二次創作小説(紙ほか)

第三幕:咆哮の中に在る「声」(その1) ( No.224 )
日時: 2024/03/06 18:42
名前: 桜 (ID: EZ3wiCAd)

今回は巨大化したドラニコフとの戦闘がメイン。
もちろん死などの残酷な表現が間接的にあるので注意。






ーーーーー話の続きをしよう。


エージェント「何なんだあれは〜;ドラニコフが巨大化してるし、何なんだよもう・・・;」


すると、エージェントにある人物が声をかけられた。自分と同じく「残っていた」シアンとクロウだ。


シアン「エージェントちゃん、お疲れかにゃ?」
エージェント「シアン!?よかった、無事だったか!」
クロウ「やいっ!俺もいるぜー!」
エージェント「クロウも無事だったかー!!」


二人の無事を喜ぶエージェントだが、シアンはある誘いを持ちかける。


シアン「エージェントちゃんも怖かったんだね。よければあたし達が相談聞くにゃあ」
エージェント「えっ!?いいのか!?(なーんかありそうな気がしなくもないが・・・あえて乗ってみないことはないか」
クロウ「ああ、いいぜ!来いよ!」
エージェント「あっ、ああ・・・」


ーーーーー幕間はまた続きを記す。






『第二次幻想聖杯戦争は第一次と同じように豊作揃いであった。キャスター陣営といいアサシン陣営といい、普通はハズレともされるクラスは今回の有望株。その中でも稀にみたものだった』


『しかし、その中には未知なるダークホースの陣営が参加していたのだ。それは中の下とされる落ちこぼれとも呼ばれた魔術師と、そのマスターが召喚したセイバーの陣営だった』


『優秀な魔術師の家系に生まれたにも関わらず実力が低いことから家族からも疎まれ見放されたマスターにセイバーが守る形であった在り方は次第に強き実力となり、有望株であったキャスター陣営やアサシン陣営も倒したのだ。そのマスターは不屈の精神と頭の回転の速さには優れていたことがセイバーの強みでもあた』


『ーーーーーだが、これが良くなかった。アサシン陣営のマスターの魔術師は主催者が才能を期待する身内でもあったため、主催者は喪を済ませたその夜に』






『この聖杯戦争に参加している残された全陣営のマスターの皆殺しを命じたのだーーーーー』






『第二次幻想聖杯戦争は勝者が主催者によって揉み潰されたことでなしに終わり、しばらくしてから目を覚ましていた第一次聖杯戦争の勝者であった赤の吸血鬼ユーリがその出来事を重く見たことで第三次の主催者を放棄するとともに、幻奏聖杯戦争を永久に凍結させたのだ』


『彼ら闇ギルドが狙うのはその第三次幻奏聖杯戦争の開催。ちょうど同じ時期に重なった依頼も遂行するべくCOMを全滅させるのと並行するためにプププランドのマホロアランドに目をつけたのだ』


『その闇ギルドのギルドマスターの名はドノバン・ブルンスピッツ。闇ギルドの中でも悪名高い、優しげな風貌から似合わぬ悪逆性を持っている魔術師だ』


〝あははははは!!マホロアランドは素晴らしい。未知なる科学が存在するから、奴隷達を使ってその贄にサーヴァントの召喚もできるぞ!逆らう者は闇ギルド所属でも、全て我ら肯定派に処刑、処刑された!もう誰も止められる者はいない!!〟


『その闇ギルドには自分達で捕らえた大勢の奴隷がいた。その大半は英霊召喚を目的とする〝実験〟により命を落とした。だが、彼らは止まない。彼らはもう、狂おしい道を歩むのを止めることはないのだーーーーー』






その動画ファイルを見た全員に衝撃が走った。まさかそのためにマホロアランドに目をつけたのかと思わず恐怖で震えが止まらなかった。


天草「・・・今も過去も酷いものでしたね。何と惨い」
王ドラ「・・・」
トリスタン(だが、それならばなぜマホロアランドからまほろあ城に?それが疑問なのですが・・・)


阿国も何も言えない気持ちだった。リディアは自分に憑依される形で助かったものの、奴隷として囚われた他の人達は死んだのを聞いてやるせなさが残っていた・・・


阿国(あなた達も助けられなくてごめんなさい・・・)


すると、王ドラは突然立ち上がりアムールから出ようとしていた。


為朝「どこに行く気だ」
王ドラ「・・・それが原因かわかりませんが、ドラニコフを止めに行きます。もうこんなことはさせてほしくない・・・!」


王ドラの決意に天草がその後ろに立つ。


天草「では私も同行します。トリスタンも阿国も、私と同じ貴方の護衛でよろしいですよね?」
王ドラ「ーーーーー言っても聞かないだろうから、好きになさい」
阿国「!はい!」
トリスタン(王ドラ殿が、私を信頼してくれた・・・!)
以蔵「じゃあ、わしらはシーラやアムールの護衛を請け負うぜよ。ーーーーー何としてでも、おまんの親友を連れ帰って来い!」
王ドラ「!ありがとう、以蔵さん!みなさんもよろしくお願いしますね」
為朝「承知した」
アサト(燕青)「いいよぉ」
シアン「ちゃんと待ってるから!」
クロウ「こっちもいざという時は戦ってやるから心配は無用だ!」
ウンディーネ「プルプル!」
王ドラ「・・・!その時の籠城戦はお願いです!」


朝食を終えて行く準備を済ませた後、王ドラは阿国に話しかけていた。


王ドラ「阿国さん!」
阿国「?何のご希望ですか?」
王ドラ「いえ、要望はありませんが・・・あなたは眠ってた私をずっと見てたんですよね?」
阿国「!それが何か?もしやいやなのですか?」
王ドラ「そんなことないです。最近は私の寝床に無断で侵入する奴らがいるから、その・・・寝かせてくれてありがとうございます」
阿国「・・・!」


阿国は王ドラからの感謝に顔を赤らめつつはにかもうとしたのを堪えた。


阿国「当然でございまする!我が主の安寧を守るのも私の役目ですので!」
王ドラ「そうですか、歌舞伎の立役者ですもんね」


そして王ドラ含む実動班が巨大ドラニコフの元に向かう中、トリスタンがあまりにも距離の長さに足が限界を迎えてきていた。

第三幕:咆哮の中に在る「声」(その2) ( No.225 )
日時: 2024/03/06 18:46
名前: 桜 (ID: EZ3wiCAd)

トリスタン「そろそろ限界です〜;私にこんなに歩かせるとは悲しい・・・」
王ドラ「なんで性格が図々しいのにそこはデリケートなんですかね!?」
阿国「それならば・・・」


すると、阿国から変身したリディアがバスケットの籠を持ちながら言う。


リディア「お弁当にしましょう。ちょうど行く前にクロワッサン作ってきたところです」
王ドラ「えっ、手作りですか?」


実動班がクロワッサンを食べながら休憩する中、王ドラはその味の良さについては感心を示していた。


王ドラ「意外といけますね!パン作りは得意な方なんですか?」
リディア「いえ、育ての親がパン屋なので」
天草「育ての・・・親?」


すると、リディアは自分の出自について話し始めた。


リディア「私の本当の両親は小さい時に事故で亡くなって、それからはパン屋を営む母方の伯母夫婦に育てられました。育てのお父さんは優しくて何に対しても偏見の目で見なくて、反対にお母さんは厳しくて怒るとすごく怖くて。でも・・・ちゃんとお母さんは私をいつも心配してくれました。口は悪いけど、私の夢も受験勉強も陰ながら応援してくれてた。そんな時に私が攫われたから今頃は泣いてるかもしれない。お母さんは素直じゃないけど、引き離された時に殴られてでも必死であいつらを引き止めようとしましたから」
王ドラ「リディアさん・・・」


リディアの顔からしてちゃんと愛されて育ったのだと王ドラは感じ取った。この子を元の家族に帰すためにも事態を一刻も早く解決しなければならない。


トリスタン「休憩が終わったらもう向かうのですか?流石にもう嫌ですよ」
天草「それならば、前から把握したまほろあ城の地図を書き起こしたのを持ってきてるのでそこから位置を掴めてくれたらいいですよ。色々とゴタゴタで忘れてましたが」
王ドラ「忘れないで下さいよ!!(怒」


すると、天草はその地図を開いた上で王ドラ達に位置を説明する。


天草「これがまほろあ城の全体図です。今私達がいるのは城の中の住居地ですね。住人は当然いないのですが」
リディア「やっぱり当然ですよね・・・」
天草「そして王ドラ殿があの時に吹き飛ばされた先は城の中の庭。いわば草原ですね。トリスタンはその近くに飛ばされて彼を探して見つけた時にはすでに契約した阿国と彼が巨大ドラニコフに追われた時だった・・・」
王ドラ「あの時にトリさんのハープでの拘束がなければ危ないところでした;」
トリスタン(∨∀∨*)私は嬉しい・・・
王ドラ「調子に乗らないで下さいね;」
天草「で、以蔵とアサトが飛ばされた先は池の近く。そこには小舟があり、そこを漕ぎながらあなた方を探していた時に倒れていたシーラを発見・保護した・・・」
トリスタン「その前に貴方が以蔵殿らに連絡できたのですね」
天草「そうですね。そして私と為朝があの柳生と出くわした場所がまほろあ城の城の上でした。奇跡の力で気配を隠していたからまほろあ城の内部も掴みかけたところだったのですが」
王ドラ(柳生さんって、睨まれたらヤバいくらいに怯むような壮年の男のセイバーか・・・;)
天草「そして巨大ドラニコフは今はここからならまだ距離のある池の中にいるのでそちらもそう簡単には来れないはずなのですが・・・」


すると、何かしらの破壊音が響いた!実動班が見渡すと、それはまさしく巨大ドラニコフだった!


巨大ドラニコフ「ーーーーーっ!!!」
王ドラ「ドラニコフ!!」
トリスタン「なぜ距離はあると聞いたのに・・・!」
リディア「阿国ちゃん!」


すると、咄嗟にリディアから阿国に変身した!


阿国「わかってますよぉ〜!しかし、なんか暴走しているような・・・」


すると、ある映像が映し出された!


高杉「やあ諸君!待ちくたびれたぞ!」
王ドラ「高杉さん!!?」
高杉「実はなんか彼が暴走しちゃってて、もう手に負えない状況なんでね。だから、彼はキミ達の元に帰すから止めに行ってあげてくれない?」
阿国「自分が悪いくせに偉そうに言わないで下さいまし!!」


すると、高杉は阿国の発言にクエスチョンマークを浮かべた。


高杉「確かに操ったのは僕だけど、巨大化までさせた覚えはないよ?」
トリスタン「えっ、それはどういう・・・」






パラケルスス「私が製作した巨大化させる薬を彼に飲ませましたから」






実動班全員(°д°)ぽかーん


パラケルススの発言に大半の全員は唖然となった。そりゃ理知的な美青年の外見に反してあんなことしたら(°д°)になるわ・・・;


王ドラ「すみませんが、その発言はガチですか?」
パラケルスス「いえ・・・狼化した猫型ロボットならば残しといた上で記憶を破壊しない程度にいじればいいのではと(両目がモルモット逃しませんのマーク」
王ドラ「せめて両目だけでもごまかすようにして下さいよ!!」
高杉「まあそういうことだ!僕からはこの二人を遣わすからね」


すると、高杉サイドから風魔小太郎と柳生が実動班の元に来た!


柳生「高杉殿に貴殿らと共同戦線を張るように命じられて参上した」
小太郎「勘違いしないでくださいね。今は一時的な間だけですか・・・」


すると、小太郎はトリスタンや天草を見て驚愕した後に思わず視線をそらしながら言う。


小太郎「とにかく一時的な共同戦線ですからね」
トリスタン(今私を見たような・・・)
天草(あの視線は私にもでは・・・)


すると、巨大ドラニコフが一同を見つけて襲いかかってきた!


柳生「では参る」
トリスタン「絶対に連れて帰りますからね・・・!」


サーヴァント達が巨大ドラニコフに対して少しずつダメージを与えていくが、小太郎が宝具を展開させた!


小太郎「この宝具で鎮め!不滅の混沌旅団(イモータル・カオス・ブリゲイド)!!」


小太郎の宝具によりドラニコフの動きが止まった!


天草「やったか・・・?」


すると、ドラニコフはさらなるパワーアップを見せて一同をさらなる猛攻で襲いかかってきた!


小太郎「なっ!!?(宝具でも保てるとは・・・!!」
王ドラ「ドラニコフ!!」


すると、ドラニコフはその声を聞いて動きが止まった後に王ドラを見る。


王ドラ「もうやめなさい!あなたがなぜこのようになったのはあの非道のパラケルススさんが悪いから後でぶっ殺しますから元に戻りなさい!!」
パラケルスス「か弱そうなふりして酷い言い方ですね・・・」


すると、ドラニコフが王ドラに攻撃しようとしたのを天草が阻止した!


王ドラ「天草さん!やっぱりパラケルススさんが原因で心までもなくして・・・」
天草「いえ、あれは一時的に操られてる状態です。さっきの様子で確信しました」
王ドラ「え?」
天草「彼は前にも今も貴方の声を聞いて一瞬だけでも動きが止まった。それはずっと会いたかった親友を心底では傷つけたくなかった気持ちからだと思います」
王ドラ「要するにドラニコフは心底から私達に対して襲いかかってきたのではないということ・・・じゃあ・・・!」
天草「ええ。彼は元に戻せます」


天草の言葉に王ドラは安堵するが、阿国は言う。


阿国「斬サブローの察知通りでしたわ。あの目隠しは元は彼の四次元のマフラーのようなものです」
王ドラ「・・・!」
阿国「あの目隠しは恐らくあのクソ社長がデータを破損しない程度に改造されたもの。つまり彼を元に戻すにはあの目隠しを外すしかないですよ!」
高杉「おいおい、言い方が酷くないかな?」


すると、王ドラは阿国に頼む!


王ドラ「阿国さん、お願いです!斬サブローを使って私をドラニコフの元に飛ばして下さい!」
阿国「えっ!?リスクは大分ありますけど」
王ドラ「それでもいいです!ドラニコフを助けるためですから!もう頼りにしてますよ・・・私のキャスター!」


王ドラの頼みに阿国は顔を赤らめながらニカっと笑う。


阿国「いいでしょう。しっかり捕まってて下さい!」


一方で巨大ドラニコフに攻撃していた柳生は宝具を展開する!


柳生「剣術無双・剣禅一如」


柳生の宝具によりダメージを大分受けたが、それでも保てていた。


小太郎「宝具でも効かないとは・・・!」
トリスタン(これはどうすれば・・・)


すると、王ドラを乗せた斬サブローが空から接近してきた!


阿国「さぁさぁ、斬サブローの舞をとくとご覧あれ!空中と花を掛け合わせた歌舞伎であるぞ!」
王ドラ「実際には花はないですけどね;斬サブロー、良いですか!?」
斬サブロー「ザァン!」


すると、それを見かけた巨大ドラニコフが再度襲おうとしたのをトリスタンのハープの弦に拘束された!


巨大ドラニコフ「!!?」
トリスタン「痛くなりたくないなら大人しくなさい!今回の拘束は強めですから!」






ーーーーーボクは嫌だ。ひとりぼっちは嫌だよ。


みんなを傷つけたくないよ。みんなを困らせちゃうから。


ねえ、どこにいるの。みんなどこにいるの。


待ってるんだよ。だから早くーーーーー






すると、王ドラは斬サブローから飛んでーーーーー






その目隠しをびっと外した!


巨大ドラニコフ「・・・!!」






その外された目隠しは元の四次元マフラーに戻り、悲しみで理性を無くした巨大な狼は元の心優しき猫型ロボットにまで戻せたのだーーーーー


天草「よく貴方の親友を殺しませんでしたね。えらいですよ」
ドラニコフ「・・・!」


すると、元の姿に戻ったドラニコフは突然倒れ込んでいたのを斬サブローが助けた!


王ドラ「ドラニコフ・・・!」
阿国「いえ、これは疲れているだけです。こんなになるまで咆哮(泣き声)をあげたのですから・・・」


ドラニコフを無事に戻せたことを確認した王ドラはさらなる安堵を隠さなかった・・・

第三幕:咆哮の中に在る「声」(その3) ( No.226 )
日時: 2024/03/06 18:48
名前: 桜 (ID: EZ3wiCAd)

ドラニコフを元に戻せたことを確認した小太郎はまさか王ドラが阿国の斬サブローに投げられる形で彼に届いたという無茶に等しい方法を取ったことに内心では驚いていた。


小太郎「自分をあえて斬サブローに投げられるなど、そんな方法・・・あまり思いつきませんでした」
柳生「あのとりすたんの宝具による拘束もあったが・・・彼には見守る価値に値していいと考えている」
小太郎「わかっています(でも、僕は必ず・・・」


すると、小太郎が立ちながら実動班に挨拶する。


小太郎「では僕はこれにて。御免!」
天草「待ちなさい。貴方ーーーーー」


天草が言う暇もなく、小太郎が立ち去った後に柳生も挨拶する。


柳生「では私もこれにて。手合わせの時まで準備すると良い」
王ドラ「・・・」


柳生が立ち去った直後、映像が映り高杉が出てきた!


高杉「お見事だねー!まさか僕が仕掛けたあの仕掛けに気付くなんて!」
トリスタン「やはり貴方も絡んだということですか!」
高杉「パラケルスス君だけとは言ってないよ?それよりも褒美なんだけど・・・そこの気を失ってる狼君のマフラーを探ってくれないかな?」


王ドラが高杉に言われてドラニコフの四次元マフラーの中を探ると、そこにはある鍵とマイクロチップが出てきた。


王ドラ「これは・・・」
高杉「それはあの上にある鉄砲台の鍵だよ?まあ元はマホロアランドだし、広く作られてるからそこで映像の続きを見ればいいんじゃないか?」
直己野勝家「では貴様らとの先の戦いを楽しみにしておるぞ」


映像はここで切られた後、王ドラは帰る前にその鉄砲台に行くことを決めた。


王ドラ「トリさんと天草さんはドラニコフを連れて帰りなさい。私は阿国さんと一緒に鉄砲台に向かうので」
阿国「!」
トリスタン「えー、私も一緒に向かいたいのですが・・・」
天草「わかりました。なるべく早く帰りますね?」


二人がドラニコフを連れ帰って行った後に王ドラは声をかける。


王ドラ「私達も行きましょうか。さらなる事実が知れそうですし」
阿国「!は、はい!あなた様からの要望は受け付けました!」


一方、帰還した柳生を沖田が一人出迎えていた。


柳生「貴殿が出てくるとは珍しいな。もしや斬りにきたのか?」
沖田「いいえ。なんかあなたが調べたいことがあると聞いて。ですが、私と同じ調べ物でしたので・・・一時的な休戦にしませんか?」


沖田の発言に柳生は訊ねる。


柳生「どんな考えだ?」
沖田「高杉さんは私達に言いました。このまほろあ城はあの王冠に接続する形で作られていたのだと、それには同時に繋がった聖杯も関係していると、この計画が成功したら願いは叶うと。ですが・・・どうしても疑問が拭えないのです。このまほろあ城に変わった理由がなんかあやふやでしたので」
柳生「・・・」
沖田「それに私のマスター達を助けるためでもあります。あんな偉そうで面倒くさがりだけど・・・根は悪い子じゃありませんから」


沖田の言葉に柳生は背を向く。


柳生「ついていくなら勝手にすると良い。だが、万一に裏切るような素振りを見せたら斬る。それは覚えておけ」


柳生の冷徹な言葉と振る舞いを見て沖田は後をついていきながら静かに呟く。






沖田「ーーーーーそれなら一時休戦を申し出た時点で斬ってます。冷徹だけど、そういったところは英雄らしさですねぇ」






鉄砲台の下についた王ドラは阿国と相槌を打った後タケコプターで飛んでいき、その鍵穴に高杉に渡された鍵を差し込んだ!
ロックが解除された後、そこには・・・


王ドラ「これは・・・争いの跡?」
阿国「内部分裂も起きたみたいですねぇ。まああんな性格が同じなんじゃそりゃあこうなりますね」


王ドラがマイクロチップを使うために持参してきたPCを操作する。そしてそれをメモリーカードに差し込んだ!


王ドラ「始めますよ」
阿国「はい・・・」


それは映像ファイル。映し出されたのは・・・






『ーーーーー私が奴隷として連れて行かれてから三日経つ。私達はあいつらから受けた仕打ちにずっと耐えていた』


『しかし、それは次第に衰弱した後に死んだのを多くなってきていた。私の仲間にも』


〝うっわ、こいつ壊れたオモチャになってしまったなー〟
〝また次なるオモチャを呼びつけるか〟
〝これを使って遊んでやろうぜ〟
〝俺らの慰めものだー〟


『奴らは私達奴隷をこきつかったり殴ったり使い潰して弄んだりと非道の限りを尽くしていた。当然私もその一人だ』


『〝もうこのまま一人も救い出せないのかな〟そう思った時、私はすっかり弱りきった身体を振り絞ってまでそれをこの二つのマイクロチップに移させた』


『せめてあの子・・・リディアだけはなんとしてでも助け出したい。でも、私はもうできないから・・・だから、お願い。私達の分まで、リディアを・・・』






『お願い・・・』






その映像を見た後に王ドラはやるせないような顔をしながら阿国に聞く。


王ドラ「このマイクロチップを残した人の名前は・・・」
阿国「・・・エリル・ラインボルツです。リディア様と同じ奴隷として囚われ、最後に事切れた・・・」
王ドラ「・・・リディアさんをなんとかあいつらから解放しないとですね。いや、助けると言った方が正しいかも」


王ドラの言葉に阿国は頷いた。同時に「彼」も同じように人を想っていたのが頭によぎっていた・・・。

第三幕:咆哮の中に在る「声」(その4) ( No.227 )
日時: 2024/03/06 18:50
名前: 桜 (ID: EZ3wiCAd)

小太郎「ーーーーー以上、僕からの報告です」


一方まほろあ城内の謁見の間では小太郎が先ほどの戦いについて直己野勝家に報告していた。


直己野勝家「報告ご苦労であった。小太郎は忠義の厚い忍者じゃのう」
小太郎「・・・では僕は自分の領地に戻ります」


小太郎が謁見の間を出て行った後、芹沢は直己野勝家を訊ねた。


芹沢「本当にあの忍を信用するというのですか?」
直己野勝家「ああ、信用するぞ。それに・・・どこからか知らぬが、殺すなという声が聞こえた気がしてのう」
山南「・・・」


すると、斎藤は何かに気付いた上で土方に聞いた。


斎藤「そういえば副長。沖田ちゃんはどうしたんです?永倉みたいに生きたまま逃げ出さないといいんだけど」
土方「さぁな。また体調が悪くなったんじゃねーか?」


一方、天草とトリスタンが帰って来たアムールでは気を失っているドラニコフが無事に戻ったことを確認する。


シアン「ドラニコフちゃん、元に戻ってよかったにゃー!」
クロウ「ところで王ドラと阿国は?」
天草「高杉に褒美にと渡された鍵を差し込むために鉄砲台と呼ばれる場所に向かいました」
以蔵「はぁっ!!?二人でかぁ!!?」
アサト(燕青)「逢瀬か・・・可愛い顔してやるねぇ」
為朝「アサトは口を慎むが良い」


すると、シーラが静かに聞く。


シーラ「あの人達、無事に帰ってくるよね?」
トリスタン「・・・ええ。無事に帰って来ますよ」


トリスタンはシーラの頭を優しく撫でながらこれまでに起きた出来事を思い返していた。


トリスタン(なぜ我らも狙われたのかわからないが・・・)






トリスタン(まだ闇の中である野望を早く止めねば・・・!)






以蔵はアムールの見張り番をするために外に出ようと向かっていた。


以蔵「とにかくわしはアムールの見張り番をするから、ドラニコフをベッドに寝かせんかい!」
ウンディーネ「わかったー!」
シーラ「イゾーしゃん、気をつけてね」
以蔵「!ああ、行ってくるぜよ」


以蔵が一人外に出ると、アムールの見張り番の傍らパラケルススが作り出した陣地の防御の凄まじさを改めて感じ取った。


以蔵「やっぱり腐ってもキャスターじゃな・・・」
高杉「そりゃそうだよ。魔術師でもあるんだから」


すると、いつの間にか入ってきた高杉を見ながら以蔵は剣を構える!


以蔵「おまん・・・!」
高杉「おっと。キミと戦う気はないよ?岡田君を傷つけることがあったら坂本君が怒るから・・・」
以蔵「・・・何が言いたいき」


以蔵に問われた高杉は笑みを浮かべながら発した。


高杉「坂本君はこっちが捕えてる。だから・・・」






高杉「僕と取引しないかい?」






一方鉄砲台では阿国がリディアの方が変身を拒絶していると感じ取っていた。


阿国「王ドラ様、何かおかしいです。リディアちゃんが嫌がってるように感じます」
王ドラ「本当ですか?もしかして拒絶反応でもあるんでしょうか・・・「その声は22世紀の猫型ロボットか!?」


すると、二人は声の持ち主を思わず見る。


王ドラ「あなたは・・・」






???「いやー、幸運だったな。まさかあれに巻き込まれなかったロボットがいるんだからな」






続く・・・






感想OK