二次創作小説(紙ほか)
- (第17章 祈りよ届け! 運命の手術と現れたイヴ!) ( No.18 )
- 日時: 2022/07/22 16:21
- 名前: 破壊神 (ID: RtQ9ht2V)
一方アレルヤの方は、苦しんでいた。
「ドックン! ドックン! ドックン! ドックン!」
と、かなり強く動き、まるで、心臓の中で何かが暴れている様な痛みさえ感じた。
だが、今の彼は動く事ができず、完全にイヴの細胞に摑まったままだった。
そして、イヴはやはり、アレルヤの内部で生きており、
時折心臓をいじっては彼の歪む顔見て喜んでいた。
「ドクドク、ドクドク、ドクドク」
「フフフフフ。もうお前は、私からは逃げられない。私は、いずれお前の体を食いちぎり、もう一度ミトコンドリアの解放するのだ」
「な、何故……ぼ、く……ウ!」
もはやアレルヤの命は限界に近かった。
その時、また窓が白く光った。
やはり、あの女神と、見習いの天使らしき者を連れていた。
女神の方は、手を白く光らせ、胸に手を置くと、
「酷くなってる。大丈夫? あ! これは消さないと大変な事になるわ。大丈夫。すぐ外してあげるから」
と、今度は天使が、ミトコンドリアでおかしくされた部分を、完璧に治すと、アレルヤにそっとキスをした。
「これでよろしいのですか? まだ細胞が……」
「そう思うかもしれませんが、それはここの人間のする事です」
と、去り際に、女神が言った。
「もう、大丈夫です。ゆっくりおやすみなさい」
すると、ずっと続いていた激痛から解放されたかのように楽になり全ての数値が正常に戻りつつあった。
そして去ろうとした時、前田が、
「あ~~~~!!ちょっとストップストップ!!」
「あ!」
「あ、ああこの事は誰にも言いませんよ。それより教えて下さいよ。なんでついてた物を皆消しちゃったんですか? せっかくのサンプルなのに~」
「あれは本来、この世界に有ってはいけない物なのです。ゴメンナサイ。私は立場上、あまり詳しい事は言えません。言えるのは、ただ、彼の無事だけ。そして、彼を救う為。残念ですが、私も彼女もまだ見習い中の身なので、あんまり、大きな事は出来ません。ですが、あの人を助けたいと思う人達はたくさんいます。これを使ってください。ダダの手術で使う様な道具ですが、全て、魔法が宿った物です。これを使って、必ず、彼を助けてください。私達は信じています。あなた達の腕をだから、必ず」
と言うだけ言って、去ってしまった。
「名前、聞きそびれちゃったな~……まあ、これを手に入れただけでも良しとしますが」
と言って前田がアレルヤを見ると、スース―と気持ちよさそうに眠った。
だが、イヴがいるというのは本当の事で、次の日の精密検査で明らかになり、成長速度から、手術日を早める事が、ロックオンからの情報で分かった。彼は今隔離室におり、イヴが出て来ない様にしていると、イヴの位置が分かったが、なんとそれが心臓のすぐ近くだった。
早く取り出さなければ、彼は間違いなく死ぬ。
医師や科学者達の立案により、手術する事になり、すぐそばまで、アヤとロックオンが付き添う事になった。
アレルヤは怖かった。あの超人機関での事が有ったから、手術が怖かった。
でも、ロックオンとアヤが、
「信じて待っている。必ず戻れ!」
と言ってくれ、自分は手術に入り、手術中のランプが点き、始まった。
そして、この事を知った皆は。必死になって祈った。アレルヤに、また戻ってきてほしいと。
皆はその病院の方を向いて必死に祈る。
だが、刹那は神などいないのを知っていて祈る事はせず、同じくティエリア・アーデも祈ろうとしなかった。
「お祈りしませんの?」
「神なんて物がいてたまるか! ばかばかしい!」
「神なんていない。それに、俺は信じている。アレルヤが戻って来る事を」
「……」
その言葉に、苦笑しながらも留美は祈りに加わる。
そして、手術中のランプは赤いままで、ロックオンは席を外し、アヤにコーラを買って来た。
「ほら、あまり気を使うな。アレルヤは今頑張ってる。俺達に出来るのは、あいつを信じてやる事だけだ」
「アレルヤを?」
「そ。それして、ハレルヤもな」
「信じてないわけじゃないけれど、もし、あの子が、イヴに取り込まれていたらと思うと、怖いの……」
「そりゃ誰だってそうだよ。それにイヴなら大丈夫。エキスパートを手術に紛れ込ませたからな」
と、ロックオンはニヤリと笑う。
「え?」
そして、手術もどんどん進む。
と、その時、細胞の一部が膨らみ、やはりイヴに近い存在が出て来た。
「フフフフフその者をもらい受ける。抵抗するなら、皆灰になって死ぬ事になるぞ?」
と言うと、イヴはアレルヤを浮かせ、取り込もうとしたその時、手術着を脱いだ前田が、取り込もうと、自分の体にアレルヤを入れようとした時、隠し持っていた、対イヴ専用の銃で攻撃し、弱らせていく。
これを見た皆は、急いでアヤに知らせ、ついにアヤとイヴの第2回戦になった。
だが、今回のイヴは、あの時とくらべものにならぬほど強い。アレルヤの中で眠り続け、復讐の機会をずっと待っていた。
そして、この手術の時が、自分が出る時と、思っていた。
だがあえて、手術に関わる者達に何もしなかったのは、アレルヤが言ったからだ。
自分はどうなっても構わないけど、他の人には手を出さないでくれと、あらかじめ言っておいたのだ。
が、前田ばかりか、アヤまで闘い始め、ロックオンはすぐにアレルヤの体を守って立ちふさがる。
そして、ついに最後の一撃が決まり、イヴは不完全なままだったので、その場で溶けてしまった。
「ば、バカな……私は……完全…な……」
「お前はこうです!」
「ギャアアアアアアア!!!」
と、前田のかけたパウダーで固まり、完全に動かなくなって死んだ。
「さあ、続きをお願いします。イヴは完全に死にました。急いで!」
「はい!」
そして、前田は手術に戻り、残りがいないかを確認し、アヤとロックオンは外で待つ事にした。
それからさらに30分後
「ポーン」
という音と共に、医師達が出て来て、出頭医が、親指を立てた。
助かったのだ
2人の顔は明るくなり、アレルヤに近づくと。彼はまだ酸素マスクを付けられたまま、眠っていた。
彼の出頭医カルティット・ラカーシャは、全米でも有名な外科の出頭医でこれまで多くの命を救って来たベテランだった。
そして、事前に得ていた細胞の情報などを頭に入れ、前田の指示や、皆の助けも有り、無事に彼の命を救う事が出来たのだった。
だが、それ以前に、自分を必要としてくれている仲間がいる。待ってくれているという人を信じる心が有ってこそだった。そして、ハレルヤに、生きる道へ引っ張って行かれて、無事に帰って来る事が出来たのだった。
ロックオンは一旦外に出て、その事を、すぐに皆に知らせた。
「そう! やったのね」
「ああ。流石にイヴが出て来た時はちっとばかし焦ったがな、前田さんが用意しておいた薬で助かったよ。だだ、問題が残っちまったけどな」
「え?」
「あいつ、しばらくリハビリしねえといけないみたいなんだよ。イヴに細胞を侵されて、キレイな細胞と入れ替えただろ? だから、しばらくは、ミッションに行くのは無理だな」
「分かった。それじゃあ、キュリオスなしのプランを立てておくわ。彼に言って。リハビリの方を頑張れって」
「ああ。分かった」
そして、アヤもダニエル達に伝えた。
「そうか。成功したか」
「ええ。その代わり、リハビリが必要になってしまったわ」
「無理もねえよ。あんなバケモンとやり合ったんだ。しかもお前とは違い、生身の人間なんだ。おかしくなるのも無理はねえよアレルヤに伝えておいてくれ。かならず、元気になれってな」
「ええ」
「あ、パパズルーイ。アレルヤがらみでしょ? 変わってよ~」
「はいはい。ほら」
「ありがとう。アヤ。お兄ちゃん。元気になったの?」
「一応はね。ただ、訓練を受けないといけなくなっちゃったけど」
その意味が分からず、ベンがキョトンとしていると、ダニエルが説明した。
「病気じゃなかった。あいつの中にいたんだよ。ママを殺した奴が、アレルヤの中に。で、そいつも倒したんだけど、そいつのせいで、色々としなきゃならない事が出来ちまったって話さ。分かったか?」
「うん。アレルヤに、お見舞い行けるかな?」
「う~ん。そうだな。こればっかりは俺もアヤの連絡が入り次第だな」
「うん。僕祈ってる。ちゃんと祈るよ。アレルヤが早く元気になりますようにって」
「ああ」
と、それを知ったアヤは思った。
アレルヤは1人じゃない。ハレルヤどころか、CBの皆。更には警察にも、自分の身を案じてくれる人がいる事を初めて知ったのだ。
「皆。ありがとうございました」
と、アレルヤは心の中で礼を言った。
まさか今回の騒ぎで自分の事を、こんなにも思ってくれてる人が増えてしまったからだ。
でもそれは、ある意味彼にある選択を迫られてもいた。
どちらを取るのかを……