二次創作小説(紙ほか)
- Re: ろくきせ恋愛手帖【短編集】 ( No.25 )
- 日時: 2020/09/08 17:54
- 名前: むう (ID: 9Yth0wr6)
私の通っていた小学校にも七不思議がありまして。
私実際、トイレで花子さんならぬ幽霊を見たことがあるんです。
人が怖がるところを見るのが大好きなSの作者、今日も執筆頑張ります!
ちなみに今回は【つか花=つかさ×花子】なので、好きな人是非楽しんでね!
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〈花子side〉
放送室の扉には、立ち入り禁止と書かれた紙が貼られてある。
ドアノブを回したが、鍵がかかっているようだ。
仕方なく、焦る気持ちを必死に整えながら、扉を拳で叩く。
ドンドン!!
その大きな音に気づいたのか、中でガサゴソと言う音が聞こえる。
よかった、人がいなかったらどうしようかと思った。
そう、俺がほっと肩の力を抜いたの直後、扉が外れた。
大事なことなのでもう一度言おう。
扉が、外れた。
バンッッ!!! という音と同時に扉が吹っ飛び、俺とほぼ同じ…ちょっと甲高い声音が響く。
つかさ「あ、ま、ね、だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!」
花子「つかさうるさッぐえッ……」
つかさ「あーまーねー! 久しぶりぃ〜〜ッ! うわぁぁぁぁ〜い!」
キラキラと、そう、アイドルでも見つめるように、つかさの表情にパァッと花が咲く。
つかさはそのまま、扉を吹っ飛ばした勢いのままに、俺の体に飛びついた。
がしっと背中に腕を回され、ぐいぐいと力を籠められて、俺の体は前後に揺れる。
花子「つかさ、うるS……グフッ」
つかさ「普は俺のオモチャなんだよねー!」
注意したのに全く聞かないつかさ。
前後左右に俺の体をブンブンブンブン振り回した後に、「もーいっか」とやっと手を離した。
歓迎してくれるのはとても嬉しいことなのだけど、性格が性格だけに疲れる……。
え、さっきオモチャって言った?
つかさ「うん♪」
花子「一応聞くけど、好きな遊びは?」
つかさ「うーん、普『で』遊ぶコトー」
………アマネデアソブコトデスッテ!?
普『と』じゃなくて、普『で』って言ったよね?
ぞわっと背中に良くないものが流れて、俺は一歩彼から距離を取った。
花子「あ、いけない! ここに来た目的を忘れゴフッッ」
桜「さっさと要件を言いなさい」
ここに来た目的を忘れていた。そういおうとしたが、七峰が投げた分厚い図鑑が俺の頭上にドン!
ちかちかと、頭上に星が瞬き、視界がぐらっと揺れた。
桜「さっさと要件を言いなさいって言ったのだけれど」
花子「今のはそっちが悪いよ! しかも投げたのって……」
桜「広辞苑だけど」
花子「サラッと言わないでサラッと!!」
信じられないかもだけど、この七峰桜とか言う高校生。
数百ページの広辞苑をたやすく片手で持ってぶん投げるほどの怪力。
しかもそれが見事クリーンヒットするんだから、恐ろしい……。
花子「じ、実は8番が暴れてて、2番が8番にやられて、それで」
桜「ちょっと待って。もうちょっと具体的に説明して」
花子「無限階段の怪異が七不思議8番なんだ。それで、学校の怪談の決まりに基づいて(続く)」
これまでの経緯をかいつまんで伝えると、つかさは「ふぅん」と喉を鳴らし、七峰は首を傾げた。
俺は腕に抱いていた2番を七峰に預けると、手当をするように頼んでみる。
桜「分かったわ。確か放送室に救急箱があったと思うから、やってみるわね」
花子「なんで放送室に救急箱が?」
桜「誰かさんが本を投げられるせいで、いっつも頭から血を出してるのよ」
いや、それ犯人君ジャン。
あなたが日向が部屋から帰るたんびに、広辞苑だの七不思議の図鑑だのを投げてるからだよ。
そーいや、今日は日向は休みなのかな?
いつも「愛の試練」だとか、謎のエコーの言葉を吐く日向が今日に限って休み?
つかさ「そーなんだよね。今日は一度もあってないかな」
花子「……何かあったのかな」
桜「まさか。夏彦が勝手に敵につかまることなんて…………・……………………あるわね」
あるんだ!!?
日向、しっかり!! これじゃあ七峰にダメ男と思われるだけだよ!
つかさ「それで、普はなんで俺のところに来たの? 俺と遊びたいから…じゃないよね」
花子「実は、…………ヤシロたちを救う、協力をしてほしいんだ」
しっかりと、二人の目を見て俺は話しかける。
おかしな話だ。敵同士なのに、協力をお願いするだなんて。
でも今は、彼らにしか頼めないんだ。
俺だって、彼らと協力するのはすっごく不安だけど、二人しかいないんだ。
だから、お願い。
つかさ「いーよ?」
スコーンと抜けるように、つかさが言った。
緊張感ゼロ、不安もなし。当たり前だよとでもいうような調子で。
俺は拍子抜けして、自分とそっくりの彼を爪先から頭まで眺める。
花子「ホ、本当に、いいの?」
つかさ「いーよ。だって俺、普と一緒にいられるだけでラッキーだもん!」
花子「…………確かに、いつも満面の笑顔で駆け寄ってくるよね」
つかさ「普も、満面の笑顔で来てもいーんだケド」
…できれば俺も満面の笑顔を作りたいんだけど、多分できるようになるのはもうちょっと先かな。
でも、こんなにあっさりOKするなんて……。
あ、そうだ、肝心なことを聞いてない。
花子「今回の件は、放送室メンバーの仕業ってみていいよね」
桜・つ「は?(ん?)」
花子「え?」
間抜けな返答に、思わずこっちも間抜けな返答を返してしまう。
あれ、違うの?
いつものように、ラジオ使って凶暴化させたりとか、してないの?
桜「しようと思ったんだけど、生憎夏彦がいないものだから、来るまで待ってるのよ」
つかさ「夏彦、クラス全員の女のコに連絡先交換してるんだってー」
花子「そ、そなんだ。日向、かなりチャラいね」
桜「あら、今頃分かったの?」
違うみたいだ。彼らの仕業じゃないってことは、8番は元からあんな感じだってこと。
つまりは、自ら好んで、人に危害を与えてるってことだ。
やっぱり、そのままにしちゃダメだよね。
俺は大きく二度頷く。やっぱり、8番は姿を現してはならない。
依り代を壊して、大人しくさせなくちゃ。
でも、そのためにはどうしたら………。
その時だった。
??「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
ネクスト→悲鳴の正体は一体? 次回もお楽しみに!
- Re: ろくきせ恋愛手帖【短編集】 ( No.26 )
- 日時: 2020/09/08 18:31
- 名前: むう (ID: 9Yth0wr6)
私が花子くんで好きなカップリング↓
花寧々・光ミツ・なつさく、つかさく、つか寧々、つかさく、つかあまetc.
いっぱいありすぎて書けないよぉ(泣)
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??「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
突然、部屋から聞こえてきた悲鳴にキーンと耳が鳴る。
悲鳴の主は、かなり速いスピードで後ずさりして部屋から出ると、俺とつかさの背後に隠れる。
ガタガタと歯を鳴らし、顔も少し青白かった。
その人物は、桃色の髪で、同じく桃色のセーターに黄色のマフラー姿の男の子だった。
つかさ「あ、ミツバ—。どーしたの?」
ミツバ「どうしたのじゃないよ! 出たんだよ! 奴が!! もう嫌ッ」
花子「出たって……なにが?」
そんな説明だとよくわかんないから、もうちょっと詳しく。
尋ねると、3番の瞳からは涙があふれ、彼はキーキー言いながら話を続ける。
ミツバ「そ、そんなこともわかんないのッ!? この世の悪魔だよ!」
桜「だから何なのよ」
ミツバ「Gだよ!」
G!?
え、Gって言った今!?
ほら、みんなてんでにお菓子とかを持ち寄って掃除してないからだ。
俺でもちゃんと、トイレは掃除してるのに。
ヤシロにやらせてるだろ! というツッコミする子は後でお仕置きね☆
ごめん少年たち、早く行きたいんだけど今はそれどころじゃないんだ。
多分もう飽きて、一人ジャンケンとかしてるんだろうけど、もうちょっと待って。
奴が出たから。倒してから3人と一緒に行くから!!
桜「じゃあ、あとはよろしく頼んだわよ」
そう告げると、七峰はスタスタと廊下を歩きだす。
俺と3番とつかさは慌てて彼女の制服の裾を引っ張って、放送室前に連れて行く。
つかさ「待って桜!」
ミツバ「逃げるなぁ!」
花子「卑怯者ッ」
桜「ちょっと、服が伸びる」
花子「一人だけ逃げるのはやめてよ。俺だって嫌なんだから」
ミツバ「そ、そうだ。キミは大丈夫でしょ。キミが退治してよ!」
ミツバがそう言って指さしたのは、つかさ。
確かにつかさなら、ウキウキと退治することが出来るだろう。
うん、それがいい。そうしよう、もうそうしよう、決定。
つかさ「えー俺?」
桜「お願い。後でドーナツの詰め合わせあげるから。ね?」
つかさ「やる!!」
花子「はいはい俺も欲しいです! お願いします!」
桜「あなたには、あげない」
あぁあ……ドーナツゥ……しばしのお別れ……。
そうだ、今度ヤシロに頼んでドーナツ差し入れしてもらお。
とにかく、準備は整った。
ミツバが「あ、あそこ!」と震えながら指さした場所—放送室の椅子の陰には、例のG様。
つかさは音を立てないように、そうっと部屋を進んでいく。
右手に、紙でつくったハリセンを構えたつかさVS、Gの戦いのゴングが鳴る。
ミツバ「あ、そこそこ! お願いッ」
つかさ「おっけー。えいや!」
パシンッと一振り、つかさがGに向かってハリセンを振り下ろす。
Gはすぐに動かなくなった。
つかさはそれをティッシュにつまむとゴミ箱へin。
……この瞬間、この一瞬だけだけど、彼がスーパーヒーローに見えて仕方ない。
つかさ「ただいまー!」
ミツバ「あ、ありがと! ほ、ほんと怖かった……」
ほっと一息つく3番。
まあ、Gが得意な人なんていないだろう。
つかさ「あのねー。虫さんね、内臓が出ててね、グチャってやったら更に潰れT」
桜「や・め・て」
つかさ「はーい」
よし、Gも倒せたことだし、問題の場所へ向かうとしよう。
遅くなってごめんねヤシロ、少年、いまから皆で行くからね。
つかさ「じゃあさ、条件つけていい?」
花子「え? 条件って……」
つかさ「今回、俺は普のお願いを聞くけど、タダじゃダメってコト」
………まあ、仕方ないか。
あっちにだって事情があるのに、無理やりお願いしたから。
いいよ、条件はのむよ。でも、痛いのはなしね。
つかさ「分かった。じゃあねえ」
花子「うん」
つかさ「これが終わったら、普の助手、もらってもいい?」
……………え?
何と言われたのか、一瞬理解が追い付かなかった。
もらう? ヤシロを? つかさが?
恐る恐るつかさを見上げると、つかさはニヤリと無邪気に笑う。
ダメだ、ダメだそんなの。
彼のことだから、何をするか分からない。
でも、条件を飲むと言ったのはこっちだし……。
それでも、ヤシロをつかさにあげるなんてそんなことは出来ないし、ああでも………。
つかさ「ま、冗談なんだけどね」
は? 冗談!!??
さっきのは、全部嘘ってこと?
つかさ「ちょっと遊んでみただけ。そんな怖い顔しないでよぉー」
花子「え、っと……」
つかさ「さ、いこうミツバ、桜! 普も早く早くー!」
俺は確信した。
やっぱりつかさは、俺のライバルであり大敵なんだと言うことを。
そして今、その大敵と一緒に悪を滅しに行くと言うことを。
陳腐な言葉で申し訳ないんだけど、すごいワクワクする!!
待ってて! 俺たちがきっと助けに行くからさ。
あと、日向は一体どこにいるんだ……(※無限階段です)。