二次創作小説(紙ほか)

Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.379 )
日時: 2020/08/11 15:58
名前: むう (ID: 9Yth0wr6)

 はいッ。むう先生だよ!
 さて。エソラゴト編、今回から開幕です。
 頑張れ紅羽ちゃん! 頑張れメイちゃん! 
 あと、鏡の外で必死に戦っている六新鬼月、なんかゴメン。

 *******************


 〈六新鬼月side〉


 燐月「陰陽師の力を使って、向こうの学園とこっちの世界をつなげる、か。別にいいけどさぁ」
 骸「無惨様が鏡の中に入らないよう頼んだよ、と言われても…」

 霊夢「これは、あれね」
 魔理沙「ああ」

 一同「(俺たちの扱いが……………雑!!!!!)」


 無惨「チッ。卑怯な手を使うとは……。まあいい。いずれ私もその鏡の世界とやらに入る」
 茜「そ、そそそ、それだけは、絶対にさせないぞ!」
 求手名「お前、いたんだ」

 茜「ヒドッ! いつだっているよ!! 僕そんなに空気薄い?」
 一同「うん」
 茜「うッ。そこまで否定されると、何かあれだな。燃えるね」

 ミライ「おにーさんおにーさん、影薄ーい! ばーか!」
 茜「あはははは、…………ってミライ? 何でいるのっ?」

 ミライ「おんみょーじのおねーさんが、学園とこっちを繋いだから来ちゃったー」
 茜「さすが有為ちゃん!! ミライ、お願いがあるんだけど」

 ミライ「何ー?」
 茜「あの、無惨って言う男にタッチ出来たら、アメあげるよ」
 ミライ「やったーーーー! よーし頑張るぞー!」


 レミリア「向こうではミツバが、無惨が来ないように見張ってるのよね」
 妖夢「じゃあ、こっちは全力で時間を稼ぐんだみょん!」
 一同「おうっ!」



 *******************


 〈紅羽side〉


 世界が、変化する。
 壁の質感は、鉛筆で繊細に書かれたタッチへと変わる。
 青空は水彩絵の具をいっぱいに流したような、透明な色彩へ変化する。
 ただ永遠と鏡と通路が繰り返されるだけだった風景は、突如知らない世界へと変わっていく。


 仁乃「………お前、何を、何をしたそすっ」
 メイ「七不思議が四番目、『美術室のシジマさん』。私は人の希望の世界を反映します」
 仁乃「………希望の、世界」
 メイ「はい。人が願った希望を描いた絵の世界に、人を閉じ込めます」


 仁乃「じゃあここは、紅羽の希望の世界だって言うそすか? そ、そんなの嘘そす」
 メイ「なぜ、そう思いますか?」
 仁乃「見覚えがないからそす。見覚えがないなら、希望じゃないってことそす」


 メイ「果たして、本当にそうですか?」
 仁乃「………何を根拠に」
 メイ「本当に、この風景を観たことがありませんか? この世界の住人を、ホントに知らない?」
 

 メイ「本当に見たことがない? 記憶にない? 思い出せない?」
 仁乃「……………そ、それは……」



 言われて、我は周囲を見回す。
 ここはシジマメイが描いた絵の世界。
 まあ実に綺麗で、そういう陳腐な言葉でしか表せないのが癪だ。

 でも、我には本当に覚えがないのだ。
 例えば、診療所か何かだろうか。
 ベッドがならぶ部屋で、蝶の耳飾りをつけた二つ結びの少女が寝ている男の子たちに話している。


 『今日から皆さんには、機能回復訓練を受けていただきます』
 『ま、マジか……』


 『要するに、あの二つ結びの女と勝負すんだろ? この俺様が負けるはずがない!』
 『睦彦、お前やったことあんのかよ』
 『ねえよ。だが俺は知っている! 何せ俺は強いからな!』

 『アオイさんを見くびったらためだよ睦彦くん。アオイさんは凄いんだから』
 『あいつマジでやべぇからな!』
 『むっくんのプライドがズタズタになっても知らないぞー』


 …………覚えが、ない。
 こんなの、知らない。知らない知らない知らない知らない。
 誰だアイツらは。誰だ。何の話をしている。ここはどこだ。誰だ。

 なんで我はこんなに、焦っているのだろうか。
 知らないはずなのに、胸がざわめくのはなんでなんだろう。
 なぜ、どうしようもなく寂しい気持ちになるのだろう。


 心が、さっきから何かを訴えかけている。
 


 仁乃「…黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっっ! 我の全ては無惨のため! 他の奴らなんて知らない!」
 メイ「………ここから出る方法はただ一つです。私の、命令に従うこと」


 メイ「従わなければ、この場所はおろか、3番の領域からも出られませんから」
 仁乃「その、命令とは何だそす。何を、この我に求めるそす」


 メイ「1つ、自分自身と向き合え。 2つ、失ったものに気づけ。 3つ」



 


 メイ「皆さんが、仁乃さんが大好きだと言うことを、あらためて感じて下さい」






 仁乃「仁乃? 誰の名前だ? さっきも、他の人間が言っていたが……あっ」



 気づけば、メイの姿はどこにもなく、ただ診療所のリノリウムの廊下が伸びているだけだった。
 腑に落ちないものを考えながら、取りあえず道なりに沿って歩くことにする。


 仁乃。
 誰だそれは。誰の名前だ。何者だ。
 何故こんなにも心がざわつく。何故こんなにも引っかかる。
 ただの他人の名前だ。きっとあの人間たちの仲間か何かだ絶対。


 仲間。そう、自分には関係ない。




 仁乃「取りあえず、部屋に入るとするそす。自分自身と向き合えとか、訳が分からぬそす」
 

 廊下の左右にある無数の扉のうち、一番自分に近い手前のドアノブに手をかける。
 ドアは蝶番の音をきしませて開いた。

 差し込んだ日光の眩しい日差しに、思わず目を細めて。
 

 ——そこは、診療所の病室ではなかった。



 石段の固い感触。
 遠くにそびえているのは、神社の赤い鳥居だ。
 そこは、どこかおこがましい雰囲気の、小さな神社だった。


 仁乃「………なんで、急に、こんなところに……」


 ここは、自分自身の希望を反映させた絵の世界。
 でもこんな場所は知らない。
 なのに、どこかとても懐かしい。

 
 中央の拝殿の前の賽銭入れに向かって足を踏み出す。
 と、その時。




 ??「誰?」




 植え込みの陰に隠れていた一人の少年が、怪訝な目つきでこっちを見ていた。
 白い小袖に青色の袴。少し長い髪の、十、十一歳くらいの少年は。

 


 ——その数年後、鬼殺隊へと入隊する前の刻羽睦彦、それを紅羽はまだ知らない。


 ネクスト→二人の再開はしかし……。次回もお楽しみに!
      六新鬼月sideもやります!



 

 −−−−−−−−−−−−−−


  このあとどんな展開になると思いますか? 感想や気づいたことなど何でもいいので
  教えて下さると嬉しい!
  仁乃睦ばっかりになってしまう悪癖がありますごめんなさい。
  次回はかまぼこ隊や柱の目線でもやりますのでお楽しみに!