二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.387 )
- 日時: 2020/08/18 15:46
- 名前: むう (ID: 9Yth0wr6)
はい。ついに、物語がフィナーレにさしかかっています。
このまま良かったねちゃんちゃん、になるのか。
はたまた作者の天邪鬼気質のせいでまさかの展開につながるのか。
頑張って執筆するのでよろしくお願いしますm(__)m
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〈寧々side〉
【カガミジゴクの部屋】
光「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
寧々「きゃあぁぁぁぁぁ!」
葵「あわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
有為「皆さん無事でしたか」
ミツバ「だ、大根センパイ!」
禰豆子「ムー———!」
〜ドスンッと鏡から三人が部屋に落ちてきて〜
光「いてててて。でも、無事こっちに戻って来れてよかったすね」
寧々「そうね。仁乃ちゃんの記憶も元に戻ったって聞いたし」
メイ「お疲れ様です、皆さん」
葵「シジマさんも、色々と頑張ってくれたんですよね。ありがとうございます〜」
メイ「これっきりですよ。あの大っ嫌いな七番様の言うことを聞くだなんて」
花子「……大っ嫌いな七番様って、4番あのねぇ…」
メイ「でも、上手くやれて良かったですね」
善逸「良かった、みんな無事にカガミジゴクの部屋について。つ、疲れたぁ」
伊之助「ホントに紋逸は弱っちいな。俺様に比べたらこんなもん何ともねえ!」
禰豆子「ムームー!」
しのぶ「あとは、放送室メンバーたちと睦彦くんたちだけですね」
花子「ああうん、つかさたちはさっきすれ違ったから、すぐに来ると思—」
〜ドスンッ〜
つかさ「たっだいまぁぁぁぁぁぁぁ! 普—会いたかったよぉ!(ギュ—ッ)」
花子「ぐぇッ。苦しい……」
悲鳴嶼「皆の声がきけて誠に嬉しく思う……南無阿弥陀仏…」
桜「そうね。睦彦くんも、そろそろこっちに着くと思うわ」
蜜璃「無惨も倒すことが出来たし、これでようやく平和な時が戻ってくるわね」
煉獄「うむ! みんなで力を合わせた成果だ!」
有為「……………そう、ですね」
無一郎「? 宵宮さん、浮かない顔だけどお腹でも痛いの?」
炭治郎「有為ちゃん、元気がないようだけど大丈夫なのか?」
有為「あ、はい。ごめんなさいちょっと考えごとしてて…」
炭治郎「(? なんだろう、このモヤモヤした感じ)」
〜ドスンッ〜
睦彦「お、っとっと。遅くなって悪い!」
仁乃「……………」
宇髄「地味に遅かったがうまくやれたようで嬉しいぜ。なぁ不死川」
実弥「あァん? まあ上々の出来じゃねェか。褒めてやるぜェ」
寧々「仁乃ちゃんっ。良かった……良かった、無事で………っ」
花子「ヤシロったら涙もろいんだから」
寧々「花子くんだって泣いてるじゃないの!」
花子「そ、そそ、そん゛なわけないじゃん゛っ!」
仁乃「……………みんな……ごめん私…心配かけて……っ」
炭治郎「そんなことないよ」
仁乃「……………ごめん。ごぉめんっ。ごめ゛ん゛なざい゛………っ」
一同「……………」
睦彦「ごめんなさい、より、ありがとうの方が嬉しいよ。ごめんは、また後でだ」
仁乃「む、むっぐぅぅんんんんんん——————!! うわ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ」
睦彦「お、ちょ、だから泣くなって……」
善逸「そそそ、そうだよ、まだやること残ってるもん。注射打たなきゃ」
しのぶ「ここでは無理ですから、向こうに戻ってからですね」
有為「では、繋げていた学園との境界を閉じます。転移術起動。揺れにご注意ください」
〜ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅん〜
義勇「本当に、色々あったな…。かまぼこ隊と、」
伊黒「柱と、花子隊と、東方の面々で戦ったな」
炭治郎「本当に、疲れたし苦しかったけど、でも……」
寧々「大切なものにもう一度気づけたわね」
夏彦「………あれ?」
桜「どうしたのナッツン。ここまで来て忘れものをしたとか言ったらぶっ飛ばすわよ」
つかさ「どうしたの?」
夏彦「本当に、これで全員だっけ。柱と、かまぼこ隊と、東方キャラと、花子隊だけだっけ」
有為「…………」
善逸「何言ってんだ夏彦。これで全員だぞ。何がおかしいの?」
しのぶ「大丈夫ですか? 夏彦さん」
夏彦「あれ、なんか他にメンバーがいたような気がするんだけど……夢かなあ」
有為「…………転移術起動。行きますよ!」
〜ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅん〜
〜ドサッ〜
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〈炭治郎side〉
【外】
〜ドサ〜
魔理沙「あ、戻ってきた! おーい大丈夫か?」
華扇「良かったです、皆さん無事で」
パチュリー「どうやらうまく行ったようね。無事で何よりだわ」
霊夢「記憶も戻ったそうじゃない。良かったわ」
花子「それじゃあ、最後の締めくくり、行こうか」
炭治郎「本当にその方法で行けるのか睦彦くん。剣に薬をしみこませてたけど……」
俺は少し離れたところで鞘から剣を抜いている睦彦くんに声をかける。
彼はニヤリと笑って、「大丈夫だって」とおざなりに手を振った。
睦彦くんの数メートル先には仁乃ちゃんが立っている。
瞳や牙は鬼化のままだが、人格はしっかりと以前の仁乃ちゃんに戻っている。
妹が鬼化したその瞬間を見ている俺は、睦彦くんのこれまでの気持ちが手に取るようにわかる。
炭治郎「本当に……良かったなぁ………!」
禰豆子「ムームー」
善逸「終わったら絶対みんなでパーティーでしょ当然! 楽しみ!」
伊之助「天ぷら天ぷら!!」
善逸と伊之助が食べ物論議に花を咲かせる中、睦彦くんは抜いた剣を構える。
キリッと仁乃ちゃんを睨むと、数メートル先の仁乃ちゃんも口元をきゅっと結んだ。
睦彦「行くぞ胡桃沢!! ちゃんと見とけ!!」
仁乃「な、何をっ?」
瞬間、ビュウウウウウウウンという突風が吹き荒れる。
雷の呼吸特有の、足の筋肉に空気を沢山いれて一気に加速する走術だ。
加速する速度。睦彦くんはあっという間に仁乃ちゃんとの距離を詰めると、地を蹴った。
ふわっと、彼の体が宙を舞う。
その姿勢は流石、バランス神経がいいだけあって、不安定な場所でもピクともしない。
身体を操って仁乃ちゃんの頭上に移動した睦彦くんは、よく透る大きな声で叫ぶ。
睦彦「今から、お前の……恋B…いや、英雄がいい! 英雄が、お前を救う所だよ!!」
仁乃「………っ」
睦彦「光の呼吸・拾ノ型—————」
一瞬「恋人」と言う恥ずかしい単語を言いかけた睦彦くんの顔に赤みがさす。
彼は顔を左右に振って雑念を追い払うと、剣をまっすぐに仁乃ちゃんへと振り下ろした。
睦彦「円・旋・虹・光————————————!!!」
剣が大きな円を描き、仁乃ちゃんの頬の皮膚を数センチ切った。
もちろん彼が威力を最小限にまで抑えて剣を振るったのだ。
不意をつかれた仁乃ちゃんの体が後ろへ傾く。
その身体を、睦彦くんは剣を地面に投げ捨てると、ギュッと抱きしめた。
背中から伝わる体温のぬくもりに触れて、睦彦くんの肩が震える。
そしてそれは、抱き着かれた仁乃ちゃんも同じだった。
何かを我慢するように、今まできゅっと結ばれていた口が開く。
その口から漏れたのは、嗚咽と、ただただ『ごめんなさい』の言葉だった。
仁乃「ごめんなざい……ごめ゛んなざい……っ。わ、私、みんな゛がいでくれで、本当に……っ」
睦彦「お前……っ。馬鹿だろ、そんな一人で……敵を相手したりとか……っ」
仁乃「ごめ゛ん……ごぉめんっ。み゛んながいだから゛ッ……私は……私はまたっ」
涙で前が見えない。
嗚咽はやむことなく、彼女の頬を流れ顎へとつたっていく。
睦彦「大丈夫だ。大丈夫だから。ちゃんと、全部分かってるから」
仁乃「ごめ゛んなざい………! 本当に、ごめ゛んなざい………っ」
睦彦「言ったろ、ごめんねは後でいいんだって。生きててくれて、ありがとうが先なんだって」
仁乃ちゃんは一瞬キョトンとして、睦彦くんを見る。
そして、一瞬俯いて視線をそらし、そしてすぐに顔を上げ、ゆっくりとほほ笑む。
その両目には沢山の雫がついていて、それはゆっくりと流れ落ちた。
彼女の涙は、ゆっくりと地面を揺らしていった。