二次創作小説(紙ほか)

Re: とある一般人の取扱説明書【改】 ( No.4 )
日時: 2020/05/20 12:27
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)


「しのぶ様、昼食の時間です」

扉越しに声がした。扉を開けてやってきた青年は車椅子を動かす。藤代しのぶ、藤代財閥の

社長を父親に持つ御令嬢。交通事故で怪我をして以降、車椅子生活を余儀なくされている。

青年、六波羅シモンはそれ以前からしのぶに仕えている。

「そうだ。実はねシモン、渡したいものがあるの」

しのぶは小さな紙袋をシモンに手渡した。片耳だけのイヤリング、蝶のイヤリングだ。

「私の髪留めとお揃いでしょう?気に入らなかったら付けなくても良いから」

シモンは左耳に貰ったイヤリングを付けて席を一旦離れた。鏡を覗き込んだシモンは微かに

頬を緩めた。シモンは自身の両腕を見た。夏場であっても彼は長袖の服を着るようにしている。

彼の体からは腕や脚が足りない。しのぶの甲高い悲鳴が聞こえシモンは足を運ぶ。車椅子が

倒れ横になっているしのぶ、窓ガラスが破損し食卓は破壊されていた。

「大丈夫ですか?」

「えぇ、ごめんなさいシモン」

しのぶを抱き車椅子に乗せて少し離れさせる。一通り掃除したシモンは辺りに目を走らせる。

誰がやったのか。狙撃、能力、魔術、このどれかだろうか?