二次創作小説(紙ほか)
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.1 )
- 日時: 2020/07/04 12:46
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
大魔闘演武は3ヶ月後。新たに仲間入りしたルーチェ・クランベルもナツたちと共に
特訓に励んでいた。
「よぉ、順調か?特訓」
声を掛けてきたのは火の造形魔導士サルビア・ガンジェスタ。
「それなりに。でも皆の足は引っ張りたくないから頑張らないと!」
ルーチェの思いを聞いたサルビアは考える。ルーチェの魔法は纏う魔法。通常は武器や体の
一部に纏うのだが幾つかのカードは全身に纏うことが出来るのだとか。その魔法で重要なのは
創造力、判断力。創造力があれば即席で新たな魔法を作り出すことが出来る。
「そういえば…あの、前にいた人って誰なの?」
「前?」
「レビィと話してた人」
そう言うと「あぁ」と言った後、サルビアは彼に関して話し出した。妖精女王エルザと対を
為すS級魔導士、妖精王レオン・マクガーデン。妖精王、又は妖精騎士と呼ばれる男。
そしてレビィの実の兄だ。
「あの男は聖十魔導士の一人でもある。序列は七位、聖十魔導士の中では最年少」
翌日、そのレオンの元をルーチェは訪れた。彼は膨大な魔力を生まれつき持っており、自身で
制御するのは難しいらしい。そのため彼の背中には魔力制御のための術式が描かれている。
「自信が無いか?大魔闘演武で戦うことに」
レオンはルーチェの思いを見透かしていた。
「ナツやグレイ、エルザ、ルーシィがいるなら気負うことは無い。例え負けても、それを
笑う奴は妖精の尻尾にはいない」
「そうですよね」
レオンに言われルーチェも頷いた。刻一刻と大魔闘演武の日が近づいてくる。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.2 )
- 日時: 2020/07/04 14:34
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
残り三日になった頃、魔女の罪のウルティア、メルディ、そしてジェラールに会う。
ルーチェは三人と初対面だ。
「レオン?ねぇ貴方はレオン、なの!?」
ウルティアはレオンに歩み寄る。レオンもまた彼女の顔を見て何かを思い出した。
「ウルティア!」
レオンは妖精の尻尾に来る前、その膨大な魔力を持っているがために闇ギルドに囚われていた。
そこを助けてくれたのがウルティアだった。
「まだ、制御は出来て無いの?」
「えぇ、でもこれで良いんです。こっちの方が気が楽ですから」
周りを傷つけないから。
そう言ったレオン。この後、レオン以外の全員がウルティアによって第二魔法源を解放される。
外で待っていたレオンの耳に恐ろしい悲鳴が聞こえて来た。
大魔闘演武、開幕。それは今日の0時。それまでは基本、自由だ。
「ルーチェ?ルーチェ、覚えてる!?私、エレナだよ」
ルーチェの友人、エレナ。彼女は魔導士ではなく一般市民。
「久し振り、ルーチェちゃん。応援しに来たよ」
「ありがとう」
少しの会話をして別れた。その先の人だかりに入っていくとそこにはルーシィとナツ、ハッピー。
そして剣咬の虎、双竜スティングとローグがいた。彼らもまた滅竜魔導士。
「ナツやウェンディ、ガジルは直接竜から魔法を教わった第一世代、ラクサスみたいに魔水晶を
埋め込んで滅竜魔法を使うのは第二世代、そのどちらの要素も持つハイブリッドを第三世代、
だっけ?」
「そう。それにアンタ、アクノロギアを倒せなかったんだって?それって滅竜魔導士じゃないだろ」
挑戦的な言い方で全員を刺激する。すぐに食って掛かるナツを制止したのはルーチェだ。
「私も見たこと無いから分からないけど…そういう言い方は無いと思う。口で言うのは簡単。
誰でも出来るでしょ?アクノロギアを貴方たちが倒せるというのなら、こんなところほっつき
歩いてないで倒しに行けば?」
その言い方が気に触ったのかスティングがルーチェに食って掛かる。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.3 )
- 日時: 2020/07/04 14:52
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
そこで割って入ったのはたまたま通りかかっていたレオンだった。
「あまり大事にはしたくないだろう?お互いのためにここは大人の対応をしてくれないかな」
「誰だ、お前」
「あーそうか…知らない人がいても可笑しくないか。俺はレオン・マクガーデン、自慢じゃないけど
これでも一応は聖十魔導士なんだ。よろしくね」
レオンの対応のおかげで一触即発の雰囲気は消えた。
部屋に戻るとエルザが怒っていた。時間になっても戻ってこなかったのだから。
「まぁまぁエルザ、その怒りは今は抑えておけ」
「レオン!」
「その怒りはこれからのために溜めておいた方が良い。剣咬の虎、最強ギルドだけど案外
子どもっぽいギルドだな」
レオンは呟いた。0時になり予選が始まる。会場にたどり着くまでが勝負だ。
結果、妖精の尻尾…予選8位通過
初日は全員、見せ場はほとんどなかった。
しかし誰も諦める人間はいなかった。Aチームとして参加しているルーチェも諦めるつもりは
無かった。勝てなくても負けたことを笑う仲間はいない、レオンに掛けられた言葉がある。
それは確かだ。初日、負けてしまった仲間を笑ったりしない。
二日目、その競技でルーチェが参戦する。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.4 )
- 日時: 2020/07/04 16:54
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「ナツが参加しなくて正解だったわね」
ルーシィが言った。二日目、最初の競技は「戦車」列車の上を走る。乗り物酔いが激しいナツが
参加していたら苦しかっただろう。
競技が開始されルーチェは早速カードを使う。
—「風神ノ脚」
緑色のショートブーツが現れた。少し床を蹴るとヒュンッと前進する。普通に走るよりも早い。
このペースなら、と誰もが確信した時。ルーチェの脚を蹴り妨害する誰かがいた。
「(誰もいない…擬態魔法かも)」
立ち上がろうとした瞬間、今度は蹴られて後ろに放り投げられた。大鴉の尻尾コブラ、彼は
笑みを浮かべてそそくさと走って行った。呆気に取られてる暇は無い。後ろから何やら言い合って
いる声が聞こえルーチェは走り出した。
順位は下から3番目、もし邪魔が入らなければ1位になれたかもしれない。
「惜しかったなルーチェ」
「ごめんなさい」
ルーチェは謝った。
「気にするなよ。ビリじゃねえんだからさ」
そう言われルーチェはホッとした。すぐに自分の手番は回ってくる。バトルパート、戦闘の初陣、
相手は四つ首の番犬バッカス。彼は先の競技で一位通過している。
「油断するなよルーチェ」
エルザに言われルーチェは頷いた。少し離れて立っていても酒臭い。相当酒を飲んでいると見た。
見た目で何となく酔拳を扱うと予想するルーチェ。読みにくい動きについていけるか、不安だ。
「あれ?オレガノが他のチームのバトルを観戦するなんて珍しいね。いつもだったら
つまんねぇ、て寝ちゃうのに」
シェリアはオレガノに飛びついた。彼女を抱いたオレガノは少し身を乗り出して見ていた。
細いが背が高く力持ちのオレガノ。彼は氷の滅竜魔導士だ。
「ちょっと気になる奴がいてね」
「それってルーチェって子でしょ?もうオレガノったら戦いの事ばっかり〜!」
シェリアはポカポカとオレガノの胸を叩いた。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.5 )
- 日時: 2020/07/04 19:05
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「風神ノ脚」速度は1、2を争うほど速い。空を飛ぶことが出来るのも特徴だ。
「スッゲェ身軽だな」
バッカスは腕を振るった。ルーチェの細足を掴み地面に叩きつける。バッカスは確かな
手ごたえを感じた。同時に鼻に違和感を感じ手で触れてみた。
「(鼻血!?)」
「風神ノ脚…風属性の武器だ。だから少し離れていたとしても掠り傷程度なら付けることが
出来る」
ルーチェはやってやった、という笑みを見せた。起き上がり屈んだまま足を地面に付けて
横に薙ぎ払う。バッカスの体が横に傾いた。ルーチェが即座に立ち上がり右脚を振り上げる。
その脚はバッカスの横顔を貫いた。
「し、勝者…ルーチェ選手!!!!」
全員が歓声を上げた。ルーチェもグッとガッツポーズをした。最初の勝利をルーチェが掴んだ。
それを次はミラジェーンが繋ぐ。
妖精の尻尾Bミラジェーンvs青い天馬ジェニー。今までとは違う特別ルール、どちらが魅力的かで
勝負が決まる。どちらも互角の美しさを持つ彼女たちに主に男性陣がメロメロである。
「ちょっ!?お兄ちゃん!!?」
レビィは目を丸くした。
「スマン、レビィ…俺、こういうのは…///」
レオンはハンカチで鼻を抑えた。
「プフッ、聖十魔導士も可愛い女には勝てねえってか?」
サルビアは茶化すように言った。レオンは言い返すことも無く顔を伏せていた。
「ふふっ、珍しいですね。レオンが鼻血を出すなんて」
初代マスター、メイビスがレオンの隣に座り込み笑った。
「さ、皆さんも参加しますよ」
ウエディングドレス、それを纏った女性たちと正装をした男性たち。
「ウェンディ」
「レオンさん!」
レオンは身を屈めウェンディに目線を合わせる。
「オレガノ!オレガノも来てよ!!」
シェリアは遠くで見守っているだけのオレガノを呼んだ。彼は首を横に振る。だがユウカによって
背中を押され強制的に彼女の近くに降り立たされた。
「あら、シェリアばっかりズルい〜!」
「俺、ついていけないんだが…」
「でもちゃんと抱いてくれるんだねオレガノ」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.6 )
- 日時: 2020/07/04 20:39
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
勝者はミラジェーン。
二日目の夜、二つの勝利に全員が喜んでいた。
喜んでいるところに剣咬の虎ユキノ・アグリアが浮かない顔してやってきた。
「どうしたんだ?アンタ。あんまり暗い顔してんなよ」
サルビアはユキノにそう声を掛けた。
「貴方は…?」
「サルビア・ガンジェスタ、まぁ覚えとく必要は無いぜ。出場するわけでも無いし」
サルビアは簡単な自己紹介をした。彼女がルーシィたちを探して居ると聞きサルビアは
ルーシィたちとユキノを別室に移動させた。
外を歩くルーチェの後ろに何かがいる。それに気づいたルーチェは速足で進んでいく。
すると後ろにいる人物も足を速める。
「分かってた癖に」
横を通り抜けた男はルーチェの前に立った。彼が通ったであろう場所は凍っていて僅かな冷気が
辺りを包んでいた。少しだけ見えていた。
「蛇姫の鱗の…」
「オレガノ・フリジット、氷の滅竜魔導士。といってもリサーブ枠だがな」
ルーチェは息を呑んだ。オレガノが息を吐く。寒さで少し体が震える。
「興味が湧いた」
「え?」
「お前の戦い方は面白い。あれだけじゃないんだろ?後、何通りあってどんな物があるのか
想像するだけでも俺は楽しい」
オレガノは笑みを浮かべた。
「いつか当たる時があったら見せて貰うぜ」
オレガノが見えなくなった後、ルーチェはホッとした。好戦的だけど常識的。
ルーチェがギルドの宿に戻ってくるのと入れ違うようにナツとハッピーが外に出ていく。
「ど、どうしたの!?」
「さっきまでユキノって人がいてな。多分…セイバーの宿に殴り込みに行ったんだろ」
サルビアが説明した。追いかけようとするルーチェをサルビアが止めた。サルビアは両手で
造形魔法を使う。炎で出来た龍、その龍の背中にルーチェは乗った。
「しっかり連れ戻して来い、ルーチェ」
エルザの力強い言葉に押され龍は外に出ていく。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.7 )
- 日時: 2020/07/04 21:15
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
龍が動きを止めルーチェは前を見た。騒がしい、既にやらかしているようだ。
龍が扉に向かって突進する。
「アイツは…!あん時の!!」
スティングが呟いた。
「ルーチェ、どうしてここにいるんだ」
「エルザたちに連れ戻して来いって言われちゃって」
ナツはハッピーと共に炎の龍に乗った。
「ほぅ、火の造形魔導士がいるようだな。中々風情があって良いではないか」
ミネルバは赤い龍を見てそう言った。美人だが何やら裏がありそうな女性だと感じた。
「きっと聞いてるよ。その造形魔導士もね」
ルーチェが言い終わると龍が体をうねらせ三人を宿に連れ戻す。
三日目、第一競技「伏魔殿」ではエルザが妖精女王の実力を存分に振るう。挑戦権は100、
一人で全てを蹴散らすと宣言したのだ。Bチームからリサーブ枠として参加したレオンは
エルザに声援を送った。有言実行、エルザは一人で100体のモンスターを倒した。
その代わりに準備されたのは魔力測定器、その数値で2位から最下位を決めることとなった。
参加者が次々と数値を出していく中、レオンの出番が回ってきた。
観戦席では全員がワクワクしていた。
「見て!お兄ちゃん、胸に描いてる術式が消えてるよ!!」
レビィが指差した。腹の周りに晒を巻いている。右胸にも普段、魔力制御の術式が描かれているが
今回はそれが消えていた。
「勝つために消してもらったんです!」
メイビスが胸を張る。
「マトー君、だっけ?これ、壊れても良いのか」
「それは構わないカボ」
それを聞きレオンは笑みを浮かべた。
「さてと…ぶちかますぞ!妖精の輝き(フェアリーグリッター)——!!!」
光が凝縮されMPFに直撃。レオンの確認の通り、MPFは破壊されカンストしている。全ての魔導士が
観客が呆然としている。そのうち歓声が巻き起こった。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.8 )
- 日時: 2020/07/04 21:36
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
三日目バトルパート最後を飾ったのは可愛らしい二人の戦いだった。
エルザに変わってリサーブ枠参加のウェンディ、相手は蛇姫の鱗シェリア。
天空の滅竜魔導士vs天空の滅神魔導士の戦いだ。結果はドロー、引き分けだった。
三日目の夜を乗り越え、四日目。多くの男性陣にはたまらない戦いとなった。
海戦、水の球の中に次々と多くの女魔導士たちが水着姿で入っていく。Aチームからはルーシィ、
Bチームからはジュビア、そして剣咬の虎からはミネルバが参戦。試合が進み三人だけが
残った頃、油断している隙にジュビアが外に放り出されてしまった。
「ルーシィ…頑張れ!」
ルーチェは小声で応援する。ルーシィは5分間、ルーシィが粘れば少なくても2位は確実だ。
ルーシィは粘る、鍵を取られ魔法が使えなくとも粘っていく。
「…ルーシィが危ないだろうな」
「え?」
サルビアは目を細め呟いた。5分経過、その後は順位を付けるだけだ。しかし、ミネルバの
猛攻がルーシィを襲う。全員が叫ぶ。同時にレフェリーストップが入った。
「こんなの…最強魔導士ギルドがすることじゃないよ…」
「何故だ?折角2位にしてやったのだぞ」
ルーチェの言葉にミネルバは返した。一触即発、そんな中冷静に判断したのはエルザだった。
ある程度怪我が治ったエルザがナツたちを落ち着かせる。
「決着は、大魔闘演武で付ける」
全員が頷いた。
途中、大鴉の尻尾が失格し抜けたことで奇数チームになってしまうので妖精の尻尾はA、B統合し
新たに一つのチームを作った。そこにはルーチェも所属している。バトルパートの試合は
進んでいき、ついに観客たちが待ち望んでいた戦いが始まろうとしていた。
三人の滅竜魔導士と妖精の尻尾の新星魔導士。剣咬の虎、スティング&ローグvsナツ&ルーチェ。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.9 )
- 日時: 2020/07/04 22:28
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「足を引っ張らないよう頑張るよ」
「何言ってんだ。別に俺は足手まといだ、なんて思ってねえよ。一緒に頑張ろうぜ」
ナツの言葉にルーチェは頷いた。相手の方は少し不満そうな顔をしている。
「…何でガジルが出ないんだぁ、て顔しないでよ。私、珍しく堪忍袋の緒が切れてるから」
ルーチェは珍しく怒っていた。必要以上に相手を痛めつけて何が楽しい、何が面白い、
彼らの感覚が分からなかった。
試合はまず妖精の尻尾が攻撃に出た。風神ノ脚を纏いローグの顔面にルーチェはドロップキックを
決めた。片足を着地させるとすぐに跳躍し蹴りの連撃を浴びせる。
「くっ、素早いな」
「白竜の咆哮ォォォォ!!」
スティングの放ったレーザーはナツに避けられるも曲がりルーチェを襲う。だがそれを上空に
移動してルーチェも回避する。着地したルーチェの背後から影を纏った腕が振るわれる。
—「吹雪ノ舞」
二つの白い扇、それを振るえば冷気が放たれる。氷の壁が攻撃を阻んだ。ローグたちが次にとった
ことは魔力増幅。ホワイトドライブ、シャドウドライブという。それを使われたことで攻守交替。
ナツとルーチェは防御に徹することになる。
「(速い、何処から攻撃が来るか読みにくい!)」
ルーチェは急所等を守りながら反撃の隙を伺う。そして一瞬生まれた隙に構え無しの蹴りを放ち
距離を取る。
「無事みたいだなルーチェ」
「はい、何とか」
一度手を止めた四人。スティングとローグは滅竜奥義であるドラゴンフォースを使う。
第三世代はそれを自分の意思で扱うことが出来るのだ。
「俺が二人同時に相手取る」
1vs2、宣言したのはスティングだった。
「ルーチェ、下がってても構わないぞ」
「それは出来ないよ。私だって妖精の尻尾、ルーシィはあんなに頑張った。次は私も頑張る番、
死んでも負けを認めない!」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.10 )
- 日時: 2020/07/05 09:35
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
スティングの猛攻で地面が崩れ試合は地下で行われる。二人がダウンしたと全員が思った。
実際に相手していたスティングも手ごたえを感じ勝利を確信していた。
「ちょっと待った!」
ルーチェの声が辺りに反響する。
「な、何だあれは…!?」
ローグたちも目を見開く。ナツもルーチェも確かにボロボロ。その二人を守るようにそびえ立つ
建物。
「吹雪ノ舞・氷結宮殿」
氷の宮殿が粉々に砕けた。そしてルーチェが叫ぶ。
「全装備・太陽ノ衣」
観客席にまで熱気が伝わる。炎のドレスを纏ったルーチェ。手を振るうと熱を持ったレーザーが
放たれる。
「プロミネンス・レーザー!」
「ホーリーレイ!」
相打ち。
「影竜の…咆哮ォォォォ!!」
「火竜の…咆哮ォォォォ!!」
ローグのブレスとナツのブレスがぶつかりローグはナツのブレスを諸に喰らう。
ローグとスティングが魔力を練り始めた。その二人を見て魔導士たちが感じ取った。
「合体魔法か…!」
レオンが呟いた。
「「聖影竜閃牙ァ!!!」」
その大技を前にナツは拳を引いて構える。
「滅竜奥義…」
ルーチェも隣に立ち拳を突き出す。
観客席ではマカロフが彼らに向けて指を天に突き刺すポーズをした。全員が彼らを見守る。
「合体魔法…「紅蓮爆炎刃!!!」」
ナツの滅竜奥義はルーチェの魔力も加わり更に威力を増す。
勝敗はこれで決まる。砂埃が消えていき最後に立っていたのはルーチェとナツ。ルーチェは
空に指を突き刺すポーズを取る。そして笑顔を見せた。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.11 )
- 日時: 2020/07/05 17:17
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
夜を乗り越え、最終日を迎える。5人全員参加のサバイバル戦。妖精の尻尾は二つの
グループに分かれる。王宮で捕まったルーシィを助けに行く部隊とサバイバル戦に出る
チーム。ルーチェは後者だ。
開始から時間を置いて妖精の尻尾が全員動き出した。
全員が散り散りになりルーチェも言われた場所を目指す。
「おっと、通行料を貰うぜルーチェ・クランベル」
「(初代の言っていた通り、やっぱり来た)」
オレガノは不敵な笑みを浮かべ立ちはだかる。彼が放つ冷気で辺りの気温が下がっていく。
「昨日みたいな氷の宮殿は使えないなぁルーチェ」
オレガノが息を吸った。何をするのかすぐに察することが出来た。
「霊装・サラマンダーフィスト!」
ルーチェの両腕を赤い炎が覆う。彼女は両掌を前に突き出す。火炎放射が放たれる。
「氷竜の、咆哮ォォォォ!!」
二つの技が同時にぶつかり互いの技を相殺した。次にルーチェは「風神ノ脚」へと変え
自ら前に出た。オレガノも迎え撃つ。
「(移動しながら…何処かに俺を誘ってるのか?まぁ…)どっちでもいいけどよ!」
ルーチェの顔面をオレガノは鷲掴みした。
「氷竜の、翼撃ィィィ!」
冷気で体が固まっていく。だけど寧ろこれはラッキーかもしれない。向かっていた場所へと
着々と進み始めていた。
昨夜、メイビスが迷うように言っていた。
「これは…ルーチェにはあまりに重い仕事ですが…」
「大丈夫だよ、初代。私なりに頑張る」
オレガノの腕が伸びて来た。ルーチェは微笑を浮かべた。
—「宵闇のローブ」
真っ黒なローブを身に纏ったルーチェは両手を広げた。ローブが揺れた瞬間、幾千もの鎖が
オレガノを襲った。だがオレガノも笑みを浮かべた。四肢に力を入れルーチェを振り回す。
背後に壁が迫る。しかし慌てない。
「結合衣装・宵闇吹雪!」
ローブに加え両足を淡い水色のロングブーツが覆って滑るように壁を進むルーチェ。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.12 )
- 日時: 2020/07/06 19:10
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
オレガノがドラゴンフォースを発動させ辺りが凍りついていく。ルーチェの脚元も氷漬けに
されてしまった。
「氷竜の、翼撃!」
ルーチェを襲う攻撃。ルーチェに大きなダメージを与えた。しかし突然、辺りを強い光が包み
オレガノの視界が塞がった。
「雷器シュトロームレーザー・ホワイトライト!」
白と黄色の魔法陣が現れる。ルーチェの両手から極太のレーザーが放たれた。雷属性と聖属性を
合わせた最大火力の攻撃。しっかり見えるようになってからでは避けられない。負けじと
オレガノも氷竜の咆哮で応戦するもすぐに押しつぶされた。
倒れる寸前、彼は「負けた」と笑顔で言った。
本当に倒さなければならないのはそこにいた。姿、声が同じでも何か違う感じがした。
「貴方は誰?」
「運命を司る影、とでも言っておこう。ルーチェ・クランベル」
鋭い口調でそう言うとローグはルーチェに殴り掛かった。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.13 )
- 日時: 2020/07/08 20:20
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
黒いローブを身に纏い影の中で鬼ごっこが始まる。ルーチェがすぐにローグに追いつき彼を
抑え込んだ。
「影竜の、咆哮ォォ!!」
それをまともに喰らいルーチェが一瞬の隙を見せる。その間にローグは彼女との距離を置いて
攻勢に出る。しかしルーチェはまだ手が残っている。
「雷の如く激しく、風の如く駆け抜ける…結衣!」
ルーチェの右足と左足にそれぞれ緑と黄色の魔法陣が現れる。
「疾風迅雷!」
激しい突風と電気が辺りに放たれる。その圧に一瞬、ローグが怯んだ。
「なっ!?」
たった一瞬、目を離しただけでいつの間にか目前にまでルーチェが迫っていた。防御が間に合わず
ローグをルーチェの蹴りが打ち上げる。更にルーチェは跳躍し上を向いたままのローグの顔面に
ドロップキックを決め戦闘不能に追い込んだ。足への負担が大きかった。ルーチェはフラフラと
した足取りで彼に近づく。
「私の勝ち、てね」
そしてルーチェは遠くを見据えた。自分の居場所を敵に知らせ、まとめて全員倒そうという
作戦か。
一番最後にルーチェはその場に到着した。彼らを見たスティングは何もせずに降参を宣言、
妖精の尻尾は優勝を掴み取った。
王城を駆けるナツたちの前に餓狼騎士団が立ちはだかる。ナツたちに同行していたレオンは
仲間全員に目を閉じるように指示する。レオンが手を前に振り出すと辺りが眩い光に包まれる。
「よし、ナツ!撃て!!」
「火竜の咆哮!!」
目くらましで怯んだ相手を炎が呑み込んだ。奥から一人の男が歩いてくる。その顔は見たことが
ある人物と瓜二つだ。
「ローグ!?…まさか、未来人」
「そう。そして扉を閉める人間を殺しに来た。ルーシィ・ハートフィリアを、な」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.14 )
- 日時: 2020/07/08 20:34
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
ナツと未来ローグ以外、全員が外に出る。
ルーシィは未来ルーシィを信じた。エクリプスの扉を閉めたりしない。未来ルーシィは
未来ローグからの攻撃からルーシィを守って死んでしまった。
「前を向け、ルーシィ」
先頭を走るレオンはルーシィに言った。
「未来が死んでも今が死んでいなければ全て変えられる」
「…そうね。そうよね!」
レオンは前を向いたまま微笑を浮かべた。
一方、大魔闘演武終了後。広場に魔導士ギルドの全魔導士が集められた。トーマ・E・フィオーレ、
現在の国王だ。
「ねぇ…あれって!」
既にドラゴンたちは現れていた。その数、8頭。数はそこまで多くは無い。
「星霊魔導士のおかげってところか」
サルビアは笑みを浮かべた。今、分かっている星霊魔導士はユキノとルーシィ。二人の力で
即座に扉を閉じることが出来たのだろう。
「…滅竜魔導士はそれぞれ大きな竜の相手を!それ以外は滅竜魔導士のサポートをしながら!!
臨機応変に対応して!」
「ルーチェ!?」
全員が驚いた。
「火、氷、光、影、雷、鉄、天空…竜を倒せるのは滅竜魔導士しかいない!」
ルーチェが拳を上に突き上げた。
「そうだな。そうしようぜ!」
全員が頷き、彼女の言う通りに散っていく。小さな竜も何匹も現れている。その竜ならば
滅竜魔導士でなくても対応できるだろう。士気を高めたルーチェの動きにメイビスやマカロフは
驚いていた。
「初代のようですなぁ。自らが真っ先に先頭に立ち、全員を動かした」
「そうですね」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.15 )
- 日時: 2020/07/08 21:03
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「どうしたんだ?ルーチェ」
ルーチェと行動を共にしていたサルビアは彼女の異変に気付いた。
「竜を倒す術、私あるかもしれない!」
「マジか!?ならさっさと…否、何かルールがあるならそっちを優先しろよ。これぐらいの小さい
竜ならどうにかなるから」
サルビアはルーチェの背中を押した。ルーチェが走り出したのを見てサルビアは構える。
「ルーチェ!?何故お前がここに…!」
フリードは目を丸くしていた。
「滅竜属性の魔力が必要なの。滅竜剣」
ルーチェの魔法に全員が興味を持った。ルーチェの後ろに立っていたラクサスが鼻で笑う。
「何か策があるんだろ。さっさと使えよ、その滅竜剣とやらを」
「はい!」
ルーチェの手に剣が握られた。
「未完滅竜剣・バルムンク!」
刃に黄色の魔法陣が現れた。竜殺しの剣、バルムンクは滅竜属性を持つ武器。だが今にも
折れそうだ。ルーチェの魔力が弱まっているからだ。
「オーイ!加勢に来たぞ!」
「剣咬の虎の…!丁度いいじゃない、ルーチェ」
エバーグリーンの言葉にルーチェは頷いた。何事か、理解できていないスティングとローグに
雷神衆は色々ルーチェに変わって説明をする。
「そういうことなら、力を貸すぜ」
「あぁ、容易いことだ」
「ありがとう、三人分なら私の足りない魔力も補える!」
白と黒の魔法陣も現れルーチェは剣を水平に構えた。一直線上に黄色、白、黒、三つの魔法陣が
現れる。
「滅竜剣、バルムンク!!」
剣を前に突いた。大きなレーザーが目前に迫っていた中型の竜を全て滅した。剣が手から消え
ルーチェの体から力が抜けた。
「ちょっと、大丈夫?ルーチェ」
ルーチェは頷くも体は鉛のように重くなっていた。