二次創作小説(紙ほか)
- (第5章 アヤの苦悩と、アレルヤの優しき心) ( No.6 )
- 日時: 2022/07/22 13:57
- 名前: 破壊神 (ID: RtQ9ht2V)
アヤを捜していたアレルヤは、黒焦げになっている馬を見つけた。
「……なんてむごい事を……アヤさん。アヤさ~ん」
と、アレルヤが彼女の名前を呼ぶと、とある住宅の一室から、1人の男が出て来た。
「あ、あの~」
「え?」
「そのアヤって人、中にいるんですが、お知り合いの方ですか?」
「あ、はい。えと、あなたは?」
「あ、ああそうでした。私、日本から来た科学者の前田邦彦(まえだくにひこ)です。ミトコンドリアの事件と聞いて来てみたら、島が封鎖されてい困っていたら、隊員の1人が発火したので、その隙にここへ来ました。それで、偶然彼女を見つけて、ここに来たのです。きれいではありませんが、ベッドとか家電がそのままだったので、相当慌てていたんでしょうね~ まあ、彼女を温めるには丁度良いかと思いまして」
「そうだったんですか。ありがとうございます。僕はアレルヤと言います。偶然。彼女と同様で、イヴと闘えるのは、僕と彼女だけなんです」
「そうなんですか」
「はい。あ、そうだ。ダニエルさんに知らせなきゃ」
と、彼は、彼女の居場所を借りたスマホで送り、すぐさまベンを連れてやって来た。
「アヤは?」
「大丈夫です。ただ彼女、イヴに触られた後が有るので、それが影響してなければ良いのですが……」
と、アレルヤが、アヤを見ると、彼女はうなされていた。
「相当悪い夢を見ているようだ。ナントカしてあげないと……」
と、アレルヤは、奥のクローゼットから、毛布と布団を取り出すと、彼女にかけた。
「ウ……ウウ……わ、私は……ハア、ハア、ハア……同類……じゃ……な……」
「! アヤさん。アヤさん!」
「うわ! ハア、ハア、ハア」
と、彼女は飛び起き、胸を抑えると、
「ドックドックドックドック」
と、まるで動悸を起こしたようになっていた。
「ア、アア……」
「アヤさん。大丈夫ですか?」
「あ、アレルヤ……私、私!」
と、いきなりアヤが抱き付いて来た。
「うわっと! もう大丈夫ですよ。ここは安全です。皆いますよ」
と、アレルヤが声をかけてやると、アヤはようやく落ち着いた。
「アヤ。何が有ったんだ?」
「ダニエル……あら? どうしてベン君が?」
「どうやら彼だけ、逃げられたみたいなんです。ただ、母親の方が……」
「そう……」
「アヤ。何が有ったんだ? 詳細はアレルヤから大体聞いたが、お前がそうなるって事は、奴がらみか」
ダニエルの言葉に、彼女の体がブルブルと震えだす。
彼女は立ち上がるが、下を向いたままだった。
「私も、同類かもしれない」
「同類?」
「イヴに体を触られた時、私の中の何かが言うの。目覚めよって。でも、すぐに振りほどいたけど、その後体が熱くなって、気が付いたら、その人が私を助けてくれたの」
「あ、どうも。前田です。ミトコンドリアの事件を聞いて、渡米して来ました」
「もしかして、署にミトコンドリアがどうとか言ってたのは……」
「あ、はい。私です。一報を入れておいた方が良いと思ってたんですが、門前払いで……」
「そうか。悪かったな。ダニエルだ。アヤが世話になった」
「あ、いえいえ。たまたま見つけただけですよ。幸い化け物が居なくて良かったです」
そうこう言っていると、彼女の目から涙が溢れだす。
「アヤ?」
彼女は、必死に涙をこらえようと頑張るが、やはり、言ってしまう。
「私も、同類かもしれないの……だって、私とハレルヤだけが、なんともないなんておかしいじゃない!! それに、言われたの。親類よりも、他人を選ぶのか?って」
これには皆が驚いた。つまりそれは、アヤとイヴに、何らかの繋がりがあるかもしれないという事になるからだ。
「ちょ、ちょっと待て。それって、つまり、イヴとお前が、何らかのつながりが……」
「最初は私もそう思ったわ。でも、あのハンス・グランプに会った時、映像がガラっと変わって、見えたの。水色の入院着を来た金髪の子供を見る、あいつの後ろ姿が」
「なんだと?」
ダニエルは驚くが、アレルヤはすぐにわかった。戦闘中やアヤが突然ストップしてしまった事が数回。
つまりそれが、イヴと何らかの関わりを持っているのではと言う事になるのだ。
「そう言えば、アヤさん。戦闘中に急にボーっとしちゃう事ありましたけど、まさかあれがそうなんですか?」
「分からない。ただ、イヴと私が何が特別な何かでつながっているんじゃないかって事よ……もしかしたら、私が、今度は……」
と、言おうとした時、アレルヤが、彼女の体をもうふで包み座らせた。
「あ……な、何を」
「その格好じゃあ寒いでしょ? まずは温まらないと。あなたは、同類なんかじゃないですよ。それに、メリッサさんも必死に耐えていたようですが、イヴに体を乗っ取られて、あんな事になった。もしかしたらですが」
と言い、アレルヤはアヤを引き寄せる。
「ちょ、ちょっと……」
「大丈夫ですよ。それに、化け物と言うなら、それは、僕の方ですから……」
「え?」
「実は僕、子供の頃の記憶が殆どなくて、そればかりか、ハレルヤの事は、知っていますよね? 彼は、僕の脳量子波を処置された時に、生まれたんです。でも、その頃の彼は狂暴で、何回も問題を起こして、彼は似は本当に振り回されてばかりで、二十歳の誕生日の日、仲間の1人が祝ってくれたけど、嬉しくなかった」
「え? あなたいくつ?」
「2月に二十歳になったばかりです」
「ええええええええ!?」
と、アヤは慌ててアレルヤから離れた。
「ちょちょちょちょっと待って! 私より年下じゃないの!? てか、なんでそんな風に平気で言えるのよ!?」
と、顔が真っ赤になって怒っており、ダニエルも目が点になる。20代中盤ぐらいに思っていたからだ。対する前田も全く同じ思いだったが、アヤの方は相当ビックリしたようだ。
そして大体の話しを聞いたダニエルは、ベンを連れて署に戻り、前田は自販機でコーヒーを買いに行った。
「フウ……アレルヤ」
「はい?」
「さっきは、ゴメン。本気でびっくりして」
「……実は僕にも同じ経験が有りますから。そんな時、仲間の1人が慰めてくれたんです。戦士としては不要でも、人間としては、一番忘れちゃいけない事だって。そう言われて、僕は今までやって来れたんです……」
「アレルヤ……」
と、2人の間を、寒い風が駆け抜ける。
「う!……寒い!」
「中に戻りましょう。こんな所じゃ、体に毒ですよ」
「うん。あの……お願いがあるの。今日だけ、側に、いて……私、イヴに……」
「分かってますよ。ハレルヤもOKしてます」
と言われて、アヤは、アレルヤを選び、2人は布団に入ると、2人は寄り添って眠りについた。
アレルヤから伝わる優しい心がアヤを癒し、アヤはお返しにとばかりにヒーリングをかけると、2人は本当に幸せな夜を過ごしていた。
「お待たせしました~……って……」
と、2人は寄り添って眠っており、危うく缶を落としそうになるのを慌てて拾い、隣の部屋にいた。
その頃、留美の別荘では、皆がアレルヤの身を案じていた。
オペラに行くのに、通信機はダメだと言ったのは、スメラギで、まさかこんな事になるなんて、思わなかった。
「通信機、持って行った方が、良かったわね……」
「ミス・スメラギのせいじゃねえよ。たく、アレルヤの奴、ここの電番知ってるはずなのに、なんで電話してこねんだ?」
「マイスターとバレた可能性は、想定したくないが、あいつの性格を考慮する……と!?」
「セツナフキンシンフキンシン。アレルヤカエッテクル。デンワアル。ハロシンジル」
「全く! 彼はガンダムマイスターにふさわしくない!
と、ティエリアが言うと、留美は、
「スイマセン。元をただせば、あのオペラで、あんな事が起こるなんて、想定もしていませんでしたし……彼の性格を考慮すると、巻き込まれた可能性は十分にあります。ただ、あの島には……」
と、紅龍がテレビをつけると、マンハッタン島を封鎖し、島民全てが避難する事になり、町は大パニックになっていた。
そして、17分署の人間だけが、島を守る為に残る事になり、ダニエルは、明朝、彼等に話す事にして、ベンを警察署内で預かってもらえる事となり、とりあえず、2人の着替えを用意し、ダニエルは車の中で待機する事にした。
そして、対ガンダム調査隊は、マンハッタン島に行くかどうかでもめていた。
カタギリは、
「今回の件ではガンダムは、出て来たくてもむりだよ。それより、資料の整理を手伝ってほしいんだけど……」
「くっ! この屈辱……許さんぞガンダーム!!」
「ヘックショ!!」
と、マイスター全員がクシャミをした。
もちろんアレルヤは、起きて、鼻をかんでから、ゴミ箱に捨てた。
「イヴ。噂でもしてるのかな~?」
と、言っている頃、一番高いビルの上で、イヴは全てを見渡した。
「フフフフフ。味わうが良い。そして、悟れ。私とお前が、同類だという意味に……」
と、言って、ニヤリと笑っていた」
そんな中、アレルヤの心臓の鼓動と、アヤの鼓動が重なり、2人は本当に、お互いを思うまでになっていた。
そして、これから2人が分かち合っていく事を誓うかの様に。