二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.393 )
- 日時: 2020/08/19 16:34
- 名前: むう (ID: 9Yth0wr6)
あと、2,3話で完結をひかえたろくきせ。
3月から5カ月にもわたって連載してきた本編も、ようやくラスト。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
*******************
〈睦彦side〉
【蝶屋敷】
あれからどうなったのか、簡単に話そうと思う。
胡桃沢はあれから、昏倒状態へ陥ってしまい、蝶屋敷で介抱してもらっている。
幸いすぐに意識は戻ったが、鬼化から人間へと戻る過程でかなりの体力を消耗したらしく、
全身の筋肉のしびれなどの症状が続いていて、体力回復が優先される。
しのぶ「後遺症もないですし、ぐっすりベッドで眠ればすぐに良くなると思いますよ」
睦彦「そうですか。良かったぁ……」
アオイ「消化にいいものを食べて、安静にすれば大丈夫です。あと」
アオイ「仁乃さんが寂しがっていたら、声をかけてあげてくださいね」
睦彦「おう。了解」
『———』の手紙は、跡形もなく消え失せてしまった。
何が書かれてあったのか、送り主の名前は何だったのか、覚えている人はいない。
けれど何故か胸には、あったかいものが今でも残っている。
だから大丈夫だと、俺は信じている。
・・・・・・・・・・・・・・・
【厨房】
桜「えっと、コーヒーを飲む人は私とあの子と、あと誰か飲みたい人はいるかしら」
寧・葵・善・夏「はい!」
夏彦「お嬢が作ったものは残さす飲むのが俺の役目ですから」
つかさ「やったー。桜のコーヒー! ねぇねぇミルクたっぷり入れてね!」
桜「お子様」
つかさ「えーいいでしょー。ねぇねぇねぇねぇ」
寧々「七峰先輩の紅茶やコーヒーっていつも美味しくて憧れるわ〜」
善逸「さささ、桜さんのつくったものがマズいわけないよ! 睦彦じゃあるまいし!」
睦彦「おいッ」
有為「(トトトトトト)野菜、切ったらボウルに入れといてください」
光「了解っす。アオイさん、こっちの野菜は使っちゃっていいすか?」
アオイ「ああ、その野菜は好きに使って結構ですよ」
茜「あれ、伊之助や柱たちはどこに?」
寧々「伊之助くんは禰豆子ちゃんの相手。他の柱のみんなは臨時柱合会議に行っているわ」
茜「ああそっかぁ。この前の事報告しなきゃいけないのか。大変だね」
睦彦「よし、…できた。いつも卵焼きすら失敗した俺が、ちゃんとおかゆ作れた」
有為「料理の腕、上がってるみたいだね」
炭治郎「いつも夜遅くまで練習してたもんな。良かったな睦彦くん」
睦彦「どうしてそのことッ」
カナヲ「私から……炭治郎に伝えたの。私は…しのぶ様に聞いて…」
睦彦「伝達早すぎだろうが!! さすが師弟の絆!!」
カナヲ「あ、私、仁乃ちゃんの状態…、見て、くるね。じゃあまた(バタン)」
炭治郎「ありがとうカナヲ」
カナヲ「あ、あと睦彦……メイちゃんが、後で来てって言ってたよ」
睦彦「? わ、分かった」
花子「ねえねえ刻羽。そのおかゆ、胡桃沢に『あーん』してあげなよ」
睦彦「は、はああああ!? おま、お前バッカじゃないの!? ///」
花子「だって胡桃沢、手足しびれてるんでしょ? そんな状態でスプーン持てる?」
睦彦「あがッ///」
※羞恥心<正論
睦彦「………『あーん』って……」
つかさ「(からかっちゃえ)あ、そうそう、胡桃沢が前に言ってたんだけどさー」
睦彦「何を?」
つかさ「私将来、むっくんに『あーん』してもらいたいなーって」
睦彦「はあああああ!? あ、あいつ、そんなこと言ってたのかッ!??」
善逸「良かったなぁ睦彦。これがモテてるってことだよ。いいな頭お花畑で……」
茜「憧れるなぁ。僕もずっと告白してるんだけど、アオちゃんに振り向いてもらえない…」
夏彦「俺もなんか鼻であしらわれてる感が……」
※リア充爆発しろと言う気持ち<恋人がほしい気持ち
睦彦「お、俺ちょっと昼飯持って行ってくるわ! あ、あとでな非リア充!」
善・茜・夏・花「最後の言葉は消せ—————!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
【寝室】
睦彦「(ガラッッ)お、胡桃沢、起きたのか」
仁乃「あ、むっくん。うん、さっき起きたとこ」
ベッドから起き上がっている胡桃沢の腕には、点滴のチューブがまかれてある。
顔には包帯がまかれ、ところどころ血が滲んでいる様はとっても痛々しそうで…。
何だか、ちょっと触ったらすぐ崩れてしまいそうで……。
仁乃「……何て顔してんの。ごめんねは、また後でなんでしょ?」
睦彦「……そ、そうだったよな。言い出しっぺなのに、なんかごめん」
仁乃「ううん。心配してくれてありがとね」
……『あーん』。
やばいやばいやばいやばい、俺は何を考えてるんだ。
そうだ、これはやらしい気持ちとかそんなんじゃなくて、相手が病人だから。
そう、それだけの理由。決して俺が自分からしたいとか思ってないし。うん。
睦彦「……ほら!!」
仁乃「ふぇ?」
おかゆが入ったお椀の中のものをスプーンですくって、彼女の口元へ差し出す。
もちろん、直視は出来ない。
だって、きっとまたからかわれるだろうから。
睦彦「……ほら!!」
仁乃「むっくん、そんなに私に『あーん』したかったの?」
睦彦「ちがうよ!! そ、そんなんじゃ……そんなんじゃ……」
仁乃「顔、赤いよ?」
睦彦「食えよ!!」
仁乃「そんなふうに無作法にやられても困るよ。ほら、言ったでしょ、『あーん』って」
……きっと、俺はいくつになっても、彼女には勝てないんだろう。
仕方ない。コイツのそういうとこが好きなんだから。
睦彦「あ、『あーん』」
仁乃「よくできましたー。(パクッ)ん〜〜!! お米の味しかしない!!」
睦彦「………お前…どんだけ俺をからかえば気が済むんだよ……」
っていうかおかゆなんだから米の味しかしなくて当然だろ。
あんなに一生懸命作ったのに、第一声がそれかよ。泣く。
仁乃「私、むっくんしかからかわないよ?」
睦彦「ふぇ? ///」
仁乃「いつもいい反応するから、手元においてなきゃ寂しいんだー」
睦彦「……………俺はぬいぐるみかよ……」
でも、良かった。コイツが元に戻ってくれて。
好きな人ができると、自分が自分でなくなるって言うけど、そうかもしれない。
実際、あんなに走ったことなんてなかったし、怪我したことなんてなかった。
まあ、今日は『あーん』だけでも良しとするか。
※ちなみに睦彦の『あーん』は花子の指示によってミツバに盗撮されてました。
ミツバ「僕がしたくてしたわけじゃないんだからね!! ここ重要だから!!」