二次創作小説(紙ほか)

Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.390 )
日時: 2020/08/18 20:51
名前: むう (ID: 9Yth0wr6)

 
 よし分かった。今日は皆さんの期待に応えてもう一話更新だ!
 頼むから泣かないでね?
 うちのマッマはこの話見て泣いちゃったけど頼むから泣かないでね?
 とか言って感動してほしいむうです。

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 〈有為side〉

 【外】


 わんわんと、子供みたいに泣きじゃくっていた仁乃さんがやっと泣き止んだ。
 すすんと鼻をすすって、恥ずかしそうに笑っている。
 反対に、睦彦くんの自慢の小袖は、よれよれになってしまっていた。


 睦彦「………ま、いっか」
 仁乃「あ、ごめん……」
 睦彦「いいっていいって。薬が効いて、ちゃんと人間に戻れるなら、それでいいって」
 仁乃「うん、ありがとう」


 夏彦「……みんな、無事で良かったね」


 咲夜「何回同じこと言ってるんですか?」
 美鈴「さ、咲夜さんだってずっと頭の中で考えてたくせに!」
 咲夜「そんなこと、これっぽちも思ってないわよ!」
 美鈴「顔に書いてあります!!」


 有為「みんなで………」 
 炭治郎「どうしたの、有為ちゃん。さっきから何か変だぞ?」

 

 みんな無事だった……。
 みんな、怪我もなく、無事だった。
 ううん、違う……。本当は、本当は……。



 『みんなに、よろしくって、伝えといてくれるか?』



 これを、みんなに見せるべきだろうか。
 事実を知って、みんなはどんな反応をするだろう。
 悲しむかな。泣いてしまうかな。それとも、怒るだろうか。


 でも、これを見せなかったら絶対後悔する。
 やっぱり、見せよう。
 そう、彼らが望んだのならば、ボクは任された役目を全うしなくてはいけない。


 
 有為「皆さん、大事な話があるんです」
 一同「大事な話?」


 ミツバ「っ……」
 有為「ミツバくん。いうしかないんです。あれ、見せて下さい」
 ミツバ「わ、分かったよ……。みんな、これ見て……」



 ボクの横に立っていたミツバくんが、観念したように肩をすくめた。
 そしていつも持ち歩いているデジタルカメラを操作し、画面をみんなに向ける。
 一同はその画面を、一緒に覗き込んだ。


 ミツバ「頼まれたんだ。これを見せてほしいって。頼まれたからさ……」


 カメラの画面には、彼がとった写真が映し出されていた。
 土の固い地面に、棒か何かで書いた、ある文章の写真だった。
 それはところどころ筆跡が違っている。




 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 親愛なる戦友たちへ


 君たちがこれを見ているということは、もう戦いが終わったころだと思う。
 お前らの戦いはうまくいったか?
 その様子だと、きっとうまく行ったんだろうね。
 ボクたちの出る幕もなかったってところかな。

 俺らは考えた。
 今まで300年間ずっと悪事を働いてきたアタシたちが、勝手に人助けをしていいのかって。
 みんなが「一緒にやろう」って言ってくれても、私たちはまだ怖かった。
 そんなに優しくされたことが今までなかったから。


 だから僕たち俺たち私たちは、ここで終わりにするよ。
 無惨様の、俺たちや今日の戦闘に関する記憶は彼岸が消した。
 これでもう何かしてきたりはしないだろう。そしてアタシらの出番はここまでだ。
 彼岸の血鬼術で俺たちの記憶を消す。そしてそのまま天国に行くことにする。


 本当はこんな手紙なんて書かなくても良かったんだけど、やっぱり未練が残ったわね。
 俺たち鬼にこんな思いをさせるなんて、やっぱりキミたちは罪作りだよ。

 
 ごめんねと書くのはやめる。代わりに、今までありがとう。
 色々と迷惑かけた、いやこれも書かない方がいいな。色々と沢山ありがとう。
 今度会うときはまた、よろしく頼むよ。

 ま〇←今度は泣かない


 今までありがとう。キミたちお前たち貴方たちに、不滅の幸あれ。


 燐月 銘祈 求手名 新羅 骸 彼岸



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 有為「皆さんの記憶のなかでは、彼らの存在はいないんです。ボクらは知ってたので」
 ミツバ「……………っ」


 夏彦「……引っかかったのは、これだったのか…」
 炭治郎「人の存在を消す能力を使って、無惨の記憶もろとも自分たちの記憶も消した…」
 


 睦彦「…………っ。ふっざけんな!!!」
 善逸「む、睦彦……」
 睦彦「何だよっ。こんなことをして、俺たちが喜ぶと思ったか! なあ!」


 善逸「……っ。クソ!! せっかくみんなでまた会えると思ったのに!」
 禰豆子「ムー……」
 伊之助「アイツらッ。今度あ…今度なんてねえじゃねえかクソッ!」



 寧々「……ふっ。うっ。うあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!」
 花子「ヤシロ……(寧々の背中をさすって)」
 寧々「うあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ………」



 炭治郎「……俺たちは馬鹿だった。本当に、最後まで…感謝も伝えられないまま……」
 桜「悲しいわね。こういう終わりもあるってこと、分かってたのに目をそらして」


 仁乃「う゛ああああ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!」





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 【白い空間】



 新羅「……ハァ。大丈夫、燐月さん。目が赤いよ?」
 燐月「そういう新羅だって、らしくないじゃん」
 新羅「まあね。涙なんて久しぶりに流したよ」


 銘祈「……これで、良かったのか?」
 求手名「いいんだよ。アタシらはそろそろ罪を浄化しなきゃいけねーだろ」
 銘祈「心残りとかは」
 求手名「ばっか! あるわけ……ねぇ……」


 求手名「あるよ! ありまくりだよ! 言わせんなよなあ!!」
 銘祈「………すまない」
 求手名「少しの間だけど楽しかったし! 楽しかったんだよ!」


 彼岸「分かるわ。本当にいい時間を過ごしたもの」
 求手名「仕方ないんだよ!! 仕方ないけど、もう少し、もう少しだけ……っ」


 骸「それは、もう無理なようね。仕方のないことだけど、そろそろ」
 燐月「そうだね。あの手紙もいずれ、消えちゃうのかな。寂しいね」
 求手名「それでもいつか、思い出してくれたらいいなぁ」
 燐月「そうだね」



 六新鬼月一同「またね、鬼狩りさん」





 ネクスト→ありがとう、六新鬼月。ありがとう、みんな。次回もお楽しみに。