二次創作小説(紙ほか)
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.92 )
- 日時: 2022/01/16 14:45
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: P/XU6MHR)
第八章 マオ 〜PWT〜
トモバが誘拐されてから数日。親父はプラズマ団の基地やら、後処理やらをしていて結構な時間がたった。
そしてようやく今日。大会が開かれるのだ。
そして、PWTにて。エントランスには レイナ、 トモバ、ヒユウ、マオ、セブン、マツリ、ツバキ、皐月、エイト、カシワ、シイナ、リンドウ、ミツキさん、ムスカリーさんそして…
「ちょっと。一応カゲロウさんの手伝いなのに今回俺出番なかったんだけど?」
銀髪ボブに青い瞳。白い肌、白いパーカーに黒のショートパンツ。黒いタイツに白のブーツを履いている。
「まあまあシアン。俺達の使命は果たせたからいいじゃないか」
「そうそう。」
"手伝い"という名目で来たミツキさんとムスカリーさんが銀髪ボブの人を宥める。
「いいや!大体今回、出場者のカゲロウの子供を守るって話だったのに、プラズマ団の拠点に行って助けたのミツキだけじゃん!俺ら用無しじゃねーか!」
白銀の人は怒鳴る。というか、やっぱ"手伝い"の人達は俺達を守るために来たのか。通りでミツキさんが、都合のいい時に助けてくれたわけだ。
「まあまあ、あ、そうだ。俺はムスカリー・ソウル。君たちを守るために来たんだけど。もうお役御免かな。」
ムスカリーさんは銀髪の人を宥めると同時に俺たちに自己紹介をする。
「僕は七瀬 美月 僕も君たちを守りに来たんだけど。もう大丈夫かな」
「ミツキは俺達の役目を全部かっさらって行ったけどな。俺はシアン。この2人と同じ君達を守るために来た。今となっちゃ用無しだがな。」
銀髪の人ーシアンさんは不貞腐れる。男口調だけど見た目からして女の人だろうけど。確かにムスカリーさんとシアンさんの活躍はなかったけど、皆無事だったから良かったと思うがな。いや、無事…じゃないか。レイナがプラズマ団基地に攻め込んだ時、トゥエルブスに喧嘩売って血だらけにされて倒れたらしい。確かにレイナと合流した時は服が破れてたり血だらけで直視出来ない状況だった。そのため今はトモバ、マツリプロデュースの服を着ている。似合ってはいるが、トゥエルブスに付けられた怪我が気になるな。
「そういえばレイナ。前の怪我は大丈夫だったのか?」
俺は気になってレイナに聞く。
「あぁ。それなら」
そう言ってレイナは腕をまくり俺に見せる。そこには傷1つ無い真っ白で細長い腕があった。
え、なんで傷がないんだ?
その疑問を読み取ったのかレイナは俺が聞く前に答える。
「治った。」
その一言だった。え、治った?あんな傷だらけだったのにたった数日で治るものなのか?
「……傷はすぐ治る体質だから。」
幼馴染なのに知らなかった… たしかにレイナがポケモン関連で深い傷負った時もすぐ治ってたな。引きこもってたから分からなかった。
「あ、対戦表が発表されたっ」
シイナが受付の上の画面を見ながら言う。お、本当だ。各トレーナー12人の名前が書かれたトーナメント表が発表される。
「おっ、俺はレイナか」
カシワが呟く。
「そうね。」
レイナは素っ気ない。しかし、その顔は楽しみにしている、不敵な笑みに見えた。
「俺は…ツバキとかよ。」
ヒュウがうんざりした顔でツバキに言う。
「ヒユウ。そんなに僕と当たるのが嬉しいのかい?」
ツバキがからかうとヒュウはさらに眉間に皺を寄せる。
「んなわけねぇだろ。瞬殺してやる」
ヒュウのどす黒い声が響いた。俺でもゾッとするような声でもツバキは動じない。鈍感なのかバカなのか…
「マオ!私とだよっ!」
すると後ろから聞きなれた声が聞こえてくる。そこには金髪に髪先が赤く、赤髪で髪先が黄色い俺とは真反対の色をしており、頭に赤いカチューシャをつけている少女がいた。俺の妹。トモバだ。第1回の対戦相手はトモバのようだ。
「そうか。お手柔らかにな。」
「全力ではっ倒すんだから!」
お手柔らかにと言ったんだがな。しかし、トモバがバトルに積極的なんて珍しい。恐らく、前の誘拐の時で心情の変化があったようだ。
「あっ、私はサツキちゃんとだぁ!」
トモバと全く同じのテンションの人物。見なくても分かる。マツリだろう。俺はなんでテンションが高いやつに囲まれてるんだろうか…
トモバといいマツリといい、ヒュウといい…いや、今のヒュウは…昔とは違うもんな。
それよりマツリの所はサツキというレイナの親戚が対戦相手らしい。
「よっ、よろしくお願いします…」
サツキはペコペコと頭を下げていた。
「僕は…兄さんとか…」
エイトがボソッと呟く。しかし、俺には聞こえていた。セブンはじろっとエイトを睨むと何も言わずに去っていった。
あいつ本当感じ悪いな。良くレイナもあんなやつと付き合うものだ。普通なら無視してるだろうに。ポケバが関わると本当レイナはバカになる。
「僕は、リンドウとか」
「よろしくねぇシイナちゃん」
「僕は男だ!」
まあまあ影が薄かったきがする2人が対戦か。これで組は以上だな。ブロックごとに分かれていてまとめてみると
Aブロック
レイナ対カシワ
ヒュウ対ツバキ
Bブロック
俺(マオ)対トモバ
サツキ対マツリ
Cブロック
エイト対セブン
シイナ対リンドウ
という感じになるな。もしトモバに勝ったとしたらツバキか、ヒュウに当たることになる。ヒュウとツバキのバトルは前に見てるからな。多分これはヒュウが勝つだろう。そうなると俺はヒュウと戦うことになるな。無理ゲーだ… まあ頑張れるだけ頑張るか!
「それではAブロックのレイナ様、カシワ様。Bブロックのマオ様、トモバ様。Cブロックのエイト様、会場へお進みください。」
するとアナウンスが鳴る。一番最初の試合だ。負ける訳には行かない。
俺は高鳴る胸の音を抑えながら、会場へ進むのであった。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.93 )
- 日時: 2022/01/13 21:43
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: gfjj6X5m)
「ホドモエ駆け出しトレーナートーナメント シングルバトル 今回エントリーしたトレーナー達はこちらッ! 」
暗く、足元もギリギリ見えるか見えないかぐらいの待合室。そこにナレーターの声が聞こえる。ふと会場の方へ目を向けると、バトルフィールドであろう広場の真ん中の大きいモニターに出場するトレーナー12人の名前と顔の画像、トーナメント表が映っていた。
それにしても、バトルフィールド両脇の観客達の数が尋常でない。統治グループのコネ以外にも一般人も居そうだ。あ、ヒュウとツバキが喧嘩してる。出番がない待機勢は観客に混じって観戦することが可能なようだ。
「ホドモエトーナメントいよいよ開幕ですッ!!」
すると隣にいたスタッフさんにスタンバイを促された。そろそろか。
「統治グループの御曹司にしてポケモントレーナー!初挑戦!マオ入場!」
その声と共に俺はバトルフィールドに繋がる道を歩く。
俺がバトルフィールド二立つと横にある巨大モニターの大きさに驚かされる。
「これまた初出場!統治グループのお嬢様であり、対戦相手マオの妹!トモバ」
すると俺とは反対方向からトモバが歩いてくる。やはりトモバは目立ちたがり屋のため、凄くワクワクしながら歩いてる。笑いながら手を振って走ってくるよりかは幾分マシだな。
そしてトモバがバトルフィールドにたどり着く。
「それでは第1回戦!マオVSトモバ!」
すると横の巨大モニターが変化する。俺とトモバの顔がアップされ、俺とトモバの画像の間にVSとかいてある。
「マオには1度も勝ったことないけど。ポケモンバトルの努力なんて微塵もしてないけど。」
トモバはモンスターボールに手をかけ、俺に向ける。
「絶対に負けたくないから。」
それは不敵に笑っており、バトル時のレイナの顔を思い出してしまう。全く。良い顔しやがって……
「ミミロップ!」
トモバはミミロップを繰り出すしくじったな。ミミロップに打点があるポケモンを一番最初に出せなかった。
「いけっムーランド!」
相手はノーマル かくとうタイプ
こっちはノーマルタイプ。打点があるどころかこちらが不利だ。こうなったら最初はクロバット出してたら良かったな。
トモバだからあんま強くないからムーランドで3タテしようと思ってたんだが…
「ミミロップにどげり!」
大丈夫か。これ、ムーランド耐えてくれるか?
不安になった俺はムーランドがにどげりを食らう前にモンスターボールに戻した。
「戻しちゃうんだ。そうだよね。不利だもんね。」
トモバは深刻そうな顔をして考えているようだ。本当に珍しい。トモバがポケモンバトルについて真剣に考えるなんて。
さて、それより次はなんのポケモンを出そうか。
今回のルールは三体VS三体。俺はムーランド、ダイケンキ、クロバット、ミルホッグ、ワルビアル。その中でムーランド、クロバット、ダイケンキを連れてきている。抜群をとれているのはクロバットだな。クロバットに交代しよう。
「たのむ!クロバット!」
俺がクロバットを出すとトモバの眉間のシワがさらに深くなった。これは戦略を考えてるというか、クロバットのタイプ分からなくて考えてるんだろうな。ポケモンバトルに興味持ち始めたのは数日前の誘拐からだろうし、ポケモンバトルの知識はあまり無いはずだ。学校である程度習ったかもしれないが俺は学校の授業を真面目に受けていなかったため、クロバットが授業に出ていたか分からない。トモバは真面目に受けてたからある程度のポケモンは知ってるだろうが、クロバットのことは知らなかったようだ。ありがたい。
「クロバット!エアカッター! 」
トモバの顔が青くなる。これでクロバットのタイプはバレただろうな。しかし遅い。
エアカッターをもろに食らったミミロップは耐えられず倒れる。
「グッ…。どく、ひこうタイプかな。」
バレたか。まあトモバってバカに見えて本当は結構頭いいからな。柔軟性なら俺よりも上だ。兄としては嬉しいがポケモンバトルのとなったら厄介だ。
「ムシャーナ。お願い。」
ムシャーナ。エスパータイプか。不利だな。でもここで交代するのも惜しいし、クロバットにはここで準備をしてもらうか。
「クロバットどくどく!」
ムシャーナにどくの液体がまとわりつき、ムシャーナが毒状態になる。よし、これで少しづつダメージが入る!
「ムシャーナ!あくび!」
ムシャーナがクロバットの目の前であくびを披露する。それにつられてクロバットもあくびをする。まずいな。次のターンで眠らされてしまう。しかし仕事はしてくれた。ここでクロバットには戻ってもらう。
「クロバット!とんぼがえり!」
クロバットがムシャーナにとっしんし、ぶつかった…と思ったら俺のモンスターボールの中に戻っていく。とんぼがえりはむしタイプの技。エスパーのムシャーナには効果抜群のはずだ。これで結構削れただろう。
そして次は…
「たのむムーランド!」
ここでムーランドには次の準備をしてもらわなければならない。多分次はあくびがくるだろう。だから残りターンは2ターン。その間に削られるだけ削れたらいいんだが… というのもムシャーナは素早さは低い代わりにHPが異様に高い。だから大体の技は通りが悪い。今はHP半分まであるが、まあまあ良い方だろう。
「ムーランドじゃれつく!」
今のところ技の中で一番高火力の技だ。しかし、あんまり技は通らない。仕方ない。
「ムシャーナ!あくび!」
また来たか。これで次ターンにはムーランドは眠ってしまう。その前に役をまっとうさせてやる。
「ムーランド雨乞い!」
「ウワォーン!」
俺の指示に従いムーランドが空へ向かって吠える。するとぽつぽつと雨が降ってきて、数秒経てばばらばらと降り注ぐ雨になった。
これ観客濡れてないか?大丈夫かな。
という無駄な思考が過ぎったが振り払う。まあ、これでムーランドの役目は御免だ。
「バッフ……クゥン」
そしてムーランドは眠気に耐えられなくなったのか眠ってしまった。大丈夫だありがとうムーランド。俺がモンスターボールに戻そうとすると。
「ムシャーナ!ゆめくい!」
なっ、それが狙いか!
ムシャーナがムーランドに近づき何か空気をバクっと食べる。するとみるみるうちにムシャーナのHPが回復する。
ゆめくいが相手が眠ってる時に発動できる技で、与えたダメージの半分を回復しちまう。しかも…だ。ムシャーナは特攻が高い。そのため特殊技のゆめくいも威力が高くなるのだ。流石のムーランドを1発で倒れた。
クソっ!折角削ったのに簡単に回復されちまった!
俺は心にヒビが入る音を聞きながらムーランドをモンスターボールに戻す。瀕死のムーランドはもうバトルには出せないな。クロバットは相性的に出せないから俺のポケモンはあと一体。行けるか?ムシャーナが何とか出来れば行けると思うんだが…
「たのむ!ダイケンキ!」
旅に出る際、学校で手に入れたミジュマルがダイケンキにまで進化したのだ。今となってはエースになっている。因みに相棒はムーランドだ。
「ダイケンキ!メガホーン!」
エスパーには弱点のむしタイプ技だ!そしてムシャーナは特防より防御の方が低い!ちょっとしか差はないが。
そしてダイケンキのメガホーンはムシャーナにクリティカルヒットした。
「ムシャーナ!」
ムシャーナは戦闘不能になり、トモバがモンスターボールにムシャーナを戻す。あぶねぇ… これで倒せなかったらあくび打たれてたから厳しかったな。クリティカルヒットをだせるのは運が良かった。
とにかくこれで勝ち確だ。
「最後。バニリッチ!」
生まれた頃辺りからトモバと一緒に居るトモバの相棒。バニリッチが出てきた。
バニリッチは氷単タイプ。
「バニリッチ!とける!」
なっ、俺のダイケンキより早い…?いや、そんなはずは無いはずだ。じゃあ、何故……?
多分持ち物だな。持ち物がせんせいのツメだったんだろう。しかし、ここでとけるを使われ、防御が2段階上がるのは頂けない。そしてせんせいのツメを持たされているのなら…これしかない!
「ダイケンキ!アクアジェット!」
ダイケンキがバニリッチにむかって水をまといながらとっしんする。
通常であれば防御が2段階上がっているバニリッチには通りにくい技だが…どうだ!
その技はバニリッチに当たり、HPの1/3減らす。
よし!結構減ったぞ!
「へ?え?なんで?!」
トモバも結構ダイケンキの技が通ったことに驚いている。よし、ここは兄として教えてやるか。
「雨だよ。」
するとトモバははっとし、顔を青くする。今は雨状態。雨状態はほのおタイプの技を半減すると同時に、水タイプの技の威力をあげるのだ。
「天気の効果なんて……習ってないよ…」
学校ではまだ習っていなかったらしい。ラッキーだ!
「ダイケンキ!バニリッチに攻撃させる暇を与えるな!連続でアクアジェットだ!」
するとダイケンキは何回も何回もアクアジェットをバニリッチに当て、ついに戦闘不能まで追い詰めた。
「ま、負けた…そうだよね。大した戦略考えてないもの。」
それはトモバらしくないしめった声だった。でも俺は励ましの言葉なんてかけない。ここで、トモバには成長して欲しいから。
「第1回戦 勝ったのはマオだーッ!!
これが実力なのか?残ったポケモンは2匹ッ 見事な勝利です!」
ナレーターがその場の勢いの火力を上げながら言う。実力じゃない。今回は運が良かった。ポケモンバトルは運がかなり勝敗に左右するからな。少し物事が違えば負けていたかもしれない。
俺は黙ってトモバに背を向けた。
ーーーーーーーーー
「みてたよ!マオ2回戦進出おめでとう!」
早速ツバキが迎え入れてくれる。後ろにはヒュウも居る。それにしても…
「なんでお前らずぶ濡れなんだ?」
俺はびちょ濡れのヒュウとツバキに問いかける。
「お前が試合で雨乞い打ったからその弊害が観客に出たんだよ。」
ヒュウが少しイラつきながら俺に言う。あ、やっぱ雨乞いって観客にも被害出るんだな。当の俺もびしょ濡れだし。
「天候の弊害が出るのは親父に報告しないとな。それより、バトルフィールドを整えるのに時間かかるだろうから更衣室で着替えてこようぜ。」
俺は苦笑いしながらツバキとヒュウに言う。2人はそうだなとうなづいてくれた。
「あー、あと、Aブロックのレイナ達のバトルまだ終わってないらしいから見に行かねぇか?」
ヒュウが言う。なんだかんだでコイツレイナ1番で回ってるんじゃねぇの?と思いながら、俺とツバキは頷いた。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.94 )
- 日時: 2022/01/24 08:54
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ae8EVJ5z)
「キングドラ!バブルこうせん!」
「向かいうて!ジャローダリーフブレード!」
俺たちがレイナとカシワの試合を見に来た時はもう試合はクライマックスだった。
2人とも残りポケモンは1匹で、かなり粘っていた。
「持ってきたぜ」
ヒュウが後ろからやってくる。ヒュウは人数分のコーラとホッドックを持ってくる。
「あぁ。ありがとう。」
俺はそれを受け取り、レイナ達の試合に集中し始めた。
「今のところは五分五分だね。」
ツバキはコーラをずるずると飲みながら呟く。その通りだ。試合はお互い牽制し合ってて進まない。
ジャローダはキングドラの周りを持ち前のすばやさで翻弄する。キングドラはジャローダが近づいてくると凍えるかぜで防ぐ。
「ジャローダ!蛇睨み!」
レイナが遠距離でも効果がある蛇睨みを使う。蛇睨みは相手を睨んで麻痺にさせる技だ。
キングドラはジャローダと目が合ってしまい、麻痺になってしまう。麻痺になったことによりキングドラの動きが鈍くなる。その隙をレイナは見逃さなかった。
「ジャローダ!リーフストーム!」
リーフストーム。威力が高い代わりに特攻が2段階下がってしまう技だ。
特攻が下がってしまうのも受け入れて攻撃したとなると、ここで仕留めて来てるなレイナ。
リーフストームはキングドラに命中し、キングドラは吹っ飛ばされる。
キングドラ戦闘不能だ。
「勝ったのはレイナだァァーッ!」
ナレーターが声を張り上げる。良かった…レイナが勝った…
俺は幼なじみが勝ち、安堵する。ヒュウとツバキも同じ事を思ったのか力が抜けて背もたれにもたれかかっていた。
てかカシワを応援してた奴居ないのかよ。多分ギャラリーのほとんどの女性はカシワを応援してただろうな。凄く今ガッカリしてるから。
レイナは汗でびしょ濡れの顔を拭う。それが絵になるほど美しく見とれてしまった。
レイナは俺達に気づいたのか、少し微笑んで手を上げる。
やっぱり試合後だからテンション高いな。こんなに喜んでるレイナは珍しい。
「さっきの借りは返した。」
レイナが息を吐くように言う。
「クッソっ!次は俺様が勝つからな!レイナ!」
カシワは負けたとは思えない威勢のいい声でレイナに指を指し去っていった。
負け犬の遠吠えのようだが、カシワかやると絵になるな。
「他の対戦はどうなっているでしょうかァ?それではみなさまァ!ビジョンをご覧下さいッ!」
お、第1回戦はどうやら終わったようだ。俺たちはモニターに目を向ける。
「Aブロック!1回戦レイナVSカシワ!まさにシーソォーゲームッ!制したのはレイナ!
同じくAブロック1回戦!ヒユウVSツバキ!まさにワンサイドゲームッ!ヒユウの勝利!」
ということはAブロックはレイナVSヒユウになるのか。ヒユウが勝ちそうだな。
「Bブロック1回戦!トモバVSマオ!意地と意地のぶつかり合い!制したのはマオ!
同じくBブロック1回戦!マツリVSサツキ!なにもさせないまま勝利を手にしたのはサツキ!」
ということは、次は俺とレイナの親戚と当たるのか。マツリとサツキの試合見てないせいでサツキの強さも手持ちも分からない。しくじったな。
「Cブロック1回戦!セブンVSエイト!まさにワンサイドゲーム!セブンの勝利!
同じくCブロック1回戦!何もさせないまま勝利を手にしたのはリンドウ!」
ふむ。まとめると次はレイナVSヒュウ。俺VSサツキ セブンVSリンドウか。レイナとヒュウはヒュウが勝つと予想できるが他の人たちは予想出来ない。
しかし、他の人たちの強さは分からない。
これは...
「面白くなってきやがった。」
俺はニヤけが止まらなかった。レイナのが移っちまったな。
それよりツバキがドン引きしてヒュウが呆れてるのは気のせいか?俺が悪役顔とかだからじゃないよな?
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.95 )
- 日時: 2022/02/01 23:43
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: sjVsaouH)
薄暗く、自分の足がギリギリ見えるか見えないの控え室。
俺は今、そこに立っている。
「Bブロック2回戦!圧倒的力を見せつけたサツキ!入場ッ!」
今回の対戦相手サツキが出てくる。紫の髪に緑の目。レイナの親戚らしいが全然似ていない。それもそうだ。レイナは霊家の養子だ。血は繋がっていない。とはいえ霊家は芸能人オールスターだ。母は女優長男はアイドル 長女はモデル 次男、三男もアイドル。霊家の顔面偏差値は半端じゃない。サツキもその血を受け継いでいるのだろう。物静かそうだが、鼻が高く、顔が小さい、涙目のぱっちりな目。胸は大きいとは言えないが太ってもなく細すぎでもないスタイル。
サツキも芸能界入り出来るような容姿だ。まあレイナには敵わないけどな。
それより相手の手持ちが問題だ。マツリに何もさせないで勝ったとナレーターが言っていた。かなり強いに違いない。油断するな俺。
「相手は妹を蹴散らして這い上がってきたマオ!」
ちょっと言い方に悪意ないか?
そう思いながら俺はフィールドに続く道を歩いてく。1回戦よりギャラリーが多い気がするな。でもそんなの関係ない。
目の前の敵に食らいつくだけだ。
「それでは第2回戦サツキVSマオ!」
画面に俺とサツキの顔が大きく映る。
「レイナの親友か幼なじみかゴミか知らないけど レイナは私のだから。近づかないで。」
サツキがボソッボソッと呟いているがハッキリ聞こえる。なんだそのヤンデレ発言?!しかも俺の事ゴミとか言ってたよな?!
結構ヤバいやつだな。負けたら何されるかわからねぇ。
まあ負けるつもりなんてないけどな!
「俺はレイナの幼馴染だ。お前にとやかく言われる筋合いはない。」
俺はそう言ってモンスターボールを構える。
「そう。ならぶちのめさせて頂きます。」
そう言う口が悪くなるところはレイナそっくりなんだな。俺は呆れながらクロバットを繰り出す。
「チラチーノ!」
サツキはチラチーノを繰り出した。
チラチーノはノーマルタイプ。しかし、俺の手持ちには打点となるかくとうタイプは居ない。さぁどうするか。高威力の技でゴリ押しするか…それとも。
「いけっ!ミルホッグ!」
細長く、高く鋭い目をしているポケモン。ミルホッグが出てくる。さて、最初相手はどう出るか様子見だな
「チラチーノ!スイープビンタ!」
スイープビンタ。威力は25と低いが、一度に数回攻撃出来る技。最高威力100はでるのだ。しかし、最初のミルホッグはこの技で決まっている。
「ミルホッグ、みきり」
ミルホッグ特有の鋭い目付きでチラチーノを威嚇する。チラチーノは怯み、技をキャンセルする。
「よし、そのまま催眠術!」
これは当たるか当たらないかの運ゲーだが…どうだ?
「チラ、チラ…」
催眠術は当たりチラチーノが眠り始めた!
よっし!命中率60で当たるか当たらないか不安だったが見事当ててくれた!
「そのまま怒りの前歯!」
そしてミルホッグ高火力の技いかりのまえばをお見舞する。
しかし、流石に1回だけでは倒しきれないため…
「もう一度いかりのまえば!」
そうしてチラチーノはノックダウンさせられた。
「なんて陰湿な…」
と、サツキに悪態をつかれた。いや、その通り俺らしい陰湿なやり方だ。ただ、このやり方は初見だと攻略が難しいから、スタートダッシュを切る為に作った。
しかし、この後は正々堂々と勝負だ。
「いけっ!ワタッコ!」
次はワタッコか。特殊技をバンバン打ってくるイメージだな。気をつけなければ…
「ワタッコにほんばれ!」
にほんばれ?!やばいフィールドがワタッコに有利なフィールドに書き換えられていく。ワタッコの特性はようりょくそとリーフガードの2つがある。夢特性もあるが、それは無いと信じよう。
そして、ようりょくそは晴れだと素早さが上がる。リーフガードは晴れだと状態異常にならないのだ。
俺のミルホッグの技構成はみきり、催眠術、あやしいひかり、いかりのまえば
と、このように状態異常をかけることに重点を置いている技構成だ。相手の特性がリーフガードで状態異常無効となればミルホッグが手も足も出なくなる。
クソっ!どうすれば!
ともかく攻撃をしなければ!
「ミルホッグ!いかりのまえば!」
ミルホッグはワタッコに向かって噛み付こうとするが…素早さが上がっているワタッコはスラリとその攻撃を交わしていく。
クソ、やはり攻撃が出来ない!
ん?素早さが上がっているということは特性はようりょくそってことか?
なら状態異常にはかけられる!
しかし、催眠術のような命中率60の博打のようなことは出来ない。となればだ
「ミルホッグあやしいひかり!」
命中率100で相手を混乱させられる超優秀な技だ。
「またっ、陰湿な!」
サツキが嫌そうな顔で俺を見る。そんな目で見ないでくれよ。これも立派な戦い方だ。
ワタッコはあやしいひかりをもろに当たり混乱する。
「ッッ!ワタッコ!エアカッター!」
サツキはワタッコが攻撃してくれることを信じて指示を出したようだが、
「わっ、ワター!」
ワタッコは混乱して壁にぶつかり自傷してしまった。
「このっ!」
「トドメだミルホッグ!いかりのまえば!」
壁にぶつかって自傷しているワタッコに俺のミルホッグは容赦なくいかりのまえばを当てる。ワタッコは自傷ダメージが蓄積されていたこともあり、ミルホッグのいかりのまえばでワタッコは気絶してしまう。
「…本当陰湿で…ウザイ」
これ昔にバトルでレイナに言われたな、こういう時俺はこう返すのだ。
「そりゃどうも」
「このっ…!」
サツキの怒りのボルテージがどんどん上がっていく。ツバキもヒュウをよくからかっていると俺が呆れているが、俺も俺だな。
この相手がレイナだと尚更楽しかったと思う。
「最後。絶対ぶちのめす。ハッサム!」
そう言ってサツキは最後のポケモンエースであろうハッサムを繰り出した。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.96 )
- 日時: 2022/05/10 19:23
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: zbxAunUZ)
【外伝 マオとレイナのバレンタインデー】
去年の5月にゆーき。さんという方にレイナとマオの話をリクエストされたため外伝として作成致しました!
レイナ達の旅の前のお話です。
ーーーーーーーーーー
「レイナぁぁぁーー!!」
私の名前は霊 麗菜 ヒウオギシティの私立校に通っている9歳だ。来年は旅に出れる年代になるが今は旅に出る気は更々ない。
「ねぇ、レイナー?聞いてる?」
私の幼馴染でありクラスの人気者のトモバが私の目の前で手を振っている。
「聞いてるからそれ辞めて。あと、教室では関わらないでって言ったでしょ。」
私はクラスの嫌われ者だ。そんな私と関わればトモバも嫌われてしまう。だから基本人目のつくところでは関わるなと言ってるのだが…この現状だ。
「そんな硬いこと言わないでよー。」
私はそう呑気に言うトモバを横目に教室から出ていった。
「うわっ、びっくりした。レイさんじゃん」
「ちょ、呪いの子だよ」
どうやら私は呪いの子らしい。由来は私が不気味だからだろう。濁った黒目に黒髪、赤黒いシワシワのタオルでツインテールに縛り、本能的に近づいては行けないと思われるような雰囲気。自覚はしている。けれど直すつもりも更々ない。めんどくさい上にバカバカしい。
そんなことを思っていると屋上に着いた。
「ちょっと、レイナ待ってって…おっふ」
私はイラつきが最高点に達しトモバを壁際に追い詰め両手をトモバをまたいで壁に付ける。
「レ、レイナ。流石に美少女に壁ドンされたら私嬉しすぎて死にそうだから辞めてくれない?」
トモバが若干興奮気味に言う。それに私は気持ち悪さを感じ、手を離す。
「で、なんの用?」
トモバってたまに気持ち悪い時があるのよね。でも引きすぎたら余計トモバは鼻息荒くするから怖いのよね。
「あ、そうそう。今年もやって参りましたバレンタインデー!あ、待って!待って!行かないで!」
私は呆れその場を離れようとするがトモバが半泣きで止めてきた。私と肩に乗っているイーブイはジト目でトモバを見つめる。しかし更にトモバは興奮し始めたので諦めた。色々と。
「それで、バレンタインデーがどうしたの?」
これでは埒が明かないので私はまともに話を聞くことにした。
「良くぞ聞いてくれました!まあ毎年恒例だけどバレンタインチョコを一緒に作ろうと思って!」
そんなこったろうと思ったわ。
「ちなみに相手は?」
「ヒュウとマオ!」
トモバは学習能力が無いのだろうか。いや、トモバは定期テスト学年1位になるほどの頭の良さだが、こういう時は本当にバカだ。
マオとヒュウにチョコレートを渡すということはホワイトデーにマオとヒュウからお返しを貰うということ。ヒュウは昔から家事をやってきたこともあり料理上手だが、マオはダメだ。不思議とマオが作る料理はダークマターとなるのだ。それを貰うことになるのは断固拒否したい。去年までは確かに2人にチョコレートを上げていたがお返しにマオにダークマターを渡されて困っている。
「絶対イヤ。」
「レイナならそう言うと思った。マオのお返し嫌だもんね」
分かってたんかい。
私は呆れすぎてらしくもなくツッコミしてしまったじゃないの。
「でもさ、チョコレート上げないとマオとヒュウが残念がるよ」
トモバが私をさとすように言う。
「いや、たかがチョコレートで…」
「男子にとってはたかがチョコ!されどチョコレィット!というわけで今日レイナの家に行くからね!」
…厄介なことになった。毎年断れない私も私だけど…
ーーーーーーーーーー
「とゆーことでやってきましたっ!レイナ家!」
どうしてこうなった。私は頭を抱えたくなった。
ここは私の家のキッチン。私は一人暮らしのため親に迷惑がかかるとかそんなこと無いが…
「レイナの家には缶詰しかないからね!持ってきたよ材料!」
随分と用意がよろしいようで。トモバはビニール袋を取り出すとその中にはチョコレートの板数枚と、型、生クリーム、ホワイトチョコなど様々な材料があった。
ここまでされたら仕方ない…付き合ってやるか。
「で、何作るの?」
「ノープラン!」
ノープランって…てことは特に考えもなくスーパーの材料を、買ってきたってことよね。金遣いが荒いわトモバ。
去年は型にチョコレートを入れて作ったから…
今年は生クリームもあるし生チョコにしましょうか。
「はぁ。じゃあ生チョコ作るわよ。イーブイお願い。」
私は手伝って貰うためにイーブイをモンスターボールから出す。
トモバも、うんと頷き相棒のバニプッチを繰り出す。
「まずはチョコレートを溶かす。お湯は50度が丁度いいのよ。」
そう言って私はポットでお湯を沸かした。そしてボールに移しトモバが数年前チョコを、作るために買ってきた温度計を取り出す。
バレンタインでしか使わないけどね。
「よっし!バニプッチこなゆき」
トモバはお湯を冷ますためバニプッチにこなゆきを指示する。するとどんどんお湯の温度は下がっていき、丁度50度になる。こういうのは得意なのよねトモバ。性格が残念だけど。
「じゃあ、次はチョコレートを溶かすわよ。」
ーーーーーーーーーー
「出来た…!」
出来たわね。けど、やっぱり統治家の血というか、流石マオの兄弟というか…
トモバの生チョコは形が悪い。食べ比べしたところ味は悪くないんだけどね。
「やっぱりレイナみたいに綺麗に作れなかったなぁ。」
「仕方ないわマオの妹なんだから。」
私は容赦なくトモバに言う。まあ、味は悪くないからマオよりマシなんだけどね。
トモバは悔しいような悲しいような顔をする。
「はぁ。私のチョコをヒュウとマオに渡したら?」
「…大丈夫。味は悪くないから!」
トモバは無理やり笑顔を作ってそう言う。トモバがそう言うならそれでいいか。私はそんなに優しくないから。
「じゃあ渡しに行こうか。ヒュウはいつもの学校の特訓場に居るはずだから。」
私達はそう言うとチョコレートをラッピングして渡しに行くのであった。
ーーーーーーーーーー
「ヒーちゃーん!」
トモバは面白半分でヒュウを可愛いあだ名で呼ぶ。
「ちゃんを付けるなよ。てか、どうしたんだ2人揃って」
確かに正反対の私とトモバが一緒に居ることは少ない。けど、ヒュウはすぐ察したようだ。
「あっ、あ、あぁ!バレンタインだよな!いや、毎年毎年サンキューな!お返しちゃんとやるから!」
トモバと私が一緒にいる時はトモバが私を引っ掻き回す時かバレンタインデーぐらいしかない。すぐ気づいたヒュウは顔を真っ赤にさせあたふたしながらチョコレートを貰う。
毎年ヒュウはこうやって顔をオクタンのように真っ赤にして受け取るんだよな。これはチョロネコ事件が起こってからも変わらない。もしかしたらヒュウはトモバの事が好きなのかもしれない。明るい同士お似合いだし人の恋路に興味はないから関わる気はないけどね。
次はマオだね。しかしトモバは
「あっ、私寮の友達にも渡さなきゃ行けないからレイナ1人で行ってきてね!うん!じゃあね!」
逃げたな… マオにバレンタインチョコのお返しを貰う勇気がなくて。
因みにトモバとマオはヒウンシティに家があり、毎日往復するのに時間がかかるため学校の寮生活をしている。
さて、私もマオの所に行くか…気は乗らないけど。
ーーーーーーーーーー
マオは男子寮の部屋に居た。男子寮は男子だけしかおらず、別に女子禁制って訳では無いけど男子寮に入るのは少し勇気が居る。まあ入ったらそんなこと気にならないんだけどね。
「マオ」
私はドアをノックしマオを呼ぶ。マオは数秒経ってからドアを開ける。
「バレンタインか?」
マオは分かっていたようだ。その通りバレンタインである。
「うん。これ。」
私はシンプルにラッピングしたチョコレートをマオに渡す。マオは照れくさい顔をしてそれを受け取った。
「毎年毎年ありがとうな。お返しちゃんとするから」
「お返しはいらない。いらない。いらない。」
重要なことなので3回言ってやった。
マオのダークマターなんて死んでも受け取りたくないからね。
「いや、でも」
「なら市販のが欲しい」
私はたじろくマオをさし押さえるように言った。先にリクエストしとけばお返しはダークマターにならない…はず。
「分かった。豪華なの用意しとくな。」
統治グループの御曹司の豪華なお返し…
少し期待してもいいかもしれないね。
「それにしてもレイナが毎年毎年律儀にチョコレートをくれるのが意外なんだが…」
確かに私らしくないかもね。
「毎年トモバに引っ掻き回されるから…」
「あぁ、うちの妹がすまんな。」
マオは苦い顔をする。
本当だよトモバにはいつも迷惑かけられてる。
「まぁ、ありがとうな。嬉しい」
するとマオはいつもの極悪顔とは思えないようなふにゃりとした笑顔を私に見せた。それを見て私は少し心が、ポカポカしてしまったのだ。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.97 )
- 日時: 2022/02/24 17:28
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: so77plvG)
皆のバトル中にじゃまするゾ。僕の名前はゾロア。この黒髪のレイナとか言うやつのペットだ。この黒髪は僕達ポケモンを大事にする子のようで同じ手持ちのルカリオ先輩やイーブイ、ジャローダ等は黒髪に懐いている。
今も黒髪は微笑みながら僕達手持ちに触っている。けれど…僕は。
「…触れない」
そう黒髪は僕に触れないのだ。ご飯はくれるし寝床もモンスターボールがあるけれど、僕に触ってくれないし、バトルになんて出してくれない。こんなことなら施設にいた時の方が良かった。
「おいジャローダ!俺の食いもん取るな!」
「別に?取ったもの勝ちだ。」
そこで喧嘩してるルカリオ先輩。この人は僕の憧れでめちゃくちゃ強い!それにいつも黒髪の子に撫でられてて羨ましくもあるんだよな。
因みに今はバトル大会に出ている。黒髪は1回戦目突破し、2回戦の準備をしている。次は僕出られるかな?出られるといいな...
そんなことを考えていると
「次の対戦の手持ちを決めましょうか。」
レイナがそう口を開いた。ついに来た僕はワクワクしながらレイナのことを見る。
「ヒュウの手持ちはエンブオー、ケンホロウ、ゴルダック、ウィンディ。相手はエンブオーを必ず出してくるから同じタイプは出してこないはず。となると自然にエンブオー、ケンホロウ、ゴルダックの三体が出てくる。うちのエースルカリオと、ジャローダは炎が苦手なのよね。だから2人1緒は無理。そしてジャローダはゴルダックの弱点を付けるからイーブイ、ジャローダ、ケンホロウね。」
僕は少しがっかりする。分かってたはずなんだけどやっぱり直接戦力外扱いされるのはキツかった。
「あんた。それでいいの。」
いつも無口でクールなイーブイが僕に問いかけてくる。
「別にいいよ。イーブイはいいよね。種族値低いくせに」
僕は職員さんから聞いた種族値とやらの話を出す。するとイーブイは耳をピクっとさせた。
「ふっ。お互い様ね。」
鼻で笑われた。なんか悔しい。なんでこんなに変な性格してるんだろうこのイーブイは。よし、レイナ本人に講義してみよう。
「ねぇ、僕も出たい!出たい出たい出たい!」
僕は大声で抗議する。人間には「キャンキャン」言ってるようにしか聞こえてないかもしれないけど... レイナは顔を顰め手を顎に当てる。
「わがまま言わないの。」
するとケンホロウ姉さんが僕の頭を撫でる。だって... 言い訳をする前にケンホロウ姉さんに黙らされてしまった。うぅ、今回も出番なしか。
「そうね...じゃあジャローダ、ゾロア、イーブイにするわ。」
レイナは僕たちの会話がわかってるのだろうか?いや、そんなわけない、僕たちの声は聞こえてないはずだ。しかし、僕が手持ちに入ってる。僕は嬉しすぎてそこら辺をジャンプしながら走っしまった。
『次はレイナVSヒユウでございます。おふた方は会場へ...』
レイナとヒュウの名前が呼ばれる。レイナは立ち上がると掲示板の方を見る。そして黙って僕たちをモンスターボールに入れた。相変わらずレイナは何も言わないし無表情。何考えてるんだろ。それよりも僕が手持ちに入れて貰えた!僕は嬉しさで溢れかえりそうになった。
この後あんなことになるとは知らずにー
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.98 )
- 日時: 2022/03/13 20:02
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 1CRawldg)
どうもレイナのポケモンゾロアだゾ。今はご主人様であるレイナと、その幼馴染のツンツン頭のヒユウと言うやつが戦っている。正直戦状は最悪だ。相手はレイナの読み通りエンブオー、ケンホロウ、ゴルダックを出してきた。
最初、ヒユウはケンホロウを繰り出し、レイナはイーブイを繰り出した。そしてイーブイがケンホロウを勝ち取ると次はヒユウはゴルダックを繰り出す。イーブイはゴルダックに負けるが、ジャローダがゴルダックを勝ち取った。しかし、ここでエンブオーが出てくる。エンブオーはヒユウの切り札のようで、他のポケモンとは別格だった。ジャローダは勿論負け、あとは僕しか残っていない状況になった。
僕はあくタイプ。相手はほのお、かくとうタイプそして、別格に強い。今回の優勝はヒユウになるだろう。そして今、レイナは僕を出すか迷っている。
正直これは負け戦である。僕はレイナの手持ちの中でも別格に弱い。相性も悪い上に相手は格上。そして僕の技構成。カウンター、バークアウト、いあいぎり、瞑想。確実に秘伝要員と言うやつだ。負けは確定。
けど、レイナが、僕を出さない理由は、僕に嫌な思いをさせない為…だと思う。なら降参するか?それはレイナのプライドが許さないんじゃ無いんだろうか。
僕は負け戦であろうが出たい。負けてしまっても、最後まで足掻いてやりたい。
「レイナ!僕出るよ!出して!出して!」
僕は一生懸命レイナに呼びかける。モンスターボール越しに聞こえるか分からないけど、それでも叫んだ。叫び続けた。
「で…も…」
『レイナ選手迷っている!このまま降参をしてしまうのだろうか!』
レイナが何か言ってたようだけどナレーターによってかき消されてしまった。
おいナレーター!邪魔なんだゾ!
「もう降参しちまえよ。」
ツンツン頭がふざけたことをレイナに提案する。
ダメだゾ!最後まで足掻いてよ!
そう言っても、僕の声はレイナには届かない。
「俺とレイナの実力は火を見るより明らかだ。」
レイナはその通り過ぎて唇を噛んでいる。悔しいんだろう。ヒユウに実力が届かなくて。僕も悔しい。
僕を選出していなかったら、もしかしたらレイナは勝てたかもしれない。そう思うと僕は胸がキユッゥと引き締まるような感覚を覚える。
「ねぇゾロア。こんなトレーナーで…ごめん。」
レイナが僕のモンスターボールをとる。僕を出すのだろう。
『いいゾ!僕はレイナのトレーナーで幸せだゾ!』
僕は自分でも驚く程の幸せそうな笑顔を出す。驚いた。僕はレイナには嫌悪感しかなかった筈なのに。レイナを見ていると、何かを必死で抑えている風に見える。そんな切羽詰まった中で僕たちのことを考えてくれていることを今までの少ない時間でひしひしと感じた。
こんな不器用なトレーナーの支えにならなくて何になるのだろうか。
「キャンっ!」
僕はボールから出ると雄叫びに近い叫び声をあげた。
「…ありがとう。」
レイナが呟く。それはいつもの感情を抑えて、無になってるレイナとは、また違う風貌をした何かだった。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.99 )
- 日時: 2022/03/25 21:14
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: te9LMWl4)
どうしようか…
相手はエンブオー。そして見た限りレベルが僕と雲泥の差だ。レイナも同じことを考えていたのか僕に中々指示を出せてない。
「エンブオーかえんほうしゃ!」
さっきからかえんほうしゃばかり打ってきて近づけすらしない。僕にはワンチャンの秘密兵器がある。けど、それを発動するためには一撃でもダメージを受けたら終わりだ。そのため僕は避けることを重点的に鍛えられている。避ける精度はそんじょそこらのポケモンとは比にならない…はずなのだが。このエンブオー攻撃の精度が伊達じゃない。
レベル差がありすぎる…
これは勝てるか?否、勝つ可能性はかなり低い。だけれど針の穴に糸を通すような動作を数秒ごとに繰り返してるため中々いい案が浮かばない。なにか、どうすれば、どうしたら…
「っ?!ゾロア!下がって!」
なんだよ!人が考え事をしている時に…
その瞬間僕に何か悪寒が走った。本能的に、ここに居てはならないと。僕はすぐさまバックステップする。僕の前にはエンブオーがローキックを地面に食らわしていた。
危ない…野生の勘と言ったようなものだろうか?そのお陰で助かった。
レイナが僕より先にエンブオーの攻撃を察知したのが気に食わないが…
何としてでも攻撃は受けてはならない。
「ちっ。ちょこまかと…エンブオー、ビルドアップだ。」
相手に僅かな隙生まれる。今だ…!僕は走り、エンブオーの懐にいあいぎりを食らわした。
決まった…
流石にこれで倒しきれないとは思ってはいるが、3分の1位はダメージを与えられたのでは無いだろうか?僕は自慢げにエンブオーから距離をとる。
「バカっ!ゾロア!」
レイナが珍しく焦っている。
確かにレイナの指示を聞かなかったのは僕が悪いが、これだけダメージを…与えられれ…ば…
僕は目の前の状況に恐怖した。ビルドアップで強化された僕の数十倍大きいエンブオーが僕の前に立ってることに。しかも、いあいぎりは全く効いていない。
「キュッキュゥ…キュウ…」
僕は恐怖しすぎで変な声を出してしまった。
勝てない。これは勝てない。
弱肉強食という言葉を僕は思い出す。まさに今がその通りだ。
「ゾロア…私の指示を聞いて」
レイナが冷静に僕に声かける。
ぼっ僕はちゃんと指示を聞いてたゾ!
僕は何故僕が責められるかが全く分からなかった。
「ゾロアの特訓は全くやってないんだな。肩透かしだ。エンブオー。ローキックだ。」
来るっ、エンブオーが回りながら足を振り回してくる。いつもより早い!これ、僕も避けられないよ!万事休す…か
「ゾロア!バークアウトを目の前に打って!」
は?何言ってるんだレイナは。いやこの小娘は。バークアウトを目の前に打っても変わらないだろう?
僕はこのピンチな状況で変なことを言うレイナに呆れを通り越して腹を立てて居た。しかし、もうそれ以外にやることが無いためやるしかない。
僕は目の前にバークアウトを打った。その瞬間。エンブオーが目の前に居た。僕のバークアウトはエンブオーに当たるが、エンブオーは片手で振り払う。その振り払いの衝撃で僕は後ろに飛んでいく。 そのお陰でエンブオーの攻撃を避けられた上に一撃与えられたことになる。
もしかして、レイナはこれが狙いだった…?
僕はレイナの方を向く。しかし、レイナは無表情である。
なんだよ。僕より頭いいじゃないか。仕方ない。言うことは聞いてやるか。別に、レイナを頼ってる訳じゃないんだゾ!
「ゾロア。突っ込め!」
切り札を発動させる様だ。僕はレイナの言う通りそのまま突っ込んだ。
「良いだろ。受けて立つ。エンブオーローキック!」
相手は落ち着いてる?!まさか僕達の切り札が悟られた?!
いや、そんなことはないはずだ。
落ち着いて…ただ一点に集中しろ。
その瞬間。下からエンブオーの蹴りが来た。
ここでぶっ飛ばされたら終わりだ。しかし、ダメージをなるべく多く与えられなければならない。僕はちょうどエンブオーの足が自分の腹に来るようにジャンプした。
ズドォン
かはっ…!
思った以上の威力だ。エンブオーのローキックの衝撃が辺りに広がる。
僕の目の前は霞だし…手に力が入らない状況になってしまった。
「ゾロア!足を掴み取って!」
けど、負けてられない!
僕は意識が朦朧とする中、エンブオーを標的にした。あとは指示が出るまで意識を保つことだ。
「エンブオーのタイプ一致効果抜群ビルドアップ積みのローキックを受け止められたのは認めよう。けれどここまでだ。振りほどけ、エンブオー」
ツンツン頭が何か言ってる。けれど、朦朧とした意識の中、そのツンツン頭の言葉は聞き取れなかった。僕は今、ただひとつの技に集中している。
「ゾロア!カウンター!」
僕はその指示を聞き逃さなかった。重い体に鞭を叩き、エンブオーの足を土台にしてジャンプした。エンブオーは予想外の動きだったのか一瞬怯む。
その怯み、利用させて貰うゾ!
僕は精一杯のカウンターをエンブオーに決めた。
カウンター。相手の物理攻撃のダメージの2倍をその相手に与える技。しかし、レベル差が大きく、タイプ一致で、効果抜群。その上ビルドアップを積まれたローキックは僕では受け止めきれない。そこで、持ち物だ。僕の持ち物はきあいのタスキ。一撃を食らうとHP1まで残してくれる持ち物だ。と言ってもプラシーボ効果に近く僕にとっては精神力で何とかしてるようなものだが。
そのお陰でバケモノのようなエンブオーの技を2倍にして返せたということだ。
やった。格上に勝った…僕は空から落ち際に倒れているエンブオーを見つめる。
すると、エンブオーが僕の方を振り返った。
え?
「エンブオー。ローキック」
その声はレイナの指示より、クリアで綺麗に僕の耳に届いた。次の瞬間。効果音が全て消えた。消えたと思ったら…空中でエンブオーのローキックを受けていた。
僕は痛みで何も言えない状態になり、素直に吹き飛ばされ、壁に激突する。その痛みも尋常でなく、僕は思わず口から無いはずの物を出した。
そのまま僕は。意識を失ってしまったんだ。
ーーーーーーーーーーー
目を覚ますとそこは、大会のロビーだった。
僕は一体…あぁ、そうだ!あの時エンブオーのローキックを受けて…それから…
僕はすぐ様上のモニターにあるトーナメント表を見た。
レイナは2回戦敗退だった。レイナはヒユウに負け、ヒユウは準決勝へ。そこでセブンとかいう金髪と戦い勝ち、見事優勝はヒユウに授けられた。
納得行かないゾ…なんであのカウンターを耐えれることが出来たのだろう…確実にオーバーキル並だったはずなのに…
あぁ、バトルの結果気になるよね。
1回戦
Aブロック
レイナ対カシワ レイナ勝利
ヒユウ対ツバキ ヒユウ勝利
Bブロック
マオ対トモバ マオ勝利
サツキ対マツリ サツキ勝利
Cブロック
エイト対セブン セブン勝利
シイナ対リンドウ リンドウ勝利
2回戦
Aブロック
レイナ対ヒユウ ヒユウ勝利
さっきの通りだゾ。
Bブロック
マオ対サツキ サツキ勝利
サツキがエースのハッサムで3タテしたようだゾ。
セブン対リンドウ セブン勝利
セブンが土俵際で耐え続けて勝ったそうだゾ。
準決勝
サツキ対セブン セブン勝利
サツキが奇想天外な発想でセブンを撹乱させたらしいがセブンが軽々とかったゾ。霊家の血筋はポケモンバトルでの奇想天外な発想が得意なのか?
決勝
ヒユウ対セブン
ヒユウのケンホロウが3タテ圧勝だったそうだゾ。当たり前だ。ヒユウの手持ちはそこら辺のエリートトレーナーよりもかなり高い実力を誇っている。負けて当たり前だと思うゾ。そんなヒユウを切り札のエンブオーまで追い込んだレイナ達は中々凄いってことだゾ!
「あら目を覚ましたの?」
横ではレイナの手持ち全てがボールから出ていて何かを話していた。
話しかけてくれたのはケンホロウ姉さんだ。ケンホロウ姉さんは僕によく頑張ったとなでなでしてくれた。少し照れくさいんだゾ…
「おう、新入り。目が覚めたか」
僕の憧れ、ルカリオ先輩が僕に声をかけ、よくやったと笑顔で言ってくれた。僕は嬉しさが頂点に達し、そこら辺をピョンピョン跳ねてしまった。
「うるさいわね。新人食べるわよ。」
「…うるさい。」
興ざめするような事を言ってくるのはジャローダとイーブイだった。良いじゃないか!あのエンブオーをあそこまで追い込めたんだゾ!
「まあまあ、そう言ってやるなよ」
ルカリオ先輩はどこまでも優しい。ジャローダとイーブイをなだめてくれる。
「しょうがないわね。」
イーブイがしっぽをブルンと振るう。なんかイラつくゾ。なんでイーブイなんぞがそんな偉そうなんだゾ?ルカリオ先輩の方が余程強いのに!
ジャローダは初期のポケモンだから一歩譲って許せるゾ…僕新参だし…
「イーブイちゃんはね、このメンバー中で1番強いのよ。」
ケンホロウ姉さんが羽で周りに声が聞こえないように覆って喋る。イーブイが?!嘘だ…
「何でも、レイナと産まれた時から居るらしいわよ。良いわよね…レイナは私達に平等に接してくれてるけど…特別感があって…」
ケンホロウ姉さんの横顔はどこか寂しそうだった。それにしても1番強いからってイーブイは図々しすぎないか?僕はプクッと頬を膨らましてみる。
「あ、ゾロア、目が覚めたんだ。」
今までぼーっとしていたレイナが僕に声をかける。僕はレイナの方を振り返ると、いきなり華奢で小さい手が迫ってきた。
「ありがとう」
レイナはそう一言言って僕の頭を撫でてくれた。
あ…
「「触れた…」」
僕とレイナの声が重なる。僕は思わず笑ってしまった。レイナは、無表情だったけど、きっと笑ってた。そんな感じがしたんだゾ。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.100 )
- 日時: 2022/03/28 03:55
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 5TWPLANd)
《マオ》
大会が終わった夜。俺達はまたPWTに併設されているホテルに泊まっていた。しかし、俺は外に出ていた。目的地はPWT地下に作られたプラズマ団の施設だ。今やもの抜けのからだろうが、何か少しでも情報が欲しい。ヒュウのようにプラズマ団に執着してる訳では無いが、幼なじみが苦しめられてる原因を放っておくほど俺もクズじゃない。
PWTの裏。確かここら辺に地下への入口があったはずだ…
俺は屈んで芝生をかき分けながら探す。
「辞めた方がいいぜ。」
すると後ろから声をかけられた。「〜ぜ」と語尾に着いているが、声が華奢で可愛らしかったため、女だろう。しかし、この声はよく聞き覚えがある。俺は振り返る。
「レイナ。何だお前も来てたのか」
珍しく髪を下ろした普段着のレイナが立っていた。しかし、なんというか、雰囲気がレイナっぽくないというか?
違和感を感じた。立ち方、言い方、目付き、髪型。それらが明らかにレイナでなかった。
「あぁ。マオ。俺がその施設を先に調べたがもの抜けの空の上に証拠は全て消してやがる。」
なるほど。無駄足って訳か。それよりも聞きたいことがある。
「お前。誰だ?」
「ハハッ。釣れねーぜマオさんよ。せっかく俺がレイナのフリをしてやってるのに。」
「お前はレイナとは似ても似つかねぇよ。」
するとレイナ(?)がキョトンとした顔をする。その後フッと笑い、困ったような顔をした。こんなに表情豊かなレイナ(?)は珍しい中身は違えど写真を撮りたかった。
…いや、これはトモバとヒュウに見せるためであって俺が決して見たいとか…そういう訳じゃねぇからな!多分…
「で、俺は誰かって?」
「あ、あぁ。そうだ。」
思考が全く違う方に向いていたなんて言えない。しかし、本当にコイツは何者だ?身長も体格も顔もレイナそっくり…いや、レイナその物だ。別人とは思えない。双子?いや、レイナに双子は居ないはずだ。
「俺はレイナだ。」
「嘘つけ。」
「いや、マジ何だって!」
俺は疑いの目をレイナ(?)に突き刺す。レイナ(?)は「困ったなー」と言いながら首を傾げている。
「そうだな。じゃあ俺はレイだ。」
じゃあって何だよじゃあって…それより、レイって言うのか…苗字がレイだからその名前の変え方意味あるのか?そう思ったが口に出さないことにした。
「で、レイ。なんで、レイナとそっくりなんだ?」
「そりゃァこの体レイナのだもん。くりそつで当たり前だろ。」
レイは当たり前のように言うが、全然当たり前じゃないからな。むしろ『レイナの体』って言ってるあたりからスピリチュアルの香りがプンプンするぞ。
「じゃ、俺は久しぶりに外に出れたしそこら辺歩いてくるわ。」
「まっ、待てよ!」
こんな危険そうなやつそこら辺にほっぽれる訳が無い。と言っても、こちらも引き止められるような言葉は見つからなかった。なんせ旅に出るまで部屋に引きこもってたからな。コミュニュケーション能力は著しく低い。
「お、お前は…男…なのか?」
俺は一体何を聞いているんだ?確かにレイナを引き止めたいと思った。しかし、こんな質問をするなんて…俺のボキャブラリーの無さに絶望する。
「あー、俺?男だぜ。」
俺はその瞬間もっと絶望した。あのレイナの体に薄汚い男が入っている…?
そう考えるだけでも怒りでまぶたがピクピクした。
「そうカッカすんなよ。俺は生まれた時からこうだったんだから。」
「…」
それで許されるとでも思ってるのだろうか。俺はお馴染みの不良並の鋭い目でそいつを睨みつけた。しかし、レイは怯むことは無かった。
「あー。じゃあ、俺もう行くぜ。」
「あ、ま、待てよ…!」
怒りで当初の目的を忘れていた。コイツを引き止めなければ…
「あ、最後に1つ。忠告だ。」
止めようとした俺はその言葉に首を傾げる。レイとかいう得体の知れない物に忠告されるほど俺はコイツを信頼してない。忠告なんて聞くつもりは無かった。けれど、体、声はレイナであるため、体が勝手に黙ってしまった。
「レイナにプラズマ団を近づかせるな。」
「は?それってどういう…」
「じゃあな。俺粘着質な奴嫌いなんだよ。」
するとレイはジャンプしたと思うと俺の目の前から消えていた。おいおいどんなマジックだ?!俺は確かに見てたぞ!レイを、消える瞬間を…
正体不明な奴を目の前にした時から。俺は幼馴染を見る目が変わるなんて思っても見なかった。
「マオ。来なさい。話があるわ。」
後ろから聞きなれた声が聞こえる。凛として声を聞くだけで涼しくなるような声。クーフ。俺の母親だ。
「あなたは将来探偵になるのでしょう。なら心して聞きなさい。
レイナちゃんは────」
その瞬間。俺達幼馴染の形は崩れてしまったのだ。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.101 )
- 日時: 2022/03/30 00:55
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: /dHAoPqW)
ー昔ー
「いつもお世話になってるわね。」
私の母親が相手の母親にそういう。タメ口の為仲がいいのだろうか。そう思いながら蚊帳の外でその様子を見ていた。
「あの二人は。芸能人とマネージャーの関係でね。家族ぐるみで仲がいいんだ。」
私の数倍大きいワセイ?さんが教えてくれた。芸能人は分かるがまねーじゃーとはなんだろう?多分芸能人と深く関係がある職業なのだろうけど...よく分からない。まねーじゃーなんて殺したこと無いのだから。
「あ、その子が新しい子?」
相手の母親。紺色のかみにてっぺんで大きいお団子を作った髪で優しそうな赤目。この人は悪いことをしなさそう。殺るなら静かに苦しまずに殺してあげようか。当時の私はそれぐらいのことしか考えられなかった。今でも我ながら酷いと思う。
「そうそう。家の新しい子。ほら、挨拶して。」
何故こんなくだらない茶番をしなければならないのだろうか。と、めんどくさく感じながらも世渡りのためにはあいさつが大事なのも分かっていたため渋々家族の前に出た。
「レイ...霊 麗菜です。よろしくお願いします。」
私はそこでぺこりと挨拶とした。相手の様子を見るとニコニコしており悪評では無いようだ。好評は好評でめんどくさいが。私のこの顔。一般人には好評のようで、1つ愛想笑いしたら悩殺してしまう程だ。そのため、挨拶には無表情で貫き通した。まあ、私は『あそこ』を出てから無表情を貫き通してるが。まず表情を作る余裕でさえすら今はない。
「いやん!可愛い!さすがユカの子ね!さあ、2人共。挨拶して。」
血は繋がって居ないため顔の良さは関係ないと思う。
すると、母の遺伝子を受け継いでるとすぐ分かる2人が出てきた。私よりも背の高い男子1人。小さい子1人。見たところ少し歳が離れているようだ。まあ、今の私の容姿だと同い年に見えるだろうけど。
相手はやはり紺髪に赤目だ。父もいるのだろうのか。温室でぬくぬくと育ってきたのだろうな。
「赤白 萌維です!よろしくおねがいします!」
幼さが気を立つ女の子が自己紹介しに来た。こういう無知な子は星の数ほど殺してきた。その子自体に罪はなかったが家族ぐるみの問題で死ぬ事が多かったな。あと生け捕りにして変態に売ったりしてた。この子もそういうのに巻き込まれるのだろうな。
そう思って当時私は名前なんて覚えずに居た。
次はこのツンツン頭か。そう思っていた。ツンツン頭は寝癖が度重なって作られた物だと瞬時に分かった。直そうと思ったら直せるけどかなりの時間がかかる。哀れなもので。そう思って鼻で笑っていた。その男の子はまだ無表情で何も言わない。いつになったら挨拶するのだろうか。私は少しイライラしていた。それを見かねた母親は先に自己紹介を始めた。
「私は赤白 叶よ。よろしくねレイナちゃん。」
「よろしくお願いします。」
みっともない長男だ事で。痺れを切らした母親が挨拶したじゃないか。この人は芸能人である母親の仲がいいようだから芸能界に関わりがあるのだろう。下手したらこの家族は丸々滅びるだろうな。そう思っていた。
「あ、あぁ。俺は赤白 陽佑同い年って聞いたぜ!よろしくな!」
その瞬間の彼の笑顔を私は忘れたことがない。今まで見たことがないぐらいキラキラしてて、後光が差してた。頬は少し赤らんでおり更に笑顔を引き立たせた。幼児の笑顔は美しい。それは知っていたけれど、さっきのロリよりも笑顔が綺麗だ。
「れ、レイナ...?」
「ヒュゥッ。」
ビックリして喉から変な音が出てたでは無いか。このような失態を表すなんて10年以来だ。
「ヒュウって...俺の事?」
「え、あ。」
意外な所に話が発展して焦ってしまった私。これが戦場なら今私は死んでいただろう。こんな隙を相手に示してしまうなんて飛んだ失態である。
「ヒュウか...嬉しいよ。ありがとうなレイナ。」
その瞬間。私には追い風が吹いてきた。さっきよりも更に美しく可愛い笑顔だった。作り笑顔では無い。本当のくしゃくしゃっとした笑顔。やはりそこには幼児の笑顔であるが、そこに少し大人びた雰囲気が纏っていた。
この人は背後に色んな事情がある。
勘で分かってしまった。なのにこんな綺麗な笑顔をして居るだなんて。
その瞬間。自分が惨めに感じた。そして、手を汚してまで大切な人を守って必死に生きてきた私を見下しているようにも感じた。でも、そんなことは気にならなかった。十分分かってたはずだ。分かっていたつもりだった。こんな笑顔をその人の未来を、周りの人を絶望に突き落としていたのだ。そんなこと10の承知だった。筈だったのに。この笑顔を見ると全て間違っていたことを知ってしまった。全て勘違いだと知ってしまった。平和のためには犠牲は問わない。その犠牲がどれほど尊いものか。
それを知ってしまうと心が壊れてしまいそうだった。手を汚してでも守ってきた仲間、自分、相棒が黒く染まってしまい、ただ、もう、なにも、考えられなくなった。
ー私はなんてことをしていたのだー
そして、心が壊れた。
「お、おい。大丈夫...か?」
ヒユウ...いや、ヒュウだっけ。が、私に声をかける。私はこう言った。
「大丈夫」
それから私は感情を外に出さなくなった。否、『出せなくなった』のだ。
ーーーーーーーーーーーーー
ーイナ...レイナ...レイナ!
ハッ。その時、私は意識を外に向ける。そこには心配そうに私を見るトモバとマオが居た。ヒュウも遠目で私のことを見ている。
「ごめん。ちょっとフラッシュバックしてた。」
私はジンジンと痛む頭を抑えた。トモバは「大丈夫?」と言いながら私の頭をさすってくれる。それに対しマオとヒュウは黙って私のことを見ている。そこに違和感を感じた。ヒュウはチョロネコ事件以来この調子だが、マオが、やけに。思春期だろうか?
「えぇ。大丈夫。大丈夫。」
私はトモバの手を話周りを見た。ここはPWTの受け付け会場。そこにはお客さんはもちろん。最初の大会に出場したメンバーと『手伝い』3人、トモバ、マオの父、カゲロウさんがいた。
「君たちが集まってもらったのは他でもない。これからグループで旅をしてもらおうと思ってね。」
唐突になんだこの人。グループで旅?人によっては嫌な人も居るだろうしここで決めるのは違うだろう。
「もちろん君たちの意思は尊重する。けどね、最近プラズマ団が増えてきて君達は危ない目に会う確率は高い。そのため、優秀なトレーナーである『手伝い』の3人を中心に4グループにわけて旅をしてもらおうと思ってる。」
私は反対だ。1人で旅をやるのが1番疲れないし楽だし特訓にもうってつけだ。それに、半強制的に自由を奪われるなんて溜まったものじゃない。と、不満が私に溜まっている。
私と同じ意見の人はゴロゴロいるだろうと思い周りを見てみる。
「「「「「レイナと一緒に旅ができる...?」」」」」
実際に声を聞いた訳では無い。しかし、マオ、ヒュウ、トモバ、サツキ、ツバキその他諸々の心の声が勘で分かってしまった。鋭い所もここでは困ってしまう。
「僕は反対だね。」
今まで空気が薄かった女か男かわからないやつ...シイナが大声を上げて抗議する。
「私も反対。」
私はそれに乗っかって反対する。1人で反対するより2人で反対した方が効くだろう。効果あるかどうかは分からないが...なんせ相手はあのカゲロウさんだからな...
「反対もいるようだね。じゃあ多数決をしよう。旅をしてもいいって人。」
すると私とシイナ、セブン以外全員が手を挙げた。多数決で負けるだろうとは思ってたがここまでとは...
それよりカゲロウさんの言い方がいやらしい。「旅をしてもいい人」でなく、「旅してもいい人」のため、どっちでもいい人や興味ない人も手を上げる確率が高くなる。さすが大手グループの会長...
「君たち以外は良いんだって。さて、どうする?」
そんなこと言われたら下がるしかないじゃない。どうしよう...何か手はないかな。そう考えてると...
「...もういいよ。僕は。こんだけ居るんだ。」
シイナはガックリと肩を提げて白旗を振る。私はセブンの方を見る。セブンはフンッと鼻を鳴らす。
「なんで俺が人と戯れなければ行けないんだ。」
セブンはカゲロウを睨みつけながらいつものような棘のある言葉を食らわせる。カゲロウさんはダメージを受けた様子もなく涼しい顔でその言葉を受ける。
「そうだね。『誰とも絡まない俺カッコイイ』と思っているのかな?それならそれでいいけどね。」
否、まあまあ怒らせていた。カゲロウさんがこんなにチクチクした言葉を言う時はあんまり無いのだ。セブンは顔を真っ赤にして狼狽えている。...図星か... セブンの新たな一面をみて嘲笑う私と驚いた私が居た。
「...仕方ない...」
セブンも堕ちたか。まあ話術でカゲロウさんに勝る人は見たことないからな。次は私にカゲロウさんが近づいてくる。何をする気なのだろうか。私は軽く身構えてしまう。すると私の耳元に顔を近づけると
「今度君にトモバと付き合って欲しいんだけど...」
その瞬間。舌で舐められたような嫌悪感が広がった。
ートモバとつきあうー
『付き合う』というのは行動を共にするという付き合うでは無く『恋愛』として付き合うということだ。私とトモバは同性だ。恋愛をする仲では無いが、トモバは私の事を若干恋愛対象と見てる節がある。そこら辺はよく分からない、所謂鈍感だそうで、直接トモバに告白されたことがある。そこからトモバの行為を知った。
トモバと付き合うということはトモバの好き勝手にされる上に引っ掻き回される上に統治グループの問題にも引っ掻き回される。絶対ゴメンだ。しかし、カゲロウさんがやれば出来ないということがない。
というか何故それをカゲロウさんが知ってるんだ、マジで怖いぞ会長。
「…分かりました。」
これはもう脅しだろう。私は致し方なく頷く。すると皆が『わぁっ』と盛り上がる。反対派が居たとしても脅しとか使って結局こうならせたんじゃないのか。私は呆れてカゲロウさんを見た。カゲロウさんはフッと笑った。
...悔しい。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.102 )
- 日時: 2022/04/01 18:58
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 1T0V/L.3)
「という訳で旅訳はこうなったんだね。」
カゲロウさんはニコッと私達を見渡す。私達は3~4人のチームが出来上がった。
「確認するよ。ムスカリーチーム」
「「「「はい」」」」
そこでムスカリー、私、セブン、カシワが返事をする。私は余り子のメンツに満足をしていない。まず女子が私しかいない。変なことでもされたらどうするんだ。返り討ちにするけど。
着替えや風呂などどうするのだ。全く気にはしないが。
これもカゲロウさんの計算か...私は自分自身にも、カゲロウさんのいつもの計算高さにも呆れてしまった。
「次はミツキチーム」
「「「「はい」」」」
次はミツキさん、マオ、シイナ、リンドウが言う。ここは全員が男か。比較的心身ともに楽で居られるだろう。しかし、性格が合うかは分からない。私とセブンよりはマシだろうが。
「次はシアンチーム」
「「はーい!」」
「「はい」」
次はシアン、トモバ、マツリ、サツキが返事をした。今度は全員女子のグループだ。そこら辺カゲロウさんも配慮してだろう。そりゃまあ一人娘だしな。私の扱いは雑だけど。トモバ達はキャッキャウフフしながら騒いでた。男子がいるという点で不満はないけれど、やはり女子の中にいた方が気を使わなくて楽なのだ。身体的に。
「次はヒユウチームだね。」
「「「はい」」」
次はヒュウ、ツバキ、エイトが返事をする。ここは唯一の3人グループだ。私グループ以外性別統一なんて...何かカゲロウさんの意地悪な面を感じる。なんだかんだ私のこと雑に扱うからなカゲロウさん。 それと、ヒュウのチームだけ、何故強者枠がヒュウなのかと言うと、ヒュウがムスカリーさん、ミツキさん、シアンさんと並ぶ強者であるからだ。最近までは同じ立場であったことが嘘のようだ。嫌、ヒュウは強くなって居た。私の気づかない所で。あのチョロネコ事件以来から...
「よし、チームは出来たようだね。皆安全に旅を楽しむように」
『はい』
お開きになりかけてる所、最後のカゲロウさんの言葉を最後に私達は解散した。
「さて、俺達はどうする?」
ムスカリーさんが私達の方を向く。私達は少し考えると一斉に意見を述べて言った。
「特訓」
「ジム戦」
「買い物」
思った通り皆意見がバラバラである。ムスカリーさんは苦笑する。この3人をまとめるだなんて、ムスカリーさんも飛んだ災難を持ってこられたなと同情する。
「待て!プラズマ団!」
するとヒュウの声が聞こえる。さっき解散した筈だが...
「ちょ、待ちなよヒユウ!エイトが追いつけてないって!」
「ヒユウさん待ってよ...」
すると後からエイトとツバキがやってくる。しかし、ヒュウは結構足が早いため追いつけずにいた。
「どうしたんだそんな恥かいて」
相変わらずセブンが皮肉をたっぷり込めて2人に問いかける。
「兄さん...」
エイトはたじろぐ。兄の威圧感に耐えられなくなったようだ。そいえばこの2人兄弟だったな。全然似てない上にエイトは弱虫だ。
「棘のある言い方だね。まぁいいや。プラズマ団がさ、そこの船着場に向かってったみたいで、ヒユウが急に追いかけて行っちゃってさ。」
さすがツバキ。こういう時は冷静だ。ムスカリーさんはうーんと考える素振りをする。一応ここの最年長であるから頼りになる。
「ヒユウの足に追いつけるのは?」
私は手を上げる。カシワは学校に居る時からヒュウの足の速さを知っているため苦笑する。セブンは何も言わなかった。
「そうか。なら、レイナ。2人で行くよ。」
私はまあそうだろうなと思いつつ肯定と意を示した。
ーーーーーーーーーーーーー
「WOW...」
ムスカリーがそれを見て驚く。そこには...大きな船があった。ビル3階建てほどの大きさで造りは木造に見える。色合いからして海賊を連想させるような船だ。
私達の前には船から渡る為の橋がかけて合った。ムスカリーさんと見合って頷き、船の中に入っていった。
「おっと、コラッタが増えたようだ。」
そこにはプラズマ団が数十人ヒュウともう1人囲っていた。
「...っ?!何故来たんだ!」
あれは...最初のジムリーダーチェレンさん?!何故ここに...
「今すぐ逃げなさい!早く!」
チェレンさんが焦っている。そりゃそうだ。ここには数十人ものプラズマ団がいて大変危険だし。まあ、これぐらいならムスカリーさん蹴散らしそうだけど。
「させるか!囲え!」
どこからが来たのかプラズマ団が入口を防いでしまう。脱出するならここの人数全員蹴散らさなければならないのか...きついな。それにもプラズマ団がスタンバってるだろう。Gのように大量に湧いてくる。
「レイナ!」
ヒュウは急に私の手を掴んでヒュウの背中に私をやる。いや、守ってるつもり何だろうけど囲まれてるから私目線目の前もプラズマ団何だけど...
ムスカリーさんとチェレンさんも背中合わせでプラズマ団の方を睨みつけている。
「いけっ!ズバット!」 「コラッタ!」
「ラッタ!」 「レパルダス!」
総勢10数名ものプラズマ団とポケモン達が襲いかかってくる。
「初めましてだけど、行けるかい?」
「これぐらい余裕ですよ。」
ムスカリーさんとチェレンさんは2人声をかけながらポケモンを繰り出す。ムスカリーさんはルカリオ、チェレンさんはムーランドを繰り出した。
「レイナ。下がってろ。」
「囲まれてるのに下がるも何も無いんだけど?」
ヒュウはそこでハッとする。私は呆れながらジャローダを繰り出した。ヒュウはエンブオーだ。
正直こういう所もヒュウのいい所だと思う。完璧な人は好かれないしね。っと、話がそれた。
この中で私は実力はかなり下になる。チェレンさんは分からないけどプライベートだろうからガチパで来てるだろう。
となると...私は...
「ジャローダ!蛇睨み!」
私はサポートしか出来ない。ケンホロウでも良かったが、相手を状態異常に出来る技を持つジャローダに決めた。
ジャローダと目が合った敵のポケモンは一斉に麻痺になっていく。
「今だ!ムーランド!」
「ルカリオ!波動弾!」
「エンブオーいけっ!」
流石に強者の集まりだ。どんどん敵を蹴散らしていく。私は要らないかもしれないが、来てしまったからには相応に役に立たなければならない。
「くっ、このガキ強ぇ!」
「こいつ...もしかしてジムリーダーじゃないか?!」
「なんだとっ!」
劣勢を強いられてるプラズマ団が段々と焦っていく。このままだと逃げれるかもしれない...問題はヒュウだ。このままこの船を占拠しようとか言い出すかもしれない。
粗方プラズマ団を片付け終わる。
「さぁ、チョロネコについて聞かせてもらおうか。」
わぁ怖い。ヒュウがお茶の間には見せられないような顔になってるよ。まあ私は慣れっこだけど。ここで冷静なムスカリーさんとチェレンさんが止めてくれれば万事解決...
「そうだね。他にも調べたいことがあるし」
チェレンさんが衝撃的なことを言った。いやいやいや、流石に危ないですって。ムスカリーさんの方を見ると...苦笑して肩を竦めていた。ダメだこりゃ...
「何事だ!」
低いおじさんのような声なのにと響き渡る声。紫の変わった服をしたおじさんが私たちに近づいてきた。
「やれやれ、貴方冷凍コンテナで震えてた人ですよね。」
チェレンさんはこのおじさんを知っているようだ。冷凍コンテナって確かPWTができる前だっけ?となると少なくとも2年以上前から知ってるってことか。でも、この船にいるってことは、いい人ではなさそう。
「確か名無はヴィオ!」
ヴィオ...誰だ。ここ数年私は裏世界について何にも知らないのでプラズマ団事情も全く知らない。でもチェレンさんは知ってた。流石というか何と言うか...
「この船で何をするつもりなのか教えてもらいますよ!」
威勢がいいチェレンさんの声に私達までもがビクッと体を震わせる。
「おのれ... 我々はいまいちど伝説のポケモンを従えイッシュを支配する!物好きなトレーナーどもよ!好き勝手させるものか!」
それはこちらの台詞だ。表世界でしか暴れられないこんな弱小の集まりに世界を好き勝手させるものか。それより、真面目に考えるとプラズマ団って世界を支配しようとしてた...?となると、ピラミッドがプラズマ団にいることも納得だ。
「んだと...!世界を支配って!」
「ダークトリニティ!こいつらを連れていくのだ!」
ヒュウの地雷を見事に踏んだくせにそれを無視して『ダークトリニティ』とやらに、ヴィオが呼びかける。するとどこからともなく黒ずくめの男の人達が出てきた。
「いっておくが、わたしたちはお前の......」
その人達はヴィオに何か言いかけるが...
「わかっておる!とにかく早くつまみだすのだ!」
ヴィオはその言葉を遮り叫ぶように言った。私達の存在がそれほど邪魔なのだろう。ヒュウとチェレンは物凄く不服そうな顔だが、私は粗方情報を集め終わったからよしとしよう。まず当たり前だがここはプラズマ団の基地だろう。そして...
「ということだ。」
ダークトリニティが私達の体を触る。
あ、来る。
反撃しようと思ったが私は弱いためそのまま体に身を任せることにした。
目を覚ますと…そこは船乗りばだった。しかし、プラズマ団の船はもう無かった。
「ダークトリニティ?あいつらなんだよ!」
ヒュウが完全にキレてる。こうなると止められる人は実力行使以外どうしようも出来ない。
「「ヒュウ...!」」
「レイナ!」
するとツバキ、エイト、カシワが私達の所へやってくる。セブンはすんとした顔をし静かにこちらへやってくる。ずっと待ってたのだろうか。なんか申し訳ないな。
「あーッ!もうッ!プラズマ団どこ消えた!」
するとヒュウは走り去っていってしまった。
「えっちょ、ヒュウ?!待てよ!」
「まってよぉ...!」
ツバキとエイトはまたヒュウと追いかけっこを始めた。...ツバキとエイトには同情をする。ヒュウは元々活発な性格だからね...私は呆れる。
「ダークトリニティは……人の動きを封じて連れ去る超人的な連中……」
なるほど...超人的な連中。心当たりはあるけれど、プラズマ団が入手できる訳でもないし...うーんと私は考える。
「それよりも...さっきの言葉...」
ムスカリーさんが深刻な顔で言う。あぁ、世界を支配するかなんちゃらってやつだっけ。
「『我々はいまいちど伝説のドラゴンポケモンを従えイッシュを支配する!』とはどういうことだろうか。伝説のポケモン。レシラムもゼクロムもイッシュには居ないはずなのに...?」
イッシュ地方の伝説のポケモンはゼクロムとレシラムって言うのか。確かあの、黒いのと白いのだっけ。余り詳しくは知らない。
「レイナ。僕は調べることがあるので6番道路に行く。君達も道中に気をつけなよ。」
そう言ってチェレンさんは6番道路へ向かって言ってしまった。道中に気をつけるか...確かにさっきの事件を経験してから何に巻き込まれるかわかる無くなっている。そうなるとカゲロウさんがチーム分けしたのも正しいのかも...
「ちょ、レイナ...!イッシュを支配するってどういうことだ?!」
「うるさいカシワ。お前はヨーテリーか。」
「逆にセブンはなんで落ち着いて居られるんだよ!」
カシワがらしくもなく慌てている。そりゃ急に支配するとか言われたら普通慌てるよね。でも私は支配しようとして失敗してきた様子を何回も見てきた。今回も上手くいかないだろう...多分。ピラミッドに協力を扇いでるところを見るに私も警戒しといた方が良いのかもしれない。まあ、チーム分けされて思うように動けないのだが。
「大丈夫。大丈夫だカシワ。それは俺が阻止する。だから、旅を楽しもう。」
ムスカリーさんがニコッと笑う。この人は周りの人を安心させるのが上手い。けど、それ相応の責任が問われる。大丈夫なのだろうか。
久々に抱いたほんのりとした不安を胸に、私達は旅を再開した。
ーヒュウに手を出したら、私はー
第一章 ~完~