二次創作小説(紙ほか)
- Re: ろくきせ恋愛手帖【短編集】 ( No.39 )
- 日時: 2020/09/18 19:03
- 名前: むう (ID: 9Yth0wr6)
うおっ500っ!?
ありがとうございます。休憩時間30分間使って続きかきます。
なお、この続きは多分一週間ほど遅れると思います。
申し訳ありませんが、ご理解をお願いします。
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〈仁乃side〉
無限階段の怪異の八雲の領域である【無限階段】の中で、私たちは昔の花子くんと八雲に会った。
そして、昔の司くんが言うがままに、下校を始めたのだけど……。
無限階段の中に昔の学園があるだけでもオドロキなのに、学園を出たら、あたりは住宅街。
これ、どうなってるの?
現代って、改めてすごいと思う。
司「それでねー。√とかぁ、ニジホーテー式とかぁー」
普「二次方程式?」
司「そうそれ! 全然分かんなくてさぁ。ね、キミは分かる?」
大正時代の私たちかまぼこ隊としては、数学っていう勉強も全然わかんない。
そして現代人の司くんも、頭を使うのはどうやら得意ではないらしい。
桜「え、私?」
司「うん! キミの名前はなに? 俺はつかさ!」
桜「……七峰桜よ」
一瞬チラッと、桜ちゃんのとまどった表情が見えた。
その理由を、あえて誰も聞かない。
でも、桜ちゃんは流石高校3年生ってことで物凄く落ち着いているし、雰囲気も大人っぽい。
頭だって、絶対いいはずだよね。
桜「数学は、積み重ねの教科だから、練習すればいいと思うわよ」
夏・寧・光「そうなんですかっ?」
桜「……八尋さんやお祓い屋の子はいいとして、夏彦あなた勉強できないの?」
ストレートな桜ちゃんの表現に、夏彦くんは「う゛っ」と言葉に詰まる。
その横で有為ちゃんが「ハァ」と大きなため息を一つ。
有為「………皆さん、お話をするのもいいですが、依り代の件忘れないで下さいね」
一同「完っっっっっっっ全に忘れてたァァァ!!」
皆の声がキレイにハモる。
善逸くんの悲鳴(失敬)や、司くんの明るい声や、昔の花子くんと八雲の会話が楽しくて。
そうだった、肝心な目標を忘れるわけにはいかないよね。
ここは八雲に、一つ探りを入れてみた方がいいのかも。
私がチラッと普くんたちを除くメンバーに目配せをすると、みんなは揃って頷いた。
仁乃「あ、あのっ!」
普「………えっと、確かキミは……胡桃沢、さん、だっけ」
いつもは元気いっぱいに「胡桃沢———!」って駆け寄ってくる花子くん。
昔の花子くんもとい普くんの返事に、違和感を感じなかったかと問われれば、感じた。
仁乃「あの、八雲ちゃんと、普くんって、仲いいの?」
八雲「ええ、クラスメートなの。話すようになったのは、つい最近」
へぇ。まぁそれもそうか。
私だって、かまぼこ隊とつるむようになったのは、任務で彼らと会ってからだもの。
むっくんと知り合ったのだって、最終選別にお互いが行ってなければできなかったわけだし。
善逸「へぇ。じゃあさじゃあさ? 話すようになったきっかけって、あったりする?」
司「さーねー。俺と普は違うクラスだから知らないけど、どうなの普?」
八雲「……私が仲良くしてた子たちが、急に私と距離を置くようになったのよ」
普「……俺は、もともと、友達とか……いなくて、それで」
ああ、そういうのあるね。友達関係って、糸のように複雑に絡まってるから疲れちゃうよね。
むっくんも、瀬戸山くんと実際、色々あったもん。
八雲「……一人ぼっち同士、気が合ったのよ。柚木くん、話す前はすっごい暗い子かと思った」
普「………実際そうだけど」
八雲「でも、こんなに頭がいいなんて思わなかったわ。理科、凄くよくできるじゃない」
「いいなぁ」と、光くん・寧々ちゃん・夏彦くんの声が重なった。
理科って確か、生き物を観察したりするんだよね。
一回大正時代に寧々ちゃんが来た時、教科書を見せてもらったことがある。
グラフがいっぱいで、私にはサッパリ理解できなかったっけ。
普「………月原さんも、凄いと思うよ。誰にだって優しいじゃん」
伊之助「俺だって優しいぜ!」
炭治郎「女の子の体を踏んだのにか、伊之助」
伊之助「ゲッ。そ、それとこれとでは違うんだよォ!」
誰にでも優しい?
普「全然話さなかった俺に、気さくに話しかけてくれて、嬉しかったよ」
八雲「…………そんなことないわ」
学校だけなの、と八雲は蚊の鳴くような小さい声で、そっと呟いた。
………それは一体、どういうこと?
そう聞こうと思ったけれど、交差点の分かれ道で、私たちは八雲と別れる感じになってしまった。
八雲「じゃあね、また明日。柚木くん、弟くんもまた明日ね」
かまぼこ花子隊「ばいばい、八雲」
普「あ、うん……またね、月原さん」
司「ツキハラまたねぇぇぇ!」
私たちに向かって手を小さく振った八雲の表情は逆行で見えなかった。
もしかしたら、少し、泣きそうな顔だったのかもしれない。
背を向けて走り出した彼女の制服のポケットから、小さい桃色の手帳がバサッと落ちた。
炭治郎さんが拾い、慌てて彼女に渡そうとしたけれど、角を曲がった時には八雲の姿はなかった。
どうやら、ものすっごく足が速い子みたいだ。
炭治郎「ど、どうしよう…………ん?」
善逸「どうした炭治郎。女の子の持ちもん拾えるなんて羨ましいわ」
炭治郎「いや、ここ……もしかして……」
善逸さんの嫌味をサラッとスルーし、炭治郎さんが手帳の表紙を指さす。
さされた場所には、依り代の証——「黒い正方形の札」が、ど真ん中に貼られてあった。
————————これが、八雲の、依り代………………?