二次創作小説(紙ほか)
- 雪の記憶、冬の華(その1) ( No.180 )
- 日時: 2023/12/01 19:19
- 名前: 桜 (ID: YZhQicnd)
今回は桜サイドの乱麻ちゃん&弓弦と以蔵さんの出会いの過去話。
そういえば、まだ書かれていないような気がします。年を越す前にあげないといけないと思い立ちました。
以蔵「乱麻ー!!おまんのところの剣道部の試合が終わったから迎えに行ったら道に迷ったぜよー!!試合のあった会場はどこじゃー!!?」
とある日の他校の剣道部との練習試合を終えた以蔵のマスター・快刀乱麻は彼からSOSの電話の後、その試合に勝利した乱麻は自分に憧れて集まる在校・他校の後輩達から即座に離れて歩いた!
他校の後輩「乱麻さん!!?」
乱麻「すまない。また今度な」
乱麻は事前に以蔵とのLINEを交わしていた。
以蔵のLINE「ちなみに今は武蔵野公園というところじゃ。もうどこに行けばえいか分からん(;_;)詫びにおまんが勝利した祝いの飯、いつもよりもたくさん作るぜよ」
乱麻のLINE「もう探してる。動くな」
すると、乱麻は雪が降り始めたのを感じていた。乱麻はそれを見てノスタルジーを覚える。
乱麻(ああ、そうか。出会ったのも確か同じ冬の季節だったか・・・)
ーーーーー今から四年前の奈良。関西中に名を轟かせる金融会社の娘に生まれた私は小さい頃から畏怖とかそういうものを抱かれて近寄り難い存在としてなんとなく敬遠されてきた。いや違うか、みんな勝手に私に憧れて、勝手に諦める。「孤高」なんかと呼んで、私を高いところに置き去りにしたのはお前達のくせに。
弓弦「乱麻さん。奥様からのお使いは済んだみたいですし、帰りましょうか」
乱麻「そうだな」
小さな頃から付き人として仕えている私と同い年の弓弦は例外として、冬の賑やかな声を聞くと私は少し苛つく。
子供「お母さーん!クリスマスにガンダムのおもちゃ買ってー!」
母親「もう。でもまあクリスマスの季節なんだし、しょうがないわね」
女子中学生A「ねえねえ、クリスマスパーティは私の家でやる?」
女子中学生B「いいね他の友達も呼ぼうよー」
乱麻(・・・うるさい)
冬はこれだから好きじゃない。家族で過ごしたとしても、私の家が「変」だから普通の家庭で生まれて普通に過ごしてる奴がクリスマスとか楽しみにしてるからうるさく感じるんだ。あの電灯の光を見ても思う。
ーーーーーそう思っていたんだ。
バチッ
乱麻「!?」
弓弦「乱麻さん!?あそこの電灯が壊れてました!?」
すると、その電灯の前に出現したトンネルから誰かが現れた。いや、トンネルなんてなかったんだ。
乱麻&弓弦「!!?」
現れたのは片目を黒髪で隠し、いかにもゴロツキの侍のような男だった。だが、よく見れば幼いような顔立ちから放たれた赤い目で私達をギロっと見ていた。
弓弦「ら、乱麻さん行きましょう!ここは危ないです!」
乱麻「ああ」
逃げるようにその場を後にした私達はその夜になる前になんとか撒いたと確認したのかようやく実家の屋敷に着いた。
弓弦「乱麻さん、私もちゃんと怒られますから;」
乱麻「ああ、わかってる」
快刀家の使用人全員「お嬢様、お帰りなさいませ!!(一斉に敬礼」
家に入った私達はまずは怒っているであろう母上に謝るためにリビングに値する大広間に行こうとしてその襖を開けた。
乱麻「母上。今戻ったぞ・・・」
ゴロツキの侍「おん?おまんら、ここのガキどもじゃったか」
乱麻&弓弦「」
これは何らかの運命だというのなら、夢であってほしかったな。だってこんな偶然の連続があるのかと思う・・・
乱麻母「おかえり二人とも。この人ね、お腹がすいたって倒れてそれで家に運んできたんだよ」
乱麻「だからといってなんで入らせたのか・・・;」
弓弦「よく見れば刀を持ってるじゃないですか;」
乱麻母「それは乱麻も同じことじゃないかい!とにかく上の息子達ももうすぐ帰ってくるし、食事ぐらいにはご馳走してやろうじゃないか」
そのゴロツキの侍はじっと私達の方を見る。思わず何かに気づかれたみたいに少し驚いたような表情が睨まれているような気がして目をそらしてしまった。
その後の夕食前に食卓で待っていた私と弓弦は少し憂鬱になっていた。
弓弦「今日はイマイチな食事ですかね・・・」
乱麻「交代制だからな」
すると、怒鳴りつけるような声が聞こえた!うちに来ていたゴロツキの侍だ。
ゴロツキの侍「えいから貸せ!!」
今日の料理担当の使用人「ああっおやめ下さい!!」
乱麻「この声は・・・」
弓弦「助けに向かいましょう!」
私達二人が武装した状態で厨房のドアをバンと開いた!
乱麻「貴様・・・来客の分際でよくも」
ゴロツキの侍「わしが料理やるからおまんらは出てきいや!!(既に美味しそうな料理を何品か作ってる」
今日の料理担当の使用人「か、完璧な夕飯達だ・・・!(感嘆」
乱麻&弓弦「えっ!?」
なんとこの男は見るに耐えずに夕飯を何品か作ってくれていただけであった。しかもいつもの料理担当の使用人が作るよりも結構美味しそうだった。
以蔵「おんおまんら。火元は危ないからあっち行きとうせ」
その男の視線は怖ったが、あれは裏を返せば火に当たったら怪我するから近寄るなということだった。
その夕飯時、三人の兄達がいつものよりも完成度の高い料理の出来栄えの良さに驚いていた。
桂馬「なんだ!今日はいつもよりも美味しそうじゃねーか!」←三兄
静馬「本当だ。いつもよりも見た目もいいし」←次兄
東馬「今日はいい筋肉付きの客人がいて、それで作ってもらったからか?」←長兄
乱麻「兄貴;」
乱麻父「ところで」
すると、乱麻達の父でもある快刀金融の社長はゴロツキの侍を名指しで聞く。
乱麻父「お前の名を教えてくれねぇか?名がないと呼びにくいんでな」
すると、ゴロツキの侍は少しどもりながら自分の名を口にする。
ゴロツキの侍「・・・わしは、岡田以蔵。人間ではない、サーヴァントじゃ。クラスはなぜかアサシンじゃけど」
乱麻父「・・・何?」
すると、東馬はびっくりしながら以蔵に聞き出す!
東馬「岡田以蔵ってこんな面倒見のいい男だったか!?どう見ても史実で見たような悪人なんて思えないけど!」
以蔵「はぁ?わしはあくまでも人斬りで」
桂馬「でも、なんかタイムスリップしたような感じだな!サーヴァントって言うのも気になるし」
以蔵「確かに江戸時代じゃが、説明が長くなるが」
静馬「お袋、明日俺は図書館に行ってくる」
乱麻母「調べ物かい?それなら」
以蔵(なんじゃあこいつら・・・;)
乱麻の一族のフリーダムさに逆に引いた以蔵だったが、乱麻と弓弦には確かにそう思わせる見覚えがあった。
乱麻(そういえば電灯の前にトンネルみたいなのが出現してたな)
弓弦(まさかそれ!!?)
その翌朝、いつもなら寝坊助である乱麻は大広間を訪ねていた。
今回はうちの乱麻達と以蔵さんの出会い話
- 雪の記憶、冬の華(その2) ( No.181 )
- 日時: 2023/12/01 19:21
- 名前: 桜 (ID: YZhQicnd)
乱麻「なんだ、朝からみんないないのか・・・ん?メモ?」
静馬の残したメモ「証拠を掴んでくる」
乱麻「あれは無表情でも本気か・・・」
そのメモに追記された乱麻父のメモ「夢を掴んでくる」
乱麻「貴様はまた面白いこと探しだろうがバカ親父!」
すると、乱麻は以蔵もいないことに気付いた!
乱麻「そういえばあいつもいないな。どこに行った?」
弓弦「あっ、乱麻さん!今彼は外に・・・」
乱麻「何?」
一方の以蔵は奈良の景色を目の当たりにして驚いた。そこには自分の生きた時代にはない現代の建物の進化された姿があったからだ。
以蔵「ここはほんにあの天領か?なら、あのべこのかあの理想は実現したということか!?」
すると、以蔵は自分に対してカメラを向けている人々に気付いた!
男子高校生「なあなあ、あの格好は映画の撮影か!?」
OL「なんか本格派の歴史物を見たような気がするわ」
サラリーマン「つか、よく見たら髭がある男でも可愛い顔してやがる!」
以蔵「なんじゃ!?わしを見せ物にしちょるんか!?」
すると、弓弦と共に彼を見つけた乱麻に引っ張り出された!
乱麻「何をやっているんだ!こっちに来い!」
以蔵「おい普通は逆じゃろ;わしのおっかあでもないし」
乱麻「なんだと「あれ、乱麻ちゃんと弓弦君?」
すると、薄茶髪のブロンド髪で可愛らしい容姿が特徴の女性が乱麻達の前に来ていた。
弓弦「えっ、吉乃さん!?」
吉乃「なんか久しぶりだね。私が中学に上がってからあんまり会えなくなったからかな」
乱麻「そなたは茶道部の稽古で忙しいからな」
すると、吉乃は以蔵を見て訊ねる。
吉乃「あれ、あなたは?」
以蔵「あっ、わしは「以蔵。そう呼んでも構わないって」おい!!?」
吉乃「以蔵さんって言うのね?なんか仲良さそうだったからあなたが乱麻ちゃん達の友達か家族かと思っちゃった!」
弓弦「いえ、違います!彼とは昨日会ったばかりで」
吉乃「あっ、ごめんねもう朝稽古に行かなきゃ!じゃあ、またねっ」
吉乃が茶道部の朝稽古に向かった後に以蔵は吉乃のぽわぽわした雰囲気に内心ではちょっと驚いていた。
以蔵「あれはおまんのどちらかの親戚か?随分と天然な姉ちゃんじゃ」
乱麻「いや、あれは私の家の近所に住む面倒見のいい年上の幼馴染。弓弦は小さい頃から仕える付き人兼幼馴染だよ」
以蔵「幼馴染か・・・なら、ちゃんと大切にしちょれよ」
乱麻(なんだ?急に優しくして)
その夜、以蔵関連で調べた本を図書館から借りた江戸時代に関する本とサーヴァントに関する本を静馬が持ってきてそれを見せた。
静馬「ほら、これだよ。本来の史実ならこれだけど」
桂馬「あー、ほんとだ!でも、なんだかんだで根は面倒見いいしそこまで悪人でもないな」
以蔵「わしが自分で言うのもなんじゃが、博打はしまくりちょるわ;」
静馬「で、サーヴァントのこともある。本来は人間がマスターとして使役するから魔術師の一部には使い魔という認識で手荒な真似をするんだってさ」
乱麻母「へー。そうだったのかい・・・」
すると、それを聞いた乱麻母はある提案をする!
乱麻母「あんた、うちの乱麻の護衛兼大半の料理担当にならないかい?」
以蔵「おん?」
乱麻「ちょっと!母上、勝手なことを」
乱麻母「報酬は高く弾むよ」
以蔵「やらせてもらうぜよ!!(目が¥マーク」
乱麻「おい!」
乱麻父「そりゃいいな!昨日の料理は美味かったし。弓弦、心強い後輩ができてよかったじゃないか!」
弓弦「ちょっとお頭さーーーーーん!!?」
その翌日、吉乃の通う中学校に彼女が忘れた弁当を届けに来ていた乱麻と弓弦は一緒についてきた以蔵に対して頭を悩ませていた。
乱麻(本当に雇ったのか;)
弓弦(吉乃さんに弁当を届けるためにも彼付きって;)
以蔵「ほー、ここが中学校というヤツか。金持ちの集う奴らばかりではないんじゃな」
弓弦「そりゃ義務教育があるからみんな通ってますよ」
以蔵「義務教育か・・・随分と平等な時代になったもんじゃ」
乱麻(なぜほっとするんだろう)
その数分後に吉乃のいる教室に着いた乱麻達に彼女が気付いて忘れていた弁当を渡された。
吉乃「お母さんに頼まれた!?ごめんねうちは寿司屋だからここ最近稼ぎどきで忙しくて;」
乱麻「そういえば年末も近いな」
吉乃「あっ、以蔵君もよかったら食べにおいでよ。ツケもつけてあげるv」
以蔵「ほんに!?」
弓弦「こらっ;」
弓弦が以蔵をなんとか止めようとしていた最中に乱麻にとある声がかけられた。
乱麻と同クラスの女子A「あれー?快刀?んなところで何してんのー?」
乱麻「・・・別に。なんでもない」
乱麻と同クラスの女子B「そー。まあそりゃそうか!アンタの家は悪い家だもんね!パパが市議会議員の私と違って、ガラの悪い家の子が何の用もなくこんなところに来るわけないか!」
そう言って笑いながらバカにする同級生の女子達に乱麻は黙って耐えるしかなかった。そしてその子達が去って行ったあと、以蔵が出てきた。
以蔵「おい、帰るぞ。なんじゃそんなしけた面して」
乱麻「別になんでもないし」
以蔵「ちょっ、おい!?」
一方のある事務所では電話の対応などで何やら騒がしくなっていた。その付き人達の前にいるのは何やら怒っているらしいスーツ姿で恰幅のいい中年の男。同クラスの女子Bの父親の市議会議員だが、そのデスクの上には快刀金融が調べ上げた彼の不祥事の証拠だった。
付き人A「やっぱり!快刀金融が市議の汚職を調べ上げてますよ!」
市議会議員「あの男・・・今度はこっちにも邪魔する気か!」
付き人B「で、どうしますか?」
市議会議員「・・・確か奴には下にまだ小学生の娘がいるって聞いたな。ならばーーーーー」
- 雪の記憶、冬の華(その3) ( No.182 )
- 日時: 2023/12/01 19:23
- 名前: 桜 (ID: YZhQicnd)
一方の何やらむすっとしていた様子の乱麻を弓弦はオロオロして以蔵はなんとか声をかけようとしていた。
以蔵「おい乱麻!ほんにどうしたぁ!?」
乱麻「知らん」
以蔵「なんか嫌なことされちょったか?それは溜めないでちゃんと言え「いいよなお前は。言いにくいことはちゃんと言えて」
乱麻のドスの効いた声に以蔵は思わず冷や汗をかいた。
以蔵「ら、乱麻?」
乱麻「私は嫌なことも言えないし、言いたいことも言えない。そんな私の気持ちを貴様にはわかるか!!」
弓弦「あっ、乱麻さん!?」
以蔵を一人残して乱麻が走りまくったところを弓弦が追いついた!
弓弦「それは流石に言い過ぎですよ!多分あれは誰でも怒りますよ!」
乱麻「なんだお前は今更説教か。今まで私について回っていたくせに」
すると、そんな二人に漁船用の網が被せられた!突然の出来事に戸惑う。
弓弦「な、なんで漁船用の網がー!!?」
乱麻「私達は魚か!」
その後に捕らえられた二人はなんらかの場所に連れて行かれた。
乱麻「なんだここに人を連れてきて」
市議会議員「貴様らに対快刀金融のための人質になってもらうためだよ、少年少女」
弓弦「あっ!あなた、いつも乱麻さんをバカにしていた女子達の一人の・・・!!」
驚く二人をよそに市議会議員は背中を向けながら話す。
市議会議員「キミの父親である快刀金融の社長がな、私の汚職を世間にバラしてな。その復讐のための人質だ」
乱麻「クソ親父、仕事遂行したと同時に恨みを買ったのか・・・まあ話を聞く限り、お前の自業自得だがな」
市議会議員「貴様、減らず口を・・・!やはりあの男の娘だな!」
市議会議員が銃口を乱麻に向けた!
弓弦「乱麻さん!!」
市議会議員「貴様が死ねば奴らの傷はさらに深くなるからよかったな。死ねっ!!」
すると、バンとドアを開けたような音がした!
付き人C「市議、大変です!!なんかおぞましい男が日本刀を持って事務所に侵入してきました!!」
市議会議員「なんだって!?」
すると、そのおぞましい男が日本刀を持ちながら市議会議員の方に飛び出してきた!
市議会議員「っ!!」
しかしその男には乱麻は正体を気付いていた。
乱麻「助けに来てくれたのか!以蔵」
弓弦「以蔵さん!?」
すると、以蔵は二枚のハンカチをそれぞれ二人の額に押し付ける。
以蔵(ガキどもは見るなよ)
その後、市議会議員が以蔵に対して攻撃するように付き人達に命令した!
市議会議員「どうやってここに、つかとっとと始末しろ!」
以蔵が何かを思い出したかのように突然言う。
以蔵「おまん、赤い色は好きか?」
市議会議員「!!?」
すると、以蔵はいつのまにか市議の付き人全員を昏倒させ、刀を後ろから市議会議員の喉に突き立てた!
以蔵「振り向いたら斬っちゃる」
市議会議員「あの男、こんな剣術を持っている男を隠しやがったか・・・!」
以蔵「おまん、娘おるんじゃったな。わしらのとこの乱麻達の同級生の」
市議会議員「貴様、どうして娘のことを・・・!」
以蔵「乱麻をいじめたように思えてな、こんな時に壊したくないが・・・わしは仕事ではない限り殺したりはせんから。えいか、市議」
以蔵「家族で幸せに過ごしたいなら、二度と乱麻達の前に現れるな。わかったらとっとと家に帰りや」
その後、ようやくハンカチを取ることを許された二人は助けに来てくれた以蔵にちょっとアワアワしていた。
弓弦「助けに来てくれてありがとうございます!」
以蔵「おん。わしは剣の天才じゃからな」
乱麻「だけど・・・大丈夫か?」
以蔵「おん、大丈夫じゃ」
すると、乱麻は以蔵に静かに謝った。
乱麻「・・・さっきはごめんなさい」
以蔵「おん、えいよ。わしにはわからんが散々言われたんじゃろ。言いたいことがあるなら言えばえいし」
すると、以蔵は何かを思い出す!
以蔵「じゃが、夜の時は同行できんがな」
乱麻「なんでだ?」
以蔵「ここに来る途中、あるサラリーマンにこれから毎日は夜に会いに行くことを条件におまんらの居場所を教えてもらえたぜよ!」
すると、乱麻は事態の危機を感じたのか以蔵を引き止めた!
乱麻「行くな」
以蔵「なぜじゃ?」
乱麻「行くな」
以蔵「なぜじゃ!?」
その時の乱麻の右手には今は微かながらに見えるが令呪。つまり乱麻は以蔵の正式なマスターとなった・・・
その日から以蔵は言動は残念だが、それでも乱麻のサーヴァント兼護衛として付き従った。卑屈ではあるが裏表のない性質や遊び人でもちゃんとした倫理観を持っていたことから男女問わずモテていたのでその都度乱麻や弓弦が彼の知らぬところで阻止していた。
乱麻と弓弦が中学校に上がってからも以蔵は自分が作った弁当を渡したりそれぞれ入った剣道部や弓道部の部活でのいい成績を出した際には彼らの好きな料理を振る舞ってくれた。この間に小夢が快刀家の養女として入ってくるが、それはまた別の機会に。
同中の女子A「ねえ、あれ見て。快刀さんじゃない?」
同中の女子B「無口だと思うけど、弁当を届けに来てくれた付き人さん?の前ではあんな表情もするのね。怖い人かなと思ったけど、どっからどう見ても普通の子じゃないの」
同中の男子A「誰だよ近寄ったら痛い目に見るって言った奴!」
同中の男子B「今微笑った顔が可愛いけどさ俺、あの付き人さんを狙っちゃおうかな〜」
同じクラスの子からも相変わらず畏怖されてはいるが、それでもいじめてくることはなくなった。乱麻はいつしか以蔵を庇護対象として大切に思うようになっていった。以蔵の方は自分を守っているつもりであっても。
時は流れて長兄の東馬は医者のインターンを終えて今は医者として東京の病院に勤務、次兄の静馬は以蔵にノリで勧められた俳優のオーディションに合格し今は東京の大学に通いながら「静馬」の芸名で有望株の人気俳優に、三兄の桂馬は画家志望であったため東京の美術高校に通うべく家を出るなど独り立ちして行き、乱麻達も受験する高校を選ばなければならなくなった。
乱麻「ポップン学園?」
乱麻母「そうだよ。県外の高校に行くならここにしなさい。剣道部や弓道部も強いし、東京には巣立って行ったお兄ちゃん達もいるし安心だよ。小夢にもあんた達と一緒に行くために星ノ宮学園の音楽科を勧めるし」
弓弦「東京で寮生活しろってことですよね・・・」
乱麻母「もちろん護衛も四人はつけるよ。そのうちの一人は・・・以蔵、あんただ」
以蔵「!えいのか!?」
乱麻母「そうだ。そうじゃないと、乱麻達は安心できないからね。あんたの言動も危ないし」
以蔵「わしが保護犬みたいに言わんとうせ姐さん!!」
自分の雇い主でもある乱麻の両親のことを「お頭」「姐さん」と呼ぶようになった以蔵を見て乱麻は少しだけ安心した。
そして三人とも受験に合格し、一緒に暮らすための学生寮を下見するために東京に行っていた時、まさかの洋館に驚いていた。
乱麻「本当に学生寮か?」
弓弦「学生寮ですよ。なんか前のろくでもない寮父さんが病を患って亡くなったことで今は新しい寮母さんに鞭替えしたばかりだそうです」
以蔵「つまりはその時の最初の寮生はわしらってわけか。まあ桂馬の住む学生寮の近くじゃし、小夢も安心じゃろ」
小夢「うん」
すると、乱麻は道を歩いていた帽子を被る少年を見かける。小柄ながらに大人っぽい顔立ちをしているが、よく見たら乱麻と弓弦と同い年ぐらいだった。
乱麻「あっ、こんにちは。私達は怪しいものではないのだが」
すると、その少年が乱麻の横の塀を殴った!少し驚く乱麻をよそに少年が見たのは自分にしか見えなさそうな痛みで今も息が絶え絶えになっている小さな毛虫のようだった。
少年「失礼したな」
以蔵「おまん!さっきのは乱麻に威嚇のつもりか!?」
少年「威嚇じゃねーよ。ただ、目障りだっただけだ」
以蔵「はぁっ!!?」
以蔵は怒っていたが、不思議なことに乱麻はその日から冬の季節がうるさく感じることはなくなった。あれは何だったのかわからない。ただ今になってわかることはーーーーー
乱麻(・・・冬が来る度に思い出すな)
そして現在、過去を思い返した乱麻は以蔵を探している最中に花屋でとある花を見つけた。
乱麻「この花は・・・(確か花言葉は・・・」
乱麻は目にしたその花を購入し、以蔵がいる武蔵台の公園でようやく着いた!
以蔵「乱麻!よかった!約束通り作るぜよ!」
乱麻「当然だ。蟹の炊き込みご飯な」
以蔵「おうよ!」
すると、以蔵は乱麻の持つ花を見て聞く。
以蔵「この花はどうしたんじゃ?珍しいな」
乱麻「寮に飾ろうと思って。理由はお前には教えない」
以蔵「なんでじゃあ!!?」
あれから大変なことはたくさんあったけど、それ以上の出会いも乱麻達の元に巡り合って、以蔵に想いを抱く坂本龍馬や新撰組の土方歳三などのお邪魔虫もいたりするが、それでもこれ以上ないぐらいの楽しい時間を過ごせるようになった。
結局あの時の少年のことも冬がうるさいと思わなくなった理由もわからないままだが、少なくとも岡田以蔵というアサシンのサーヴァントに出会えたことが彼女にとっては大きな変化となった。いつかは消えることは薄々とわかっていながらも、それでも嫌いだった冬の季節が今は少しだけ好きになれたのだ・・・
ーーーーー乱麻の買ってきた花は紫のプリムラ。
その花言葉は・・・
信頼ーーーーー
おしまい
- 雪の記憶、冬の華(その4) ( No.183 )
- 日時: 2023/12/01 19:25
- 名前: 桜 (ID: YZhQicnd)
「おまけ」なんか見覚えが
ゼオ「よう、ツーストー!いちごプリン買ってくれー!」
ツースト「ダメだお前はさっきおやつ食べたばかりだろ;」
ゼオ「ケチー。じゃあ、以蔵ちゃんに頼もうかな。なんだかんだ文句言いながらもプリンなら作ってくれそうだしなー」
ツースト「勝手にしろ!」
ゼオが出て行った後、見かねたサンがツーストに聞く。
サン「あれじゃあ大人気ないと思うけど、そんなに以蔵っていう奴が気に食わないネ?」
ツースト「いや、違うけどな・・・なんかなんとなくだが、あいつらに見覚えがある気がするんだよな。よく思い出せねーが・・・」
サン「?」
「おまけ2」龍馬さんが準備万端なのですが
龍馬「今年は・・・以蔵さんと二人きりでクリスマスイブを過ごすぜよ!ホテルはスイートルームを取ったし!ディナーも予約済みじゃ!」
アイオーン(それは半分は我が払ったのであろう・・・;)←祖母名義で株の運用をやって稼いだ資金で払った
お竜「お竜さんは構わないが、いずれはどうするんだ?」
龍馬「それは・・・」
※以下龍馬の妄想
龍馬『以蔵さん、好きとうよ・・・ずっと好きだったぜよ』
以蔵『龍馬・・・ほんにか?(顔を赤らめる』
龍馬「こんな感じで告白して、そのまま朝チュンかなv」
アイオーン「一応聞くが、約束の取り付けは遂行したのか?」
龍馬「あっ、忘れてた!今するぜよ!」
お竜「頑張れー」
龍馬は急いで以蔵達の住む学生寮に電話をかけた!
龍馬「もしもし、乱麻さんの使用人の方ですか?お宅の以蔵さんとクリスマスイブの約束を取り付けたいのですが・・・えっ!!?以蔵さんはその日は朝から出かける!!?そんなーーーーー!!!(号泣」
お竜「落ち着けリョーマ。お竜さんが代わりに行ってやる」
アイオーン「ヴッ・・・;」
一方の同時刻の乱麻達の住む学生寮では・・・
以蔵「クリスマスに何の料理を作ってえいか・・・;」
乱麻「他の料理できる奴に助言を求めた方が良いかもしれぬな。例えばあやクルに・・・」
すると、乱麻は電話に気付く。出ると龍馬からだった。
龍馬「もしもし、乱麻さんの使用人の方ですか?お宅の以蔵さんとクリスマスイブの約束を取り付けたいのですが、以蔵さんに代わって「以蔵は朝から出かけると言っています(松平の声真似」
乱麻が躊躇いもなく電話を切ると再び以蔵のところに戻ってきた。
以蔵「電話は誰からじゃ?」
乱麻「キャッチセールスのおじさんじゃないか?今あやクルのところに電話するから待ってろ」
以蔵「???」
過保護・・・;
「後書き」
今回はうちの乱麻達と以蔵さんとの過去話。実はこれは第四部後半の真っ最中に上げたかったのですが、そんな時間も作れずに第四部終了後に今ようやく上げれました。新オリキャラの吉乃さんについてはまた何らかの形で再び登場させたいなー。
小夢ちゃんとの話は長くなるかもしれないのでまた今度の機会で上げたいと思います。今考案中のチェリーワールドではない(日常日和。シリーズにはのせない)並行世界でのお話もそろそろ考えなきゃいけないし・・・;
感想OK