二次創作小説(紙ほか)

新たな戦いの幕開けの予兆(その1) ( No.585 )
日時: 2025/11/14 20:40
名前: 桜 (ID: Wz/uC4rR)

今回は第五部に関するお話。敵キャラクターが少しずつ登場しています。






とある秋の日。木の木の葉が日につれて赤くなるのを見たタイマーはどこか切なげな表情をしながら呟いた。


タイマー「そうか。またこの季節がやってきたんだねぇ」


タイマーはミニッツと共にフェアリーナイト王国から日本にやってきたばかりの頃の過去を僅かながらに思い返していた。


タイマー「今も、立ち直り方がわかってないな・・・」






ーーーーーこんにちは、トリスタンです。また一年を巡り回って、季節はすっかり秋になりました。


リップ達とも仲間意識が強くなり、私の名を名乗る妖精騎士、トリ子嬢が少しずつ打ち解けてきているようにもなってきて、


素直ではないけど、王ドラ殿はあれからも私を気にかけてくれています。


まあ相変わらず、彼のハジメテは奪えませんが、王ドラ殿は私に優しくなってきているのです。


本当に優しくなってきているのです・・・そう、あのことがなければ。


王ドラ「トリさん。あなた、いろんな人間からのメールや手紙を返信していないって本当ですか?」
トリスタン「はい。少し溜まりましたが」






王ドラ「だったら、なぜ合わせて400通も貯めたんですか!?(上には大量の手紙の山」






なんと、トリスタンのやらかしが判明。しかも円卓組で一番最初に仲間になった時期から隠していたようだ(ぇ)


トリスタン「ああ、その時の私は返信のやり方もわからなかったということが悲しい・・・」
リップ「でも、トリスタンちゃんはアムールでお客さんをさらに呼び込めるから助かってるし、お客さんの中でファンになった人がいるってことだね?」
チャラ王「お前、ビジュアルだけはいいもんなー」
トリスタン「ですが、私は鳥。手紙を書くことなどありえない鳥」
ルート「つまり飛ぶ専門のか。ある意味いいなそれ」
王ドラ「よくありませんよ!」
トリ子「別にいいんじゃない?むしろオマエへの罰で報復が待ってるかもな?」
メルト「確かに想像できるわねそれ」
おぼろ(モイモイ)「女子なら精神的攻撃じゃないの?」
王ドラ「エグいですよねそれ;とにかく!」


王ドラは腕を組みながら、トリスタンに伝えた。


王ドラ「騎士王さんからも承諾済みなので、これ全部終わるまで、キャメロット城やスマブラ屋敷への立ち入りも禁止ですからね!」
トリスタン「!!」


アムールから出ていく王ドラをトリスタンが必死に引き止めようと走った!


トリスタン「お待ち下さい。王ドラ殿、嫌ですごめんなさい。お待ち下さい!」


王ドラは足を止めながら言う。


王ドラ「私だって本当は嫌なんですよ。サンソンさんや以蔵さん達も嫌がりますし」
トリスタン「!」
王ドラ「だけど、トリさんのことを知れば、きっと外部も安心しますし、傷だらけの三つ巴の事件であなた達のことを悪く言う人はもう出てこないと思います」


傷だらけの三つ巴は騎士王やガウェインを含む一部の円卓の騎士を召し抱えていたこともあり、事件解決後もそのことでトリスタンを含めた円卓組に不信感を抱く声もあった。
そう、これはそれを少しでもなくすためのものであり、王ドラは心を鬼にしてまで彼に書かせると決めたのだ。つまり、トリスタン達のためであった。


王ドラ「とにかく!終わったって聞いたら、私が真っ先に飛び込んでいくから、それまではなんとか終わらせてきなさい!ご褒美はちゃんと用意しますから!」
トリスタン「ご褒美?何の————」


すると、王ドラはトリスタンにあるものを渡した!映画のペアチケットのうちの一枚だ。


王ドラ「あなたが見たがって映画ですからね!」


王ドラが出て行った後、トリスタンはその映画のペアチケットを見て目を輝かせながら、2階に戻ってきた!


トリスタン「リップ!紙を下さい!王ドラ殿に映画に誘われました!」
リップ「王ちゃん、取ってくれたんだねー。はい」
チャラ王「よかったじゃねーか・・・ちゃんと終わらせてこい」


————訂正、王ドラ殿は相変わらずのキツい態度なのですが、それだけ私を気にかけてくれているのです。だから、安心して待ってて下さい。私の●●。






モードレッド「————以上、報告だぜ」


モードレッド達の住む白金のマンションでは叛逆の騎士が月島家が召し抱えている白魔導師の葉樹に任務の報告をしていた。


モードレッド「オレ達も今は秘密警察からの謹慎が解かれているが、あいつらのことを葉樹はどうなんだ?」
葉樹「そうだなぁ。すごい子達だとは思うけど、うん、実際にはすごい子達だけど。あのオレンジの悪魔君は厄ネタかな。色んな意味での」
モードレッド「色んな意味でか?まあ、その通りかもしれねーが」
葉樹「オレンジの悪魔君からは悪意は感じないけど、問題はキミの生前における同僚のトリスタン君だね。何の目的でダークホースとして現れたかわからないけど、二人が出会ったからこそ、一部では結構揺らいでるよ。あの金髪スパイ君のいる組織とか?」
モードレッド「・・・話の一つだと、留めておくぜ」


葉樹の部屋を出た後、モードレッドは使用人数人が見ている中で身体を伸ばしながら声を上げた!


モードレッド「あー!あいつが真面目な時にそういうことを言うと、予言として現実になるから嫌なんだよなー!お、聞いてないふりをしてくれると、ありがたいぜ」


思わず聞いてないふりをする使用人数人を放っておいて、自室に戻るモードレッドは先程の葉樹の言葉について思い返した。


モードレッド(厄ネタ?問題?ダークホース?冗談じゃねーよ。あいつらはただ人を助けようとした。そんなのはオレからすれば、普通のことに見える。だからこそ、実際にあいつらがそれを持っていなかったら、ガウェインやホイップを救えなかった。オレはそれが普通だと感じる。オレはそれは誰でも思えることだと感じる。なのに、クルークも、オレンジダヌキも、あいりも、ツーストも、タママも、それができるのはどうしてなんだろうな)


モードレッドは窓から見える空の景色をじっと見つめていた・・・。

新たな戦いの幕開けの予兆(その2) ( No.586 )
日時: 2025/11/14 20:42
名前: 桜 (ID: Wz/uC4rR)

トリスタン「も、もうダメです・・・;」


一方のトリスタンはあまりの返信量の多さにペンを持ちながら、目をぐるぐるさせていた。いつも目を閉じてるから、そうは見えないんだけど。


トリスタン「今何通できましたか?」
ルート「今手書きの手紙は22通。メールには手をつけてない」
メルト「じゃあ、手書きの手紙は残り187通なのね?」
トリスタン「くらっ」


その数分後、ちょっとした騒ぎとなったのを王ドラが聞いた。


王ドラ「は!?トリさん達がいなくなったぁ!?」
キッド「リップ達も一緒にいるから、遠くには行ってねーと思うんだが・・・円卓の奴らも呆れたり狼狽えたり怒ったりしててな、騎士王も大分困ってる様子だぜ;ガウェインが聞いたら、そんなことはないと言うんだがな・・・」
騎士王(・ー・´;)←わかりづらいが、大分困ってる様子
王ドラ「ああ、なるほど;(客観的に見たらわかるかもしれませんね・・・;」
天草「探しに行かないのですか?」
王ドラ「探しに行くのも何も様子を確かめるだけで」
天草「男なら堂々とやればよろしいのでは「バッチン」
王ドラ「目的のためならなんでもするあなたと一緒にしないで下さい!」
天草「」←右頬には赤いビンタ跡
キッド「うわぁ・・・;」


一方、休憩も兼ねてエージェント達の住む屋敷に遊びにきたリップ達はトリスタンがアリシアにあることを訊ねていた。


トリスタン「レディ・アリシアはなぜエージェント殿のことを好きになったのですか?」
アリシア「!それは・・・」
リップ「教えちゃいなよー。このお姉ちゃんがラブナでくっついてあげるから」
アリシア「い、いらない!からかわないで!」


その窓の外から、彼らを探しにきた王ドラがこっそりと覗き込んでいた。


王ドラ(やっぱりここですね。今度はサンソンさんのですか。以蔵さんもそうですが、トリさんにも何かと甘いから迷惑かけないといいですけど・・・)


一方、それに気付いていないアリシアは顔を赤くしながら話す。


アリシア「エージェントはヘタレだけど、アリシアに何かあったらすぐに飛んでいくの。まあ、それもスパイ兼護衛の仕事の一つなんだろうけど、そんなことがなくても、アリシアにとってエージェントを手放したくないもん」
ルート(アリシア・・・)
チャラ王「じゃあ、伝えとけばいいじゃねーか」
アリシア「ダメだもん!エージェントは鈍いし、おっぱいが大きい女性が好みなんだもん。クアトロの胸を見た様子からそんな感じだし」
メルト「なるほど。あの男はそういったところがあるとは思ったのだけど」
トリ子「待て。あいつ、私の胸も見つめて来てねーよな?」←胸が大きい方
おぼろ(モイモイ)「げー;」
王ドラ(さっきから、エージェントさんがボロクソ言われてますけど;)


サンソンがお茶を振る舞いながら声をかけに来た。


サンソン「え?でも、アリシア嬢が一時的に大人になった際に胸が大きくなっていますが」
チャラ王「はぁっ!?そうなのか!?」
王ドラ(そうだったのですか!?)
トリスタン「え?じゃあ、あの時にエージェント殿と一緒にいた美しい少女はアリシア嬢?以蔵殿、ベディヴィエールが来たと嘘ついたのですね・・・ランスロット卿と一緒に信じてしまいました」
サンソン(いや、二人とも絶対にナンパするだろうから、以蔵さんの嘘はどっちにしても正解だと思う;)
王ドラ(見境がない・・・;それと以蔵さん、ナイスアシストですよ)
リップ「じゃあ、手を出された?」
アリシア「出されてないもん。アリシアの本来の姿が子供だからだわ。まだ子供だから、考え方が変わるけれど、それでもアリシアにはエージェントがいいから、だからこそ好きでい続ける。意地のつもりなの」
王ドラ(アリシアさん・・・)


アリシアの表情に王ドラはミニッツと重ね、チャラ王は思わず感心した。


チャラ王「いいなそれは!こうなったら、エージェントさんはアリシアちゃんを嫁にもらうしかねーな!」
ルート「幼女とはいえここまで好いてることなんて、見ものだぞ」
トリ子「ところでトリは?」
トリスタン「私ですか?」
トリ子「そりゃあイゾルデのことを話すに決まってるだろうよ」


トリスタンは少し唸りながらぽつぽつと話した。


トリスタン「確かに私は金髪のイゾルデを愛していた。ですが、それは愛の媚薬によるものだと知っていますよね?」
リップ「うん」
トリスタン「それはひとまずさておいて、私もイゾルデ以外にはいなかったわけじゃないのです・・・」






その人は一見すると普通の少女である一般人。当然戦闘能力は皆無で戦うのが怖いのに、それでもまっすぐ見て、最後まで足掻いてまで逃げなかった。
私はその少女を綺麗だと思った。守りたいと思った。裏切りたくないと思った。手に入れたいと思った。
彼女の慰みになるならと私はハープを奏でて曲を弾いていた。彼女と一緒にいたいと思ったのだ。たとえ仮初の身でも。






トリスタン「サーヴァントの身で何をやっているのかと言われそうですけど、あの時の私はそれでもいいと思うほど本気で惚れていたのですね・・・」






その直後にインターホンが鳴った!


サンソン「あっ、客人かな?僕が出ます」
アリシア「いってらっしゃい」


サンソンがドアを開けると・・・


サンソン「えっ、なんであなたがここに?あっ、待って下さい!匿った僕に責任があるから、トリスタン殿を咎めないで————」


すると、部屋のドアを開ける音がした!開けたのは王ドラだった。


チャラ王「王ちゃん!?」
トリスタン「あ・・・ごめんなさい、返信ならまた後でやりますから・・・」
王ドラ「そのことで言いに来たんじゃありませんよ」


王ドラは一息つきながら、トリスタンに話しかけた。


王ドラ「では私とミニッツさんはどうなんですか?ロボットの分際で、だと思いますか?」
トリスタン「ち、違います!決してそのような」
王ドラ「それと一緒なんですよ。だから、人外であれ機械だからって関係ないと思いますけどね」


サーヴァントの分際でとは言わなかった王ドラを見たトリスタンは静かな口調で答える。


トリスタン「その、あなたはそんなこと言わないのですね。リップ達も、あなたの仲間達も。そんなんだから、信頼してしまうのですよ」
王ドラ「そうですね。クロスオーバーではそんなのは関係ないので」
トリスタン(ああ、やはり。そんなんだから、惹かれてしまうのですよ・・・)
王ドラ「返信、少しだけなら手伝いましょうか?」
トリスタン「いや、いいのです」


その光景を見ていたアリシアは涙目を浮かべていた。


アリシア「アリシアの話の後にあれはずるいわ・・・」
リップ「男同士だけどね。アリシアちゃん、そうでなくともあれを目指すんだ!」
トリ子(これはあのタマネギが振ったら、絶対に死ぬやつだな;)


天草「」←まだ気絶中
キッド「天草がまだ倒れてるから、早く帰って来いよあの短足!!(怒」






一方、建設中のテーマパーク内部ではトリストラムが水晶玉でトリ子の様子を見ていた。


トリストラム「ほう。予想に反して馴染んできてるようですね。まあ、奴らのお人好しが幸運に働いた所以・・・では行きますか」
傲慢の騎士「ヘイヘーイ。あちきが今度こそあいつらを始末「待て」


傲慢の騎士が同僚である目元にクマができている気だるげな男性である嫉妬の騎士が話しかけて来た。


嫉妬の騎士「ここは我に任せろ。二度も失敗した奴にはこの案件を任せられん」
傲慢の騎士「あ゛ぁ?」
トリストラム「それならやってみなさい。何かいい考えがあるというなら」
嫉妬の騎士「ああ。考えがある」
傲慢の騎士(こいつ・・・あちきの同僚じゃなかったら、即座に殺してやったな・・・)


一方、その2週間後にメールでの返信を全て終えたトリスタンは手書きの手紙での返信をお詫びのお菓子付きで封をしていた。

新たな戦いの幕開けの予兆(その3) ( No.587 )
日時: 2025/11/14 20:46
名前: 桜 (ID: Wz/uC4rR)

トリスタン「これでよし・・・と。やりました!返信終了です・・・!」
リップ「おー!おめでとー!」
チャラ王「じゃあ、早速王ちゃんのところに会いに行けよ!この2週間の間はお前の様子をずっと気にしてたってキッドが教えてくれたんだぜ」
トリスタン「王ドラ殿が・・・!では早速会いに行きます!」
ルート「グッドラック」


トリスタンが王ドラのところに会いに行こうと走ろうとするが、リビングのテーブルの上に置かれていた手紙を見つけた!


トリスタン「えっ!?まだ返信が一通だけ忘れていたのが・・・!怒られる前に早く書かないと・・・!」


トリスタンが急いでその手紙を開くと、その内容には・・・


トリスタン(!?)


その手紙の内容はトリスタンがチェリーワールドに呼ばれた目的に近づくものであった。それを見た彼は急いで外に出た!


トリスタン「誰かいるのですか!?彼女の、居所を・・・!」


しかし、外を見渡すと誰もいなかった。それを見たトリスタンは自嘲気味に微笑う。


トリスタン「ふふ・・・(バカみたいですね。私の目的はそんな手紙に騙されるほどの軽いものではないというのに」


そんなトリスタンの肩に触れる感触がした!


トリスタン「!貴方が、彼女の居場所を」


しかし、後ろにいたのは嫉妬の騎士であった!


トリスタン「!!」
嫉妬の騎士「残念だったな。事情はよく知らんが、そんな手紙に騙されるとは」


その直後、外からの物音をリップが聞いた!


リップ「トリスタンちゃん?」


リップがドアを開けると、そこには置き手紙があった!


リップ「置き手紙?えっ!?」


その内容を見たリップはすぐさま家に戻って来た!


リップ「みんな!トリスタンちゃんが拐われたー!!」
チャラ王「えっ?何言ってんだよ;」
リップ「この置き手紙を見て!」






置き手紙の内容:拝啓、トリスタンのマスターとその御一行様。貴方達のトリスタンはこちらにより
「赤の洋館」へと連れ出させていただきましたので、どうかご理解を—————






その数十分後、リップ達は「赤の洋館」と呼ばれる場所の前に立っていた。リップ達はそこを知っていたので居場所を容易に把握できた。何しろそこは・・・


チャラ王「ここって、怪奇現象が起きるとかっていう場所で有名なところなんだよな?」
ルート「まさかまだ現存していたとは・・・;」
メルト「私は怖いとは思わないけど」


しかし、トリ子はその赤の洋館の雰囲気に薄気味の悪さを感じていた。何しろそこは・・・


トリ子「・・・」
おぼろ(モイモイ)「どうしたの?」
トリ子「いや、なんでもねーよ。早くトリを助けに行きましょう」


全員が赤の洋館に入ると、外観に似合わしいと言えるほど恐ろしい空間がそこにあった。


リップ「うわー;やっぱり怪奇現象が出そうな気がするよこれ・・・;」
チャラ王「早く行くぞ。俺だってこんなもん見たくない;」


リップ達が恐れながら歩くと、向こうの水道から水が出る音がした。


ルート「水か?」
メルト「でも、誰が出してるの?」


その水道に向かうと、その蛇口には・・・






赤いものが流れ続けていた・・・






大半の全員「ぎゃあああああー!!!」


思わず逃げ出すリップ達だが、逃げる最中にとある写真が目についた!


おぼろ(モイモイ)「!?写真!?」
トリ子「なんなのか見てみようぜ」


しかし、その写真には・・・






片方の顔だけ画鋲で無数に突き刺されたような跡と「死ね!!」という赤い文字が・・・


大半の全員「うわあああああ—————!!!」






思わず再度逃げ出すリップ達はその後も骸骨の戦士や幽霊騎士などが襲撃して来た!


リップ「なんでこんなのばっか出てくるのよー!!」
チャラ王「あっちの部屋に逃げ込むぞ!!あそこはドアが開いてる!」


その部屋にリップ達は逃げ込んだ後にドアを閉めた!


ルート「怪奇現象ばかり起きているではないか・・・;」
トリ子「私は結構好きなやつなんだけど「あっ、リップ!みなさんも来てくれたのですね・・・!」
リップ「トリスタンちゃん!?」


リップ達はようやくトリスタンを見つけるが、そこには両腕が手錠で繋がれていた彼の姿があった!


ルート「よかった、見つかって。と、言いたいところなんだが・・・」
チャラ王「なんでその姿でさえもイケメンさが滲み出るんだよ;」
トリスタン「仕方ないでしょう。絶世の美男子は、手錠に繋がれた姿さえもそう見えるかと・・・」
チャラ王「なんで度々ムカつくと思えるんだこの騎士は(^ω^#)」
リップ「ちー君;待ってて、今解放してあげるから・・・」


しかし、トリ子がそれを制止した!


トリ子「待て。今触ったら火傷するぜ」


トリ子がティッシュを手錠に触れると、そのティッシュが雷に浴びせられて塵と化した!


メルト「雷!?」
おぼろ(モイモイ)「なるほど。その手錠に触れたら雷を浴びせられる仕組みだったのね」
トリ子「そういうことだ。だけど、私の竪琴で飛ばしたら、手錠なんか一撃で爆散だぜ?」
トリスタン「本当ですか?なら、さっさと」


しかし、ドアをガチャリと開けるような音がした!


嫉妬の騎士「おい。捕虜が暴れてるのでは」


しかし、リップ達の姿を見た瞬間に嫉妬の騎士は一瞬だけ固まったが、すぐに平静さを取り戻す!


嫉妬の騎士「残金だったな、お前達。あの怪奇現象はお前達を誘き寄せるための罠だ!」
大半の全員「いや明らかに予想外だった感じがしたんだけど!!?」


それはさておき、嫉妬の騎士は軽くお辞儀をしながら自己紹介をする。


嫉妬の騎士「今は名前を明かせぬが、嫉妬の騎士と呼ぶがいい。血濡れた赤の洋館にようこそ、トリスタンのマスターとその仲間達よ」
チャラ王「嫉妬の騎士!?ということはあの傲慢の騎士と名乗る女と同類か!」
嫉妬の騎士「あの女を存じているのだな?確かにあれの同僚なのは変わらないが、同類ではない。そこは間違えるなよ」


嫉妬の騎士が召喚魔法を使った後、異形の悪魔を召喚した!


ルート「召喚!?」
嫉妬の騎士「そうだ、我の能力は召喚術。サーヴァント召喚には流石に体力を使うが、大抵のものは呼び寄せることができるのだよ」


嫉妬の騎士が召喚した異形の悪魔と戦う中、これを窓の外から見ていたトリストラムはクスリと笑っていた。


トリストラム「あれは予想外でしたが、それでも計画的には上手くいったのですね・・・」


すると、トリストラムの隣にいたどくりんごが彼に訊ねる。


どくりんご「嫉妬の騎士に助力はしなくて大丈夫なのですか?」
トリストラム「ええ、大丈夫だと思いますよ。彼は途中で大ポカをやらかすとはいえ、それさえも成功に導く器がありますから」
どくりんご「でも、万一に負けそうなことだってありますよ?そんなことになったら、あのお方だって」


その直後、トリストラムがどくりんごの頭をがっと掴んで来た!


トリストラム「あのお方を盾に出すとは、気に入りませんねぇ」
どくりんご「ち、違いますからね?決してそんなつもりでは」
トリストラム「まあいいでしょう。見捨てられたら生きていけませんしね」
どくりんご(ほっ;)


トリストラムは魔呪符を使って、異形の悪魔に力を強化させた!


トリストラム「魔呪符」


それを感じ取った異形の悪魔はますます凶暴化させた!


おぼろ(モイモイ)「さらに暴れて来たー!!」
嫉妬の騎士「これは・・・(どういうつもりかは知らんが・・・仕方ない。これを利用させてもらう!」


異形の悪魔が凶暴化した上でリップ達に攻撃し始めた!


トリ子「オマエ・・・!このことにも予想外に見えそうだったのに、なんで余裕綽々にいられるんだ!」
嫉妬の騎士「人間を嫌っている妖精が言える台詞ではないな」






嫉妬の騎士「我は貴様と違って、演技ではないからだ!」
トリ子「!!」






「あははは!みんな泣き叫んじゃって、おかしくなっちゃう!そのままそこで倒れて死ねよ!」


嫉妬の騎士の言葉に揺さぶられたトリ子は思わず自分の生前の出来事を思い出しかけるが、気付いたリップが彼女に声をかけた!


リップ「トリ子ちゃん!大丈夫!?」
トリ子「!いや・・・心配ねーよ」


その様子を見た嫉妬の騎士は少し苛立ちを覚えつつ、それを見せぬように冷静を保った状態で話す。


嫉妬の騎士「やはり、そのマスターに誑かされたか。どんな魔術を使ったのかは知らぬが、その肌色が多い風体ならばすぐに心を操ることなどできるだろうよ!」
チャラ王「はぁっ!?」
リップ「心を操るような魔術なんか使ってない!トリ子ちゃんが自分の意思で選んだし、アタシもトリ子ちゃんを助けたいからよ!ただそれだけ!」
嫉妬の騎士「ほう?だが、この妖精にはとんでもない厄ネタが」


しかし、後ろからパリンという音がした!嫉妬の騎士が振り向くと、そこには・・・


トリスタン「リップは魅了の魔術など使えないし、使えるとしても使うわけがない。私やメルトリリスがその例です」
嫉妬の騎士「貴様!なぜ・・・!」


嫉妬の騎士が前を向き直すと、トリ子が竪琴を持っていた!


トリ子「オマエがリップ達と口論になってる隙に手錠を壊してやったぜ?やっぱり遠方攻撃だと解放することができるみたいだな?」
嫉妬の騎士「貴様・・・!」


一方、それを見たトリストラムは思わず感心しながら次のではないかと考えていた。


トリストラム「おお、意外と機転が効くようで。では次なる一手を」


しかし、トリストラムは後ろからの気配を感じ取った後に嫉妬の騎士にテレパシーを送り込んだ!


トリストラム(嫉妬の騎士。撤退しなさい)
嫉妬の騎士「!?これは・・・!?」
トリストラム(いいから。今は撤退しなさい)
嫉妬の騎士「・・・」


トリストラムのテレパシーによる命を受け取った嫉妬の騎士はすぐさま転移の魔術礼装を使って立ち去った!


ルート「逃げた!?」
メルト「何かに臆したのかしら?」


一方のトリストラムもどくりんごに声をかけた。


トリストラム「私達も戻りましょう」
どくりんご「え?どういう意味ですか?」
トリストラム「このままでは見つかるからですよ」


トリストラムとどくりんごが嫉妬の騎士と同じ魔術礼装を使って立ち去った後、トリスタンが感じ取った気配の主———王ドラが静かに舌打ちをしながら呟く。


王ドラ「逃しましたね。やはり、あの仮面の騎士は、私を厄介案件だと思っているようですが・・・まあ、私としてはありがたいことです。そう思った方が倒す価値はあるのだから」


王ドラが素早く立ち去った後、トリスタンは異形の悪魔を前にしながらハープを奏でた!


トリスタン「この厄介な魔物を残して行きましたね。では倒すのは簡単です。首を刎ねとけば良いのでしょう・・・」
リップ(トリスタンちゃん・・・?)
トリスタン「もし首だけまだ動かすのであれば、それを滅多刺しにして「トリスタンちゃん!!」


トリスタンはリップの自分に対しての叫びにより我に返った!


トリスタン「リップ?」
リップ「トリスタンちゃんはアタシ達と出会ってから、色んな敵と戦って来た。だけど、首を刎ねようとするなんて一度もなかった。トリスタンちゃんはそんなことしなくても、すごい騎士だと知ってる。だから、何があっても決して自分を見失わないで」



リップに諭されたトリスタンは再び異形の悪魔の方に向き直した。


トリスタン「正直我を失いそうになりましたが・・・私は私の親愛なる人物達のために、この糸を使う」


トリスタンは宝具を展開させながら静かに呟く。


トリスタン「そしてそれは貴様らが知る必要はない」


トリスタンはハープを引きながら、そして・・・






トリスタン「痛哭の幻奏(フェイルノート)!」






トリスタンの宝具を受けた異形の悪魔は倒れ込んだ・・・!


ルート「倒したか・・・!」
メルト「できれば、私がこの脚で嬲(なぶ)り殺したかったのに・・・(むすーっ」


異形の悪魔を倒したトリスタンに駆け寄ったリップは彼に訊ねる。


リップ「ところでトリスタンちゃん。どうして嫉妬の騎士とかいう人に拐われたの?」
トリスタン「それは、あの・・・」


それを見たチャラ王はバッサリと切るように言った!


チャラ王「拐われた理由なんて本人から言えることがあるなんてあると思うのか?ただトリスタンがそれに心揺さぶられただけだ。まあイゾルデ関係かは知らんがな!」
リップ「・・・そう」
トリスタン(ちー殿・・・)


リップはトリスタンの方に向き直しながら言う。


リップ「トリスタンちゃん。今日はもう遅いし、お家に帰ろう。それであたたかいご飯を食べようか。ちなみに今日の夕飯はママが作ってくれたビーフシチューだよ!」
トリスタン「クス。そうですか」


リップ達が部屋を出た後、辛うじて生きていた異形の悪魔は這いずりながら、リップ達を追いかけようとするが・・・


バシュッ


異形の悪魔の背中に貫くような音がした!その貫いた杖を持つのは気配を消しながら密かに行動していた葉樹・・・!


葉樹「悪いが、この杖による〝吸収〟の生贄になってもらうよ。できれば、そのまま倒れて欲しかったけど、辛うじて生きているなら、これしかないよね?死ね」


葉樹の杖に吸収されたことにより異形の悪魔は消滅した・・・。


葉樹「僕が面白いと思う奴らを・・・いじめようとしてくれたからだよ」

新たな戦いの幕開けの予兆(その4) ( No.588 )
日時: 2025/11/14 20:48
名前: 桜 (ID: Wz/uC4rR)

その翌日、トリスタンは街中でキョロキョロと周りを見渡すと、駅前のベンチに座りながら待つ王ドラを見かけた。


トリスタン「!王ドラ殿!」
王ドラ「おや。来ましたか」
トリスタン「はい。せっかくの映画ですので。しかもカップルの」
王ドラ「あれはペアチケットですからね」
トリスタン「ペアチケットはカップルチケットでもあるのですよ」
王ドラ「ペアチケットを都合よく解釈しないで下さい」


こんなやりとりを行いつつも、王ドラはトリスタンに手を伸ばした。


王ドラ「では行きましょうか。行かないと、時間に遅れますし」
トリスタン「!はい」


トリスタンと王ドラが映画館に入って行くのをこっそり見ていたリップとチャラ王は茂みから出て来た。


リップ「なんだかんだで絆されてきちゃってるよね」
チャラ王「ああ。しかし、トリスタンの見たい映画が」






チャラ王「某外国ホラーシリーズ映画の最終章って、王ドラちゃんが怖がりそうだか「それは言わないであげて;」






この数時間後、何やら青ざめた顔をした王ドラと何やらキラキラしているトリスタンが映画館から出てきたことは言うまでもない。


END






「後書き」
第五部の本格的な戦いということでほんのりと雰囲気をいくつか残しつつ、それらしい展開に。ここから少しずつシリアスも混じって行きます。
当初は第五部の内容がまだふんわりと浮かんでいなかったのですが、完全に構想を練れた結果長くなりそうなので引き続き見守っていただけたらなーと思っています!






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