二次創作小説(紙ほか)

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.1 )
日時: 2023/11/05 23:12
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: TPmYcxrv)

第一章「狼ゲーム」
『すべての始まり』
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『ガンガンガン!』

母親「お願いします!開けてください!!」

ある日のこと...電車の中で、2人の子どもを連れた母親らしき人物の車両間のドアを叩く音と、悲痛な叫びがこだました。

???「......。」

母親「どうして開けてくれないんですか...!お願いします!お願いします!!せめて、この子達だけでも...。」

ドアを押さえつけている人物は、そんな母親の叫びを無視し、ドアを押さえ続けた。

男の子「お母さん...怖い...。」

母親の子どもと思われる男の子と女の子は、すっかり怯えきった表情で母親に抱きついている。
と、その時...。

女の子「お、お母さん...後ろ...!あ、あいつが近づいてくる!!」

母親「見ちゃダメ!」

3人の背後には、ナイフを持った虚げな表情の青年が距離を詰めていた。
恐らく、3人はその青年に運悪く目をつけられてしまったのだろう。

『コツ...コツ...コツ...』

その青年の歩く音が、3人のすぐそばまで迫っていた。
そして、青年は男の子と女の子の母親に近づくと、こう言い放った。

謎の男「ねぇ、お母さん...こっちを見てよ...。僕、お母さんのために一生懸命頑張ったんだよ?なのに、どうして逃げるの?」

なんと、その青年も母親に対してお母さんと呼称した。

男の子「お母さん...!」

母親「大丈夫、大丈夫よ...お母さんが必ず守るから...。」

我慢できずに泣き出した男の子と女の子を、母親は優しく抱擁して頭を撫でる。
すると、それを見た青年は...。

謎の男「ねぇ、どうしてこっちを見てくれないんだよ!お母さんは...僕のことが嫌いになったの...?」

青年まで目を潤わせ、震えながらそう言った。

母親「や、やめて...。ど、どうか助けてください...。この子達だけは...。」

母親は男の子と女の子を庇うように抱擁し、青年にそう懇願するも...。

謎の男「お母さん...?何を言ってるの...?お母さんの子どもは僕だけでしょ?」

母親「え...?」

まるで訳のわからない青年の言葉に、母親は思わずそう言った。

謎の男「ほら、僕だよ...。」

ユウヤ「ユウヤだよ...。」

母親「ど、どういうことですか?私はあなたの母親じゃ...。お願いだから...ち、近づかないで...!」

ユウヤと名乗った青年に対し、母親はそう否定し、離れるよう言った。
しかし、その言葉がトドメとなったのか...。

ユウヤ「そんな...。ねぇ?どうして僕だけをそんなに怒るの?ねぇ?どうしていつも僕を殴るの?」

ユウヤはそう言いながら、目から涙を流し始めた。

ユウヤ「昔はあんなに優しかったのに...!ねぇ!あの頃のお母さんに戻ってよ!また前みたいに優しくしてよ!また僕の頭を撫でてよ!」

ユウヤは血相を変え、母親に向かってそう叫んだ。

母親「い、イヤ...来ないで...!」

男の子・女の子「お、お母さん!」

母親「!!だ、大丈夫...お母さんがついてるから...。」

ユウヤ「なんで...僕を見てくれないんだ...。なんで...なんでなんでなんでなんで...なんで!!!僕の目を見ろよ!僕だって生きてるんだぞ!!」

男の子「お、お母さん!危ない!!!」

とうとう限界を迎えたユウヤは、ナイフを持っている手を思い切り握りしめ...。

『グサッ...!!』

母親の心臓目掛けてナイフを思いっきり刺した...!!

母親「グフッ...。」

ユウヤ「うわぁああああああ!!うわぁぁ!!うわあああ!!」

『グサッ!グサッ!グサッ!』

そして、ユウヤは続け様に何度も、何度も母親を滅多刺しにした...。

ユウヤ「はぁ...はぁ...はぁ...。あれ...?この手の血は...。」

男の子・女の子「うっ...うっ...うっ...。」

母親「......。」

息をしなくなってしまった母親に、残されてしまった子ども2人は亡骸に縋り付いて泣き始めた...。

ユウヤ「お...かあさん...?」

我に帰ったユウヤは、自分が巻き起こした目の前の惨劇を目の当たりにした。

ユウヤ「ねぇ...お母さん...ねぇってば...。」

母親「......。」

ユウヤ「どうして何も言わないの?また?また僕を一人にするの?お母さん!!」

ユウヤはそう呼びかけるも、この世を去った母親は当然応えない。
何も言わない母親に対して、ユウヤは再び涙を流してそう叫ぶ。

ユウヤ「......。...お母さん...。...そうか。寝ちゃったんだね...。ごめんね?痛かったよね?」

ユウヤは母親の状態に気づき、母親の頭を撫でた。

ユウヤ「でも...僕は今すごくあたたかいよ。お母さんに包まれている感じがする...。お母さんってこんなに温かいんだね...。僕、こんなに幸せなのは初めてだよ...。」

『ガガッ』

ユウヤ「!?あれは...羊?ドアの向こうに羊がいる...なんでこんなところに羊が?」

ユウヤが物音がした方に目を向けると、さっきまで塞がれていたドアの向こうに羊が7匹ほど現場を見つめていた。

ユウヤ「まぁ、もういいや...。僕は今とっても満足だ...。今●ねたら...僕は...。」

『ガタガタ...』
『ザッ...ザッ...ザッ...』

ユウヤ「僕が生まれた意味...それがやっとわかった気がする...。僕は、誰かに愛されたかったんだ...。」

ユウヤはそう言うと、電車の車窓から反対方向の線路に飛び降りた。

ユウヤ「それが僕のずっと求めていたもの。僕は今...幸せだ...。」

彼がそう言うと、彼の立っている線路を走る電車が彼に迫り...。

『フワァーーーン!』
『グシャッ...!!』

...続く。
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...ハイ、最初っからフルスロットルに残酷描写が多くてすみません。
でも、狼ゲームは本当にこういう始まり方なんです。嘘だと思う方は自分の目で確かめてみてください。
次回からはいよいよこの物語の醍醐味、狼ゲームが始まります。
では、今回はここまでです。
次回もお楽しみに。