二次創作小説(紙ほか)
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.96 )
- 日時: 2022/05/10 19:23
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: zbxAunUZ)
【外伝 マオとレイナのバレンタインデー】
去年の5月にゆーき。さんという方にレイナとマオの話をリクエストされたため外伝として作成致しました!
レイナ達の旅の前のお話です。
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「レイナぁぁぁーー!!」
私の名前は霊 麗菜 ヒウオギシティの私立校に通っている9歳だ。来年は旅に出れる年代になるが今は旅に出る気は更々ない。
「ねぇ、レイナー?聞いてる?」
私の幼馴染でありクラスの人気者のトモバが私の目の前で手を振っている。
「聞いてるからそれ辞めて。あと、教室では関わらないでって言ったでしょ。」
私はクラスの嫌われ者だ。そんな私と関わればトモバも嫌われてしまう。だから基本人目のつくところでは関わるなと言ってるのだが…この現状だ。
「そんな硬いこと言わないでよー。」
私はそう呑気に言うトモバを横目に教室から出ていった。
「うわっ、びっくりした。レイさんじゃん」
「ちょ、呪いの子だよ」
どうやら私は呪いの子らしい。由来は私が不気味だからだろう。濁った黒目に黒髪、赤黒いシワシワのタオルでツインテールに縛り、本能的に近づいては行けないと思われるような雰囲気。自覚はしている。けれど直すつもりも更々ない。めんどくさい上にバカバカしい。
そんなことを思っていると屋上に着いた。
「ちょっと、レイナ待ってって…おっふ」
私はイラつきが最高点に達しトモバを壁際に追い詰め両手をトモバをまたいで壁に付ける。
「レ、レイナ。流石に美少女に壁ドンされたら私嬉しすぎて死にそうだから辞めてくれない?」
トモバが若干興奮気味に言う。それに私は気持ち悪さを感じ、手を離す。
「で、なんの用?」
トモバってたまに気持ち悪い時があるのよね。でも引きすぎたら余計トモバは鼻息荒くするから怖いのよね。
「あ、そうそう。今年もやって参りましたバレンタインデー!あ、待って!待って!行かないで!」
私は呆れその場を離れようとするがトモバが半泣きで止めてきた。私と肩に乗っているイーブイはジト目でトモバを見つめる。しかし更にトモバは興奮し始めたので諦めた。色々と。
「それで、バレンタインデーがどうしたの?」
これでは埒が明かないので私はまともに話を聞くことにした。
「良くぞ聞いてくれました!まあ毎年恒例だけどバレンタインチョコを一緒に作ろうと思って!」
そんなこったろうと思ったわ。
「ちなみに相手は?」
「ヒュウとマオ!」
トモバは学習能力が無いのだろうか。いや、トモバは定期テスト学年1位になるほどの頭の良さだが、こういう時は本当にバカだ。
マオとヒュウにチョコレートを渡すということはホワイトデーにマオとヒュウからお返しを貰うということ。ヒュウは昔から家事をやってきたこともあり料理上手だが、マオはダメだ。不思議とマオが作る料理はダークマターとなるのだ。それを貰うことになるのは断固拒否したい。去年までは確かに2人にチョコレートを上げていたがお返しにマオにダークマターを渡されて困っている。
「絶対イヤ。」
「レイナならそう言うと思った。マオのお返し嫌だもんね」
分かってたんかい。
私は呆れすぎてらしくもなくツッコミしてしまったじゃないの。
「でもさ、チョコレート上げないとマオとヒュウが残念がるよ」
トモバが私をさとすように言う。
「いや、たかがチョコレートで…」
「男子にとってはたかがチョコ!されどチョコレィット!というわけで今日レイナの家に行くからね!」
…厄介なことになった。毎年断れない私も私だけど…
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「とゆーことでやってきましたっ!レイナ家!」
どうしてこうなった。私は頭を抱えたくなった。
ここは私の家のキッチン。私は一人暮らしのため親に迷惑がかかるとかそんなこと無いが…
「レイナの家には缶詰しかないからね!持ってきたよ材料!」
随分と用意がよろしいようで。トモバはビニール袋を取り出すとその中にはチョコレートの板数枚と、型、生クリーム、ホワイトチョコなど様々な材料があった。
ここまでされたら仕方ない…付き合ってやるか。
「で、何作るの?」
「ノープラン!」
ノープランって…てことは特に考えもなくスーパーの材料を、買ってきたってことよね。金遣いが荒いわトモバ。
去年は型にチョコレートを入れて作ったから…
今年は生クリームもあるし生チョコにしましょうか。
「はぁ。じゃあ生チョコ作るわよ。イーブイお願い。」
私は手伝って貰うためにイーブイをモンスターボールから出す。
トモバも、うんと頷き相棒のバニプッチを繰り出す。
「まずはチョコレートを溶かす。お湯は50度が丁度いいのよ。」
そう言って私はポットでお湯を沸かした。そしてボールに移しトモバが数年前チョコを、作るために買ってきた温度計を取り出す。
バレンタインでしか使わないけどね。
「よっし!バニプッチこなゆき」
トモバはお湯を冷ますためバニプッチにこなゆきを指示する。するとどんどんお湯の温度は下がっていき、丁度50度になる。こういうのは得意なのよねトモバ。性格が残念だけど。
「じゃあ、次はチョコレートを溶かすわよ。」
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「出来た…!」
出来たわね。けど、やっぱり統治家の血というか、流石マオの兄弟というか…
トモバの生チョコは形が悪い。食べ比べしたところ味は悪くないんだけどね。
「やっぱりレイナみたいに綺麗に作れなかったなぁ。」
「仕方ないわマオの妹なんだから。」
私は容赦なくトモバに言う。まあ、味は悪くないからマオよりマシなんだけどね。
トモバは悔しいような悲しいような顔をする。
「はぁ。私のチョコをヒュウとマオに渡したら?」
「…大丈夫。味は悪くないから!」
トモバは無理やり笑顔を作ってそう言う。トモバがそう言うならそれでいいか。私はそんなに優しくないから。
「じゃあ渡しに行こうか。ヒュウはいつもの学校の特訓場に居るはずだから。」
私達はそう言うとチョコレートをラッピングして渡しに行くのであった。
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「ヒーちゃーん!」
トモバは面白半分でヒュウを可愛いあだ名で呼ぶ。
「ちゃんを付けるなよ。てか、どうしたんだ2人揃って」
確かに正反対の私とトモバが一緒に居ることは少ない。けど、ヒュウはすぐ察したようだ。
「あっ、あ、あぁ!バレンタインだよな!いや、毎年毎年サンキューな!お返しちゃんとやるから!」
トモバと私が一緒にいる時はトモバが私を引っ掻き回す時かバレンタインデーぐらいしかない。すぐ気づいたヒュウは顔を真っ赤にさせあたふたしながらチョコレートを貰う。
毎年ヒュウはこうやって顔をオクタンのように真っ赤にして受け取るんだよな。これはチョロネコ事件が起こってからも変わらない。もしかしたらヒュウはトモバの事が好きなのかもしれない。明るい同士お似合いだし人の恋路に興味はないから関わる気はないけどね。
次はマオだね。しかしトモバは
「あっ、私寮の友達にも渡さなきゃ行けないからレイナ1人で行ってきてね!うん!じゃあね!」
逃げたな… マオにバレンタインチョコのお返しを貰う勇気がなくて。
因みにトモバとマオはヒウンシティに家があり、毎日往復するのに時間がかかるため学校の寮生活をしている。
さて、私もマオの所に行くか…気は乗らないけど。
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マオは男子寮の部屋に居た。男子寮は男子だけしかおらず、別に女子禁制って訳では無いけど男子寮に入るのは少し勇気が居る。まあ入ったらそんなこと気にならないんだけどね。
「マオ」
私はドアをノックしマオを呼ぶ。マオは数秒経ってからドアを開ける。
「バレンタインか?」
マオは分かっていたようだ。その通りバレンタインである。
「うん。これ。」
私はシンプルにラッピングしたチョコレートをマオに渡す。マオは照れくさい顔をしてそれを受け取った。
「毎年毎年ありがとうな。お返しちゃんとするから」
「お返しはいらない。いらない。いらない。」
重要なことなので3回言ってやった。
マオのダークマターなんて死んでも受け取りたくないからね。
「いや、でも」
「なら市販のが欲しい」
私はたじろくマオをさし押さえるように言った。先にリクエストしとけばお返しはダークマターにならない…はず。
「分かった。豪華なの用意しとくな。」
統治グループの御曹司の豪華なお返し…
少し期待してもいいかもしれないね。
「それにしてもレイナが毎年毎年律儀にチョコレートをくれるのが意外なんだが…」
確かに私らしくないかもね。
「毎年トモバに引っ掻き回されるから…」
「あぁ、うちの妹がすまんな。」
マオは苦い顔をする。
本当だよトモバにはいつも迷惑かけられてる。
「まぁ、ありがとうな。嬉しい」
するとマオはいつもの極悪顔とは思えないようなふにゃりとした笑顔を私に見せた。それを見て私は少し心が、ポカポカしてしまったのだ。