二次創作小説(紙ほか)
- 「恋ゴコロ」 ( No.254 )
- 日時: 2020/06/23 17:19
- 名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)
俺—刻羽睦彦は今、かまぼこ花子隊で町へ買い物に来ている。
様々なものが市場に並び、人々の楽しい声が聞こえるなか、俺は…。
目の前に居る胡桃沢が、暗い表情で立ち尽くしている。
側にいる仲間の面々は何も言わず、じっと様子を伺うのみだ。
なぜ、こんなことになってしまったのだろうか。
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1時間ほど前
〈宵宮家〉
有為「では、ボクは市場へ食料を買ってきますので皆さんも一緒に—」
炭治郎「やった、みんな、支度しよう」
善逸「俺、まんじゅう食べたい! 伊之助たちに伝えてくる」
そう、今日は宵宮の買い物に付き合って、皆で市場に行くことになった。
別室で刀をふいていた俺の元に、慌てて善逸が駆けて来たので驚いたっけ。
善逸「(バタン)睦彦、有為ちゃんが市場に行くから皆さんもどうですかってさ」
睦彦「マジで? ちょっと待って、準備するから」
花子「準備できたよー行こう!」
一同「いえーーーい」
出だしは快調だった。市場へ着いた俺たちは、めいめいに好きな物を買って食べた。
日当たりのいい野原で皆と食べたまんじゅうは美味しかった。
そのあと、胡桃沢が新しい筆が欲しいとか行って、一旦別行動になったんだっけ。
〈市場 売り場〉
店長「いらっしゃいいらっしゃい。今日は極安だよ」
睦彦「やっす! おいおじさん、こんなに安くて大丈夫かよ」
店長「心配性な坊主だな。平気だよ。ちょっとこれ味見するか?」
睦彦「? 野菜の酢漬け?(パクッ)」
睦彦「(もぐもぐもぐもぐ)すっぱ! でもうまいな。買っていい?」
店長「おう。そこの詰め合わせがお買い得だぞ。三十銭な」
睦彦「(お金を渡して)ありがとうおじさん!」
店長「はーいまいどありィ」
俺は買った酢漬けを食べながら、途中で炭治郎たちと合流した。
胡桃沢を除く皆で酢漬けをポリポリいわせながら道を歩き、胡桃沢が待っている文具屋へ急ぐ。
炭治郎「これ美味しいな。ありがとう買ってくれて」
睦彦「どういひゃしまひて(もぐもぐもぐもぐ)」
禰豆子「ムームー!」
有為「……こんなもの、ボクは食べないですよ」
善逸「まあまあそう言わずに。はいあーん」
有為「自分で食べれますから!(パクッ)」
一同「どう?」
有為「(もぐもぐもぐもぐ)おいしいですね」
伊之助「だろ! うめえもんはうめえんだからよォ!」
桜「そりぇで、にろしゃんはどちゅらかちら(もぐもぐもぐもぐ)」
夏彦「あ、むひょうにいるお(もぐもぐもぐもぐ)」
〈文具屋前〉
つかさ「おーい!」
仁乃「あ、みんなー。…そろって何食べてるの?」
睦彦「野菜の酢漬け詰め合わせ」
仁乃「また渋いものを」
桜「筆はちゃんと買えたの?」
仁乃「はい、バッチリ(袋を掲げて)」
炭治郎「じゃあ、そろそろ帰ろうか。大分遅くなったし」
有為「そうですね」
俺は頷いて、来た方向とは逆の方向へ、義足をつけた右足を一歩進めた。
そのとき。
グシャリ
………変な音がした。
サッと血の気が引くのが自分でもわかった。
慌てて足をどける。どうやら、道に落ちていた金属製の髪留めを踏んでしまったようだ。
紫色の桜型の髪留めが、真っ二つに折れている。
?でも、これ、どっかで見たような…。
仁乃「……………これ、私のだ」
かまぼこ花子隊一同「………」
瞬間、空気が凍った。
そうだ、これは、胡桃沢がつけていた髪留めだ。
何かの拍子に地面に落ち、それを俺が踏んでしまったんだ。
夏彦「仁乃ちゃんの大事な髪飾りが、割れちゃったね…」
善逸「確かそれ、大事にしてるって前言ってたよね」
睦彦「ご、ごめん胡桃沢…」
胡桃沢は何も言わなかった。泣きもしなかった。
ただ俯いて、じっと、俺の前に立っているだけだった。
仁乃「…………」
睦彦「ホント、悪かった。また今度新しいのを買ってくるから…」
仁乃「馬鹿みたい」
睦彦「………え」
仁乃「……むっくんの、むっくんのアホ…っ!(ダッと駆け出して)」
睦彦「…………」
善逸「バカ! 追いかけろよ!」
光「急げば間に合うって!」
睦彦「! 待てよ胡桃沢!」
手足を振り、必死で追いかけたものの、道の角を曲がると彼女の姿はなかった。
鬼の血が入っているので、まず走る速度が段違いなのだ。
睦彦「ハァー、ハァー。ふう…」
桜「大丈夫? はい、これタオルよ」
睦彦「あ、ありがと(タオルで顔をふく)」
炭治郎「…仁乃ちゃん、今まで俺らに見せたどの顔でもない表情だったな」
善逸「いっつもニコニコしてるから、あまり怒らないんだって思ってたけど」
伊之助「やっぱり、あんな奴でも怒るときは怒んだな」
睦彦「………っ」
花子「大丈夫。胡桃沢もきっと、本心であんなこと言ったんじゃないよ」
寧々「そうよ。誰にだってそういうときはある。元気出して」
睦彦「……胡桃沢は、俺を許してくれるかな…」
有為「それは分かりませんが、これだけは言えます。貴方たち、相思相愛でしょ」
夏彦「仲直りの秘訣、教えてあげようか?」
睦彦「……教えて下さい」
夏彦「相手の気持ちを考えて、どうしたら喜んでもらえるか考えることかな」
つかさ「夏彦、たまには言うこと言うねー」
夏彦「いつも言ってるよ?」
睦彦「……八尋、アクセサリーって自分で作ったりする?」
寧々「もちろん! 教えてあげる!」
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・・・・・・・・・
仁乃「…………私の馬鹿……」
ネクスト→初めてのスレ違い。二人は無事仲直りできるのか?次回もお楽しみに!