二次創作小説(紙ほか)

第11話「本当なら」 ( No.33 )
日時: 2020/03/23 16:12
名前: むう (ID: Dd/6LLrW)

 続きでーす。

〈無事に鬼を討伐したかまぼこ隊一同&累〉

 炭治郎「ありがとう累。君が居なかったら、俺たちはやられていたかもしれない」
 禰豆子「ムームー!」
 伊之助「そうだな。あのまま身体が戻らなかったと思うと、ヒヤッとするぜ」
 仁乃「善逸さんとむっくんの連撃、すっごくカッコ良かったよ!」
 善逸「いや俺は……そんなこと……なくもないな! うふふっ」
 睦彦「久しぶりに雷の方使ったから、やっぱ威力が少し落ちたな。
    まぁでも、使えないよりましか」

 累「……お礼を言われるようなことはしてないよ。
   それより君たちが僕を信じてくれたのが意外だった」

 善逸「いや、まだ俺は信じてないからね!」
 炭治郎「またそんなこと言って。善逸は耳がいいんだから、嘘ついてるか分かるだろ?」
 伊之助「そもそも、どうなってんだお前。何でまだ生きてんだ」
 禰豆子「ムー?」
 仁乃「義勇さんが倒したって聞いたけど…」
 睦彦「頸は、崩れたんだよな? ちゃんと」

 累「君たちの言う通り、僕は頸を斬られて地獄に行った。
   自分も、何で今ここにいるのか、はっきりした理由は分からない。
   でも、一つだけ思い当たることがあるとするなら……」


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 【累の話】

 〈地獄〉

 母「累ー! 水を汲んできてくれる?」
 累「うん分かった。行ってくる」
 父「じゃあ俺は、風呂の火をおこしてくるよ」

 地獄って言うと不吉な感じがするけれど、そんなことはなかった。
 ただ、一日中そらが闇に包まれていた。
 僕は父と母と三人で、人間だった時に住んでいた家とそっくりな建物で暮らしていた。


 累「水、汲んできたよ母さん」
 母「ありがとう。水は、そこのタライに入れておいてくれる?」
 累「うん(ジャーッ)」
 母「体が丈夫になって良かったわねえ。前より笑顔も増えたし。嬉しいわ」
 父「風呂、わいたぞ。累、先に入ってきなさい」


 父と母の記憶の中には、鬼になった僕の記憶は入っておらず、
 代わりに『体が丈夫になった』という設定が埋め込まれていた。

 累「(風呂の中)二人とも、本当に覚えてないんだろうか……。
   それとも、わざと言わないようにしてるのだろうか……」

 そう考えていた時だった。
 突然、自分の手が何者かに強く引っ張られた。


 累「うわっ」
 ???「お久しぶり。その後変わりはないか? 急だがお前が必要になった」
 累「(脳に直接響く声に戸惑う)だ、誰だ! やめろ! 腕を離せ!」
 ???「お前の死後、下弦は解体させた。だが下弦の伍と壱は実力があった。
     地獄に送るのはもったいない」
 累「嫌だ! お前の思い通りになんてなるものか! 僕はもう人を殺したりはしたくない!」
 ???「………お前は私の言うことを否定するのか?」


 その声を機に、自分の体が変化した。鬼の時の姿に変わっていた。

 累「うわああああ!!」
 ???「さあ、来なさい。お前は六〇〇月の資格がある」

 パニックで、そいつが何を言ったのかは聞き取れなかった。
 ずるずると腕を引っ張られた、逃げようと必死にもがいた。
 気づくと自分は、また地上に戻って来ていた。


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 累「………本当なら、僕は戻ることもなかったし君たちを助けることもなかったんだよ」

 かまぼこ隊一同「…………」
 炭治郎「えっと、君は、あくまでも鬼なんだろ? 人を、食ったりとかって…」
 禰豆子「ムームー!」
 善逸「そうだよ!! 俺もそれが気になってた!」
 伊之助「襲わねえのかよォ。目の前に人間がいるんだぜ?」
 仁乃「確か鬼って、長期間人間を食らえないと狂暴化するんだっけ…」
 睦彦「そうだな。お前と禰豆子は例外だけど、累とか言ったか。お前はどうなんだ」

 累「僕が落ちた場所は浅草……炭治郎は知ってるかな? 僕は珠世と会った」
 炭治郎「球世さんと!!??」
 善逸「お前、声でかいよ!」
 累「それで球世に、この薬を作ってもらった(着物の懐から瓶を出して)」

 伊之助「? 何だそれ」
 睦彦「カプセル錠だな」
 累「……この中には人間の血液が少量入っているらしい。
   これを服用することで、人を襲わずに生きていられるって」

 仁乃「な、なるほど。その珠世さん、凄いね。
    確か禰豆子を人間に戻す薬も作ってくれてるんでしょ?」
 善逸「そうなの!?」
 炭治郎「うん。珠世さんに会ったってことは、愈史郎君にも?」
 累「ああ、あの人。僕が珠世に血液を採られてるとき、ずっと歯ぎしりしてたよ。
   うるさいから糸で縛っておいたけどね」

 かまぼこ隊一同「…………愈史郎さん可哀そうに……」
 累「…恐らく、あの方はとてつもない計画を考えているはず。
   僕が運よくあの方の元を逃れられたのは奇跡だったかもしれない。
   今後何がどうなるか分かんないってことだよ」

 炭治郎「………鬼舞辻無惨。一体何を企んで……」


 〜朝日が差し始める〜


 炭治郎「やばい! 禰豆子、早く箱に入れ!!」
 禰豆子「(慌てて木箱の中へ)」
 仁乃「(羽織を脱いで、累に被せる)」
 伊之助「おいおいどうすんだよ。この鬼は」
 炭治郎「鱗滝さんに手紙を出して、預かってもらおう。善逸、伊之助!」
 善逸「な、何だよ」
 炭治郎「向こうの家に、確か籠があった! 持って来てくれ。善逸、籠を編め! すぐに」
 伊之助「うおおおお! 任せろォ!」
 善逸「すぐに!? ハイハイハイハイやればいいんでしょやれば!」


 〜10分後〜

〈かまぼこ隊一同・下山〉

 伊之助「重い……(編んだ籠の中に累を入れ、善逸の羽織をかぶせて蓋をしている)」
 炭治郎「ごめんな伊之助。俺と代わるか?」
 伊之助「大丈夫だ! 俺がやる!」
 善逸「痛っっ!んも〜めっちゃ急いで編んだから手に刺さったぁ!」
 仁乃「何はともあれ、無事に済んでよかったね」
 睦彦「……そうだな。この後凄い展開が待ち受けてそうだが……俺に任せておけ!」


 第2章終わり!
 →第3章へ続く!


 ネクスト→第3章ではかまぼこ隊は一旦おやすみ=登場なし。
      柱たちがメインになります。時間軸で言うと、伽札戦と同時期。
      かまぼこ隊が戦っているとき、柱はどんなことをしてたのかな?
      次回もお楽しみに!