二次創作小説(紙ほか)
- Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.11 )
- 日時: 2023/11/25 22:27
- 名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: YrPoXloI)
『血みどろの水』
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今度は植物室の方から悲鳴が聞こえてきた。
悲鳴を聞きつけたユキナリは植物室に急いで駆けつけた。
ユキナリ「今度は誰が...!?」
ミサキ「あ、あれ...!!」
ミサキが指を指した先に、手足を拘束されて水槽に沈められ、ピラニアの餌になってしまっているスミレの無惨な姿が...。
ユキナリ「す、スミレさん...!!」
シンイチ「これはもう、流石に火を見るより明らかだな...。」
新たな犠牲者が出たことに戦慄する生存者たち。
すると...。
ジュン「おい!こっちにヒロムが!!」
タクヤ「えっ...!も、もう一人...!?」
ジュンが側にあった大きめの花壇の中に、ヒロムが血を流して倒れているのを発見した。
ショウマ「おいおい...今度は二人同時にかよ...。」
メイ「次の狼...とっても残酷...。」
一度に二人もの犠牲者を発見してしまい、ますます心臓の鼓動が大きくなっていく生存者たち。
と、その時...。
ヒロム「ぐっ...うぅ...。」
ユウヒ「うわぁぁぁぁっ!?」
花壇からヒロムが突然むくりと起き上がった。
リツ「い、生き返った...!?」
ヒロム「い、いてて...な、なにがあったんだ...?」
ヒロムが辺りを見回すと、水槽の中のスミレの遺体に気付き、大急ぎで駆け寄った。
ヒロム「なっ...!す、スミレさん...!...くそっ、ダメだったか...。」
オサム「いや、どうやら気絶していたようですね...。」
カレン「おいヒロム...なにがあったのか知っているか...?」
ヒロム「あぁ、実はさっき...。この部屋の前を通ろうとしたら、何かが水に沈む音がしてな、中を確認したら...スミレさんがこの水槽に沈められていて、助けようとしたんだが...誰かに後頭部を何かで殴られて、そこからは意識が途絶えたんだ...。」
アオリ「なるほど...ヒロム君は狼に襲われたってわけね...。」
ネム「ってヒロム君、血がベッタリだよ〜。」
ヒロム「ほ、本当だ...なんで血が...?」
皆がヒロムをよく見ると、服に血が大量に付着していた。
サトル「だ、大丈夫かい...?」
ヒロム「あぁ。どうやら後頭部の痛み以外の外傷はないらしい...。いてて...。」
シンイチ「......。」
すると、シンイチはヒロムを睨みつけた。
ヒロム「な、なんだ...?」
シンイチ「怪しいな...本当は自作自演なのではないかな...?」
ヒロム「な、何を言うんだ...そんなわけないだろ...!!」
スミレを●害した疑いをかけられ、ヒロムは慌てて否定した。
シンイチ「なぜそう言い切れる?君は狼を見てはいないのだろう?」
ヒロム「み、見てはいないが...。」
リツ「怪しさしかねーじゃん!まさかお前が今回の狼か?」
ヒロム「ふざけるな...!俺じゃない...!なぜ信用しないんだ...!!」
ユウト「あんたはあの時、僕たちを不愉快にさせたじゃないか...。信用されないのも当然だね...。」
ヒロム「ぐっ...!!」
確かにヒロムはあの時リビングにいた他の生存者たちを不快にさせた。
でも、それだけで信用は落ちるものなのだろうか...?
ヒロム「...もういい...信用しないなら俺もそうさせてもらうぞ...!俺は一人で調査する、邪魔をするなよ...!!」
そう言ってヒロムは不機嫌そうに植物室を後にした。
リツ「おう、どーぞご勝手にー。」
タツヤ「俺たちはあいつが狼だと確定できる証拠を集めるとするか。」
皆がヒロムを狼だと断定する中、約三名は違う意思を示した。
メイ「ね、ねぇ...信じてあげようよ...。」
ダイゴ「そうだそうだ、あいつも態度に問題あるけど、不愉快にさせられたぐらいで決めつけることないだろ?」
カレン「信用はできんが、まだ決まったわけではないじゃないか...。」
そう言うメイとダイゴ、カレンに対しコウが反論した。
コウ「ふん...無理な願いだな...。信用問題は全てあいつのせいだ...。あんな奴を信用できるわけがないだろう?」
マキ「確かにあんな態度の人を信用しろって言われても...ねぇ...?」
メイ「そ、そんな...!ヒロム君が可哀想だよ...!」
メイが血相を変え、珍しく声を荒げてそう言った。
チエ「ごめんなさい、メイさん...。でも、とてもヒロム君を信じてあげることは...。」
メイ「......!ひ、酷いよ...!ユキナリ君は...!?」
ユキナリ「えっ...ご、ごめん...信じたいけど...今はみんなと同意見かな...。」
メイは涙を流しながらユキナリに目線を移すが、ユキナリも皆と同意見だった。
メイ「酷い...!!みんなのバカ...!!」
『ダッダッダッ...』
ダイゴ「お、おい!待てよ...!」
カレン「はぁ...めんどくさいことになったな...。」
メイは怒りに震えてそう吐き捨て、泣きながら植物室を走り去り、ダイゴとカレンはその後を追って行った。
チエ「め、メイさん...。」
ユキナリ「...ごめん、俺も...。」
タツヤ「ほっとけ...。今は証拠集めが先だ。」
ユキナリ「で、でも...。」
コウ「あんな奴は信用に値しない...。やめておけ...。」
ユキナリもメイを追いかけようとするが、タツヤとコウに肩を掴まれて止められた。
シンイチ「...だが、少し我々も言いすぎたかな...?」
ショウマ「そんなことねぇって。どうせ狼はあいつに決まってんだからな...。」
コウ「とにかく、まずはスミレさんの遺体を水槽から引き上げるか...。」
ジュン「俺がやる。」
そう言ってジュンは水槽に沈められたスミレの遺体を持ち上げようとするが...。
ジュン「...あ、やっべ。」
チエ「ど、どうかしました...?」
ジュン「そういえばピラニアがいるんだったな...これじゃ俺の手も餌になっちまう...。」
ユウヒ「あ、そういえば...。」
ピラニアが盛んになっている為、今手を水に突っ込んだらジュンの手まで食べられてしまいそうだった。
ミサキ「あ、だったらキッチンにあるお肉を使えばええんちゃう?」
アオリ「なるほど...。」
タクヤ「じゃあ、ちょっと探してくるぜ。」
ネム「僕も行く〜。」
そう言ってタクヤとネムはキッチンへと向かって行った。
ジュン「俺は戻ってくるまで別の部屋に証拠がないか探してくる。」
コウ「俺もそうするか。」
と、一部の参加者は植物室を後にした。
ユキナリ「(俺はここに残って探索しようかな...いや、その前にメイさん達の様子を見てくるか...。)」
ユキナリはそう心で呟くと、メイ達を探し始めた。
ヒロム「...あっちに行け...。」
メイ「大丈夫だよ...。私は、ヒロム君のこと信じてるから...。」
ヒロム「慰めなんかいらん...それに慰めを欲するほど俺は落ち込んじゃいない...。」
ユキナリ「(いた...。)」
大部屋にてメイがヒロムを慰める様子が繰り広げられていた。
ヒロム「なんで俺に干渉したがる...。お前には関係ないだろ...。」
メイ「関係はない...けど、ヒロム君傷ついてるみたいだから...ほっとけない...。」
ヒロム「...ほっといてくれ...。」
メイ「ほっとかない...大丈夫...私はヒロム君の味方だから...。」
ヒロム「......。」
ヒロムはメイのその言葉を聞くと、一瞬黙り込んだ。
ヒロム「...ふん...別に味方してくれなくてもいい...。」
メイ「そう...?でも味方しちゃうから...。」
ヒロム「勝手にしろ...。」
メイ「勝手にする...。」
ユキナリ「(あれ、ヒロムさん...なんだか表情が緩んだような...。)」
ユキナリはヒロムの心情に変化が起きたことを表情から僅かながら気づいていた。
ユキナリ「(あ、いけない...俺も証拠とかを集めないとな...。)」
そしてユキナリはスミレを●した狼を特定するために、証拠集めに動くのだった...。
...続く。