二次創作小説(紙ほか)
- Re: ろくきせ恋愛手帖 【亀更新です】 ( No.93 )
- 日時: 2021/01/17 18:14
- 名前: むう (ID: mkn9uRs/)
こんばんは、むうです。
あと残すところ受験まで一週間とちょっとになりました。
気分はDown気味なんですが、頑張ってHighにしようと思います。
皆さんも勉強や部活頑張ってください。応援しています。
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〈有為side〉
なるほど、夜月家はただ単に自分を排除しに来たわけではないのか。
それも、上からの重圧、逆らえば自らの死を選ばなければならないということだ。
全く持って、ばかばかしい。よくもそんなことをいけしゃあしゃあと。
少し前の自分なら、夜月家の手によって自分が殺されてもいいとそう思っていた。
自分の存在意義なんてなくて、自分が生かされている理由も知らずに。
でも今ならわかる。
自分が生かされたのは、みんなが優しいから。
自分が認められたのは、みんなの心がキレイだから。
その優しさをただ貰っているだけじゃ、ボクは何も変わらない。
自分を忌子たらしめていたその概念ごと、破壊してやる。
できるのかって? そんなことは分からない。
だがお兄ちゃんやご先祖さまは、宵宮家の伝統を作るためにわざわざ術の記述まで残してくれた。
ボクがその文書を読んでいなければ、きっとこんなことを考えようともしなかった。
『失くしたものは大きいけど、しっかり生きて行かなきゃ瀬戸山くんが怒っちゃうからね。
だから一緒に頑張ろう。
大丈夫、有為ちゃんは出来る子だから。
ちゃんと、力持ってるから』
そう言ってくれた仁乃さん―炭治郎くんたちや花子くんたちの期待にこたえたい。
鬼に食べられてしまったお兄ちゃんのためにも、今ここで『わたし』がしっかりやらなきゃ。
きっと、ボクは一生、前へ進めない。
だから。
有為「協力してください! 夜月家!!」
カオル「……………断る」
炭治郎「なっ!!」
伊之助「なんでだよ、さっさと何とかしやがれ!!」
花子「ウ゛……ウ゛ウ゛………(寧々に捕まえられて暴れる)」
寧々「花子くん、しっかり!! もうちょっとの辛抱だから!!」
仁乃「う………ごめん体が動かない……。だれか肩貸して……」
睦彦「ほら、手出せ。全くお前は、こういうところは変わんないなぁ」
仁乃「(起き上がって)ん……ありがとうむっくん」
有為「なんでですか? 貴方も陰陽師のしきたりには反対なのでしょう?」
カオル「………忌子と協力なんて、出来るわけねえだろ!!」
その言葉を聞いた途端、自分の中で押さえ込んでいた感情が一気に爆発し、加速した。
人生14年間で生まれて初めて、ボクの身体は感情に任せて動き出した。
何が起こったのかわからなかった。
気が付けば自分は、カオルさんを押し倒して、彼の羽織の胸倉をつかんでいた。
苦しそうに息をする彼に、やっと自分が何をしたのか分かり慌てて手を放す。
感情に左右されるなんて、馬鹿がすることだ。冷静にならなきゃ。
でもなかなか頭は冷えなくて、肩で息をするのがやっとで。
カオル「………う………」
有為「ふぅ……ふぅ………ふぅ…………」
花子「……ヨ……イミヤ……」
寧々「! 花子くん!」
花子「(ドサッッ)はっ。何が起こった!? あれ、俺今まで何して……」
寧々「花子くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!(ギュ――――――ッ)」
花子「え、ちょ、ヤシロ!? 苦しい、苦しい!!」
カオルさんの動揺で、花子くんにかかってた洗脳術が解けたのだろう。
それと同時に仁乃さんにかかっていたものも効果を失ったようだ。
だが、数分間術に身体を乗っ取られていた二人の顔色は悪い。
有為「…………わたしが……忌子だからって、そういう言葉はもう聞き飽きた……!」
カオル「……は、離せコラっ」
有為「もういい。もういい……っ。もう辛いのも苦しいのもしんどいのも嫌だ!!」
どうせ分かんない。
どうせ同情なんてしてもらえないんだ。
少しは話し合えるかと思ったけど、やっぱり難しいよね。
何十年も続いてきたきまりが間違ってるだなんて、普通誰も思わないから。
やっぱり、しょうがないよね。
前向きになっていた心が一気に暗く閉ざされ、やっつけ仕事で全てを終わらせようと考える。
ああ、わたしは馬鹿だ。
少し嫌なことがあったくらいで考えるのをやめてしまう。
このうえなくネガティブで、やっぱり弱い。
有為「…………やっぱり、わたしを連れて行……」
炭治郎「諦めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
不意に耳に飛び込んできた、炭治郎くんの怒鳴り声にはっとして振り向く。
いつも穏やかな笑顔を崩すことなく接してくれた炭治郎くんは、表情をこわばらせて叫んでいた。
炭治郎「あとちょっとだ! もう少しだ!! 絶対に、諦めちゃダメだ!!」
その声に押されて、他のみんなも立ち上がり、声を張り上げる。
大丈夫だと、絶対にやれると、こんなわたしを持ち上げてくれる。
善逸「そ、そうだよ、頑張れ有為ちゃん! 早くこんなの終わらせておやつ食べよう!!」
伊之助「腹が減ったんだよ、早くしやがれ!!」
仁乃「大丈夫……頑張って……」
睦彦「寝とけ胡桃沢…って、どうせ聴かねえしなぁ……つうことで頼むわ宵宮!!」
花子「宵宮ごめん、俺やられてたみたいで!! 今度はサポート頑張るから!!」
寧々「行くわよ光くん! 有為ちゃーんファイトぉぉおおおおおお!!」
光「オ―――――――――――!!」
もっけ「ういふぁいと」「おまえはできるこ」「かわいい」「アメやる」
皆が背中を押してくれるなら、こんなところで後ろめたい気持ちになってちゃダメだ。
ボクは起き上がると、カオルさんの手首をつかんで起き上がらせる。
いきなり上へ乗っかってきたボクの行動に、まだあんぐりと口を開けている彼に、言う。
有為「貴方にしか頼めないんです! 頼みます、協力してください!!」
カオル「なんで……なんで怒らねぇんだお前。俺は夜月家の人間だぞ。……なんで……」
有為「あいにく、階級とか位とかに、重きを置いていないんで!! どうでもいいです!」
ボクの言葉に、なぜかカオルさんは肩を震わせて俯く。
なぜかは分からない。
みなさんなら考えることもできるのかもしれないが、ボクは人の気持ちに鈍感だ。
カオル「……分かったよ。…………あの、さっきのことは」
有為「『忘れて下さい』とでも言うつもりですか? 断固却下しますよ。一生忘れません」
故意であっても、ボクの仲間を傷つけたこと。
これは絶対に許される事ではないはずだ。
カオル「……お前みたいなやつ、俺いっちばん好きかも(ボソッ)」
有為「それはどうも」
ボクはそれを皮肉と受け取ったが、本当にそれは皮肉だったのか。
もしかしたら、彼が自分を初めて一人の人間だと見てくれた上での言葉だったかもしれない。
だがしかし、それがどんな意図だったとしても、あとでボクは彼を数発殴ってたけど。
※あ。構成ミスったぁぁぁぁ。次回に続きます、お楽しみに―!