二次創作小説(紙ほか)

Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.317 )
日時: 2020/07/13 15:37
名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)

〈伊之助side〉


 伊之助「どこだここはァ! って言うかアイツらどこ行ったんだ!?」



 〜伊之助絶賛迷子中〜


 伊之助「ど、ど、どうすりゃいいんだよっ。取りあえず歩き回ってみっか」


 〜テクテク〜


 女性「何あれ、ケンカかしら。怖いわねえ」
 男性「? あれちょっとまずいんじゃね?」

 伊之助「? 何か妙な感じだな。なんかマズい事でもあるのか?」


 
 
 『——ねえ、——ない?』
 『———いやあああっ!』


  ガシャッ


 伊之助「!? (人込みをかき分けて)お、おい何が起こってんだ?」
 男性「あ、あれ。数分ほど前から、あそこで男が女の子にナンパしてて…」
 女性「なんかだんだんヒートアップしてるみたいで、警察呼ぼうか迷ってるんだけど…」
 伊之助「?」



 ヤンキーA「お嬢さん、可愛いね。俺らとどっか行かね?」
 仁乃「…………」
 ヤンキーB「暇みたいだし俺のバイクて送ってくよ?」
 仁乃「………な、何なんですか貴方たち。やめてくださいっ」
 ヤンキーA「ハァ? キミ、立場分かってる?」


  ドンッッ

 仁乃「きゃっ」



 伊之助「……やべぇぞこれは…。っていうか陸太郎の奴はどこにいんだよ」
 


 ヤンキーA「へぇ何? 連れもいないなら一緒にどうですかってただそれだけなんだけど」
 ヤンキーB「って言うかさぁ、人の親切を踏みにじってるよねぇ?」
 仁乃「…………っ」



 伊之助「と、取りあえずむうに電話っ。番号は13、…」
 むう{はいもしもし。伊之助? どうしたの?}
 伊之助{や、やべえんだよ、広場で花乃の奴が絡まれてて」
 むう{マジで? 睦彦は側にいないの?}
 伊之助「それが間が悪いことにいねえんだよっ」


 むう{分かった、私は各チームに連絡しとくから。大丈夫だから」
 伊之助「お、おう…」



 ・・・・・・・


 〈寧々チーム〉


 寧々「はいもしもし。え、ほんま? 分かった、すぐ行くっ」
 花子「どうした八尋」
 寧々「に、仁乃ちゃんが!」


 ・・・・・・


 〈柱チーム〉


 義勇「!? それは本当か」
 伊黒「俺が睦彦を探しに行く。あとは頼んだっ」
 柱一同「了解」


 ・・・・・・


 〈炭治郎&つかさチーム〉


 炭治郎「仁乃ちゃんが!? よし、行こう」
 有為「転移術を起動させますので少々お待ちください」
 ミツバ「ぼ、僕先に行っとくから! あとで来てよねっ」
 輝「ありがとうミツバくん。善逸くんたちともし会ったら伝えといて」
 ミツバ「分かったっ!」



 ・・・・・・


 〈睦彦side〉


 睦彦「よし、ジュースも買えたし胡桃沢の元へ…」
 伊黒「睦彦、お前こんな時に何やってるんだ」
 睦彦「伊黒さん? どうしたんですか、そんなに慌てて」
 伊黒「広場で胡桃沢仁乃が絡まれているのに、お前は余裕だな」
 睦彦「!? (ダッと駆け出して)」



 ・・・・・・

 〈仁乃side〉


 ヤンキーA「だからさぁ。素直にはいって言えばいいだけのことなんだけど」
 仁乃「………ひっ」
 ヤンキーB「さあ大人しく、こっちにおいで」


 〜ヤンキーの一人が仁乃の腕を掴んで〜


 仁乃「助けて、むっくん!!」


 〜タタタタ〜


 睦彦「やめろ———!(仁乃をかばうように立つ)」
 ヤンキーB「は? 何お前。どいてくれる?」
 仁乃「むっくん…っ」
 睦彦「ごめん胡桃沢。大丈夫だ、俺が何とかする」


 ヤンキーA「ひょっとして君、この子の彼氏?」
 睦彦「そうだが何か?」
 

 ヤンキーA「………だっさ」
 睦彦「……………は」
 ヤンキーB「どけよチビ! 俺はお前に用なんかねえからよぉ」


   ガツッッ


 睦彦「(ドサッッと倒れこんで)」
 伊之助「!!」
 仁乃「むっくん!」


 ヤンキーA「ハッハ、だっさ! キミこんな彼氏つれててよく恥ずかしくないね!」
 仁乃「………………黙れ」
 ヤンキーB「ほら!(ガツッッ)弱っ!!w」
 仁乃「…………やめて!!」
 ヤンキーA「彼女の一人も守れないような男と交際しない方がいいよ?」


 無一郎「そろそろ出た方がいいですか」
 しのぶ「そうですね。大人が出て仲裁に入ったほうが…」
 ??「…ボクに任せて。君らは引っ込んでていい」
 霊夢「あんたは…」



 仁乃「…………やめて…」
 ヤンキーA「さ、行こうか。お嬢さん?」





 新羅「へーぇ。君ら何? よくもやってくれたじゃん」
 ヤンキーA「誰だお前」
 新羅「バカに名乗る名前は生憎持ってないんだ」
 ヤンキーB「ああ?」
 新羅「あれ、ボク今誰がバカか言った? 自分で分かったんだね」


 ヤンキーA「このガキ!」
  新羅「ボクはべつに挑発する気は無い。個人的な理由でキミらにムカついただけだから」


  睦彦「お前……」


 新羅「……今すぐここから出てってくれると嬉しいんだけど」
 ヤンキーB「は、お前ならヨユーで倒せるぜ!」

 
 新羅「血鬼術……眼導主従」

〜ヤンキーたちがドサっと地面に倒れ〜



 新羅「許して欲しいなんて言えない…」
 睦彦「……」
 新羅「あのこと、ごめんで済むはずないけど、キミには」


 新羅「キミには笑って欲しかったんだ」









 

Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.318 )
日時: 2020/07/13 16:04
名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)


 ずっとやりたかった因縁の関係、睦彦×新羅の掛け合い。
 現代パロにしたおかげで色んなシチュエーションが出来ました!
 パロディってすごい。


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 〈炭治郎side〉


 人込みをかき分けて、睦彦くんの前に立ったのは他でもない新羅だった。
 俺は一瞬、彼が口に出した言葉が真実なのか疑ってしまう。
 だって彼は、上弦の零の集団、六新鬼月の中で弐番目に強く、
 また求手名を我が身に取り込み、睦彦くんの片足を失わせた人物なのだから。

 六新鬼月との戦いの決着はついたが、今でも睦彦くんの足は金属の義足のままだし、
 きっと今も睦彦くんは…。


 睦彦「なんで…なんだ? 何で、お前が、そんなに…」
 新羅「(睦彦を立ち上がらせて)…許してくださいだなんて分かったようなことは言えない」
 睦彦「お前は、俺に許してほしいのか?」
 新羅「…ううん、何ていえばいいか分かんないんだけどさ」


 新羅「キミの笑顔が見たいのは本当。あの時ボクと対等に戦った相手が傷つくのは嫌だ」
 睦彦「う、うん」
 新羅「キミ、さては『コイツ何言ってんだ』って思ってる?」
 睦彦「だ、だって、お前だぞ。『鬼は弱肉強食なのさ』とか言ってたお前だぞ!?」

 仁乃「……………どういうつもりなの。貴方のせいでむっくんは」
 睦彦「胡桃沢、ごめん。俺はコイツと話したいんだ」
 仁乃「でも、また、むっくんが傷つくだけっ」

 睦彦「伊之助、ありがとう。お前がむうに知らせてくれたんだろ。感謝してる」
 伊之助「お、おう」
 睦彦「柱のみんなも、花子隊のみんなも、かまぼこ隊のみんなにも感謝だらけだ」

 しのぶ「こちらこそ、睦彦くんにはいつも助けてもらってますよ」
 花子「まぁ俺は刻羽の相談相手だし? 何かあったら力になるからサ」

 睦彦「そして、めっちゃ皮肉だがお前もありがと、新羅」
 新羅「無理して言わなくてもいいんだよ。その常識くらい、ボクも分かってるから」
 睦彦「…いや、嘘でもなんでもなく、普通に嬉しかったから」
 新羅「…そう、か」


 新羅「…ボクは元々、愛とか友情とか絆とか、そういうものにはまるっきり興味がなかったんだ」
 睦彦「……」
 新羅「まだ人間だった時、仲いい奴がいたんだ。でも、そいつがボクのこと虐め出してさ。
    それで、思ったんだよね。あ、こんなもんかって」


 燐月「新羅…」
 銘祈「………」


 新羅「ずっとそう思ってたんだ。でもあの時求手名が、『一緒に地獄へ行こう』って」
 求手名「やめろよ、ここでそんな恥ずかしいこと言うのは」

 新羅「ボクがあんなにひどいことしたのに、許してくれたんだよ。
    自分が数千年間考えてた『友情』っていう定義が壊れた感じがしたんだ」


 仁乃「………」
 睦彦「それで、お前は『友情万歳』で俺を助けたつもりか? 俺はお前のこと、まだ…」
 新羅「それでいいよ。キミにとってボクは許してはいけない人物だ。でも」
 睦彦「でも?」


 新羅「——ボクはずっと、人間に戻りたかった」



 骸「新羅…」
 彼岸「……」


 新羅「人間に戻って、またやり直したかった。君らが、凄く楽しそうだったから」
 炭治郎「………っ」
 新羅「素直に、いいなって思ったんだ。楽しそうな君が泣いているのが想像できなかったんだ」
 善逸「新羅…」


 新羅「何回も言うけど、許さないでほしい。許してなんて言わない。でも、一緒にいてほしい」
 睦彦「…………うぅ…っ」
 新羅「強がって思ってもないこと言ったりしてごめん。でも、君がもしよければ」




 新羅「今日の肝試し、首を洗ってちゃんと待っててくれる?」






 睦彦「…………べ、別に、待たないとは、い、言って、ないだろ……っ」
 仁乃「………むっくん」
 睦彦「…………うあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあっ!」


 俺は初めて、睦彦くんが声を上げて泣くのを見た。
 初めて彼が、顔をくしゃくしゃにして、手の甲で顔をふくのを見た。
 
 かまぼこ隊のみんなは、やっぱり優しいな。
 俺だったら、あんなことされても睦彦くんみたいに平常心を装ったりは出来ないだろう。

 そして、忘れてはいけない事がある。
 鬼は、俺と同じ人間だったんだ。
 鬼となってしまった者も、前はちゃんと、俺と同じ種族だったんだ。

 
 そうだ、俺たちは、鬼と人間の関係を正しく保たなくてはならない。
 花子くんも言ってた。『人と怪異の関係を正しく保つのが俺の役目』だと。
 彼にできて、俺にできないなんてことはないはずだ。

 もっともっと、頑張らなくちゃ。
 仲間のすすり泣く声を聞きながら、かつての敵の優しい視線を感じながら、
 俺は改めて決意を新たにしたのでした。



 ネクスト→夜の部スタート! 肝試しをぜひお楽しみに!