二次創作小説(紙ほか)

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.10 )
日時: 2023/11/19 15:33
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: tnkG6/9W)

第二章「険悪な空気」
『終わらないゲーム』
____________________

前回のあらすじ。
タケオを●害した狼がヒロシだった事を見事当てた生存者たち。
狼であるヒロシが処刑されたため、生存者たちは脱出の扉を開くことに成功し、無事脱出することができた...。
...と、思いきや。

ユキナリ「!?こ、ここは...。」

そこには建物の外の景色ではなく、病院の待合室のような部屋が広がっていた。

リツ「そ、外じゃねぇ...。」

カレン「おいメリー、ウルフ...話が違うぞ...。」

ヒロム「俺たちは狼を処刑したんだぞ、脱出できるんじゃないのか...?」

話が違うことに腹を立てた生存者たちはメリーとウルフを睨みつけた。

メリー「い、一回目では外に出ることはできません!」

ミサキ「はぁ?卑怯やん!狼を処刑したら出られるって言ってたのに!」

メリー「ひ、卑怯ではありませんよ!私は脱出の扉が開くと言っただけで...。一回で出られるとは言ってません!」

タツヤ「ふざけんな!そんなの言い訳だろ!!」

コタロウ「まあ、こういう展開で一回ばかで出られるとは思ってなかったっすがね...。」

文句をぶつぶつ言う生存者たちをスルーし、ウルフは次なる狼を決めようとした。

ウルフ「それでは、次の狼を決めるぞ...。」

ダイゴ「ち、ちょっと待てよ。」

ウルフ「なんだ...?」

ダイゴ「一回目からいろいろありすぎて疲れちまったからよ、少し休ませてくんねぇか?」

ウルフ「...ふん、仕方ねぇな...。じゃ、ニ時間だけな...。」

ダイゴからの要請を受け、メリーとウルフは二時間の休息時間を設けた。

ユキナリ「(確かに...。少し疲れたな...提案してくれたダイゴさんに感謝しなきゃ...。)」

そして、生存者たちは各々休憩をし始めた。

ジュン「お前ら、腹は減ってないか?」

スミレ「ええ、もうぺこぺこです...。」

タクヤ「そういや、このゲームが始まってから何も食ってなかったっけな...。」

チエ「私もお腹が空きました...。」

腹の虫の具合を確認するジュンに、三人はそう答えた。

ジュン「よし、今から飯を作ってくる。二時間もあれば飯の時間も取れるだろうからな。」

ミサキ「あ、うちも手伝うで。」

タクヤ「俺も手伝うぜ。」

ジュン「おお、ありがとな。料理は人手が多い方が効率もいい。頼むぞ。」

ジュン、ミサキ、タクヤの三人はリビングを後にし、キッチンへと向かった。

コウ「あの三人...こんな状況でよく食事を作ろうと思えるな...。」

ユキナリ「で、ですね...。」

ダイゴ「こんな状況だからこそだ。飯食えば気分も落ち着くだろ。」

コウとユキナリがそうぼやく中、ダイゴは前向きな発言をした。

それから十数分後、いい匂いと共にリビングに大きな鍋が二つほど運ばれてきた。

ジュン「待たせたな。飯ができたぞ。」

サトル「ふむ...いい匂いだな...。」

ミサキ「左の鍋はカレー、右の鍋はシチューやで♪」

オサム「ほう、食べたい方を選べるのはいいですねぇ。」

ダイゴ「よーし!俺はカレーにするぜ!」

ミホ「私はシチューにしようかしら。」

リビングにいる皆が和気藹々とする中、一部輪に入れていない者が数名。

メイ「...みんな、楽しそう...。」

トワ「こんな状況で和気藹々とできるなんて、どうかしてるって...。」

ユウヒ「僕たちは日陰者ですもんね...。」

トワ「おい、"僕たち"はやめてくれよ"たち"は!」

ユウヒ「す、すみません...。」

リンタロウ「あれ〜?三人ともそんなところで何やってるの〜?」

三人「!!」

三人は隅に縮こまってヒソヒソと話す中、リンタロウに突然話しかけられビクッと反応した。

マキ「あなた達もこっちへいらっしゃい♪」

シンイチ「一ノ瀬たちが作った料理は絶品だぞ。君たちも食べたらどうだ?」

ユウヒ「え、遠慮します...。」

トワ「お、俺も...。」

メイ「私も...。」

三人はマキとシンイチにも誘われるが、首を横に振って拒否した。

ジュン「遠慮はいらんぞ。こっちへ来るといい。」

ヒロム「呑気なもんだな、お前らは...。」

ジュンも輪に入るよう促すが、そこへヒロムが割って入った。

ヒロム「こんな状況でよく和気藹々とできるな...ある意味羨ましい。」

タクヤ「おい...その言い方はなんだ!!」

ヒロムの態度を見かねたタクヤが彼に食ってかかった。

ヒロム「ふん、俺はお前らとは仲良くなどできん...。素性もわからん初対面の連中とは特にな...。」

タクヤ「て、てめぇ!いい加減に...!!」

ユキナリ「ち、ちょっとヤバい雰囲気になってきた...!」

言い争いが激しくなる中、ネムが二人の手を取った。

ヒロム「!?」

タクヤ「!?」

ネム「二人とも、喧嘩はダメだよ〜。仲良くしなきゃ〜♪」

ミサキ「せ、せやで...!」

タクヤ「...そ、そうだな...。」

タクヤは落ち着いたが、ヒロムだけはネムの手を払いのけた。

ヒロム「さっきも言ったはずだぞ...お前らと仲良くなんてできん...。それにお前、その態度はやめろ。舐めてるとしか思えん...。」

ネム「え〜?その態度って、なんのこと〜?」

ヒロム「その態度をやめろと言ってるだろ...!!!」

とうとう激怒したヒロムはネムを突き飛ばした。
ネムはその衝撃で床に倒れてしまった。

ネム「ふぎゃっ。」

リンタロウ「わっ!?」

チエ「ヒェッ...!」

ジュン「お、おい!やりすぎだ!謝れ!」

ヒロム「ふん...。」

ジュンも彼の態度に憤慨するが、ヒロムは不貞腐れてその場を足早に去っていった。

ミホ「ネム君、大丈夫...?」

ネム「へーきだよ〜。でも、なんで僕ヒロム君に怒られたの〜?」

オサム「ま、まだ理解できてないのですね...。」

シンイチ「全く...あの態度はなんだ...。」

コウ「流石にあれは人として最低だな...。」

リツ「(コウが言える立場なのか...?)」

ヒロムの傲慢にも程がある態度のせいで、場の空気は最悪になっていった。

ユキナリ「(ど、どうしよう...空気が重すぎる...。)」

ユウヒ「ご、ごめんなさい...!僕たちがお誘いを拒否なんてしたから...!」

ダイゴ「いや、お前達は気にするな。今のは確実にヒロムが悪い。」

トワ「ふえぇ〜...。」

メイ「うぅ...。」

泣いている三人の頭をダイゴは優しく撫でて慰めた。

と、その時だった...。

「キャーーーーーーッ!!」

一同「!?」

突然、建物内で悲鳴が響き渡った...。

ユキナリ「ひ、悲鳴...!?」

コウ「バカな...。まだ次の狼は決まってないはずだぞ...!」

シンイチ「とりあえず行くぞ!」

悲鳴が聞こえたのはキッチンだった。
悲鳴を聞きつけた生存者たちが現場に駆けつけると、衝撃的な惨状を目撃した。

カズサ「こ、コタロウさんが...!」

カズサが青ざめた顔と潤んだ眼をしながら、血を流して倒れているコタロウを指差した。

シンイチ「い、泉...!?大丈夫か!?返事をしろ!!」

ユウト「ね、ねえ...次の狼ってまだ決まってないよね...?」

アオリ「そのはずなんだけど...。」

休憩中にも関わらず、犠牲者が出てしまった。
しかし二回目の狼決めはまだ行われていない。と、なると...。

サトル「これは...自●...だね...。」

ショウマ「ま、マジか...。」

トワ「でも、休憩の前までは平然としてたのに...。」

サトル「わからないものだよ...人の心境は変わりやすいからね...彼は精神が参ってしまったんだろう...。」

マキ「...コタロウさん...耐えられなかったのね...。」

オサム「まさか...こんな形で犠牲者が出るなんて...。」

メリー「な、なんだか大変なことになってしまいましたね...!」

ユキナリ「うわっ...!?」

自●者が出てしまったことに生存者たちは戦慄するが、そこへメリーとウルフが突然現れた。

ジュン「おい...、この場合はどうなるんだ...?」

ウルフ「自●者はそのままゲームから脱落だ...。さて、休息の時間は終わりだ...。次の狼を決めるぞ...。」

カレン「待てぇっ!無慈悲すぎるだろ!後こんな状況で次の狼決めるなんてできるかぁっ!!!」

カレンは声を荒げてウルフの血も涙もない発言にツッコんだ。

メリー「す、すみません...でも、それが狼ゲームのルールなので...!」

チエ「というか、まだ狼ゲームをやるんですか...?」

メリー「もちろん!脱出できるまで終わりませんよ!」

リツ「そう言って、最後まで誰も出られなかったってオチじゃないだろーなー?」

メリー「そんなことはありません!ちゃんと外に出ることができますよ。このゲームの真相を理解した人だけですけど...。」

シンイチ「...?真相...?どういう意味かな?」

メリー「あっ!?それは、その...ごめんなさい!それでは!」

答えられなかったメリーはそそくさと姿を消した。
しかし、「このゲームの真相を理解した者だけが脱出できる」...その言葉だけが生存者たちの疑問に残った。

ヒロム「もういい、とっとと決めるぞ...。さっさとこの場から離れたいんだが...。」

タクヤ「本当にこいつは...。」

ウルフ「では、お望み通り早く次の狼を決めるぞ。」

ダイゴ「待てよ、ゲームの真相ってなんだよ?」

ウルフ「それは...。お前たちはすでに知っている。」

ネム「むぅ?どーゆー意味なの〜?」

ウルフ「それは...自分たちで気づけ。そうでなければ意味がない。」

ユキナリ「(このゲームの真相を俺たちはすでに知っている...?どういう意味なんだ...?)」

メリーが言っていたこのゲームの真相は「参加者は皆すでに知っており、それに自分たちで気づく」とのことだが、どういうことなのだろうか...?

ウルフ「それではカードを配る。」

二回目ともなれば生存者は皆、自分が狼になるかもしれないという恐怖と躊躇いに襲われつつあった。
そして、ユキナリが引いたカードは...。

ユキナリ「(ほっ...次も羊だ...。)」

運良く羊を引くことができた。
しかし裏を返せば、他の狼かもしれない人に狙われる可能性が出てきた...そんな恐怖もユキナリにまとわりつく。

ウルフ「自分のカードは確認できたか...?では、次も生き残れるように頑張れよ...。」

ウルフもそう言い残すと、姿を消した。

それから数分後...。
ユキナリは大部屋のベッドで仮眠を取っている時、夢を見ていた。
____________________

ユキナリ(小学生の頃)『また転校するの...?もう、僕友達とお別れするの嫌だよ!』

ユキナリの母親『パパのお仕事だからしょうがないでしょう?』

ユキナリ『そ、そんな...。』



先生『それでは、転校生を紹介します。』

ユキナリ『ど、どうも初めまして...霜月...ユキナリです...。よろしくお願いします...。』

先生『みなさん。仲良くしてくださいね。』

クラスメート『はーい。』

先生『それでは一時間目は理科室に移動してくださいね。』

ユキナリ『(理科室ってどこだろう...?)』

トモヤ『ねえねえ!僕が案内してあげるよ!』

ユキナリ『え...?』

トモヤ「僕、トモヤって言うんだ。』

ユキナリ『よ、よろしく...。』

トモヤ『あ、あの...よかったら...。僕と友達に...ならない...?』

ユキナリ『え...?お、俺と...?』

トモヤ『うん...。』

ユキナリ『ど、どうして...?』

トモヤ『え、えっと...。」

ユキナリ『べ、別に友達になってもいいけど...。』

トモヤ『え...。ホント...?やった...♪』

ユキナリ『これからよろしくね...えっと、藍沢君...。」

トモヤ『トモヤでいいよ...。』

ユキナリ『じゃあトモヤ君...。」


トモヤ『ぼ、僕も君のこと下の名前で呼んでもいいかな...?』

ユキナリ『もちろんだよ...。』

トモヤ『えへへ♪ありがとう、ユキナリ君!ほら、一緒に行こう!授業に遅れちゃう...!』

ユキナリ『う、うん...!』
____________________

ユキナリ「はっ...!」

と、ここでユキナリは夢から覚めた。

ユキナリ「ゆ、夢か...でも、どこか懐かしかったな...。」

夢の中で見た夢、それは父親の仕事の都合で転校を繰り返し、せっかく友達ができても転校のたびに会えなくなること...。
そして、新しい転校先で『藍沢トモヤ』という新しい友達ができたこと...。
どことなく、普通の夢にも思える。

ユキナリ「でも、なんで急に小学生だった時の夢なんか...。」

と、その時だった...。

「キャーーーーーッ!!」

ユキナリ「!?」

またも、建物内に悲鳴が響き渡った。
恐らく今回狼になった者が動き出したのだろう。

ユキナリ「も、もう狼が誰かを...!!」

ユキナリは悲鳴が聞こえた部屋へと駆けていくのだった...。

...続く。