二次創作小説(紙ほか)

とある雪月花の羽根。(その1) ( No.43 )
日時: 2023/04/07 18:19
名前: 桜 (ID: p/lGLuZQ)

今回は敵側のセイバーの円卓騎士ガウェインとの再戦の時が近づいて来たということでモードレッドのチェリーワールドに召喚されてから辿る過去話も交えつつ現在の時間軸である行動も取る話。タイトルはその内容にさりげなく交えつつ。
オリジナル設定が含まれるのでそこは何卒ご容赦を(震え声)






前回に記されたモードレッドの行動。話の時間を約1週間前に遡ってみよう。あの時に何があったのかを。






アタランテ「モードレッドは、どうして任務の合間にあれを探そうとするのだ?」
モードレッド「は?」


アタランテの問いにモードレッドは思わず呆気に取られた。だが、すぐに我に帰った後に言う。


モードレッド「理由は特にねーよ」
アタランテ「じゃあ、女と言われたら斬るような汝が好まんような物をなぜ今でも探し続けているのだ?よほどの理由がないとは思えんが」
モードレッド「それは・・・ただ時に買い戻してでも、あいつに返したいだけだよ」


誰も知らない。とある雪月花の日の羽根。彼女があの日オレを引き換えとして売ってくれた、彼女がずっと大切にして来たあの羽根(リボン)を・・・






【Episode1:Died affter hell time…?】


モードレッドは約数年前に魔術に長けると言われているとある一族の令嬢の使役するサーヴァントとして召喚された。
魔術師については嫌悪はしているが、この世界の魔術師はある程度は理に適っている者が多いだけでなく、何と魔導師や魔法使いの類も数多くいることに彼女は驚いていた。令嬢の方そんな理に適っている人物の一人だった。下の兄弟ばかり優遇する親から見放され落ちこぼれと見なされたが、実はその令嬢には並外れた量の魔力が秘められていた。その多さに暴走を起こさぬようにチェリーワールドの神々がセーブをかけているだけだった。しかし、令嬢はそれとは別のことを望んでいた。


モードレッド「家を出る?」
令嬢「うん。どこか森の中で静かに暮らすの。ああ、キノコを扱う薬剤師にはなりたいかな。魔術師が薬剤師として成り立つなんて許してはくれないもの」
モードレッド「・・・そうか。その方がいいぜ」
令嬢「あ、その時はモードレッド。私のセイバー。いつでも私を守ってくれた騎士様。貴方も私と一緒について来てくれない?貴方はいつも私を気にかけてくれたんだもの」
モードレッド「!ーーーーーああ。オレのマスターの言いつけなら喜んで付いてくぜ」


令嬢はモードレッドに令呪での強制はしなかった。あくまで自分のセイバー自身の意思に委ねるように返答を待っていてくれたのだ。
令呪での強制は一度もしなかった。ーーーーーただ、その後に起きたあの日に除いては。


モードレッド「マスター!大丈夫か!?」
令嬢「う、うん!大丈夫だよ!」


二人は家を出る直前に令嬢の両親に「我が一族の恥である出来損ない役立たずの令嬢」を殺せと命じられた追手に追われていた。もちろんモードレッドが守るような形で振り切って逃げ続けた。しかし、追手がどこまで追って行き、ついに見つかってしまったのだ。


追手「そのサーヴァントを押さえろ。この出来損ない令嬢を銃で撃って殺せ。命令だ」
モードレッド「マスター!!逃げろ!!オレは構わないからは早く逃げるんだ!!」
令嬢「モードレッド・・・!!」


しかし、自分を守ってくれたサーヴァントであるモードレッドには英霊だとしても生きていて欲しいと望んだ彼女は自分の右手に刻まれた令呪を発動させた!


令嬢「モードレッド!令呪を以て命じる。生きていて。モードレッドを守るように誰も傷つけないで!」
モードレッド「マスター!?」
令嬢「モードレッド。私を守ってくれてありがとう。さよなら」


その直後に彼女はモードレッドの眼前で複数の追手が放った銃に撃たれて[[rb:斃 > たお]]れた。両親による娘の殺害任務を完了した追手がその場から立ち去った後に彼女の亡骸を見たモードレッドは時に嗚咽を上げながら悲しみに暮れた。


モードレッド「あ・・・あぁ・・・あぁぁぁぁぁぁぁ」


生前のカムランの丘での出来事はオレ自身が起こしたことだとわかってる。でも、こんな理不尽に、自分が殺されるというのにそれはーーーーー






オレに対する、冒涜じゃないか。






その1年半後、彼女は生きるためにとある国で活動する勇者パーティに女剣士として所属していた。実力のあるモードレッドは勇者パーティにとって即戦力だった。


国民A「きゃー!あれは勇者トニー様のいる勇者パーティよ!」
国民B「トニー様も他のパーティメンバーもみんな実力があるから羨ましいわ!特にあの剣士様はあのパーティの要よ!トニー様も頼もしい剣士が来てくれてよかったですわね!」
トニー「ありがとう。嬉しいよ(密かにニヤッ」


令嬢の最期に放った令呪の効果により消滅せずに生き延びているモードレッドは一見勇者トニーが率いるパーティに頼りにされているかと思えば、そのパーティは日本で言うならブラック企業に値する物だった。


トニー「おい、名無しの剣士。もうすぐ人間界の日本で主催される闇オークションの日だから有金を置いて商品として出席して出て行け。主を見つけたらせいぜいこき使ってもらうんだな」
モードレッド「・・・わかった」


元マスターの令嬢を理不尽な理由で亡くしたショックから無気力になっていたモードレッドをいいカモだと思った勇者トニーを含めたパーティは陰で名無しの剣士と呼びながら子供の玩具を扱うかのように虐げていた。
その闇オークションの日に商品として出されたモードレッドに低い値で落札しようとする権力者達やニヤニヤと嗤う虐げた勇者パーティを見ても彼女はもう何も感じなかった。
もういい。何もかも壊れていい。今の状態で父上にも相対することはないのが唯一の幸いだ。消滅できるのなら、これ以上は何もいらない。煩わしいんだ、何もかも。


キィ・・・


すると、その闇オークション会場に間違えて入ってしまったのであろう恐らくは小学1年生ぐらいの頭にリボンを付けた少女がモードレッドを見つけた。


モードレッド(え・・・?)
???「待って!待って待って!そんな値打ちなら、その子を私にちょうだい!」
トニー「ああ?この場所はガキが来るところじゃねーし、貧乏人に用はねーよ。ん?」


すると、トニーは少女が付けているリボンを見て関心を寄せた。


トニー「それ、白い鳥の羽根と木の実で作られたリボンか?いいリボンだ、どこの子供だい?」
???「私を子供と侮るんじゃないわ!月島グループの社長令嬢の月島あいりですわ!」
モードレッド(社長令嬢・・・?普通こんなところに間違ってでも来ない)
トニー「月島家グループ!?そんな大金持ちの子供が、こんなところに来るものか!」
あいり「ルドヴィカや双子の弟のあおいといたけど、ルドヴィカが早く帰ろうって言うからあおいと別々に撒いたんですのよ!(フンッと鼻で鳴らす」
トニー「確かにいいリボンだけど・・・」
闇オークションの司会「どうしますか?」
トニー「じゃあ、お支払いでお父様にお話しますよ。家はどちらに?」
あいり「ダメ・・・家族で旅行で遊びに来てるのよ」
トニー「でも、お父様も休暇中でしょう?」
あいり「お父様は明後日までお仕事なのよ・・・」
トニー「では仕方ありませんね。またご機会に」


モードレッドはあいりを一瞬で見たがすぐさまに目を逸らした。闇オークションが再び始まるかと思えばーーーーー


あいり「待って!!」
トニー「!?」
あいり「これで文句ないわよね!?このリボンあげますわ!だから、その子を自由にしてあげて!!」


モードレッドは身につけたリボンを外してまで引き換えとして差し出したあいりを見ながらどこか侮蔑した感情を抱いた。


モードレッド(自由に・・・?バカだ。オレは自由にしてるよ。勝手に救った気持ちになって、優越感か。どうせまた虐げるだけなのに。そんなことも、関係ないがな)


モードレッドはあいりに引き取られ、その後に同じく帰路に着いていたかなり上等な別荘であおいが双子の姉のあいりから事情を聞いた。


あおい「リボンと引き換えにもらった!?」
あいり「そうなんですの〜!!!(号泣」
あおい「で、なんで姉さんは泣いてるんですか;」
あいり「ルドヴィカと一緒にメイド長の季結に怒られて・・・2時間」
あおい「ああ、ルドヴィカも落ち込んだのはそのせいですか・・・;」
あいり「でも、無愛想な父様は意外にも許してくれたし、私はそれで満足ですわ!名前はなんで言うの?教えてv」


すると、あいりを見たモードレッドはガリッとその差し伸べた左手を引っ掻いた!


あいり「いたーーーーーい!!!(手からケチャップがボタボタ」
あおい「逃してやったらどうですか?」
あいり「ダメっ!!この子は一人じゃ生きていられないわ!だから、あんな闇オークションで大人しく愚劣な権力者達に値打ちされそうになったのよ!!」
モードレッド「・・・」
あいり「ねーーーーーv」


モードレッドは包帯を巻いて再び差し伸べたあいりの左手をガリッとを引っ掻いてまたあいりが怪我してしまい、その日はちょっとした騒動になっていた。
モードレッドは当初は自分を引き取っただけでなく、親しく接そうとしたあいりがかなり苦手であった・・・。






再び現在の時間軸。ここからはモードレッドの過去の話との二つの視点で話を展開する。
とある丘で悠久の魔導師エターニャは、双眼鏡でゼオ達を見ながら何らかの気配を感じ取っていた。


エターニャ「一緒にいるあいつらはサーヴァントの類であったか。だが、意外と楽しそうにしているな(よく見ると、あいつらも根っこは生きてる人間と何ら変わりない・・・」


すると、エターニャの目の前に何かが飛んでいるのを見た。モードレッドだ。


モードレッド「よっ☆はじめまして、悠久の魔導師サン?」
エターニャ「・・・!お前はセイバーの円卓の・・・」
モードレッド「今はあいつらにとっては敵側だがな。まあ約1名は除いてるけど、ちょっくら話しようぜ?エターニャのばあさん」


すると、モードレッドは彼女を異次元空間に連れ出した!外部に情報を漏らさないようにするためだ。


エターニャ「何の用だ?あのサーヴァント達ならば敵ではないことはわかっている」
モードレッド「そんなのわかってんだよ。用があるのはお前だよ」
エターニャ「は?」
モードレッド「あんた、かなり厄介な魔獣退治の依頼を任されたんだろ?オレにも同行しろ。オレに対する報酬と引き換えにな・・・!」


エターニャは彼女の態度にちんぷんかんとなった。秘密警察というCOMにとっては一部では番犬とも称される厄介な組織所属のサーヴァントであるにも関わらず、時には味方の立ち位置にもなる中立的な態度で自分に接したからだ。その裏にある真の目的に少しも気付かずに。

とある雪月花の羽根。(その2) ( No.44 )
日時: 2023/04/07 18:23
名前: 桜 (ID: p/lGLuZQ)

【Episode2:Snowcherry under knight】


その日は雪月花が降り積もった夜、モードレッドは与えられた簡易部屋の中のベッドの上にいた。よく見れば物は上等な物ばかりだ。


モードレッド(別荘の中は上等な物ばかり、働く使用人も多い・・・一体どういう上流階級のお嬢様だろう。12時が近いな・・・日が過ぎたら深夜にここを即刻出よう)


すると、ドアを開けた!モードレッドは予想外な出来事に驚いた!


あいり「じゃーん!あいりですわー」
モードレッド(えっ;えっ?)
あいり「びっくりしちゃった?一緒に寝ようと思って来たのよー。ルドヴィカがまだ心を開いてないうちは部屋に入れちゃダメって言うけど、ここで寝るなら大丈夫よね!」
モードレッド「・・・(かつてのマスターと同じ、本当に変わったお嬢様だなぁ・・・」
あいり「別荘でもこの辺りは郊外だし、不審者が現れることもあるから聞こえて怯えてるんじゃないかって心配してましたの。でも、大丈夫!私があなたをちゃんと守るから!」


あいりの言葉にモードレッドの中に何かが動いたのを感じた。まるで眠れない日々が嘘のようだった。


モードレッド「・・・モードレッド」
あいり「え?」
モードレッド「〝モードレッド〟っていう、名前だ。好きに呼ぶがいい」


捨てたはずだった自分の真名を、もう一度口にした雪月花の夜。
あいりはモードレッドに優しく頭を撫でながら言う。


あいり「モーさん・・・こんなに強く振る舞って生きてきてそうなのに、とても寂しそうな表情をしていますのね・・・」


優しく頭を撫でられたモードレッドは次第にその温かさに目から雫が浮かんできた。
あの日、かつてと同じようにあいりに優しく頭を撫でられた夜、自分がそれまでどれだけその悲しみを吐き出したかったのか気付いたんだ・・・。






その翌日、あいりはモードレッドに服をプレゼントしてくれた。モードレッドが好みそうな服装だ(詳しく言えばモードレッドの霊衣であるトゥリファスの記憶と同一)


あいり「はい!できましたわっ。赤いジャケットはルドヴィカが仕立ててくれたのよ」
ルドヴィカ「本当ならば私がその美しさを生かすようにプロデュースしたかったのですが。せっかくの逸材でしたのに!」
あおい「いや、嫌がったんだから意味ないでしょう;大事に着て下さいね」
モードレッド「おう」
あいり「きれいですわよ」


モードレッドはあいりと一緒にいると、前のマスターを失ってから今まで降り積もった雪が一気に溶けていくように感じとった。その日は雪月花の夜であったが、彼女にとってあいりは自分の雪月花のような気がした・・・。
そんな日々を過ごすようになって来た時にモードレッドはガサガサとするような音がした。恐らくはあの勇者パーティが自分を連れ戻すために機会を伺っているのだろう。


モードレッド「・・・」






現在の時間軸。エターニャは厄介と噂されている魔獣と戦っていた。その魔獣は可愛らしい猫の見た目だが意外と強く、豹変すれば凶暴な特性を持つ虎に変貌するモンスターの類だった。


エターニャ(あれは意外と強いが、その魔獣もかなりのダメージを蓄積している・・・これはもうあと1発一撃を放てば勝てる。だが、わしもそろそろスタミナ切れで倒れそうだ。ならば・・・)


エターニャは霊体化中のモードレッドに後を任せるように聞く。


エターニャ「お前の宝具でいけるよな?」
モードレッド「はっ。オレを舐めんなよ。あと1発をオレに任せるのは最適な大役だな」


そしてモードレッドは自分の宝具を放つ!


モードレッド「これこそは、わが父を滅ぼし邪剣。【我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー】!!」


モードレッドの宝具によりその魔獣が倒された後、エターニャに介抱を受けたモードレッドに彼女からあることを言われた。


エターニャ「聞きたいことが山ほどあるが。お前はなぜ生前と真逆の立場でかつての円卓と敵対しているんだ?あのアーチャーはどうやらお前達の敵とは違うようだが」
モードレッド「まあトリ野郎は味方でも敵でもポンコツかつフリーダムだろ?誰から見ても技の技巧よりも奇行の方が目に引くじゃねーか」
エターニャ「確かにわしでもそう思うな;待ってろ、今報酬を用意するから」


エターニャは今回の依頼に関する割と高額な報酬金を取りに行って再び戻ってきたあと、それをエターニャに渡そうとした。


エターニャ「報酬金としてはこれで十分だろう」
モードレッド「いや、報酬の方は受け取っているぜ。目的は金じゃねーんでな」
エターニャ「そうなのか?」
モードレッド「・・・ではさらばだ」


モードレッドが立ち去った後にエターニャはこの袋にたんまりと入った報酬金をどうしようかと悩んだ最中にふと机の上を見たらあったはずのものがいつのまにかなくなっていたのだ。


エターニャ「あやつ・・・!(あのリボンはわしがプニィにプレゼントで贈ろうとして商人から買ったアンティーク物。あれがあいつが求めた報酬だったのか・・・」


一方、モードレッドはようやく達成したような顔をした。それは目的にしていた鳥の羽根と木の実で作られたリボン。あの時にエターニャから報酬として奪い取り、ようやく自分の手に渡れたのだ。


あいり『私があなたをちゃんと守るから!』
モードレッド「・・・。次に会えたら、返すさ・・・」
[newpage]
【Episode3:See you again tomorrow】


その夜、勇者トニーが率いる勇者パーティは月島家の別荘近くで彷徨いていた。モードレッドがいなくなったことでパーティが急激に弱くなって落ちぶれたことでまた彼女を利用するために連れ戻そうとしているのだ。


トニー「日本にまたたどり着くまで随分と遅くなった。おい、魔法使い、方位で確かめろ。神官も気配を探れ。戦士は不審者が発見したら即座に始末しろ!あの名無しはどこに行った?あいつがいなきゃ強い魔獣を倒せない!」
モードレッド「名無しじゃねーよ」


すると、トニー一行は一人来たモードレッドを発見した!


トニー「おっ、お前!名前があったのか!?まあいい、帰るぞ!明日は前から依頼されたあの魔獣を倒しに行く!」
モードレッド「行かせない」


すると、モードレッドが自身の霊基の装備変更し、クラレントを構えながらサーヴァントの力を解放した!


モードレッド「お前らは用済みだ。消えろ」
トニー一行「うわあああああーーーーー!!!!化け物!!」
モードレッド「汚いお前らはオレの大嫌いな人間の中でも格別だ。本当はずっと許せなかった・・・」


モードレッドはクラレントを構えて宝具を放とうと振るう!トニー一行は恐怖で思わず頭を抱えながら死を覚悟したが・・・


???「待て!モードレッド!!」


その制止の声に気付いたモードレッドは宝具を放つ光を止めた。彼女の後ろにいるのはあいりとあおいの父親である月島家グループ社長兼当時は都議会議員だった圭一郎だ。


圭一郎「去れ、勇者一行。この夜のことは忘れ二度と日本に近づくな」


モードレッドに殺されそうになったことですっかり怯えてしまったトニー一行はすぐさまその場から立ち去った。
彼があいりとあおいの父親であることを知っていたモードレッドは圭一郎に言う。


モードレッド「あいつらはまたオレを連れ去ろうとしてくる・・・始末しなければ」
圭一郎「私がさせない。大丈夫だ。お前、サーヴァントという類のセイバー、しかも円卓の騎士だな。この世界では守護の加護により生きながらえる特質はあるとされる。だが、お前だっていつか狙われるかわからない・・・霊核とも言える命を失いたくないのならサーヴァントとしての力はあまり解放するな」
モードレッド「命なんていらねーよ!!」


圭一郎は冷静に保ったままモードレッドにあることを頼んだ。


圭一郎「あいりとあおい、美貴を守ってやってくれないだろうか。私の妻の愛紗は急病で死んだとされるが、あれは総理らがしたことの隠蔽による偽装だ」
モードレッド(!!?)
圭一郎「私は妻を必ず見つけ出す。だから、お前がいつでも私の子供達を守ってほしい・・・特にあいりは、いつかお前のマスターになる者だ。それを受け入れてくれる生涯の仲間が必ずできるのならば」


圭一郎の頼みにモードレッドは受け入れるしかなかった。この男は、自分を犠牲にしても嫌われたとしても、自分の妻や子供達を愛していた本心を言わないのだから。
いらない、霊核(命)だった。だけど、今はそう思う度に目蓋にあいりの笑顔が浮かぶ。それがあいりがあの事件に巻き込まれてオレと引き離されても、あいりが他の男を好きになったとしても。それでも。今は・・・






今は・・・






現在の時間軸。西澤邸ではタママは自分の部屋でお菓子を食べながら昼寝していた。すると、コンコンと窓を鳴らす音が聞こえた。


モードレッド「おーい。タママー」
タママ「タマ?っ!?モー公、なんでこんなとこに!?セキュリティ発動するんじゃねーの!?」
モードレッド「そんなもんかわすルート調べとけばなんとかなるんだよ」
タママ「そんなもんとかなんとかって;っていうか、それ空飛ぶじゅうたんか!?」
モードレッド「ああ、仕事に向かうための運転用だよ」


すると、モードレッドは自分の手をタママに差し伸べながら言う!


モードレッド「せっかくだからこれで軽くドライブしようぜ!あっ、これは誰にも内緒な」
タママ「はぁっ!?気配は消せるのか!?」
モードレッド「外部には見えないようにしてある。お前らのところで言うアンチバリアを使う必要はないさ。オレを信じてくれ」


モードレッドの言葉にタママはようやく了承してその手を取った。


タママ「・・・帰す時は安全に返せよ」
モードレッド「流石に怪我させるかよ;」


モードレッドとタママは空飛ぶじゅうたんでいつもの街の風景やプリンプタウン、月見台や春我部や吉祥寺、ポップンタウンやメルヘン王国や天界や魔界など色々と空から見て周った。途中には男女問わずにモードレッドのファンが黄色い声を上げているのだが、モードレッドはその度にタママの肩を組むなどの行動に出ていた。


タママ「おい。これはお前のファンの逆鱗に触れるぞ;」
モードレッド「いいんだよ。一部にタママのこと悪く言ってた奴もいるし。もう友達だしな」
タママ「!そ、そうか(乱暴だし口も悪いし不良ではあるけど、普通は見えないだけで根はちゃんといい奴なんだよな・・・」


そしてドライブを終えた時にタママは再び西澤邸に送ってくれた。


モードレッド「じゃあ、これから呼び出しがあるんでな」
タママ「もう行くのか・・・気をつけてな」
モードレッド「ああ。またな!」


モードレッドが立ち去る中で、タママはモードレッドの「またな」という言葉に少し嬉しくなった。


タママ「・・・。これが最後じゃないってことか」


タママが西澤邸に帰った後に西澤邸の使用人である執事のパールが出迎えてくれた。


パール「あっ、タママ殿、お出かけでしたか?」
タママ「友達に会いに行ってたんですぅ(本当のことだけど友達って言うとなんかな・・・;」
パール「そうでしたか。あ、おやつのチョコチップクッキーがありますよ」
タママ「わーい!」


一方、モードレッドは彼女を待っていたアタランテとフラン、シルクやしおんが出迎えてくれた。


アタランテ「モードレッド!どこに行ってた?」
モードレッド「ちょいとドライブだ」
しおん「仕事用で私用に使うのは怒られるからやめて;」
フラン「う!」
シルク「魔法のじゅうたんだー!」
モードレッド「わかったわかった;ん?ボスからの任務の電話だな。今日は早く済ませそうだからもう行くぞ。乱麻や以蔵達が住む学生寮でみんなで夕飯に食いに行って来てとクルークからもLINE来たしな」
アタランテ「ああ」


ツースト「?あいり、どうした?」
あいり「ううん。ただモーさんがどこかにいるような気がして」


いらなかったオレの命。一番にあいりにあげたい。でも、それを止めてくれるのならその時は、クルーク達同様に一番にタママに止めてほしい。
たった一つ夢があるんだ。オレ、あいりが闇オークションに売ったあのリボンを買い戻してでもあいりに返したい。今はそれをやっと手に入れたから。そしたら全部が変わるわけじゃないけど、少しでも変われたなら。そしたら今度こそ言えるんだ。叶わなくとも。「お前が好きだ」と・・・






そしたらやっと、雪月花の日よりも本当に分かり合えるような気がする。誰にも秘密・・・聖杯などに頼らずとも自分の力で叶えたかったオレのたった一つの、夢。


おわり






「後書き」
今回はモードレッドの過去話と現在の時間軸の二つを掛け合わせた合間も含む話。後者に関しての時系列としては前回の話の前日譚ですね。
過去の外伝の一つにもあるあいりとあおいの吉祥寺学園への転校は彼女が関係していると思います。悪い意味でもなくて、ただこれからの話の伏線回収のためにここで言うのは控えておきます;
ちなみに雪月花は私的には雪の桜、桜の白い羽根とも言える考えがあります。見たことはないけどその分一番幻想的だからそういう見解が私の中でか生まれてますね。






感想OK