二次創作小説(紙ほか)
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.20 )
- 日時: 2020/07/24 11:24
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
ルーシーとウェンディを連れてルーチェは町外れの小さな店に入った。
「わぁ、可愛いお人形がいっぱい!」
壁には多くの人形、縫いぐるみ等が並べられている。奥から小さな人形たちが歩いてくるのが
見えた。
「これは、魔法でしょうか?」
ウェンディは人形を抱いた。後から続いて三人の前に来たのは一人の男。淡い金髪に青い瞳。
人形師カトレアと彼は名乗った。
「何を探して居る」
「見に来たんです」
カトレアは眼を見開いた。何度か店を訪れていたルーチェを見たからだ。彼女を見て彼はふと
微笑を浮かべた。
「そうか、見たことがあると思ったら…通りで他の二人も」
カトレアは人形を召喚する。その人形はウェンディとルーシーの姿をした可愛らしい二頭身人形。
「見たことがあるわけだ」
「私たちの人形!!?」
二人の人形だけではない、ナツやエルザ等様々な人物の人形が現れた。
「俺は魔導士の一人、人形師カトレア。他人を模した人形をも作りだす。その人形は元にした
人間の魔法を真似できる。こんな風に」
ルーシー人形は小さな鍵を上に振り上げると星霊の人形が現れた。
「…何かあったら手を貸そう。多少なりとも戦力にはなれるだろうし」
ルーシーとウェンディが帰っていく。
別の場所では魔法評議会の議員たちが集まっていた。頭が固く、自分の地位を守ることに執着する
者が多い。
そんな中、そこは突然襲われた。その場所を目指していた聖十大魔道の一人レオンの眼にもその
爆発は見えていた。
「ゆっくりしてる暇は…無いようだな」
その場にたどり着くと既に九鬼門ジャッカルに取り押さえられた評議員オーグと傷だらけの
ドランバルトがいた。
「若き、聖十大魔道よ…ドランバルトを守り、この場を離れよ!」
「オーグさん…!!」
爆破。瞬間、レオンはすぐにドランバルトを抱えて下へと逃走した。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.21 )
- 日時: 2020/07/24 11:48
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
妖精の尻尾に魔法評議会爆破事件の話が持ち込まれたすぐ後にレオンが戻ってきた。
「何があった、レオン」
「冥府の門、九鬼門ジャッカルという男の襲撃だ。人間じゃない奴は悪魔だ」
たった一瞬で多くの事を見抜いたレオンに感心する。
更に別の場所。元評議員のヤジマの元で動く雷神衆。彼らも九鬼門と対峙していた。
不死のテンペスター。遅れてラクサスが参戦し倒せたかと思われた。
「なんだ、これは…!!」
息苦しくなっていく。辺りには霧のようなものが充満している。
「魔障粒子だ」
ガスマスクをつけた男が言った。誰か確認している暇は無い。辺りを見回してラクサスは息を吸う。
魔障粒子を少しでも抑えようと吸い込んでいるのだ。倒れ込んだラクサスを地面擦れ擦れで
受け止めた何体もの人形たちは彼を人形師の近くに運んだ。人形師は他の人形も多数召喚し
彼らを助ける。
「アンタ…魔導士か…?」
「人形師カトレア。妖精の尻尾、ギルドの場所を教えろ」
カトレアの手伝いで運ばれた彼らを診たのはポーリュシカだ。彼女でも流石に完治は難しい。
血清が必要らしい。
「カトレアさん、本当に来てくれたんだ!」
「約束事はしっかり守るのが当たり前だろう。それより奴らは評議員だった人間すら手に
掛けていた。恐らく彼らしか知らないであろうことを探っているんだろう」
カトレアの言葉に頷いたレオンも口を開いた。
「彼らだけが知っていることなら殺さずとも生け捕りにすれば済むだろうな。だが容赦なく
命取りに来てるなら…それは生体リンク魔法だろう」
「よし今から急いで元評議員の住所を割り出し彼らを守るぞ!」
ロキは彼らの中の数人の住所を知っていた。残りはこれから総出で割り出すしかない。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.22 )
- 日時: 2020/07/29 19:08
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「わぁ!可愛いお人形さんだ」
アスカ、彼女はまだ幼く危険な目に遭わせることは出来ない。
ポーリュシカやカトレアと一緒にラクサスたちの看病をするということで別室にいる。
それは表向きでカトレアは彼らの看病の手伝いをしつつアスカの相手をしていた。
「縫いぐるみは作れないの?」
アスカは人形を一瞥「わぁ!可愛いお人形さんだ」
アスカ、彼女はまだ幼く危険な目に遭わせることは出来ない。
ポーリュシカやカトレアと一緒にラクサスたちの看病をするということで別室にいる。
それは表向きでカトレアは彼らの看病の手伝いをしつつアスカの相手をしていた。
「縫いぐるみは作れないの?」
アスカは人形を一瞥してから聞いた。
「ごめんね。今日は連れてこれなかったんだ。今回の事が収まったら、僕の家においで」
「うん!」
カトレアは微笑んだ。言葉の通り、目に入れても痛くないほど可愛らしい少女だ。
元、評議員ミケロ。今は娘と共に生活している。
事情を聴いても彼は未だ自分には関係ないの一点張りだった。
「そう言わず聞いてはくれませんか。ミケロさん」
現評議員、元評議員問わず信頼が寄せられている魔導士レオン。彼がここに来ているのは
マカロフに言われたからではなくカトレアに言われたから。少し時間を遡る。
「アンタ、聖十だろ」
「?そうだが…それがどうした」
カトレアは人形たちの持ってきたミケロの写真を見せた。
「妖精の尻尾を嫌う男ならきっとナツやルーシィたちの言葉を人形さんだ」
アスカ、彼女はまだ幼く危険な目に遭わせることは出来ない。
ポーリュシカやカトレアと一緒にラクサスたちの看病をするということで別室にいる。
それは表向きでカトレアは彼らの看病の手伝いをしつつアスカの相手をしていた。
「縫いぐるみは作れないの?」
アスカは人形を一瞥「わぁ!可愛いお人形さんだ」
アスカ、彼女はまだ幼く危険な目に遭わせることは出来ない。
ポーリュシカやカトレアと一緒にラクサスたちの看病をするということで別室にいる。
それは表向きでカトレアは彼らの看病の手伝いをしつつアスカの相手をしていた。
「縫いぐるみは作れないの?」
アスカは人形を一瞥してから聞いた。
「ごめんね。今日は連れてこれなかったんだ。今回の事が収まったら、僕の家においで」
「うん!」
カトレアは微笑んだ。言葉の通り、目に入れても痛くないほど可愛らしい少女だ。
元、評議員ミケロ。今は娘と共に生活している。
事情を聴いても彼は未だ自分には関係ないの一点張りだった。
「そう言わず聞いてはくれませんか。ミケロさん」
現評議員、元評議員問わず信頼が寄せられている魔導士レオン。彼がここに来ているのは
マカロフに言われたからではなくカトレアに言われたから。少し時間を遡る。
「アンタ、聖十だろ」
「?そうだが…それがどうした」
カトレアは人形たちの持ってきたミケロの写真を見せた。
「妖精の尻尾を嫌う男ならきっとナツやルーシィたちの言葉を素直に聞き入れてはくれないだろう。
だがアンタは全評議員から信頼を寄せられている。説得するだけ説得しろ」
彼の言った通り、ミケロはナツたちの言葉には納得出来ていなかったようだ。
「むぅ…しかし!私には、か、関係ない」
「関係ないかどうか、それこそ関係無い事です。では、私の話を聞いてはくれませんか?」
レオンの言葉を聞き、少し彼は納得してくれたようだ。
彼らを突然、爆発が襲った。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.23 )
- 日時: 2020/07/29 19:37
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
九鬼門ジャッカル。
「見覚えのある顔やな、お前。そうそう聖十大魔道って呼ばれてたな!」
「そういうお前はどこぞの悪魔か。それは魔力では無いな?」
レオンが睨んだ。
「どんな目してるんやワレ。その通り、ワイらゼレフ書の悪魔は呪法という力を扱う。
その力、とくと見してやるわ」
「…っと、見ておきたかったけど俺は仕事がある。代打はしっかり準備してある。ナツ、ルーシィ、
ウェンディ、爆弾にも種類がある。だが安心しろ、爆弾の処理には必ず技術があるはずだ」
そうヒントを教えて彼は別の場所へ走っていく。レオンの手にジャッカルが触れて来た。
彼は触れたものを爆弾に変える。
「なっ、はぁ!!?」
爆弾となったはずの彼は変わらず走り抜けていた。
「そうか!光の屈折で作り出した分身よ、あれ!」
ルーシィが叫んだ。
「触れたものを爆弾に、か…随分な爆弾魔だな」
カトレアは呟いた。
「それ以外にも面倒くさい相手はいるだろう。例えばそう、五感等を強化したり、ね」
「お前、あんまりそういうことは言わない方が良いぞ」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.24 )
- 日時: 2020/07/31 15:51
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
一時数人を覗いた全員がギルドに帰還した。
「レオンさんたちが捕まった!?」
カトレアは偵察用の人形をあちこちに配置した。それらの画像で連れ去られていく瞬間が
見えたのだ。彼はルーチェのほうを見た。
「お前に付き合って欲しいことがある」
「え」
別の場所ではドランバルトとの交渉で解放された六魔将軍と魔女の罪、ジェラールが戦っていた。
勝敗が付いた直後、カトレアとルーチェが現れた。
「お前はルーチェと…」
「カトレアだ。少し、頼みたいことがある」
カトレアは現在のことを話す。そして自分の事も教えた。
「話した通り、俺自身の戦闘力はそこまで高くない。人形を扱った魔術が得意なんでな、で。
今は妖精の尻尾との協力関係を結んでいる」
「ほぅ、それで?用件は何だ、早く言ってくれ」
「人形のモデルになって欲しい。俺は見た人間の力を模倣した人形を作ることが出来る。
だから実際に見なければいけなかった。さっきの戦いの一部始終はこの人形を通して見ていた」
カトレアが召喚したのは探偵風の服を着た可愛らしい人形だ。
「分かった。作りたいなら作ってくれて構わない」
ジェラールは微笑を浮かべた。同じようにカトレアも微笑を浮かべる。
カトレアは予め持参した道具で人形作りを始める。手際よく、細かい部分にまでこだわって
しかし速く作る。
「少し聞いても良いか?」
「聞くなら俺じゃなくてルーチェにしてくれ。こっちに集中したい」
カトレアは即座に反応しルーチェが答える。
「元、評議員の人たちの家にそれぞれが行ってたんですけど。どうやらエルザさんたちが向かった
家の人は冥府の門と繋がっていて捕まってしまったんです。今、冥府の門のアジトを全員で
探して居ます」
「そうか…」
「そう気を落とさないで。エルザさんのことは任せて!」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.25 )
- 日時: 2020/07/31 20:48
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
悪魔は笑った。
冥府の門が拠点を置くキューブは妖精の尻尾の上空にやってきた。
同時にギルドは爆破した。
冥府の門、監視していたキョウカ、セイラ、フランマルスの三人は驚いていた。
三人しかいなかったという話と食い違って複数人の魔力を感知していた。
「まさか…あのカード!?」
吸い込まれるように妖精の尻尾全員は本拠地へとやってきた。
「ルーチェたちは間に合わなかったか」
「みたいですね。大丈夫でしょうか…」
サルビアの言葉にウェンディは反応した。心配する彼女にサルビアは「大丈夫だ」と断言した。
彼は魔法を使う。
「ファイアメイク・薔薇園!」
赤い炎の薔薇が辺りに現れる。茨は鞭となって敵を薙ぎ払う。
数は中々減らない。この状況を打破したのはエルザだった。彼女は九鬼門キョウカと共に
地面から現れた。この下は本拠地に繋がっているようだ。
「私の事は心配いらない!行け!!」
エルザに言われ全員が次々と穴の中に入っていく。
一方、囚われの身になっているレオンはラボにいる下級悪魔ラミーに懐かれていた。
それを彼は逆手に取り寝返ったふりをしていた。実際、悪魔因子を埋め込まれている。
片腕は黒い異形の腕へと変化していた。
「やっぱりイケメン!良いよねぇ!!」
近寄ってくるラミーを引き剥がしレオンはミラジェーンが眠るケースに触れて小声で
呟いた。
「ミラジェーン」
ケースが弾け飛び、ミラジェーンが目を覚ます。
「あら、レオン。その恰好、どうしたの?」
「捕まったふりも案外楽しくてな…」
黒い腕は元の腕に戻り、レオンは笑みを浮かべた。
「悪魔の力も、悪くは無かった」
「何事だ、ラミー」
現れたのはセイラとレーシュという男。どちらも悪魔だ。
「片方は任せるぞ、ミラジェーン」
「えぇ、お互いに頑張りましょうレオン」
セイラをミラジェーンが、レーシュをレオンが相手することになった。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.26 )
- 日時: 2020/07/31 21:58
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
レーシュの呪法は不可視の攻撃。
眼では見ることが出来ない、そこに苦戦を強いられていた。
「目ではなく耳に頼ったか」
レーシュは冷静なレオンを称賛した。微かな音を頼りに攻撃を避けようとするも掠り傷は
出来ていく。
音すら聞こえない無音不可視の攻撃を扱うレーシュにレオンは段々押されていく。
「ファイアメイク・ビーストファング!」
レーシュを噛み砕くのは炎の牙だ。火の造形魔法を扱う人間をレオンは一人だけ知っている。
「珍しい、レオンが苦戦するなんてさ。こりゃあ、近いうちに空から槍が降って来るな」
「馬鹿を言うな。俺は無敵じゃないんだ。手を貸してくれるか?サルビア」
「こっちが頼みたいぐらいだぜ聖十大魔道」
サルビアは視線をレオンに向けた。
「こっちは別に二人でも構わない…が、良いのか。普通の人間二人が足止めを出来るとは
思えない」
レーシュはそう言い切った。
レオンは一つ封印を解いた。
「そうか、なら丁度いい。数十分もすればお前は俺たちの前で跪く。これは勝利宣言だ」
この場にいる三人。レオンを覗いた二人、どちらの眼にもレオンの力が増したことが見えた。
レオンの事を知っているサルビアは正直不安に思っている。まだ上手く制御できていないという
話を彼から聞いていたからだ。レーシュは彼の事を今、理解した。
「お前、制御できていないな?」
「…」
「幾つかの段階に分けて力を開放しているな?誤魔化せると思うな。お前は人間にしては、その
年齢にそぐわない力を持ってるな。全部開放したらどうなる」
レーシュの見えない手はレオンの胸に当てられる。レオンに施された制御魔法が全て解除された。
サルビアが反動で吹き飛ぶ。地面にめり込みそうだ、サルビアは必死に抵抗する。
「お前…レオン!!」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.27 )
- 日時: 2020/07/31 22:23
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
レヴィはガジルと行動している途中、足を止めた。
「(お兄ちゃん…)」
レオンは苦しんでいた。
「不可視の攻撃を呪法だと思っていたのなら訂正してもらう。生き物にはそれぞれに
見合った力がある。身の丈に合わない力は死あるのみ。俺の呪法はその力を枯渇させたり
増幅して暴走させること」
レーシュは誇ったように話す。近づこうとするサルビアをレオンは止めた。
「あまり近づくな。良いなサルビア」
「…お前こそ、しっかり制御しきれよ。一番悲しむのは妹だろ」
サルビアの手に炎の剣が握られる。
「ファイアメイク・ソード」
一人、レーシュに立ち向かうサルビアに言われた言葉はレオンの胸の中に広がっていく。
…レヴィ。
レーシュの猛攻にサルビアは突っ込んでいく。
「(こいつ、本気で防御を捨てるのか!?)」
「ファイアメイク・カミーリア」
炎の花が次々と爆発する。反比例して魔力は減っていく。
いつの間にか斬られていた、そう錯覚する斬撃を喰らいサルビアの視界がぼやけていく。
ヤッベェ…。
「天熱星シリウス」
レーシュの眼を焼き焦がし、火傷を負わせた。
「嘘だ…こんな短期間で、制御できるようになるわけが…!」
「火事場の馬鹿力だ。追い込まれれば否が応でもこうしなければな」
レーシュは歯軋りをする。
「さぁ、第2ラウンドだ」
「ふざけるな!人間が、人間に悪魔が負けるわけ…!!」
レーシュはレオンの言葉にムキになって返す。
「負けるんだよ、悪魔は妖精に負ける。知らないと言うなら教えてやる。
妖精王レオン・マクガーデンがな!」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.28 )
- 日時: 2020/08/01 14:43
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
魔力の量を操作しているにも関わらずレオンの魔力は全くぶれない。
「焦れば、追い詰められれば心は隙を見せる。お前はそこを狙って本来の呪法を使っているん
だろう。それならばもう俺の敵では無いな」
「知ったような口ぶりだな、人間なんて少し囁けばすぐに揺らぐだろうに」
レーシュは嘲笑う。
「それは正論だ。しかし例外もある」
—「天翔星アルタイル」
レーシュの体に穴が空いた。風を切り体を貫いた緑色の鷲、それが幾つかに分裂し何個もの
細いレーザーとなってレーシュの体を襲う。
やられたままでは終われない。レーシュが自身の本来の力を全開放する。
「最終手段は、自分自身を暴走させることか…!」
—「天重星ウェズン」
レーシュの体が地面にめり込む。それでも這うようにレオンを殺そうと攻撃を仕掛ける。
口から放たれたレーザーはレオンを呑み込んだ。勝ち誇った笑みは一瞬で崩れる。
—「天舞星ベネトナシュ」
レオンの身を守るように光が彼を囲っていた。レオンはレーシュの前に来て彼を見下ろす。
「ミラジェーンたちはセイラという悪魔を倒したらしい。こっちもそろそろ終曲だ」
「オイオイ、まさかここでやる気か?」
サルビアは苦笑する。
「妖精の輝き(フェアリーグリッター)!!」
破壊の閃光は暴走するレーシュを死滅させた。超高難度魔法を既に死んでいる初代マスター
メイビスや彼女から借りて使っているカナを覗き、単独で完璧に使いこなしているのはレオンだけ。
「ゆっくりはしていられなそうだな…」
「何か分かるのか」
レオンの意味深な言葉にサルビアは聞いた。大きく揺れて赤い何かが体に貼りついてくる。
「レオン!!お前が行け!!」
「ば、馬鹿野郎っ、サルビアァァァァァァ!!!」
数分もすればレオンは目を覚ます。寸前、サルビアの火の造形魔法により彼だけは助かった。
ファイアメイク・繭。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.29 )
- 日時: 2020/08/01 16:12
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「レオン!」
『聞こえてるみたいだなルーシィ。お互い運が良いのか悪いのか…今、お前のところに
向かっている。暫く耐えられるか?必ず駆け付ける』
レオンの心強い言葉にルーシィは救われた。
「大丈夫、今度は私が皆を助ける番だから」
『無理は禁物だからな』
レオンは辺りを一瞥しルーシィの魔力を追う。二人が冥王マルド・ギールの呪法
喜びから逃れたことを知り、全員に彼らを捕まえるように命令した。褒美として九鬼門と
なることを餌にして。
レオンとルーシィの通信は途切れていない。
『ねぇ大丈夫なの?長時間、魔法を使い続けて…』
「先の戦いでどうにか魔力を制御することに出来た。心配は要らない、ッ!どうした、
ルーシィ」
『冥府の門の兵士と九鬼門二人、あと兎みたいなのが!!』
ルーシィの危機迫った声を聴きレオンは速度を上げる。
ルーシィは二体を同時開門し応戦している。ロキとヴァルゴの声が聞こえた。
「三体目を召喚する気か、ルーシィ!?」
「姫!ダメです、体がもちません!!!」
二人の声を振り切りルーシィはアクエリアスを召喚する。彼女の水の中を泳ぎ、アクエリアスに
攻撃を仕掛けるトラフザーに蹴りを放った人物がいた。
「グッドタイミング、ってところか?ルーシィ、アクエリアス」
「レオン!!」
レオンはアクエリアスに目を向ける。
「打破する方法があるのならルーシィに伝えろ。お前だけでは足止めもそう長くは持たないだろう」
「そうさせてもらうよ」
レオンは水の中に潜り込み、悪魔を足止めする。
「いつぞやの魔導士やないかワレ!」
「そうだな、だけど近々お別れだ。一人の星霊魔導士と星霊によって妖精の尻尾全員が
この呪法から解放される」
レオンの言った通りだった。アクエリアスの鍵を破壊し星霊王を召喚。彼によってマルド・ギールが
石化、喜びが解けて形勢逆転。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.30 )
- 日時: 2020/08/01 17:01
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
フェイスを止めることに成功したウェンディとシャルルを助けたのはドランバルトと
氷の滅竜魔導士オレガノと彼の相棒キャンディだ。
「あら、キャンディじゃない」
「お久しぶりですシャルルさん」
耳と尾の先は黒く、赤と青のオッドアイのメスのエクシード。
「オレガノさんはどうしてここに?」
「たまたまギルドの依頼の帰りで通りかかったからだ。ドランバルトとは少し関わりがあったから
手を貸しに来た。…ルーチェは参加してるのか?」
オレガノの言葉にウェンディは首を横に振る。人形師カトレアと共に何処かに出かけて
戻ってきていないと言った。
ドランバルトにより見せられたのは多くのフェイスが並ぶ場所。
「随分と用意周到じゃねえの敵さんも。一機は確実に見つけられるであろう場所に、他は
隠してた…か」
オレガノは冷静だった。
「ちょっとアンタ、どうしてそんなに冷静なのよ」
「冷静じゃない。だけど打破する手を考えるには落ち着くしかない。他の手が見つかることを
祈るしか、無い時もあるんだぜ」
ウェンディの口に何かが入った。丸い、甘いもの。飴だ。
「美味しい!良いんですか?」
「構わないよ、な?キャンディ」
オレガノはキャンディを抱いた。
「それに妖精の尻尾最後のメンバーがここに到着したみたいだぜ」
オレガノは空を仰いでそう言った。ウェンディは思い出したような表情を浮かべる。
別の場所ではルーシィはどうにか立とうと努力していた。
「あっ!」
ルーシィを襲う数人の兵士。彼らからルーシィを守ったのはジェラール人形だった。
『無事か、ルーシィ』
「カトレア!?ルーチェは!?ルーチェはいるの!?」
『冥府の門の何処かにいるはずだ。無理に動くな、ルーシィ。周りを見てみろ』
ルーシィの周りには槍や盾、剣を持った人形たちが守るようにいた。
これらの人形は全てカトレアの手作り人形だ。
『お前の努力のおかげで、救われた者は多いだろう。今は守られていて構わない』
「…うん!」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.31 )
- 日時: 2020/08/01 19:37
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「エルザさん!ミネルバさん!」
「ルーチェ!それにお前たちまで」
ルーチェとスティング、ローグの三人が駆け付けた。
「二人とも、私はまだ戦って無いから任せてよ!」
ルーチェは胸を張った。そんな彼女を見てエルザは頷く。
「頼りにしているぞ」
エルザの言葉にルーチェは大きく頷いた。ルーチェのカードが赤い光を帯びる。
—「火竜拳」
ルーチェの両手を赤いグローブが覆う。ルーチェの正拳突きは躱されるもそれは目くらましと
なってスティングとローグのサポートとなった。
—「雪姫ノ扇」
二対の白い扇子をルーチェが振るうと冷気が放たれマルド・ギールの足元を凍らせる。
「この程度では…」
「足止めをするつもりは無いよ。一瞬でも時間を作れれば…!」
ルーチェの今の立ち位置は双竜のサポートがメイン。
別の場所では満身創痍でありながら駆け付けたラクサスが九鬼門、不死身のテンペスターと
交戦していた。
「ダメだ、ラクサス!」
ガジルは叫ぶ。まだ魔障粒子は体の中に溜まっている。そんな中、通常通りに戦えるはずが
無い。
「厄除人形・ストロードール」
殴られたがダメージは無い。ラクサスが負うはずのダメージは藁人形が負った。
「人形師カトレア!」
「あまり無理をするな」
カトレアが軽く手を振るうと人形たちが現れる。幾つかの人形はナツやルーシィたちを模している。
「フィオーレ人形劇・妖精の尻尾」
「この人形たちは…ッ!?」
テンペスターは口を触る。何かで強引に閉じられた。
「縫わせて貰ったよ、お前のその悪い口を」
藁人形を拾い上げ見せつけた。藁人形の口が鉄線で硬く縫い付けられていた。
「藁人形ってのは厄を除けることも出来るが、呪術としても扱える。東洋の術でこれを
丑の刻参りって言うんだよ。この人形の腕に釘を打ち付けると…」
カトレアは壁に貼り付けるように人形の腕を釘で止めた。声を上げたのはテンペスターだ。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.32 )
- 日時: 2020/08/01 20:32
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「ンんんッ!!!」
テンペスターはすぐに立ち上がり殴り掛かる。
「今は人形劇の最中だ。席を立ってもらっては困る」
カトレアが操る人形たちが一斉攻撃を仕掛ける。更に藁人形の脚、腕、目と容赦なく彼は
釘を打ち付けた。
「呪いにも人形劇にも終わりを告げようか」
カトレアが取り出したのはマッチ。マッチ棒に火をつけ人形に着火する。テンペスターの体も
同じように燃え上がる。
暫くして目を覚ましたナツたち。一先ず安堵しようとするもそれは許されなかった。
滅竜魔導士のみが大きく反応を見せた。近づいてくる黒い竜アクノロギア。それに反応して
イグニールが姿を現しアクノロギアに立ち向かう。
「スティング、ローグ、大丈夫?」
「あぁ…それよりさっきの奴は…」
「今は一旦休もう。私…ッ!?」
ルーチェが両膝を付き顔を覆い苦しみだす。
「何…これ…!?」
走馬灯のように流れる記憶。それは古い記憶。竜と人が共生する時代の記憶。
竜たちと会話する一人の修道女。
微かな声に呼び戻されルーチェは我に返った。
「大丈夫か、ルーチェ」
スティングにそう声を掛けられルーチェは頷いた。
「行こう、ナツのところへ。といっても協力するって話は承諾してくれなそうだけど」
ルーチェは苦笑しつつ足を動かす。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.33 )
- 日時: 2020/08/01 22:32
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
地下に落ちていくナツに助太刀したのは双竜とルーチェの三人だ。
「おまっ、ルーチェまで来たのか」
「おうとも。私、妖精の尻尾だけど全く倒してないし、手を貸すつもりで来たんだけど」
ルーチェは少し謙虚な言い方をした。
上から降りて来たマルド・ギールは未だ余裕の笑みを崩さなかった。しかし彼が動揺する
人物が現れる。氷の滅悪魔法を手に入れたグレイだ。
「滅悪魔法、悪魔を倒す力なら…!」
「やっと完成しましたね」
彼らを阻む人造悪魔となったジエンマが姿を現した。更にもう一人、悪魔が姿を現す。
「場違いな魔導士が釣れたな」
ワインレッドの髪をした男はルーチェの前に立った。
「ヴァルナ、珍しいですね。ついさっきまでつまんないとボヤいていたのに」
「何時行動しようが構わないって言ったのはお前だろ」
ヴァルナは笑みを浮かべた。
「ルーチェ、そっちは任せたぞ」
「任された」
ルーチェはカードを使う。雷を帯びた槍が握られる。そして上へと飛んだ。
「喰らえ!全能神の憤怒の雷を!!雷霆神槍・ケラウノス!!!」
大きくなった雷の槍はヴァルナ目掛けて投げられた。槍が直撃し、煙が舞った。見えたのは
槍を握り潰したヴァルナの姿。
「これが神槍か。確かに初手にしては中々派手な攻撃だったな」
—「結衣・疾風迅雷」
ヴァルナの拳を躱し蹴りを放つ。ヴァルナの体が傾いたのを見て少し油断してしまった
ルーチェ。その隙を見逃すはずもなくヴァルナは彼女の足を掴み投げ飛ばした。拳圧だけでも
ダメージを負ってしまう。彼女を受け止めたのはローグだった。
「え、もう終わったの!?」
「あぁ、こっちは終わった。手を貸すぞ」
ルーチェは地面に足を付け二人の提案を断った。
「私が戦うよ、しっかりね。だけど力は貸して欲しい。やりたいことがあるの」
ルーチェが何かを企んでいることを知りヴァルナは興味を示した。
自分を倒せるほどの相手が目の前にいるかもしれないのだ。そんな人間が何かを掴む前に
殺してしまってはつまらない。
「それで倒せるかもしれないと?良いねェ、俺は別に構わないぜ。早くやれよ」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.34 )
- 日時: 2020/08/01 22:57
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
大魔闘演武終了後、それぞれのカードに正式に名前を付けた。
魔法の名称も自身で「共鳴」と名付けた。
今、体全体を覆うことが出来るミロワールはナツの力を模した太陽装のみ。
この場でもう一つ作ってしまおうという寸法だ。双竜を見てパッとルーチェは思いついた。
二人の魔力を吸収し新たなものを作り出す。
「フハハ、アハハハッ!!それは今、作ったモノだな!?少し侮っていたな、そんなに器用で
創造力がある魔導士だとはなぁ!」
右脚は白、左脚は黒と対を成すロングブーツ。白を基調にした服の上から黒いマントを羽織る。
「共鳴・月衣」
ヴァルナは地面を蹴り上げルーチェに向けて拳を突き出した。その拳がルーチェを通り抜けていく。
予想外の事に彼は一瞬だが動揺した。すぐに冷静さを取り戻すも少し遅かった。
「くっ!影からの攻撃か…それがその魔法の力か」
「この魔法の力の一つ、他にもあるよ」
ヴァルナの体が動かない。それは見覚えがあった。
「白い光の聖痕…それに影からって、俺たちの力をそのまま!?」
その拘束は力づくで破られてしまった。ヴァルナは舌なめずりをする。ちょっとした癖で
彼がどんな力を扱っているのか察することが出来てしまった。
「魔力を吸収した…!」
「正解。で、どう立ち向かう?諦めるという選択肢は無いぞ、俺がつまらないからな。
俺にとってはゼレフ云々やフェイス、人間がどうこうの話はどうでもいい。ただ強い魔導士の
存在を知って興味が湧いただけ…お前は何のために戦う?」
ヴァルナの手がルーチェの細首を握った。そして地面に叩きつける。影の中に沈み攻撃を
回避しつつ攻撃を放つ。それをヴァルナは跳ね除け出てきたところをもう一度捕まえる。
「戦う理由はただ一つ、友達が戦っているからだ!」
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.35 )
- 日時: 2020/08/01 23:14
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
ルーチェの口から血が流れる。その細い体に強い衝撃があった。
「脆いな、影に潜れるからどうした?潜ったままなら捕まえればいいだけだ」
ルーチェは両膝を付き咳き込んだ。
「昔、竜と共に戦った人間の女がいた」
ヴァルナは突然語り出した。
「修道女だった女は虹色の光沢を持つ白銀の髪をしていた。今では黒くなってしまったらしいが…
魔法は変わっていなかったようだな。お前と似た人間を俺は殺した、今までにないほどの
ダメージを負ったよ」
「まさか…!!」
ルーチェの祖母は悪魔に殺されたと聞かされたことがあった。
その悪魔の正体が目の前にいるヴァルナだということだろう。怒りは一瞬しか湧かなかった。
「何のつもりだか知らないけど私は復讐しようだなんて考えない」
彼女の言葉にヴァルナは目を細めた。
「その魔法は破れたのに立つつもりか?やめておけ、手加減なんて俺は出来ないし殺しちまうぜ!」
異形の腕がルーチェに向けて振り下ろされた。頭を伏せたが衝撃は来なかった。
辺り一面に炎の花々が咲き乱れていた。
「ファイアメイク・フラワーガーデン」
花々は弾丸のようにヴァルナに向かっていく。目立った傷は与えられなかったが多少なりとも
ダメージは与えられたようだ。
「手助けに来たぜルーチェ」
「サルビア、レオンさん!!」
二人ともボロボロだ。それでもここまで来てルーチェの手伝いをしに来てくれた。
「二人だけの力じゃ足りないと言うなら四人分の魔力を注ぎ込むか。魔力は有り余っている、
遠慮せずに使え」
レオンの言葉にルーチェは頷いた。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.36 )
- 日時: 2020/08/02 09:45
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
四人分、それもレオンの高い魔力もあってかなり質の高いものが出来上がっていた。
それを見てヴァルナは苦笑する。
「対を成し、決して隣に立たない二つの星よ。今、人々のために重なれ!!
救世月食!」
ヴァルナもまた力を全開放した。全体に金のラインが入り赤い薔薇の装飾が施された。
ヴァルナの拳とルーチェの蹴りがぶつかり合う。
「ここまでとは予想してなかったぞ!まさか、負けを見る日が来るとはな…」
ルーチェは疑念を抱いた。こんな男がそんなことを言うとは…。
掌を上に向け、振り上げた。白い魔法陣が上空に現れる。
「断罪ノ陣!」
「忘れたのか!?俺に魔法は効かねえぞ!!」
容赦なく赤や黒、白の魔力で出来た武器が降り注ぐ。ヴァルナは自身の体を見て目を丸くした。
魔力でできた武器ならダメージを負うはずがない。じゃあ何故、瀕死になっているのか。
「お前の胃袋に入りきらない魔力量だったということだ」
レオンが口を開いた。
「そんなわけ…本当に人間がこれだけのッ?いないと信じたかったが、たった一人だけいたか…
否、今では二人目か」
ヴァルナの体が透けていく。
「一つ、言っておきたいことがある…その白銀の髪、それがお前の魔力の色だ」
「ま、待ってどういう意味…ッ!!」
聞き返す前に完全に消滅してしまった。魔法が解けても両サイドの髪の毛先は白銀色に
なったままだった。
ギルドは完全崩壊、フェイスは滅竜魔導士たちの体の中にいたドラゴンたちによって破壊された。
「よぉ、ルーチェ。生きてたか」
「オレガノ!?」
オレガノとキャンディ、シャルルとウェンディ、そしてドランバルト。彼らと合流した。
そこに降り立ってきたのは水色の竜。氷竜メルキュリウスはルーチェにある事を告げた。
「我ら竜の親友よ、我らの子どもたちを頼んだ」
「え?ち、ちょっと待って!それってどういう…!!」
引き留める前に姿を消してしまった。髪は真っ黒に戻っていた。イマイチ、ヒントが少なく
整理が付かなかった。
- Re: 新訳 FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.37 )
- 日時: 2020/08/02 10:10
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
レオンは初代と会った。
「聞きたいことがある。竜たちの古い親友とはなんだ?」
レオンはそう聞いた。メイビスはもぞもぞと口を開く。
「ルーチェと同じような魔法を扱う人間がいたんです。もしかしたらルーチェは…あ、いえ、
真に受けないでくださいね。私もよく分かっていませんから」
「…そうか。いいや、俺の方こそ急に聞いて悪かった。だが調べずにはいられないな」
レオンはギルド跡地を去った。妖精の尻尾は突然の解散を言い渡され、それぞれ別の道を
進んでいた。
朝になり、ルーチェは誰かの声で目を覚ます。
「ルーチェ様、もう朝ですよ!!」
「え、うわっ!!やらかしたぁぁぁぁ!!!」
ユキノに起こされルーチェの叫びがギルド中に轟いた。慌てて自室を飛び出し、階段を滑り
落ちる。
「だ、大丈夫ですかルーチェ様!!?」
「大丈夫、生きてるからセーフだよユキノちゃん」
ルーチェの右肩には緑色の紋章がある。左手の甲には今も妖精の尻尾の紋章がある。同じように
剣咬の虎に入ったサルビアも左肩に赤い妖精の尻尾の紋章がある。そして剣咬の虎の紋章は
右手の甲にある。
「あ、ルーチェちゃん!!!」
聞き覚えのある声にルーチェは喜んだ。
「エレナちゃん!!どうしたの、もしかしてソーサラーの編集者になったの!?」
「そうだよぉ!!ここにいるって聞いてちょっぱやで来ちゃった!!ほら、毎回ランキングがあるから
その都度に写真を撮ったりインタビューが必要でさ、丁度今終わったところ。にしても
無事で良かった」
「大袈裟だよ。それに、その写真。早く持ってた方が良いんじゃ…」
ルーチェに指摘されて慌ててエレナは帰って行った。
ここから暫く妖精の尻尾が復活するまでは剣咬の虎の魔導士として動くことになる。