二次創作小説(紙ほか)

Re: ろくきせ恋愛手帖 【亀更新です】 ( No.92 )
日時: 2021/01/14 19:01
名前: むう (ID: mkn9uRs/)

 【執筆コソコソ噂話】
 最近は仁乃睦色を控えめにしてぎぬしの(後に出そうかと思っている)や花寧々を強める。
 ついでに有為の存在感も強める。ぜんねずもやりたい。
 有為ちゃん誰かとくっつけてみるかって考えてたり(一応候補は無一郎とミツバ?)
 しっかしこれがまた難しいんだぁ……


 ****

 
 〈花子side〉

 さっきからずっと頭がガンガンいっている。
 遠くでヤシロやみんなの声が聞こえたと思ったら、今度はすぐ近くで響く、
 平衡感覚がおかしくなる。かといって口を開こうと思えば、セリフも操作される。

 どうしよう……このままじゃダメなのに体が動かない。
 早く宵宮を助けなきゃと思ってるのに、さっきから体が言うコトを聞かない。



 花子「コロ……コロス!(ブンッッ)」
 伊之助「獣の呼吸・弐ノ牙 切り裂き(なぎ払う)!! ウォィしっかりしろ!!」


 炭治郎「ダメだ伊之助! 花子くんは夜月家の術で洗脳されてるんだ」
 伊之助「チックショウ…アイツ絶対許さねえ!」
 炭治郎「善逸、立てるか! 寧々ちゃんの護衛を頼む!」

 善逸「ぇぇぇぇぇぇ!? んもぉ分かったよぉ……」
 光「大丈夫だ炭治郎! 先輩はオレが見てる! 炭治郎たちは構わず攻撃しろ」
 炭治郎「……できればそうしたいんだけど、光くんの武器、封印されてるだろ?(憐みの視線)」


 ※光くんの錫杖は花子くんが「封」という札を貼ったので攻撃力がない。


 光「花子ぉおおおおおおおおおお!!」
 寧々「こ、光くん、私は大丈夫だから仁乃ちゃんを助けてあげて!」
 光「え、でも、」
 寧々「あの人に洗脳されたらおしまいよ。かといって有為ちゃんに助けも呼べないし……」



 ヤシロごめん!
 本当なら俺が守ってあげれるのに。
 どうやったらこの状態から抜け出せる?

 あ、もう、そんなこと考えてるうちに竈門ひっかいちゃった……。
 止まって、俺の体、止まって!!


〈仁乃side〉

 カオル「『術式発動:封呪縛放ふうじゅばくほう』(パチンと指を鳴らして)」
 仁乃「……ッ(やばい、なんか胸の中がモヤモヤして)……」
 
 カオル「術の強さだと、どんな状況にも対応できるほど術が豊富な宵宮家が優勢だ。けど、」
 仁乃「う゛……(やばい吐きそう……)」
 カオル「夜月家は使う術が少ない分、一つ一つの術の効力がでかいんだよね。どう?」
 仁乃「……ゴチャゴチャ言ってないで、早く洗脳を解呪しやがれ、この………ッ」


 猛烈に煮えくり返る腹の奥の本音。
 それを思いっきりこいつにぶつけたいのに、重い倦怠感のせいで体がふらつく。
 喉の奥がゴロゴロして、視界が狭くなる。


 それにコイツには、爆黒炎がきかない。
 さっきも炎を投げたら、また新たな術で炎の軌道を変えられた。
 自分に向かって迫ってくる炎を前に、さっきからずっと私は手ぶら。

 

 カオル「君は厄介だね。洗脳しようにも君だけは出来なかったし、この術の効き目も薄い」
 仁乃「こんなときだけは、こんな体で良かったって……思うよ」
 カオル「ふうん。でももう限界みたいだね。『濃霧』が心を蝕んでる。じきに死ぬよ、君」


 濃霧って何か、そう尋ねる元気は既になかった。
 分かったよ、私の知ってる世界はとっても狭いってこと。
 有為ちゃんがいい人なんてほんの一握りだって言ってたけど、全くその通りだ。


 世界中どこにいようがいまいが、どうしようもない人は沢山いる。
 そんな人に文句を言うよりかは、自分を信じてくれる人と楽しい話をした方が何倍もマシだ。


 世界って言うのはこんなもんだよ。
 私が運が良かった。それだけのことなんだ。
 違う世界があって、もしかしたらそこでは皆悪い人なのかもしれない。
 自分がその世界に入り込む可能性もあったんだよ。

 でも私は違った。
 優しい人を探すことが出来た。信用してくれる人を最後まで信じることが出来た。
 一緒にいたい人と一緒にいる生活を送れた。
 それだけのことなんだ。

 仁乃「(………ヤバいもう力が出ない……)ドサッッ」
 光「仁乃ちゃん!! おい先輩を頼むっ(ダッと駆けだして)」
 カオル「ほら、言った通り」


 光「おいテメエ、いい加減にしろよ!! 人を簡単に傷つけて!!」
 カオル「俺だってしたかねえよこんなこと!!」


 急にカオルが声を荒げ、光くんの胸倉をつかんだ。
 さっきまでの雰囲気とは打って変わり、彼は泣きたいような怒りたいような複雑な表情で。
 服を掴まれた光くんはびっくりして、目をしばたかせた。


 カオル「したかねえよ、俺だって人殺しは嫌だ! かといって逆らったら俺の首が飛ぶ!」
 伊之助「……逆らうって誰にだよ」
 カオル「上にだよ! 昔からそうだ、掟は間違ってるって、忌子を解放しようって言ったら……」


 カオル「そう言った人みんな、自分の親父の手にかけられて、それで」
 炭治郎「………そ、それでお前は、自分の命を守るために有為ちゃんを……ッ」
 カオル「じゃあどうしろってんだよ! お前は仲間のためにも俺は死ねって、そういうのか!?」


 違うよ。そんなこと炭治郎さんは言ったんじゃないよ。
 でも、カオルさんの気持ちも、分からない訳じゃない。

 誰だって死ぬのは怖い。当たり前のことだ。
 死にたくないから、命令には逆らえない。
 炭治郎さんはそんなしきたりを作った人が、とっても嫌いなんだよ。








 有為「――もういいです」




 その声は、絶望に負けそうになっていた私たちの頭に、凛と響いた。
 




 寧々「有為ちゃん!?」
 善逸「馬鹿、有為ちゃん一回家に入ろう! 入っ……って力強いな!!」
 

 炭治郎「有為ちゃん、気持ちはわかるけどここにいたら、どちらにしよ君は……」
 有為「大丈夫です。……何とかしますから」


 何とかするって、どうやって?
 花子くんも光くんも私も、もう戦えない。
 それにカオルさんに従っても従わなくても、あなたは死んじゃうんだよ。


 有為ちゃん、やめてよ。
 私、もう誰も失いたくないよ。
 


 有為「大丈夫です。今から、全部終わらせますから」
 カオル「終わらせる? 何を終わらせるって言うんだよ。お前に何ができるって言うんだ?」



 できますよ、と有為ちゃんは言った。
 そのために準備してきたんですから、と。


    
 有為「…………消すんですよ、『忌子の存在』を」
 カオル「……は?」
 有為「『記憶操作術』で、陰陽師のみんなの根っこにある、忌々しい忌子の概念を抹消する」


 ……できるの? そんなこと。
 でも私は、有為ちゃんが夜遅くまで祓魔術の練習をしてたことを知っている。
 いつも、私たちだけでは手の回らない雑事に追われて、どんなに辛い時でも決して諦めなかった。


 有為「だから、協力してください! 夜月家!!」







 ネクスト→第4話クライマックス。次回もお楽しみに!