二次創作小説(紙ほか)

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.57 )
日時: 2020/12/05 09:02
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: HLTL9ZJI)

第六章 ヒュウ ~強さ~



   くろい毛並みのイーブイとー

  くろ色髪のねぇーさんはー
 
   まよってまよって迷いはてー

いきつく先は七色の国っ!

 二人はそこで~しーあわっせにー

日がくれるまであそびっましょー

   いやそのままくらしっましょーー。

  みなでまつりーだまつりーだほいほい!

二人がのこしたあかんぼおーも

   …幸せに暮らしました~!












     明るい声が鳴り響いて。







  そこには必ず…満面の笑みのメイと…
       無愛想な顔のレイナそして…








  じーちゃんからもらったチョロネコがいた。





   今でも響く。あの叫び声。




    おにーちゃんっ!おにぃーちゃんっ!





       ぐぁぁっーーー!!

















        強く…強く…






Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.58 )
日時: 2022/01/04 20:49
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: nEqByxTs)

「トレーナーさん?トレーナーさん!」

俺ははっとする。
そうだ…俺はジムに破れて…
ジョーイさんが俺のボールを持って心配そうにみている。
ショックの余り少しフラッシュバックしてたみたいだ…

「ス、スミマセン。」

「いえ、次は頑張ってくださいね!」

ジョーイさんはニコッと笑い、ボールを渡してくれる。
俺はペコッとお礼をしてボールを受けとる。

「出てこい。」

そして、三つのボールを投げてポケモンを出す。

「ブオッ! ホォウッ! ゴルッ!」

エンブオー、ケンホロウ、ゴルバットが出てくる。
ゴルバット。ヒウンシティで手に入れたズバットが進化したのだ。
でも、どんな特訓をしても、レベルをあげてもクロバットにならない…

「早く強くなりたいんだよ…」

雰囲気がピリッと変化するのが分かる。

「ブオ…」

エンブオーがゴルバットに手をのばすが俺はそれを止めてモンスターボールに入れる。
他のポケモン達もボールに入れる。
そして俺はまたホドモエジムに向かった。

「…俺達も行くか。」

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.59 )
日時: 2021/05/02 02:14
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: AQILp0xC)

ホドモエジム。
ホドモエシティの端っこに建っているキラキラしている派手なジムだ。
ヤーコンさんという地面タイプ使いがジムリーダーであり、俺の相棒のエンブオーとは相性が悪い。
しかも、他の手持ちは飛行タイプのため、飛行技が相手に効かない。

さぁ…どう攻略するのか…

そう考えていると…

「ガルッ!ガルルッ!」

「ブイッ!ブーイーッ!」

「こっちよね…たしか…」

ポケモンと、聞きなれた人の声が聞こえた。

ポニーテールに赤いリボン、トレーナーとは思えない背丈…あのくすんだ瞳。

「「レイナ!
  ヒュウ!」」

声が重なる。
俺は混乱する。
このレイナは幻だろうか?

レイナとは一昨日会ったばかりだ。
そしてその時、レイナはライモンジムを攻略できていなかった…

ここにいるということは、ライモンジムを攻略して、かつ数日かかる五番道路の道のりをこの三日間で成し遂げて来たのだ…

そのせいか、レイナは身体中ボロボロ。
一緒にいるイーブイもルカリオもボロボロだ。

それで、ジムに挑むとか無謀すぎんだろ…

俺の考えが表情に出ていたのか、レイナはフッと
目を細める。

「ヒュウに負けてられないからね。」

レイナは小さな体で力強く言う。
それに答えるようにルカリオもニカッと笑う。

負けてもらわなきゃ困るんだよ…!

俺はその気持ちを必死に押さえる。

「レイナは強いからな!余裕だろ!
 だけど言っておくぜ!ヤーコンさん手強いぞっ!」

ニカッと笑う…

笑えただろうか。
おかしくはないだろうか。

「えぇ。」

レイナは振り向きながらそう言った。
アイツの背中はどんどん小さくなって……

俺は"また"置いていかれないかと…
不安になった。

すると、レイナと入れ替わりに誰かボールを抱えて走ってくる。
ヤーコンさんに破れたのだろうか。

するとどんどんどんどん近づいてきて…

あ、かわさないとぶつかる…

しかし、俺はなぜか『そいつ』とぶつかってしまった。

「「イッ!」」

俺達は尻餅をつき、モンスターボールが宙を舞う。

「いってて…」

少し赤く見える短髪に、真っ赤な目の少年。黒のTシャツとデニムのハーフパンツに白衣を着ており、首にはゴーグルをかけている。腰にはウエストポーチをつけており、モンスターボールが六つくっついてるのと、袋がパンパンに膨れている。

「す、すみません!」

その少年はボールをあわてて拾い、ポケセンの方向へと走っていった。

なんだったんだ…
俺は立ち上がるととんでもないことに気づく。

このやけにピカピカしたモンスターボール…

俺はすぐさまベルトについているモンスターボールを探ると…

ない!一つボールがない!エンブオーがいない!

そして、このボールはエンブオーのものではない…
つまり…!


「あいつエンブオー間違って持っていきやがったぁぁーーーーーー!!」


Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.60 )
日時: 2020/12/07 20:43
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 5obRN13V)

すぐさま俺はポケセンへと向かう。

足の早さなら少し自信がある。
よく昔メイと"あるポケモン"でかけっこをしていたからだ。

『ウィン』

俺はドアの機会音を聞くと、ドアが開いた開いてない確認せずにポケモンセンターへ突っ込んだ。

─いた!

目立つ赤色の短髪!

俺の気配に気づいたのかその少年はすぐ振り向き、ボールを俺の顔の前につきだす。

「おっとっ!」

俺は急いで足にブレーキをかける。
つきだされたボールと俺の顔の距離は僅か1cm。

っぶなかったぁ…

「ねぇ…君!」

少年が険しい顔でこちらを見てくる。
あぁ、ボールを返さきゃいけないな、

俺はこの少年のであろうピカピカのボールを差し出す。

「…ど、どうも。そ、それよりも!
 なんだよ!このボール!」

その少年はボールを受けとると、どなり声をあげた。

なんだよとはこっちの台詞だよ…

親切にボールを届けに来てやったというのにお礼もなしにいきなり怒声…

「このボール汚いじゃないか!」

そして、エンブオーが入ったボールを汚い呼ばわり。
失礼極まりなくないか?
一応磨いてはいるぞ?!

「無数の細かい傷!
 くすんだ色!

 分かる?モンスターボールは赤と白なの!
 君のは真っ黒な赤に見えなくもない色と灰色になの!」

失礼だなッ!
てか、真っ黒な赤ってなんだよ!

「っせーな!
 俺はボールの手入れの代わりにポケモンの特訓に専念してるんだ!」

俺は負けじと怒鳴り返す。
更に険しい顔をする。

「ボールをきちんと磨けない奴がポケモンの特訓?
 笑わせるね。
 ポケモンを大事にできない奴が特訓しても強くなれる訳がないだろ。」

少年が指を俺に指して見下したような顔で笑う。

「それとこれとは関係ねぇーだろっ!
 それにポケモンの強さは六つのステータスの高さだ!それを鍛えるには特訓有るのみだろ!」

ステータスがポケモンの強さのすべてだ。
それ以外にあるはずがない!

俺がどんな気持ちでここまで鍛えてきたのかも知らないくせにッ!

「なにいってんのさ。
 ポケモンの強さはトレーナーとの絆さ。
 互いを信頼しあってこそ真の力が発揮できる。
 ステータスなんてその後だよ。」

少年がクスクスと笑う。
それが俺の怒りメーターを更にあげた。

「ポケモンはステータスこそ全てだ!
 ステータスにおいて、下のポケモンは上のポケモンに敵わない!」

それがポケモンにおいての…
いや、自然界においての理だ!

俺達の顔はどんどん近づいていき…

「ちょっとまてーー!」

急に目の前に手のひらが飛び出し、後ろに押し出される。

「大のトレーナーが公共の場でなに喧嘩してやがる!」

「マオ…」

ての主はマオだった。

周りはざわめいており、俺は急に恥ずかしくなった。

「どっちが強いかなんて…バトルで決めればいいだろ」

マオがはぁっとため息をつくとあきれた顔で俺達をみる。

「それだ!バトルでどっちが強いか決着をつけようじゃないか!」

少年が俺を指差し叫ぶ。
もちろん乗らない手はない。

「望むところだ。どっちの方が強いかはっきりしようじゃないか…」

俺は少年を睨み付けて言う。

少年は決まりだという顔をするとボールをジョーイさんに預ける。

「僕の名前は椿ツバキだ。
 ポケモン研究所で研究生をやっている。
 ポケモンを想う気持ちなら誰にも負けるつもりはない。
 特に君のようなポケモンを雑に扱うトレーナーにはね!」

少年こと、ツバキがにくったらしく自己紹介をする。
俺は歯をぎしぎしとならす。

マオは、はぁとため息をつく。

「俺はマオ。こいつの友人だ。
 こいつはヒユウ。これでもこいつバトルは強いんだ。」

マオが代わりに紹介をしてくれる。

「ふぅん。まあ、そんな奴に僕が負けるわけないけどね。」

「お預かりしたポケモンは元気になりましたよ!」

ジョーイさんの言葉を聞くや否や、ツバキはボールを受け取り、ポケモンをでる。

「ホドモエのはしばねでまってる!逃げるなよ!ヒユウ!」

走りながらツバキはそう叫ぶ。
誰が逃げるもんか…!

「はぁ…めんどくさいことになった…」

マオが今まで以上に深いため息をついた。

「ほぉ、なかなか面白い話をしていますね…」

──アクロマが言ったその言葉はその場の誰にも聞こえなかった。





Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.61 )
日時: 2022/01/04 20:53
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: nEqByxTs)

~~~?????~~~

「どういうことですか!」

バァン!という大きな音がする。

黒いローブを着た緑色の髪の男が机を叩いた音のようだ。

「俺一兵卒っすから。」

クリーム色のフードローブを着た少年。12が全く動じずに言う。

「今回の計画は我らがプラズマ団にとって心臓と言える計画だったのですよ!
 私達は莫大な金を払っているのです!
 それに同等のことができないのならばこちらにも手がありますよ!」

「ほぉ?プラズマ団を瞬殺できるこの俺に対抗できる手があると?
 さぁ?どんな子供だましなんっすかねぇ?」

12がにたりと笑う。
黒いコートを着た男はその倍ニタッと笑う。

「もう一度、君達の組織に依頼をかける。」

「なっ…」

「私達が依頼をかけ直し、クレームも入れたらどうなるんでしょうねぇ…」

形勢逆転。
黒いコートを着た男が余裕ぶった顔を見せる。
12はフードのしたから汗が出ているのが分かる。

「…チッ…」

「まぁ、もう遅いことです。
 貴方も終わりですね。」

「コノヤロウ…!」

「少しお待ちください。」

2人の後ろから声が聞こえる。
そこにはワープしてきた金髪に青色の触覚のような髪をした、白衣を着た男がいた。

「貴方がここに来るとは珍しいですね…
 なんのようでしょうか」

黒いローブの男が不機嫌そうに白衣の男に問いかける。

「いえ、少し提案が有りまして…
 クリーム色のローブの少年。
 君の力が必要です。」

「俺っすか…?」

「えぇ」

白衣を着た男はニタリと笑うと、
愉快そうに返事をした。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.62 )
日時: 2020/12/13 19:43
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: idHahGWU)

~ホドモエのはねばしにて~

『ブロロロロロロ』 『ガギャァー!!』

ヘリコプターやリザードンの鳴き声が無数に聞こえる…

俺とマオはホドモエのはねばしのど真ん中に来る。
そこにはツバキが手すりにもたれ掛かって待っていた。

「来たね…」

ツバキが振り向く。
オレンジ色の光がツバキの赤い髪にに差してより綺麗になっている。

余裕ぶった目は俺を心の底からいらつかせる。
マオは呆れた顔をして俺達を見ており、急に申し訳なくなってきた…
でもこうなった手前引き下がれねぇ…!


「あぁ…瞬殺してやる…」

俺はツバキを睨み付けてボールを構える。
ぶぉっと飛行機が通る。

「マオ、審判頼めるか。バトルは一対一で」

「しゃーねーな…
 えー、今からヒユウVSツバキのバトルを始める。
 バトルは一対一で、どちらかのポケモンを戦闘不能にした方の勝利とする。
 それでは…始めっ!」


「「いけっ!!」」




Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.63 )
日時: 2021/01/31 17:02
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: q9W3Aa/j)

相手はレアコイルを繰り出す。
レアコイルは耐久はまあまあ高く、特攻が高い。
俺の手持ちはエンブオー、ケンホロウ、ゴルバットの3体。相手は電気、鋼だからケンホロウは相性が悪いし、ゴルバットは余計だ。
なら…一択。

「いけっ!エンブオー!」

エンブオーはほのお、かくとうタイプで相性が良い。
椿は少し顔をしかめるが改めて俺を睨み付けた。
しかしエンブオー以外は相性が悪いため出すわけにはいかない。
少し罪悪感が残る。でも、手加減はしない。

「エンブオー!ニトロチャージ!!」

エンブオーに炎がまといレアコイルにむかって行く。
そのニトロチャージは見事にレアコイルに当たる。
対等なレベルなら相手はHPが半分削れるぐらいであろう。しかし、俺のエンブオー…いや、手持ちは一味違う。レベルはそこら辺のトレーナーより高い自信がある。
これは勝った。
俺は確信した。しかし…

「…ジジッ」

レアコイルがボロボロな状態で立ち上がる。
椿は口の端を少し上げてレアコイルを見つめる。
レアコイルはボロボロになりながら立ち上がる。
どうして。
─そうだ。レアコイルの特性を忘れていた。がんじょうだ。 HPを1残す特性だ。
厄介だがこれで王手だ。

「くっ…よく耐えたねレアコイル。
 今度は俺らの番だ!でんじほう!」

でんじほうか…
そういえば前のライモンシティでの事件であの強そうなフードの…12…だっけ。そいつのでんじほうが強いとかいってたな…
って、今はそんなこと考える場合じゃない!

避けることも可能だがその後の追撃が怖い。
ここは食らわせておくか…

「ブオッ!」

エンブオーはでんじほうをもろに食らい後ろに下がる。
あまり攻撃は受けていない…はず…
肝心のエンブオーはかなりのダメージを食らっていた。
なぜだ…持ち物になにか秘密があるのだろうか?
あのレベルからすると命のたまや電気のプレートを手に入れるにはトレーナースキルが少なく手に入れにくいだろう。
では…特性ががんじょうでなく、"アナライズ"ならどうか?
そして持ち物は気合いのタスキ。
なるほど…かなりバトルのことを考えている。
しかしレベル差があるのは変わらない。

「とどめだエンブオーかえんほうしゃ」

そのかえんほうしゃはレアコイルに当たり、あっけなく終わる。
レアコイルは目を回して倒れている。

「そこまで!
 レアコイル戦闘不能!よって勝者トレーナーヒュウ!」

マオが淡々と告げる。
椿はレアコイルをボールに戻す。

「レアコイル…」

椿はボールに目を落として呟く。
悔しい…というよりかは、申し訳なさが勝っているような感情なのだろうか。
しかし、俺はそんなことは知らない。

「やっぱり、ポケモンはステータスだな」

俺はニヤリと笑い追い討ちをかけるように椿に言ってやる。

「確かに…僕は負けた。でも…
 それがステータスの方が強いって訳ではない。絆だって大切だ!」

椿は熱弁をするが結果は変わらない。俺は鼻で笑うように聞いてあげる。マオはやれやれと言うように俺たちに近づく。

「どっちでもよいだろ。人には人の戦い方がある。」

俺達はそれに何も言い返せなかった。
いま思えばなにを下らないことで俺達は争っていたのだろう。

「「ぷっ あははははは!」」

俺と椿は顔を見合わして大笑いをする。
マオはようやく微笑み俺らを見つめる。

そこに…

「なぁ、プラズマ団にはいれよ!」

「だめだ!そんなことをしたらN様が悲しむ!」

そんな会話が聞こえた。
─プラズマ団…─

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.64 )
日時: 2021/01/31 18:11
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: q9W3Aa/j)

「あれは…プラズマ団。」

椿が呟く。
椿もプラズマのことを知っているようだ。プラズマ団は最近活動が活発化しているようでだんだん知名度もあがってきた。そこにいるプラズマ団は黒色の服をきた人と水色の服をきた二人が言い合いをしているようだ。

「考え直せって!プラズマ団はもうじき世界を手にするんだ!この表の世界は俺達の思うがまま!」

黒服の男が暑く語る。しかし水色の服の男は顔をしかめる。あの衣装は昔なくなったプラズマ団の服だ。ということは、黒色の服のプラズマ団は現役プラズマ団。水色の服のプラズマは旧プラズマ団なのだろう。

「プラズマ団のやってることは犯罪行為だ!そんなことをしたらN様が悲しむ!私はそんなことはできない!」

水色の服の男も黒色の服の男に負けず劣らず熱弁をする。

「N!プラズマ団の王とか言われてたが裏切り者じゃねぇか!」

マオも椿もその様子を静観している。そりゃあんな成人男性の怒鳴り声を聞けば10歳になったとはいえ出ずらいだろう。でも…俺はそんな二人とは違った。

「おい!」

俺はそう叫ぶと黒色の服の男を突き飛ばす。
男は見事に吹っ飛び華麗な尻餅をきめる。
男は顔をしかめながら俺の方をにらみつけてくる。しかし俺はそんなものに怯まない。

「プラズマ団。詳しく話を聞かせろ。」



───────マオ──────

「プラズマ団。詳しく話を聞かせろ。」

俺ことマオはこのめんどくさい喧嘩をしていたヒュウと椿に振り回されこのホドモエの跳ね橋にいる。するとプラズマ団の言い争いが聞こえてきたのだ。俺らは10歳になったとはいえさすがに成人男性に割り込むことはできなかった。しかしこの男 ─いつも冷静なヒュウはなにを血迷ったか黒色の男を突き飛ばした。そして凍えるような冷たい目で突き飛ばした男を見つめる。

昔からヒュウはプラズマ団という言葉、概念、存在にひどく敏感でひどいときは今のように我をわすれる。

「ちっ。ここで騒ぎを起こすわけにはいかないんだよ…」

黒服の男はそういい、離れようとするがその言葉がヒュウの怒りを煽ったようだ。
そのままヒュウはその男の胸ぐらを掴む。

「プラズマ団について…教えろッ!」

ヒュウの顔はとてもお見せできないようなドス黒く、冷たい。この世のものとは思えないほど怖い顔をしていて、俺はいつか見た底が見えないような深い海の絵画を思い出した。
プラズマ団の男は恐怖でその場でじたばたする。
しかしヒュウの力は強く、俺達では返り討ちにされてしまう。椿もそれを悟っているのかその場から動こうとしない。ただオレンのみのように顔を青くさせてその場にたちつくしているだけだ。するとそこにヒーローのように颯爽と駆けつけた少女がいた。

「なにしてるの…」

レイナだ。レイナは前にライモンで会ったが、その時とは雰囲気が少し違う。
いや、レイナの容姿は赤いリボンにポニーテール。ぱっちりとしているがそれと同じぐらいにごっている目に深夜の曇り空のような黒髪と、全く変わっていない。しかし、レイナがまとっていたポケモンも人も近づかせないあの冷たい空気が少し…少しだけ和らいでいる気がした。

レイナはヒュウの腕を掴みどかす。
黒服のプラズマ団はその隙を見て死に物狂いで逃げ出す。
ヒュウは追いかけようとするがレイナに腕を掴まれているため離れることができない。

「なにすんだよッ!」

ヒュウはレイナに向かって怒りといらだちを入り混ぜた怒鳴り声を浴びせる。その声は俺たちにも届きその場でたじろく。しかし、レイナはそんなものにびくともせずにただ、凍ったような無表情でヒュウを見つめる。ヒュウはじたばたするが離れない。ついに根負けしたのか、ヒュウはそこで座り込んでしまった。

「あのこは…」

椿が目を見開く。
それもそうだ。レイナは年の-2年ぐらい若くみえ、現に椿もレイナは小学2年生ぐらいの幼い少女に見えているだろう。しかし、そんな外見と対象にレイナはかなり強いヒュウの力を軽くへし折ってしまうほどのパワーの持ち主であり、いつもヒュウを沈めていたのは彼女であった。
そのカラカラのような細い腕のどこにそんな強大なパワーが秘められているのかは俺達には分からない。

「マオ久しぶり。そこの方は…」

レイナ俺と椿を見つめる。

「コイツは椿。」

「椿だ。よろしく。ヒュウとマオ君とは友達だよ」

そういい、椿はニコッと微笑む。
俺はともかく。さっきたんかを切ったのに自分を負かした相手によく友達といえるものだと俺は半ば感心、半ば呆れる。

「そう。私はレイナ。あなたと同じ、ヒュウとマオの友達よ。」

レイナは表情筋をピクリとも動かさずに言う。
椿はその顔に少し頬を赤らめる。まぁ、無理はない。恋愛感情でも、そうでなくともレイナはかなり顔が整っている。これに感心をもつなと言う方が無理だ。

「レイナちゃんよろしくね」

椿は微笑む。
ヒュウは自分だけかやのそとが気に入らないのかすこしふて腐れたように俺達を見つめる。
肝心の水色の服をきた男は罰の悪そうな顔をして俺たちにも近づいてきた。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.65 )
日時: 2021/02/11 15:16
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: bStwRqTd)

~ヒュウ~

「君達…ごめんなさい。こんなことに巻き込んでしまって…」

白、水色の服装をしている男性。俺はこの服装をした奴らを忘れたことはない。プラズマ団だ。憎い。様々な悪事を働いておいてのほほんとしてるコイツが、コイツらが憎い。今にも飛びかかりたいぐらいだ。そう思った瞬間、俺の体は勝手にプラズマ団めがけて飛び込んでいた。しかし─

「やめなさい。」

子チョロネコをあやすように俺の腕をつかんでいる少女 ─レイナが止める。
レイナは幼馴染みで力も強いが精神的に弱いところもあり、妹のように可愛がってきたつもりだが、こんな場面にいるのは厄介だ。レイナは成人男性よりも力が強く、俺も全く敵わない。だからこそ今のように取り押さえられる。
俺は不満そうな顔をするも、諦める。

「大丈夫ですよ。それより、さっきの方は?」

椿が冷静になって言う。彼は椿。さっき会ったばかりで、俺はコイツの"友達"らしい。
さっき俺はポケモンバトルで自分を負かせたやつをよく友達呼ばわりできるものだとマオほどではないが呆れてしまった。まぁ、悪いやつではない。

「差し支えなければ教えてくれませんか?」

マオが丁寧に聞く。コイツも俺の幼馴染みだ。根がレイナと似ている所があり、多分俺よりレイナと仲が良い奴だと思う。沈着冷静、頭脳明晰。ただ目付きが悪い。

「そうですね。アイツは私の友人であり、昔の同僚なんです。見ての通り現プラズマ団。別名"黒のプラズマ団"の一員です。」

─黒のプラズマ団─
聞いたことはある。今のプラズマ団には二つの派閥があり、黒のプラズマ団と、白のプラズマ団と呼ばれている。しかし、それがなんの派閥で何をしているのかはわからない。

「黒のプラズマ団ってなんですか?」

レイナがこの場にいる全員が思っているであろうことを聞く。ついでに他の情報も聞けたらありがたいが…

「そうですね…ここから先は私達の家で話しましょう。ホドモエジムのとなりにある小高い場所にありますから。」

そういってプラズマ団は去っていった。

「ホドモエジムのとなりの小高い場所って…
あ、あそこか」

レイナはそう呟くと俺を放して歩きだす。

「俺達も行くか。」

「そうだね。」

椿とマオが歩きだす。
プラズマ団の家なんて、どんな危険があるか知ったもんじゃない。

「まてよ!プラズマ団の基地なんてどんな危険があるかわからねぇよ!」

俺は怒鳴りに近い声で三人を呼び止める。マオと椿の顔は少し曇るが、レイナは何一つ表情は変えない。

「大丈夫。」

レイナはそれだけ言ってまたあるきだす。

「レイナ頑固だよな。お前も心配だろ?いくぞ。」

マオは俺の気持ちを見透かしたように言う。椿もニヤッと笑うとレイナについていく。俺は不本意だが三人に着いていった。



レイナは俺が守るから…

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.66 )
日時: 2022/01/04 20:56
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: nEqByxTs)

 ─コツコツコツ─

薄暗い廊下に私のヒールの音が鳴り響く。
すると『ピロピローピロピロー』と、腕のライブキャスターの着信音が鳴る。
私はニコール目が鳴る前にその着信音を止める。
相手は…国際警察の刑事だ。私は意外な相手に驚きつつ話す。

「はい。こちら統治です。」

『こんばんわ、久しぶりですね。クーフさん。』

ライブキャスターの向こうから懐かしい声が聞こえる。仕事仲間であり、古き良き友人だ。

「久しぶりね。どうしたの?」

私は雑談をしたい気持ちを押さえて聞く。こんな夜中に連絡するということは急ぎなのかもしれない。

『うん。ちょっと"統治探偵"に依頼をしたくてね。』

私は眉にシワを寄せる。友達としてでなく、探偵と刑事の関係としての依頼のようだ。私は声色を低くして、真面目モードになる。

「なんでしょうか?」

『プラズマ団とピラミッドが動き出したことについて…』

たしかに、最近プラズマ団の騒ぎは目立つ。しかし、それとピラミッドになんの関係性があるのだろう。私は少し考える。

「ピラミッドのことなら報酬ははずむわよ。デマだったら許さない。」

『おー怖い怖い。なら、証拠をまた送っておきます。そして…デットも動き出すそうですよ。』

衝撃な言葉を聞く。そんな大がかりな事なのだろうか?私は嫌な予感を覚える。

「それはまた…なぜ?」

『…レイが原因かと…』

歯切りが悪く友人が言う。どんどん信じられない話になり、そして嫌な予感が増幅する。

「生きて…いたの?」

『…関係性がある人物の検討は…』

私は唾を飲み込むと口を開いた。













    「"レイ レイ"」











 ─マオ。頼んだわよ。
       
      レイナちゃんは…敵よ─


Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.67 )
日時: 2021/03/18 17:42
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: DTjsowAk)

白服のプラズマ団が言った通り小高い場所に家があった。

「あ、ロット様ほら来ましたよ。皆さん!こっちです!」

そこには茶色の服を着た老人と、さっきの白服のプラズマ団が立っていた。

「こんにちは。プラズマ団の話を聞きに来ました。」

「え、えっと僕ツバキと言います。この黒髪の子はレイナ。赤髪の子がマオ。黒髪ハリセーンの子がヒユウです。そこの方に言われて話を聞きに来ました。」

レイナが前置きを飛ばして本題に入ったため、ツバキが慌てて前置きする。しかし、俺の紹介の時だけ悪意があった気がするが気のせいか?

「ふぅむ…なるほど。プラズマ団に興味があるのか。私はロットだ。宜しく。」

ロット。聞いたことがある。プラズマ団の幹部『七賢人』の一人であると。
プラズマ団の…"幹部"

「ヒユウ。目が怖い。」

隣に居るツバキが俺に聞こえるぐらいの声で呟く。反対側の、マオの向こうに居るレイナも「そうだ」というように俺に視線を上げる。

それより、なんでこの距離でレイナはツバキの呟きが聞こえたんだよ。耳が良いにも程があるぞ。

そう物怖じしつつ。もう一度ロットさんに向きなおす。

「俺はプラズマ団のことについて聞きに来た。早くそこを通せ。」

俺は無理やりにでも中に入ろうとするとレイナが俺の体の前に手を差し出し制する。レイナの力には敵わないためすんなりと諦める。

「ロット様。私たちの話を聞いていただければ理解していただけるかもしれません。」

白服のプラズマ団がロットに耳打ちする。ロットは目の間にシワを増やしながらウーンと唸る。

「お客様。悪いがここに入るならあなたというトレーナーがどんな人物か見せてもらいたい。
 そう、そこのハリセーンの少年とのポケモン勝負でな。よろしいか?」

「ああ。うけてたってやる。それと、俺はヒユウ。セキシロ ヒユウだ。ハリセーンなんて二度と言うな。」

そういうと俺はボールを構える。

今更ながら俺はザングース並みにロットのことを睨み付けていることを自覚した。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.68 )
日時: 2021/05/02 02:09
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: AQILp0xC)

「ハーデリア」

ロットはハーデリアを繰り出す。そのハーデリアはロットと似た冷静な雰囲気をまとっている。

「いけっ!エンブオー!」

俺はエンブオーを繰り出す。
タイプ相性はこっちの方が有利。
しかし、ロットは「ほぅ」とこちらを観察するが動じてはないようだ。

「それでは審判は私が勤めさせて頂きます。」

そうプラズマ団の男が前へでる。

「使用ポケモンは両者一体。どちらかのポケモンが戦闘不能になった方が勝利とします!それでは始め!」

「先手必勝ニトロチャージ!」

俺が早速エンブオーに指示を出すと炎がエンブオーにまといつきそのままとっしんする。

「受け流しなさい」

ロットは避けれないと判断したのか受け流す指示をだす。
ハーデリアは額でエンブオーを受け流すが少しダメージは入る。
しかし、受け流されるのは予想外だ。このような指示ができることから考えればロットは玄人者なのだろう。

でも俺も負けてないッ!

「もう一回ニトロチャージ!」

エンブオーは急ブレーキをするとまたハーデリアにニトロチャージする。さっきよりスピードは上がっており、砂ぼこりが舞う。

「ハーデリア下がって受け流しなさい。」

ハーデリアは一歩下がりまた受け流す。ロットの指示そのまんまの行動をする。ダメージもあまり入ってない。
思いどおりにダメージが入らなく俺はイライラしてきた。エンブオーもそれは同じのようで体の炎が強く燃えている。

「少年。まだまだであるのぉ。」

ロットとハーデリアがふぉっふぉっふぉと笑う。
俺の頭はお湯が沸かせるほど暑くなり、エンブオーの周りも真夏のように暑くなる。
すると…

「ブォッ!」

いきなりエンブオーが暴れだした!
エンブオーはかえんほうしゃをハーデリアに向けて放つ。

「なにっ」

ロットも予想外で対応できなかったのかハーデリアが大ダメージを受ける。

「ハーデリア!」

「く、くぅん」

ハーデリアは仰向けに倒れ目を回している。少し予想外だったが、スッキリしたし、結果オーライだ。俺は満足してエンブオーをボールに戻そうとする…と

「ブァー!」

エンブオーがボールに入るための光線を凪払った。そのまま気絶したハーデリアに向かうと…

「ブゥンッ。ブゥ!!」

なんと、ニトロチャージを放ちだしたのだ!
このままではハーデリアがただではすまない!そんな中、俺は起こっていることに唖然としていて、動くことができなかった。

「エ、エンブオー!止まれ!」

その一言だけ俺は叫んだ。しかし、エンブオーに俺の声は届かない…いや、聞こうとしてないのだ。

「ハーデリア!」

ロットはハーデリアを抱いて守ろうとする。ボールに入れる時間が惜しいからであろう。しかし、こうなったらロットさんも只ではすまない。

「ジャノビー!イーブイ!ルカリオ!ハトーボ!」

その時、動いたのはやっぱりあの少女だ。

「レイナ…!」

思わず声が漏れる。
レイナのポケモン達はエンブオーのニトロチャージを押し返している。そして、レイナ自身も押し返している。しかも、わざわざエンブオーの炎が出ている部分を。それを見て、マオ、ツバキも動き出す。

「フタチマルみずのはどう! ハーデリア!いくぞ!」

マオはフタチマルのみずのはどうでレイナが接触している炎の部分の負担を減らそうとして、ハーデリアとマオはエンブオーを押さえるのに参加する。

「ズガイドス!ワルビル!いくよ!」

ツバキも六つあるボールの中から二つ繰り出す。
しかし、それでもエンブオーの勢いは止まらず、エンブオー自身も我を失っているようだ。

「エンブオー!止まれ!」

叫んでも声は届かない。

「あぅっ…」

レイナがこぼしたように声をだす。両手で押さえているエンブオーの炎の部分。そこがジュウジュウと大きな音をだしていく。エンブオーの炎が強まっていってるのだろう。

「れ、レイナ!」

ここで俺はようやく動きだそうとするが足が動かない。

きっと…きっとこわいんだろ。暑いんだろ。苦しいんだろ。

余計なことが脳内に溢れ帰ってく。
きえろ…きえろきえてくれ!

「くっ。ワルビル!ズガイドス!がんせきふうじ!」

ツバキが指示をだすと二匹はエンブオーに向かってがんせきふうじを繰り出す。
するとエンブオーはノックバックする。

「レイナちゃん!大丈夫!」

ツバキは腰のウエストポーチから保冷剤を取り出すとレイナに握らせる。レイナの手はジュゥーという音が鳴る。

肝心のエンブオーは戦闘不能になっており、フタチマルのみずのはどうと、ズガイドスとワルビルのがんせきふうじがこたえたようだ。

「フタチマル。レイナにみずのはどう。」

マオもレイナの手を冷やそうとする。俺はレイナにかけよりしゃがんで、手の状態を見る。
レイナの手は真っ赤で所々はれており、とても痛々しい。しかし、レイナは平気な顔をしている。かなりの火傷だが、エンブオーの炎をまともにさわってこの火傷ですんだのは不幸中の幸いだ。

「…ヒュウ。大丈夫?」

レイナは俺の頭に手をおき撫でる。

その時俺は初めて気づいた。










あぁ。レイナはいつからこんな遠い所にいたのだろう。








Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.69 )
日時: 2021/06/10 11:07
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: apTS.Dj.)

「ロットさん…」

俺は罰の悪そうにロットの方を向く。いや、こいつらはプラズマ団かもしれない奴らだ。罰の悪そうにしなくても良いのではないだろうか。俺の声が聞こえたのか聞こえなかったのかはわからないが、ロットはハーデリアを抱え俺にむく。

「いやはや。これほどの実力とはね。」

俺は何も言わずにロットをただ見つめる。ロットは髭を触る。

「ポケモンをよく育てている。しかしね、足りない所はあるようだね。」

 ──足りない所
思い当たる節はない。これだけポケモンを強くして、まだ足りないと言われるとかなり堪える。

「それと、その三人方の団結力。目を見張るものだったよ。」

「えっと。あ、ありがとうございます。」

ツバキは顔を赤らめながら言う。
マオとレイナはロットさんに対して軽く会釈をする。

「これなら大丈夫そうだね。いや、試すような真似をして悪かったね。元プラズマ団ということもあって…色々とあるんだよ…。それじゃあ。中へ。」

ロットさんはそう言うとすぐに背を向いてあるきだした。

『元プラズマ団?』

どういうことだろう…。

───────────

中へ入るとそこには沢山のポケモンと、プラズマ団の格好をした人達がいる。外と同じレンガが中でも使われており、何処か暖かみを感じる。
右には大きな四角いカーペットがいきてあり、左には長椅子が縦に二つ並べられている。ロットは中央でとまると、俺たちにむきなおる。

「改めて名乗りましょう。私の名前はロット」

「で、あんたらもプラズマ団だろ。さっきの黒服のプラズマ団となにが違うんだよ。」

俺は半ばロットの言葉をさえずり、早口で言う。

「正確に言うと、"元"プラズマ団だ。二年前の事件を出来事に罪滅ぼしとして私達が奪ってしまったポケモンの保護とトレーナー探しをしている。」

「二年前の出来事ってなんですか?」

ツバキがロットに聞く。そんなことどうでも良い。早く、早く早く…

「二年前、プラズマ団は、人々からポケモンを解放するために様々な行動をとっていた。時には実力行使にも出ていてね。しかし、私達はそれが幸せに繋がると信じていた。でもね、二年前。あるトレーナー達が目覚めさせてくれたんだ。そして、私達はその罪滅ぼしとしてこの活動をしているんだ。」

「二年前に…そんなことが…」

ツバキはそう言うと、ポケモン達をみる。
その瞳はこのプラズマ団達をどうとらえるべきかなやんでる目だ。

「そして、ヒユウ。お前は?」

ロットは俺に問う。ロットはなにがとは言わなかったが、俺はその"何"の部分はすぐにわかった。

「俺はヒユウ。ヒウオギシティの赤白 ヒユウだ。三年前。お前らプラズマ団に大事な妹のポケモンを奪われた情けないトレーナーだよ。」

俺はたっぷり皮肉を込めてロットを睨み付ける。ロットはやはりとも、悲しいという感情とも読み取れる複雑な顔をして俺をみる。
マオもツバキも驚いた顔で俺の事をみる。ただ、レイナは何も反応せず下を見ている。
その様子をみて、俺は何かが切れた。

「なにが…なにが離ればなれだよ…。

 そうしたのはお前らだろッ!」

「やはり…そうであったか。誠に…申し訳…ない」

ロットの声はもうカラカラで辛うじて絞り出せたかのような声だ。

「謝るだけなのかよっ!それで終わりなのかよッ!」

どんどんヒートアップしていって…

「妹の…メイのポケモンはッ?!チョロネコだよ!チョロネコ!」

俺の爆音波並の怒声は建物に響き渡り、楽しく遊んでいたポケモンやプラズマ団は一気に静まり返った。

ツバキ、マオ、レイナも、俺を止めようとするが、躊躇う。

「ヒユウの言うポケモンはここには居ない…。
 恐らく、今でもプラズマ団にこき使われている  のだろう… 
 そして、ヒユウの言う通り、謝っても何も解決しない。
 だが、罪を認めて謝らねば我々は前へ進めないのだ…」

「このッ!」

俺は感じるもの全てが白紙のよりも白くなり、いつの間にかロットの胸ぐらをつかんでいた。

ダメだ。いけないことだと分かっている。この人達は反省しているんだ。

そう言い聞かせても俺が理解してくれない。
分かってる。分かってるんだ。この人達を攻めるのは違う。しかし、理性で分かっていても感情が分かっていない。

「本当…に…すま…な…」

ロットの苦しそうな声が聞こえる。それを聞いて俺は更に力をいれる。
すると、不意に俺の手のひらは空気を掴んだ。そして、今度は逆に手首を掴まれている。

「ヒュウ」

レイナが俺を止めてた。
レイナの濁りきった、生気のないような瞳に見つめられる。なにもない。無の瞳。どこか、諦めているようないつもの瞳。しかし、どこかしら寂しさを感じる。
俺はおもむろにレイナの手を引き剥がす。

「もういいッ!謝られても妹のポケモンはここには居ないんだろッ!」

そう言って俺は走り出した。走ってはしって、走りまくった。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.70 )
日時: 2021/06/10 11:08
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: apTS.Dj.)

~マオ~

「もういいッ!謝られても妹のポケモンはここには居ないんだろッ!」

ヒュウがそう怒鳴ると走って家を出ていった。

「ヒ、ヒユウ!」

椿が慌ててヒュウを追う。
そして、その場はルギアが去った後のように静かになる。
ロットさんは下を向いてただ黙っている。

あのヒュウがあんな荒々しくなるなんて…
いや、“昔のヒュウ”ならありえるが…
あのヒュウが…
一体何があったんだ。なにかあるはずだ。俺らの知らないなにかが…

「レイナ。」

レイナの体がビクッと震える。
この反応はやはり心当たりがあるのだろう。

「レイナ。ヒュウに何があったんだ。」

レイナが俺を濁った瞳で見つめる。俺はその瞳をしっかりと見つめ返す。数秒見つめあった所でレイナはロットさんをチラ見する。
きっとプラズマ団のことを話すため、ロットさんを気にしているのだろう。
ロットさんはそれを察してか首をわずかに縦に降る。

「三年前─」

───────────────────

「やぁ。元気かい?」

噴水がある小さい島の公園から本土にかかっている橋。そこで俺は黄昏れていると。ムシケラが一匹。

「なんだ。椿。」

「別に。なんとなく来ただけだよ。」

そういって、椿はしれっと俺の隣に立つ。

「ねえ。ヒユウ。何があったんだ?」

椿が単刀直入に俺に聞く。

「お前には関係無いだろ。」

「関係あるね」

しつこい。俺は椿をこれでもかと睨む。
当本人は方をすくめ呆れ顔をする。俺は更に不快感を椿に覚える。

「良いから立ち去れ。」

「無理だね。」

「なら俺が去る。」

俺はケンホロウのボールを手に取り、その場を去ろうとする。

「レイ レイナ」

椿が不意に口を開く。
俺は立ち止まり椿の方を振り向く。

「この子。関係あるんでしょ。」

「だからなんなんだ。」

「凄く不安そうにしてた。」

「俺の知ったこっちゃない。」

俺は椿の挑発に極力乗らずに突き飛ばすように返事をする。

「それレイナちゃん聞いたらどう思うのかな?」

「…お前。」

椿が勝ち誇ったように俺の額に指を指す。
最初からここまでの流れは計算済みだったってことか。

「チェックメイトだよ。ヒユウ。」

「本当にお前。いい性格してるよな。」

皮肉をこれでもかと詰め込んで椿に投げる。

「それはどーも」

椿はニヤリと笑って俺の皮肉を綺麗に返す。

「さあ。話してもらうよ?」

「はあ…三年前─」

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.71 )
日時: 2021/06/10 11:51
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: apTS.Dj.)

―三年前―

「ポカっ!ポカポカ!」

「ポカブ。美味しい?」

「ポカポカっ!」

ある春の昼下がり。俺はいつものようにポカブにお菓子を上げていた。

当時の俺は小学1年生。父親は居ない。母親は人気女優 霊 結香のマネージャーをしていて、いつも深夜に帰ってくる。だから日常生活は俺とメイで生活してる。と言っても、小学1年生と幼稚園児で生活なんて流石に危ないため、隣の家の、レイナの兄である羽静ワセイ兄さんが時々世話をしてれる。
家事全般は俺がやっていて大変だが、去年隣に引っ越してきた霊家の三人目の養子の霊麗菜という同級生のお陰で毎日は楽しくなっている。

「ねぇ!ヒュウ!遊ぼ!」

底抜けに明るい声が響く。後ろを向くと俺と同じツインテールの黒髪に少し赤みがかったぱっちりとした瞳の幼女が。
赤白セキシロ 萌維メイ俺の妹と、その胸には今は居ないおじいちゃんがくれたチョロネコがいる。

「おう。いいぞ。なにして遊ぶ?」

俺は自然と上がろうとする口角に身を委ねメイに返事する。メイはぱあっと顔を輝かせ片手で俺のてをとる。

「うん!れーねぇとポケモンバトルしたいっ!」

れーねぇ…レイナのことだ。
レイナはポケモンバトルがここら辺の大人顔負けにに強く、毎日この時間にポケモンバトルをして遊んでいる。

「あぁ。俺もレイナとバトルしたいっ!」

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「イーブイ!そのままアイアンテール!」

「あぁっ!チョロネコー!」

ここは近くの公園。
俺達は家にいたレイナを誘いポケモンバトルをしている。相変わらずレイナは容赦なく、ポケモンを飼いたてのメイにも本気でバトルしている。

「ぶぅ…れーねぇー強いよぉ…」

メイはほっぺをホシガリスのように膨らます。
レイナは少し目を細める。

レイナは出会ったときは生きているか死んでいるかわからない人形のように無表情で、生気のない人形のようだったが、今は笑ったり、瞳にハイライトがあったりして、人間らしくなってきている。

「次はヒュウ?」

レイナが挑発的な目で俺を見る。俺はモンスターボールを構えるとレイナの元へすぐいく。

「ああ!今日こそは勝ってやる!」

そうタンカを切った瞬間。

「いやぁぁぁぁ!」

頭が割れるような高い音の叫びが辺りに響き渡る。
そこに見えたのは、倒れているメイと…

「よし、こっち、チョロネコを捕獲。」

「あぁ、よくやった。そろそろ引くぞ!」

水色のフードに白色の上着を着て、黒の帯で腰で止めている。胸には白黒で、p、Zが重なったマークが書かれているファッションをしてる大人の男の人達。
その人達がメイのチョロネコを編みに入れてトラックの荷台に積もうとしている。その荷台には数10匹という大量のチョロネコが捕まっていて、一匹一匹何かを訴えるように叫んでいた。

「お、お前ら!何してるんだよ!」

俺はたまらず声をかけた。ポケモンを奪うなんて泥棒だし、おじいちゃんの形見であるチョロネコを奪われるわけにはいかない。

「あ?なんだ?ガキか。」

1人の男が呆れ顔で俺を見る。

「黙らせとくか?」

「そうだな。少年すまない。これはポケモンが幸せになるために仕方の無いことなんだ。だから、眠ってくれ。」

嫌な予感が身体中を電流のように駆け回る。しかしハブネークに睨まれたコラッタのように指1本動かすことができなかった。

「ミルホッグ!けたぐり!」

男がミルホッグに指示を出し、ミルホッグが飛んで足を俺につきだし襲ってくる。

あぁ…怖い。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.72 )
日時: 2021/06/24 03:08
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 69bzu.rx)

「イーブイ。アイアンテール!」

「ブッ!イッ!」

その瞬間。
イーブイがアイアンテールでけたぐりを弾き返した。

「返して。そのチョロネコ。」

レイナの声がいつもより張り積めていて、怒ってることが容易にわかる。
レイナはイーブイを出して戦闘態勢だ。
俺も慌ててポカブを繰り出す。

「そのチョロネコはおじいちゃんの形見なんだ!返して…」

「すまないね、これはポケモンの幸せに必要なことなんだ。」

幸せに必要なこと…?
訳がわからない。でも、もしかしたら悪い人じゃないのかも…
俺は少しだけその人達を信用しようとした。しかそ、

「なぁ。レイナ…」

「ダメ。信じちゃ。」

レイナがいつもよりも鋭い声で言いはなったため俺はぐうの音もでなかった。

「物わかりが良くないガキだな。もうやっちまおうぜ。いけっ!ダストダス!」

もう片方の男がダストダスを繰り出す。
俺は数秒前の自分を恨みながらヘドロバクダンを見つめる。

「イーブイ!アイアンテール!」

するとイーブイがアイアンテールでヘドロバクダンを消し去る。

「今です!ミルホッグけたぐり!」

「しまっ…!」

その僅かに出来たイーブイの隙。それを男達は見逃すはずが無かった。
イーブイはモロにけたぐりを食らってしまいノックバックする。

「追撃でドレインパンチだ!ダストダス!」

叫び声を上げていたイーブイに慈悲等全く見せずに効果抜群のドレインパンチをイーブイに食らわせる。

「イーブイ!」

レベル差があるミルホッグとダストダス。そして効果抜群の技。それに耐えられる訳もなくイーブイは戦闘不能になった。
レイナは表情筋1ミリも動かさずにイーブイを抱き抱える。しかし、レイナの瞳は真っ黒で何も見えない。

なぜだ。どうして。そんなわけが無い。
レイナが負けた。あのレイナが負けたのだ。あの強いレイナが。俺の頭は疑問が浮かんでは消えていく。

「れ、れぃねーちゃん…」

妹の…メイの声で目が覚める。
レイナが負けたのは…俺のせいだ。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.73 )
日時: 2021/07/10 00:49
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: gK3tU2qa)

ーヒュウー

「へぇ…そんなことが…ね…で、その後どうなったわけ?」

聞き方が憎たらしい。だが、それに悪態をつく気力もなく俺は素直にこたえる。

「その後?一番考えたかねぇよ…
 レイナのやつ…トラックに引きずられながらチョロネコを取り戻そうとしたんだよ。生身の人間。しかも幼女が、トラックだぜ?もう…血だらけで…俺は何も言えなかったさ。」

椿は何かを口にしようとするが引っ込める。椿なりに言葉を選んでるつもりなのだろうか。

「それで…君はそんなに強く…強さを求めることになったわけ?」

「ま…早い話。そうだな。俺はレイナに負けるわけにはいかないから。さぁ、こんな話も終わりだ。俺はやらなきゃ行けないことがある。」

「レイナちゃんに負けるよ」

立ち去り際、椿にそう言われた。意味がわからない。今もレイナと戦うと俺の圧勝だ。ステータスの差がありすぎる。

「戯れ言はよそでやってくれ」

「レイナちゃんのあのボール、イーブイの毛並み。明らかにポケモンを大切にしている。ポケモンバトルってのは、ポケモンとの絆が固い人が最終的に勝つからね。」

椿は顔を赤らめ、手を頬に当て目を細めうっとりしている。もしかして…レイナと初めて会った時に顔を赤らめていたのはレイナに惚れたからじゃなくてレイナのポケモン愛にうっとりしていたから…?
今更椿への誤解が解けた俺だったが、やはり最終的に麗菜達(ポケモンと絆が固いトレーナー)が俺達(ステータスが高いトレーナー)に勝てる訳はない。

「根拠は?」

俺は意地悪く聞いた。

「ないさ。経験だよ。」

椿は眉を八の字にし、肩をすくめた。

「下らない。」

俺はそう言って立ち去ろうとしてた。

「ベストウィッシュ!お互い良い旅を!」

後ろからそう言われて俺は左手を上げて手のひらを大きく広げてやった。


        6章 〜完〜