにね!」
つかさ「普ー。向こうでもよろしくねー」
花子「じゃ、宵宮。かもめ学園までワープさせて」
有為「………」
桜「どうしたの?」
有為「……絶対、来てくださいね」
花子「うん、了解」
寧々「みんな、ありがとう! またいつか!」
光「ありがとうございましたっす。じゃ!」
桜「それじゃぁ私たちは退場するわね。また会いましょう」
夏彦「寂しいからやっぱ連絡先交換しとく?」
桜「ケータイもないこの時代に何言ってるのかしら」
つかさ「じゃ、またねーっ」
ひゅんひゅんひゅんひゅん
大きな音に思わず目を閉じ、そしてゆっくり開ける。
花子くんたちの姿は、もうなかった。
でも俺たちはまた、彼らと会うことになるだろう。
そしてその時にはまた、みんなで鬼を倒したり、みんなで楽しいことを共有したりするだろう。
みんなで、一緒に軌跡をたどろう。
また、いつかきっと。
俺は、ずっとそう願っているから。
END