二次創作小説(紙ほか)

Re: とある一般人の取扱説明書【改】 ( No.2 )
日時: 2020/05/19 21:10
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)


弥勒は物陰に隠れて場を乗り越える。素行が悪い面子に絡まれやすいようで弥勒は彼らから

逃走していた。

「よぉっと捕まえたぜぇ」

「うわっ、エッチ」

弥勒の胸の上に男は手を置く。

「何やってんだよ、お前ら。あれか?女に飢えてんのか。キャバクラにでも行ってくれば

いいだろうが」

「あぁん!?舐めた口きいてんじゃねえぞチビ」

「あ、コラ!確かに私より小さいけどチビと言う名前じゃないんですよ」

「お前も失礼だな!助けてやらねえぞ!」

常塚千寿、軌道操作という能力を持つ小柄な少年。身長165㎝、弥勒より約5cm低い。その身長の

事を彼はかなり気にしている。

「俺はよぉ、戦いは好きだが人質を盾にする奴は大嫌いなんだよ!」

千寿は拳銃を構えた。それを見た男は笑った。この女がどうなっても知らないぞ、と。

相手は千寿の能力を知らないからそんなことが言えるのだ。弥勒は片脚を少し浮かせ男の足を

踏んだ。悶絶するのと発砲されるのは同時だ。弾丸は壁に当たる寸前で曲がりくねって男を

撃ち抜いた。動こうとしたとき弥勒は首を傾げる。

「オイ、パントマイムか?」

「違うよ!うちパントマイムこんな上手く出来ないから。足が動かないの!」

弥勒は自身の足元を指差した。千寿はそれに心当たりがある。

「…」

奥にいるのは無表情の青年。彼はゆっくりと弥勒に歩み寄る。

「水瀬萬、お前どうしたんだよ?」

水瀬萬と呼ばれた青年は答えない。念力金縛サイコパラライズという能力だ。相手を

その場に固める能力。萬はナイフを取り出し心臓部にあてがう。微かに弥勒が動いた。

「ちょっと。何てもんを使ってるのさ!」

「ッ!?」

萬の手を掴み弥勒は怒る。動けるはずもない人間が動き自分を掴み叱っている。それに驚き

彼は動きを止める。隠れて様子を見ていた人物は携帯に語り掛けるように小声で言った。

「躑躅森弥勒が能力に目覚めた。命名は…幻想戻し(イマジンリターン)」

『そうか。カミーユ=ベイリューズ、引き続き頼むよ。まぁ君は表立っては手を

回さないだろうけど』

「了解した。可能な限り手は回す」

カミーユはその場を後にする。下に降りた場所には涙を流し蠢く男たちがいた。彼の持つ

槍の穂先に触れトラウマをエンドレスで見続けている人物たちだ。嘆きの聖槍、それが彼の

魔術だ。基本は重力操作なのだが穂先に触れた人間に対してはトラウマなどを抉る。