二次創作小説(紙ほか)

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.5 )
日時: 2023/11/12 15:59
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: GNo3f39m)

『恐怖のゲーム』
____________________

ウルフ「それでは...。今から、狼ゲームを始める。」

すると突然、目の前にカードが配られた。

ウルフ「さあ。カードを一枚選べ。」

メリー「みなさんの命を左右する大切なカードです...。」

ユキナリ「(命を左右する?あいつは一体何を言ってるんだ?)」

みんなは困惑しながらもカードを引いた。
ユキナリの引いたカードは...。

ユキナリ「(これは...羊...?)」

ユキナリの引いたカードの中央には、羊の顔があった。

ウルフ「今、お前たちに配ったカードには2種類ある。羊のカードと、狼のカードだ。突然だが、狼のカードを引いたモノは...。羊を1匹●せ。」

ウルフの口から、衝撃の言葉が発せられた...。

タクヤ「●せ...だと?」

カレン「...冗談、だよな...?」

メリー「いえ、冗談抜きです...。」

ウルフ「そして、狼が羊を●した12時間後に狼裁判を開く。そこではお前らに誰が狼なのかを推理してもらう。そして、誰か一人を選んで処刑しろ。無事、狼を処刑することができたら羊側の勝利。この建物から出るための脱出の扉が開く。」

シンイチ「ふむ、つまりは狼になった者は、生き残るためにバレないように羊を●す。羊側は、狼を見抜いて脱出の扉を開く...ということだな?」

ウルフ「その通り。オマエたちは、お互いの命をかけて脱出を目指すんだ。」

ウルフから大まかなルールが説明されたところで、メイが質問のために割って入った。

メイ「もし...狼が羊を●さなかったら...?」

ウルフ「その場合は命令違反として、狼は無条件に処刑される。」

ミホ「そ、そんな...。」

羊は狼に●される恐怖、狼は正体を突き止められて処刑される恐怖。
どちらにも救いなどほとんどないということに、参加者は全員絶句した。

ウルフ「これで全ての説明が終了だ。

そういうと、メリーとウルフはいなくなってしまった。

コタロウ「チッ...ふざけたゲームッスね...。」

ユウヒ「い、い、いやだ...!!●されたくない...!!帰りたいよ...!!」

ネム「まあまあ落ち着いて〜。」

ヒロム「お前...逆になんで落ち着いていられるんだ...!」

周りが絶望と恐怖に満ちた顔をしている中、ネム一人だけ変に落ち着いている。

ネム「だって狼を処刑すればいいんでしょ?だったら今狼を探せばいいじゃん〜。はい、狼の人〜?」

ユキナリ「え、えっと...。」

タケオ「......。」

リツ「......。」

スミレ「......。」

ヒロシ「......。」

ネム「...あれ〜?」

当然、周りは黙り込んでいた。

コウ「当たり前だ...。狼かどうかを聞かれて素直に答える奴がどこにいる...。」

オサム「もう、騙し合いは始まっているってことですね...。」

カズサ「そうみたいだね...。」

チエ「......。」

タツヤ「......。」

誰も信用できなくなりそうなこの沈黙を、ミサキが破った。

ミサキ「ちょ、ちょっとみんな...!こ、こんな暗い雰囲気じゃあかんて!とりあえず、みんなで現状を整理した方がええんちゃう?」

アスナ「そ、そうだよ...!」

ダイゴ「だな。状況がわからんことには何もわからんしな...まずはこの部屋から出よう。」

ユキナリ「う、うん...。」

そう言ってユキナリ達はその部屋を出た。
その先には、さらに奇妙な部屋が続いていた。

ジュン「な、なんだここは...。」

メイ「不気味...。ちょっと怖い...。」

タケオ「ちょ、ちょっとみんな...俺の話を聞いてくれないか?さっきも言ったが俺は警察だ。君たちの安全は俺が守るから安心してくれ。」

不気味さが漂う雰囲気で、タケオはそう言った。

タクヤ「ああ、そういえばそうだったな...。」

マキ「警察の人がいるなら、安心ね...。」

アオリ「確かにそうね...。」

ユウト「でも、あんたが狼の可能性だってあるよね...。」

ショウマ「こういう時に突然仕切り出すなんて、怪しいな...。」

タケオ「な、なんだと...!」

カレン「では、狼じゃないという証明はできるのか?」

タケオ「お前ら...いい加減に...。」

早速雰囲気が険悪になった中、メイが口論を止めた。

メイ「喧嘩は...ダメ...。」

ダイゴ「あぁ。喧嘩してちゃ主催者の思うツボだ...。」

タケオ「チッ...。」

カレン「ふん...。」

ミサキ「み、みんな仲良くしようや!みんなで力を合わせたら、きっと出られるはず...!」

ヒロム「断る。自分を●しにくるかもしれん奴が紛れてる連中とは、仲良くなんてできん。」

ヒロムはミサキの考えをそう言って否定した。

ミサキ「えっ...。」

リツ「そういうフラグ立てる奴って早めに●ぬよねー。」

ミサキ「ふ、フラグ!?と、とにかく仲良くしようや!」

シンイチ「仲良くしようと言われても難しい...ヒロムの言うことも一理あるしな...。」

スミレ「まさか、本当に●そうなんて思ってないでしょ...。」

リンタロウ「でも、狼も羊を●さなければ処刑されるんだよね?」

コウ「まあ、あのふざけた人形の言うことが本当ならな...。」

チエ「じゃあ...やっぱり狼は...。本当に誰かを●そうとしてくる...かも...。」

ユウヒ「い、いやだ...!!●にたくない...!!助けて...!!!」

ミホ「お、落ち着いて...!!」

ユウヒ「落ち着いてなんかいられませんよ...!!狼の人がいつ襲いにくるかもわからないのに...!!」

いつ誰が●されてもおかしくないこの状況、場の雰囲気はさらに悪くなっていった。

ダイゴ「こうしててもどうにもならねぇ。ちょいと建物の中を探索してみようぜ。」

リンタロウ「そうだね♪探索楽しそう♪」

マキ「それなら、単独で動くのは危険よ。それぞれグループになって、探索エリアも分担しましょ。」

コタロウ「その方がいいッスね...。」

ユキナリ達はそれぞれグループに分かれ、建物の内部を探索することにした。

Aグループ・リンタロウ、ネム、サトル、リツ、アスナ

Aグループはキッチンを調べていた。

ネム「わぁ〜、食べ物や飲み物がたくさんあるよ〜。」

アスナ「なんか、何日でもやると言わんばかりに多いね...。」

サトル「とにかく、飲食の心配はなさそうだね...。」

リンタロウ「生活するには困らないね♪」

リツ「こんなとこで生活したくねーし!どこかに出口ねーのかよ...!」

Bグループ・ミサキ、チエ、ダイゴ、ユウト、カズサ

Bグループは武器・道具部屋を調べていた。

ダイゴ「おいおい...これ、本物っぽいぞ...。」

チエ「こ、これで●せとでもいうのでしょうか...。」

ユウト「間違い無いだろうね...。」

カズサ「本当に、●されるかもしれないね...。」

ミサキ「と、とりあえずここは気をつけた方がええな...。」

Cグループ・タケオ、コウ、オサム、ミホ、ジュン

Cグループは図書室を調べていた。

オサム「おや、ここは図書室のようですね...♪」

ジュン「ほう、レシピ本もあるのか。」

ミホ「あら、六法全書まで...。」

タケオ「図書室だけあって、いろんな本があるな...。」

コウ「ふん...特にこれといって気になるところはなさそうだな...。」

Dグループ・タクヤ、マキ、ユウヒ、ヒロム、スミレ

Dグループは植物室を調べていた。

スミレ「あら、綺麗なバラですね♪」

ヒロム「こんな部屋まであるのか...。」

タクヤ「ん?大きな水槽もあるぞ。」

ユウヒ「こ、これ...確かピラニアですよね...?」

マキ「あら、本当ね...。」

ヒロム「本当に不気味すぎる...さっさと脱出したいな...。」

Eグループ・ショウマ、メイ、タツヤ、アオリ、ヒロシ

Eグループは病室を調べていた。

ヒロシ「あ、救急箱がありますよ。」

アオリ「狼の奇襲で負傷しても、なんとか処置はできそうね...。」

ヒロシ「負傷で済めばいいんですがね...。」

メイ「ベッド...ふかふか...。」

ショウマ「寝るのにも困らなそうだな...。」

タツヤ「寝てる間に襲われるかもしれんがな...。」

Fグループ・ユキナリ、カレン、トワ、コタロウ、シンイチ

残るFグループは、教室を調べていた。

ユキナリ「こ、ここは...教室...?」

カレン「なぜ、教室が...。」

トワ「な、なんか不気味だな...。」

シンイチ「ふむ、窓があるが...固定されていて開かないな...。」

コタロウ「なんか、出られる場所はなさそうッスね...。」

その後、ユキナリ達五人は調べ続けるが、脱出できそうな場所は見つからなかった。

ユキナリ「(...ん?何か黒板に書かれてある...。)」

『羊たちへ。君たちは、本当の自分に気づいているか?』

ユキナリ「ど、どういう意味なんだ...?犯人は、俺たちに何かを伝えようとしているのか...?」

カレン「な、なんだこれは...!?」

ユキナリ「な、何か見つけたんですか!?」

トワ「これ...俺たちの写真じゃね...!?」

カレンは、ゲーム参加者のプライベート写真を見つけた。

シンイチ「かなりプライベートなところを撮られているな...。」

コタロウ「こんなとこ、見られたくねぇッス...。」

ユキナリ「こ、これって...盗撮写真じゃないか...!!」

シンイチ「ともかく、これはみんなに報告した方がいいな...。」

そして、各々探索を終えたグループは再びリビングに集まった。

タケオ「さあ、みんな何を見つけたか報告してほしい。」

ダイゴ「少なくとも、脱出できそうなところは見当たらなかったぜ...。」

リツ「結構探したから、見落としはねーと思うけど...。」

ネム「キッチンの冷蔵庫には食料と飲み物があったよ〜。」

チエ「私たちが探した2階にも、特に出られそうな場所はありませんでしたが...。」

カズサ「●すときに使えとでも言わんばかりに、いろんな武器や毒が置かれている部屋もあったよ...。」

カレン「3階にも出られそうな場所はなかった...。だが、気になるものが見つかった...。」

カレンは教室にて見つけた、参加者のプライベート写真を見せた。

マキ「こ、これ...私たちの写真じゃない...!」

ヒロシ「僕たち、いつの間に盗撮されてたんですか...!?」

ダイゴ「...こりゃあいよいよ、犯人のイタズラでしたじゃ済まないレベルになってきたな...。」

シンイチ「ああ...どこにも出られる場所がなかったし、どうやら犯人は本気で私たちに●し合いをさせるようだな...。」

●し合いが本気だったと知ると、参加者は皆、顔を顰めて黙りこくった。

タケオ「とりあえず、一番危険なのは武器庫だな...。そこから武器が持ち出されないように、俺は武器庫を見張ろうと思う。」

ヒロム「怪しいな...そう言って武器を手に入れるつもりか...?」

タケオ「ち、違う!本当に俺は、みんなの安全を考えてるだけだ!」

ダイゴ「だったら俺も見張るのを手伝うぜ。多い方が狼も近寄れないだろうからな。」

カレン「私も手伝おう...。」

ユウヒ「じ、じゃあ僕も...!」

さっきまで怯えていたユウヒも、突然声を上げて立候補した。

ダイゴ「大丈夫か?怖いなら無理にやらなくてもいいぞ。」

ユウヒ「いえ、大丈夫です...。強そうな人たちと一緒にいれば安全かもって...。」

カレン「そっちか...まあ、単独行動よりは安全かもな。」

コウ「俺は単独で行動させてもらうぞ。」

ミサキ「そ、そんな!みんなでいた方が安全やん!」

コウ「信用できない奴と一緒にいる方が危険だ。自分の身は自分で守る。」

そういうとコウは一人、リビングを出て別の部屋に向かった。

ジュン「俺もあいつと同じだ。狼かもしれん奴らと一緒にいられん。」

ヒロム「俺もだ...。」

カズサ「ごめん、私も...。」

ユウト「僕も別の部屋でゲームしてくるよ...。」

そして単独行動派の者は皆、コウに続いてリビングを後にした。

ヒロシ「...結構、ドライですね...。」

それから数時間後...。
ユキナリ達は施設内をくまなく探したが、脱出できそうなところは見つからなかった...。

その後、探し疲れたユキナリは3階の大部屋で過ごしていた。

ユキナリ「はぁ...一体なんでこんなことに...。」

メイ「......。」

ユキナリ「な、なんか視線が...。」

メイはじーっと、イスに座って休んでいるユキナリを見つめていた。

ユキナリ「...な、なんか用...?」

メイ「...ねぇ...あなたは...誰が狼だと思う...?」

ユキナリ「えっ、き、急だね...うーん...ごめん、わからないや...。」

メイ「そっか...。」

メイの突拍子もない質問にユキナリは困惑しつつも答えた。
曖昧な答えだったが、メイは納得したようだ。

と、その時だった...。

「うわぁぁぁぁぁっ!!」

ユキナリ・メイ「!?」

ユキナリ「い、今のは...!?」

メイ「な、なんだろう...!?」

二人は耳を劈くような悲鳴を聞き、現場へと駆けて行った。
そしてその現場で、ついにその時が来たことを、知ることとなった...。
...続く。

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.6 )
日時: 2023/11/12 19:48
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: GNo3f39m)

『最初の犠牲者』
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悲鳴が聞こえたのは、武器庫の方からだった。

ユキナリ「ど、どうしました...!?」

ユウヒ「あ...あれ...!!」

ダイゴ「おいタケオさん!!おい!!しっかりしろ!!」

ユウヒが指を指す先には、出血多量でうつ伏せに倒れているタケオと、タケオを揺さぶって必死に呼びかけるダイゴと、タケオの容態を確認するサトルの姿があった。

ユキナリ「た、タケオさん...!?」

ダイゴ「さ、サトルさん...!タケオさんは...!?」

サトル「......。残念だが...もう、手遅れのようだね...。」

ミサキ「そ、そんな...!」

ヒロシ「まさか...本当に●されるなんて...!!」

とうとう最初の犠牲者が出てしまった。
それだけでも残りの参加者を十分すぎるぐらい戦慄させた。
すると突然、メリーが姿を現した。

メリー「ど、どうやら狼が羊を●したようですね...!」

ユキナリ「うわっ!び、びっくりした...!」

メリー「そ、それでは、ルールに従い今から12時間後に狼裁判を開廷します!その間に狼が誰なのか推理してくださいね...!」

そう言うと、メリーは再び姿を消した。

カレン「ま、まさか...本当に...。」

シンイチ「ふむ...●害現場は武器庫...●されたのはタケオさん...犯人はあの三人の中にいる可能性が高いな。」

コウ「ありえるな...。」

周りの視線は、タケオと共に武器庫の見張りをしていたダイゴ、カレン、ユウヒの三人に向けられた。

ダイゴ「お、俺じゃねぇよ...!」

カレン「私でもない...!」

ユウヒ「ぼ、僕も違います...!」

シンイチ「残念だが、君たち以外の者がやったという証拠がない限りは、容疑は晴らすことはできないぞ。」

三人は違うと否定するが、シンイチの言葉であっさりと一蹴されてしまった。

ヒロム「まあいい...とにかく現場を調べよう...。」

ジュン「ほら、容疑者候補は邪魔だから別の部屋へ行ってろ。」

ジュンは三人に向けて手をシッシッと動かした。

ダイゴ「くっ...このやろう...!」

カレン「仕方ない、今は素直に従おう...。」

ユウヒ「うぅ...僕じゃないのに...。」

気分を害した三人は足早に現場を出て別の部屋へと向かった。

メイ「そんな言い方ないよ...。」

ユキナリ「そ、そうですよ...。」

ジュン「悪く思うな...誤魔化すために現場を荒らされちゃたまらんからな...。」

ユキナリ「(俺も、狼が誰かを突き止めるために調査してみよう...まずは...あの三人にその時の状況を聞いてみるか...。)」

ユキナリはまず、ダイゴから話を聞くことにした。

ダイゴ「...くそっ...!!」

ユキナリ「な、なんかすごくイライラしてるみたいだ...。まあ、無理もないよね...。」

ダイゴはリビングのソファに座って、イライラしている様子で頭を掻きながら貧乏ゆすりをしていた。

ユキナリ「あ、あの...ダイゴさん...。」

ダイゴ「なんだよ...!?」

ユキナリ「ひっ...と、突然で、すみませんが...タケオさんの遺体を発見した時の状況を聞かせてくれませんか...?」

ダイゴ「お、お前...俺を信じてくれるのか...?」

ユキナリ「え、えぇ、まあ...。」

ダイゴ「あ、ありがとうユキナリィィ!」

ユキナリ「ぐぇっ、ぐ、ぐるじぃ...。」

ダイゴは信用してくれる人が現れた喜びで涙を流しながらユキナリに強めに抱きついた。

ダイゴ「俺たち四人で警備してる時に、ユウヒが突然ゴキブリに驚いて一目散に逃げて行って、その後をカレンさんが追いかけて行ってな...で、俺とタケオさんがそれを確認したら、ただの玩具でさ。」

ユキナリ「ん?玩具のゴキブリ...?」

ダイゴ「ああ。本物なら自然だが、玩具なんて不自然にも程があるだろ?」

ユキナリ「た、確かに...玩具だったら、誰かが動かす必要がありますからね...。」

ダイゴ「それを使ったやつが、誰かが武器庫にいる俺たちを分散して、その間に残ったタケオさんを●したかもしれねぇんだ。」

ユキナリ「なるほど...確かにそれなら、辻褄が合いますね...。」

ダイゴ「だろ?でもなぁ、一番肝心なのは誰がやったってことなんだよな...。」

ダイゴとユキナリは誰の仕業か結局わからず、頭を抱えて悩んだ。
すると、ユキナリはあることに気付いた。

ユキナリ「あれ...ダイゴさんとタケオさんはそれからどうしたんですか...?」

ダイゴ「あぁ、呼び戻すのも面倒だからそのまま見張りを続けたけど...あ、そういえばヒロシさんが俺とタケオさんに差し入れにとコーヒーを持ってきて、喜んで俺たちは飲んだんだけど...俺がそのしばらく後になぜか腹壊しちまってさ、タケオさんに後を任せてトイレに駆け込んだよ。多分その間にタケオさんは●害されたんだと思うぜ。」

ユキナリ「な、なるほど...。」

ダイゴ「ま、念の為ユウヒやカレンさんにも確認してくれねぇか?俺たち三人のアリバイを合わせりゃ、疑いも晴れるかもしれねぇし。」

ユキナリ「わ、わかりました...。」

ユキナリは一度ダイゴと別れ、ユウヒとカレンにも話を聞くことにした。

カレン「......。」

ユキナリ「あ、カレンさんだ...。」

次にユキナリが見つけたのはカレン。
カレンは大部屋のイスに座って顔を暗くしていた。

カレン「...私に何か用か...?」

ユキナリ「は、はい。実は...。」

ユキナリはついさっきダイゴに聞いたことをカレンに説明した。

カレン「あぁ、逃げたユウヒを追いかけたのは事実だ。」

ユキナリ「そ、そうだったんですね...。」

カレン「...にしても玩具のゴキブリだったのか...全く、子どもみたいな手段だな...。」

ユキナリ「俺もそう思います...。」

そう言ったユキナリは、今度はユウヒに話を聞こうとしたが...。

ユキナリ「あれ...そういえば、ユウヒ君はどこに...?」

カレン「武器庫を出て別れてから、それきり見てないが...。」

ユキナリ「そ、そうですか...ありがとうございます...。」

カレン「まあ、あの臆病さだ...きっとどこかに隠れているんじゃないか...?」

ユキナリ「な、なるほど...確かに...。」

そう言うとユキナリはカレンとも一度別れ、ユウヒを探すことにした。

ユキナリ「うーん...。ユウヒ君...どこにいるんだろう...?」

ユキナリはユウヒを探すべく廊下を歩いていた。
すると、どこからか泣き声が聞こえた。

「うっ...うぅ...。」

ユキナリ「ん...泣き声...?」

その泣き声は、今ユキナリが通り過ぎようとした物置から聞こえてきた。

ユキナリ「だ、誰だろう...?」

ユキナリは声の主を確認するために、物置の扉を開けて中に足を踏み入れた。

ユキナリ「あっ...!」

ネム「ユウヒ君〜、大丈夫〜?」

ユウヒ「だ、大丈夫なんかじゃありませんよ...。僕じゃないのに、言いがかりもいいとこですよ...!」

チエ「お、落ち着いてください...。」

そこには、体育座りをして組んだ腕の中に蹲って泣いているユウヒと、彼を慰めるネムとチエの姿があった。

ユキナリ「こ、ここにいた...。」

ネム「あ、ユキナリ君だ〜。」

チエ「あ、ど、どうも...。」

ユウヒ「っ...ぅ...。」

ユウヒは泣きじゃくって聞くに聞けない状態だが、真犯人を突き止めるためにユキナリは聞くしかなかった。

ユキナリ「ね、ねぇ、ユウヒ君...。」

ユウヒ「な、なんですか...。」

ユキナリ「...ダイゴさんやカレンさんから聞いたんだけど、警備してる時にゴキブリを見たのは...本当...?」

ユウヒ「...そ、そうですが...。」

チエ「ど、どういうことですか...?」

ユキナリ「実は...。」

ユキナリはダイゴとカレンから聞いたことを、三人に説明した。

ネム「なるほど〜、チンパンジーは別の人なんだね〜。」

チエ「あの、それを言うなら"真犯人"ですよ...。」

ユキナリ「だから、今度は真犯人の証拠を集めていこうと思うんです。」

チエ「そ、そうなんですね...。だったら、私たちにもお手伝いさせてください。」

ユキナリ「え、いいんですか...?」

ネム「いいよ〜。三人が犯人じゃないってわかった今、やることはそれ一つだからね〜。」

ユウヒ「ぼ、僕も...真犯人の尻尾を掴みたいです...!」

ユキナリ「あ、ありがとうございます...!」

一致団結した四人は物置を後にして真実を突き止めるべく、再び現場へと捜査をしに向かった。

ユウヒ「あ、あの...ユキナリさん...。」

ユキナリ「ん?どうしたの?」

ユウヒ「その...僕を信じて、話を聞いてくれて...ありがとうございます...。」

ユキナリ「ううん、気にしないで。」

そう言ってユキナリは、ユウヒの頭をそっと優しく撫でた。

そして、現場にたどり着いた四人は探索を始めた。

シンイチ「ん?何の用かな?」

ユキナリ「俺たちも、真犯人を突き止めるために現場を捜査しようと思って...。」

ネム「そうそう〜。」

ジュン「ふん、構わんが...お前だけは何にも触るなよ。」

ユウヒ「わ、わかりました...。」

ジュンはユウヒにそう釘を刺した。

ユキナリ「本当の狼を突き止めるに、証拠を集めないとね...。」

チエ「ええ、タケオさんの遺体や現場を、くまなく調べてみましょう...。」

ユウヒとタケオ以外の武器庫にいる人物は皆、タケオの遺体や武器庫に証拠が残っていないか探し始めた。

すると、ユキナリは気になる物を二つ見つけた。

ユキナリ「(なんだろう、これは...やけに重いな...。)」

ユキナリはタケオの近くに落ちていた黒いカード入れを見つけた。そして...。

ユキナリ「(...これは...血...?靴の裏の形をしているけど...。)」

今度は靴の裏の形をした血の跡を見つけた。
その跡は、武器庫の出入り口まで続いていた。

ユキナリ「(もしかして...犯人の足跡...?念の為覚えておこう...。)」

それから数分後、各々見つけた物や気づいたことを出し合っていた。

シンイチ「ふむ、他に目立った痕跡はないことから...彼は後ろから首を刺されて●んだようだな。」

ユキナリ「でも...どうやってタケオさんの隙をついて後ろから奇襲したんでしょう...?警備してたのなら、ここのサバイバルナイフは使えないはずですし...。」

ジュン「確かに...だが俺が調べたところ、あそこに掛けてあるナイフは、一本無くなっていたぞ...。」

ネム「むぅ〜、じゃあどうやってタケオさんの警備を潜り抜けたんだろうね〜?」

チエ「あ、そういえば...タケオさんの近くに、こんなものが...。」

そう言うとチエはいくつか食べかけの食料入ったビニール袋を差し出した。

ネム「わぁ、食べ物だ〜。」

チエ「あの...私が思うに、きっとタケオさんが食べるのに夢中になっている間に、隙をついてナイフを手に入れ、そのままタケオさんを●害したのかと...。」

シンイチ「なるほど...可能性はあるな。」

ユキナリ「あ、そういえば俺も、こんなのを見つけたんですが...。」

ユキナリは先ほど見つけた黒いカード入れを出した。
ジュンはそれを手に取り、中身を確認した。

ジュン「これは...名刺入れだな。」

ネム「もしかして、狼の人が落としたやつかな〜?」

ジュン「かもしれないな。」

ユキナリ「それからもう一つ、気になるものが...。」

ユキナリは床に残っている血でできた靴の跡を皆に見せた。

ユウヒ「これは...犯人の足跡でしょうか...?」

チエ「かもしれませんね...。」

ユキナリ「この跡を辿っていけば、何か掴めるかも...。」

シンイチ「よし、この部屋から出てどこに向かっているか、辿ってみよう。」

七人は武器庫の外に続いている足跡を辿って、その先にある真実を知るために廊下を歩き始めた...。
...続く。

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.7 )
日時: 2023/11/13 11:08
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: GNo3f39m)

『第一回狼裁判』
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ユキナリ達七人は、廊下に残っている血の跡を辿っていた。

ユキナリ「...どこまで続いているんでしょう...。」

シンイチ「だいぶたどり続けてるが...まだなのだろうか...。」

チエ「あ、足跡はここに入ってますね...。」

血の跡は、扉の向こうに続いていた。
そこは、トイレ・シャワールームだった。

ジュン「ここはトイレとシャワーと風呂の部屋だったな...。」

ネム「あ、僕わかったかも〜。」

ジュン「ん、なにがだ?」

ネムが何かに気づいたらしい。
五人はネムの言葉に耳を傾けた。

ネム「もしかしたら狼の人はうっかりタケオさんの血溜まりを踏んじゃって、ここで証拠隠滅のために靴の裏についた血を洗い流そうとしたんじゃないかな〜。」

ユウヒ「なるほど...そうかもしれません...。」

ユキナリ「よし...調べるために、入ってみましょう...。」

ユキナリ達はトイレ・シャワールームの扉を開け、調べるために内部に入ろうとした、が...。

トワ「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

チエ「キャーーーーーッ!?」

なんとタイミング悪く、シャワーを浴び終えたばかりのトワが下着を穿いている途中のところに出会してしまった。

ユキナリ「ご、ごめんトワ君...!き、気づかなかった...!」

トワ「い、いいよ別に...ってか早く外出ろよ!人が服着てるとこジロジロ見るな!!」

シンイチ「わ、悪かったね...。」

数分後、トワが服を着終わったため、再びユキナリ達はトイレ・シャワールームに入った。

ジュン「で、お前はどうしてシャワーを浴びていたんだ?」

トワ「あぁ、ちょっと今の状況に不安が募ってきてね...。」

チエ「す、すみません...覗くつもりはなかったんです...。」

トワ「もう気にしてないよ。」

ユキナリ「(うーん...血の足跡を辿って着いた先がトイレ・シャワールーム...そしてそこでトワ君がシャワーを浴びていた...。もしかして...トワ君が狼...?でも、証拠がこれだけじゃまだ確証は持てないな...。)」

と、その時...。

メリー「12時間経ちましたので、狼裁判を行います...!参加者の皆さんは集まってください...!」

ユキナリ「(い、いよいよか...でも、まだ証拠が足りない...。なんとか乗り切るしかないか...。)」

そして生存者は皆、狼裁判が行われる法廷のような場所に集まった。

メリー「そ、それではみなさん!全員揃いましたね?い、今から狼裁判を開廷いたします...!」

コウ「本当にやるんだな...。」

オサム「今は、従うしかありません...。」

メイ「もう...電気はイヤ...。」

当然生存者は皆乗り気ではないが、気にせずメリーは続けた。

メリー「お、狼裁判ではみなさんに狼が誰なのかを推理してもらいます...!そして、狼を一人選んで処刑してください!」

スミレ「ということは、今から確実に誰か一人が●ぬということですね...。」

コタロウ「マジっすか...。」

メリー「その通りです!そして、見事狼を処刑できれば脱出への扉が開かれます!みなさんの名推理を期待しますよ!それでは第一回狼裁判の開廷です!」

第一回狼裁判、開廷...!

タツヤ「まずは、状況を整理しよう。」

アスナ「確か昨日の夜、武器庫でタケオさんが血を流して●亡しているのが発見されたよね。」

シンイチ「私が遺体を詳しく調べたところ、●因は首を後ろから刃物のような物で、刺されたことによる出血多量で間違いないだろう。」

ユウト「そして、武器庫を見張ってた残りの三人が容疑者の名に挙がってたよね...。」

ダイゴ「だ、だから俺たちじゃねぇって...!!」

リツ「そーやってムキになってるのがより怪しーな?」

確かにダイゴ達は犯行をしていない。
だが、本人達とユキナリ、チエ、ネム以外は事情を知らないため、なおも一蹴した。
すると、三人のアリバイを把握しているユキナリが割って入った。

ユキナリ「そ、そのことなんだけど...ダイゴさん達は、狼じゃありません...。」

ショウマ「はぁ?ユキナリ君何言ってんだ...?」

アオリ「三人が狼でないと証明できるものはあるの...?」

ユキナリ「はい...実は俺、三人から当時の状況を聞きました。」

四人で武器庫を見張ってた時、ユウヒが玩具のゴキブリに驚いて一目散に逃げて行き、その後をカレンが追いかけたこと、そして、ダイゴが体調を崩してトイレに駆け込み、三人が戻ってくるまでタケオが一人で見張っていた時に狼に襲われた可能性があること、それら全てをユキナリは皆に証言した。

リンタロウ「なるほど...それが本当なら、三人がタケオさんを襲うなんてできないね♪」

ミサキ「でも、それだけじゃ狼はまだわからへんな...。」

ジュン「それなら、かなり有力な証拠がある。」

カズサ「有力な証拠?」

ジュン「ああ、実は現場には血でできた足跡が残されていてな、それが現場の外に続いていて、それを辿った先にトイレ・シャワールームがあった。」

ネム「狼の人はうっかり血で足跡を作っちゃって、靴の裏についた血を洗い流すために、シャワールームに行った可能性があるんだ〜。」

オサム「なるほど...確かにかなり有力ですね...。」

ユキナリ「そして...俺たちがたどり着いたシャワールームには、トワ君がいたんだ...。」

ミホ「じゃあ、狼はトワ君ってこと...?」

トワ「はぁ!?ち、違うよ!!」

トワはあらぬ誤解をかけられたため、必死に否定するが皆の目つきは変わらない。

タクヤ「だったら、お前じゃないって証拠はあるのか...?」

トワ「えっ...。」

タクヤにそう聞かれたトワは言葉を失った。

マキ「トワ君、どうなの...?」

トワ「証拠は...ない...。」

サトル「ないなら...狼は君かもしれないね...。」

トワ「ち、違うってば...!!」

トワは皆に問い詰められ、次第に涙目になっていった。

ユキナリ「(...本当に、狼はトワ君なのかな...?)」

ユキナリは心の中でそう呟くと、記憶の中に見逃しているものはないか探し始めた。
そして、それを見つけたようだ。

ユキナリ「...いや、トワ君は狼じゃないかもしれない...。」

コウ「ほう...ならばそれを証明してみせろ。」

ユキナリ「はい...。トワ君、靴を片方だけでいいから、貸してもらえないかな...?」

トワ「...俺の無実が証明できるなら...。」

ユキナリ「ありがとう...。」

ユキナリは、トワから借りた靴をまじまじと観察し始めた。

ユキナリ「...やっぱり...そうだったんだ...。」

メイ「どういうこと...?」

ユキナリ「トワ君はやっぱり狼じゃない...!」

コタロウ「説明してくださいっす...。」

ユキナリ「実は念の為、足跡を写真に撮っていたんですが...よく見てみてください。」

皆が写真とトワの靴を見比べると、あることが判明した。

リンタロウ「トワ君の靴の裏と写真の足跡、全然違うね♪」

ジュン「本当だ...それに、俺たちが足跡を初めて見つけた時、たまたまトワがシャワーを浴びてた可能性もあるが...。」

ヒロム「なら、トワは狼じゃないか...だが結局、狼はまだわからないままだな...。」

ユウヒ「そういえばユキナリさん...現場で名刺入れを拾ったんでしたよね...?」

ユキナリ「そういえば...。」

ユウヒにそう聞かれたユキナリは現場で拾った名刺入れを取り出した。

ユキナリ「あの、現場にはこれが落ちていて...。」

ヒロシ「ああっ!それ、僕の名刺入れです!」

ユキナリ「ヒロシさんのだったんだ...。」

ヒロシ「いやー、ありがとうございます!」

ユキナリ「ど、どういたしま...。」

コウ「ちょっと待て。」

ヒロシがユキナリが拾った名刺入れを受け取ろうとしたが、それをコウが静止した。

コウ「ヒロシさん...なぜあんたの名刺入れが現場に落ちていたんだ?」

ヒロシ「えっ!?な、なぜって...。み、みんなで現場を見た時に落としてしまったんだと思います...!」

スミレ「あの...ヒロシさんって現場を廊下の方から眺めて、そのまま別の部屋に行ったんじゃ...?」

ヒロシ「えっ!?そ、そうでしたっけ...?」

ヒロシの発言に若干の焦りが見えてきていた。

メイ「あれ...?」

ユキナリ「ん、メイさんどうしたの...?」

メイ「ヒロシさんの...ズボンのポッケ...。」

ヒロシ「え?」

メイの指摘通り皆がヒロシのズボンのポケットを見ると、妙な膨らみがあった。

チエ「な、なんでしょう...妙に膨らんでいますね...。」

メイ「中身...見せて...。」

ヒロシ「え、えっと...。」

ユウト「まどろっこしいから無理やり見ちゃえば...?」

ショウマ「だな。ヒロシさん、ちょっと失礼するぞ。」

ヒロシ「あっ...!ちょ、ダメ...!」

ショウマとタクヤが無理やりポケットから取り出すと、とんでもない物が出てきた。

ダイゴ「これは...サバイバルナイフ!しかも血がついてるぞ...!」

カレン「こっちは玩具のゴキブリ...。」

ユウヒ「あっ...!それ、僕が武器庫で見たのと同じです...!」

シンイチ「ふむ...一気に疑惑が傾いたな。」

ヒロシ「ち、違うんです...!あっ、きっと僕がシャワーを浴びてる時に狼がズボンのポケットに忍ばせたんですよ...!それで、僕に疑惑が向くように、その時に名刺入れを持ち出して現場に置いていったんだと思います...!」

ヒロシは必死に自分の考えを訴えるが、まるで信じてもらえていない雰囲気だった。

リツ「うわ、見苦しー。」

ヒロシ「じ、じゃあ逆に聞きますけど...?それだけじゃ僕が狼なんて断定できませんよね...?」

スミレ「どういうことですか...?」

ヒロシ「だって、ダイゴさん達に急用ができて場所を離れたってタケオさんが残ってるんですよ?そしたらどうやってサバイバルナイフを手に入れるんですかね...?」

チエ「あ、それなら...。」

ヒロシが必死に抵抗するが、チエは思い出したかのように食べ物の入ったビニール袋を取り出した。

チエ「これ、現場に落ちてたんですけど...。」

マキ「あら、食べかけの食べ物がいっぱいね。」

チエ「私が思うに...ヒロシさんは差し入れとしてこれをタケオさんに渡して、食べ物に注意を惹きつけている間にサバイバルナイフを手に入れて...そのままタケオさんを襲ったんだと思います...。」

コタロウ「なるほど...可能性大っすね...。」

チエの推理にヒロシ以外は納得していた。

ヒロシ「...い、いい加減にしろよテメェら...!!!」

リツ「うわっ!ぎ、逆ギレだ!」

トワ「こ、怖い...!」

すると、途端にヒロシが態度を一変させ、声を張り上げた。

ヒロシ「さっきから一方的に俺が狼って決めつけやがって...!!そんな方法、誰だって思いつくんじゃねぇのかよ...!?えぇ!?」

ネム「むぅ〜、確かに。これなら僕でもできるしね〜。あっ、そういえば...。」

すると、ネムも思い出したかのようにポケットから何かを取り出した。

ネム「病室にこんなのが落ちてた〜。」

サトル「ふむ...これは下剤のようだね...。おや...しかもいくつか使ってある形跡が...。」

ダイゴ「あっ!もしかして...!」

ダイゴが何かに気づいたようだ。

ダイゴ「ヒロシさん...あんた、俺のコーヒーに下剤盛っただろ?」

ヒロシ「!!ななななな、なんのことだよ...!?」

ミサキ「どういうことなん...?」

ダイゴ「俺とタケオさんで見張ってた時間があったって言ったよな、その時にヒロシさんが俺たちにコーヒーを差し入れに来たんだ。」

ヒロシ「!!」

ダイゴ「ゲームが始まってからコーヒーしか飲んでない俺が、いきなり腹壊すなんておかしいと思ったぜ。でも、下剤入りコーヒーを飲ますのはどっちでも良かったんだよな?そして、残ったもう片方に時間差で食べ物を差し入れて、その間に武器を手に入れて、流れで奇襲を図った...だよな?」

ユウヒ「じゃあ、ゴキブリで僕を脅かしたのも...!」

カレン「見張り組を分散させるための作戦だったんだな...。」

ヒロシ「!!!!!」

三人の推理はピタリだったようで、ヒロシはかなり動揺した。

ユキナリ「じゃあ、やっぱり狼はヒロシさんなんだね...。」

ヒロシ「ち、違います...僕じゃありません...!信じてください...!!!」

ヒロム「もう諦めろ。狼はあんたで間違いない。」

ヒロムの言葉にヒロシ以外が頷く中、メリーが場を仕切り始めた。

メリー「そ、それではみなさん...今回の処刑対象は"三浦ヒロシ"でいいですか?」

ユキナリ「はい...。」

シンイチ「異論はないよ。」

カレン「異議なし...。」

ヒロシ「そ、そんな...!み、ミホさん!!あなた弁護士なんでしょ!?ここ法廷なんだから僕の弁護をしてくださいよ...!」

ミホ「...ごめんなさい...。」

ヒロシ「......!」

ミホに拒否されたヒロシは、顔色を変えて絶望した。

リツ「都合のいいやつだな...。」

ウルフ「それでは、これより三浦ヒロシの処刑を行う...。」

メリー「サラリーマンのヒロシさんには、サラリーマンらしい処刑法を用意したので、ぜひ楽しんでください!」

ヒロシ「た、楽しめるかぁぁぁぁぁぁっ!!」

ヒロシは抵抗虚しく、メリーとウルフに処刑場へと無理やり連れて行かれた。

メリー「それでは、処刑を開始します!」

ヒロシ「い、いやだぁぁぁぁぁぁぁ...!!やめてくれぇぇぇぇぇぇ!!」


『それでは処刑を始めます』


ヒロシは胴体と足をイスに縛り付けられ、立つことができない状態にされた。

そして、彼の目の前にある机に仕事で使われるような資料が山積みになっている。

『仕事を全て終えたら生き残れるぞ』

ウルフにそう唆されたヒロシは、助かるために無我夢中で仕事をこなし始めた。

ヒロシは目の前にある資料を全て片付け、ホッとした束の間...。
彼の机に、新たな仕事の資料が追加された。

『......!?』

そう、ウルフは机の上にある資料で全てとは一言とも言っていない。
ヒロシは動揺しつつ再び無我夢中で仕事をこなし始めるも、今度は仕事の途中で次々と資料が追加されていった。
...やがて、上の方の資料がもはや見えないほど、いつのまにか山積みになっていた。

『う、うわぁぁぁぁぁぁっ...!!」

すると、積み上げられすぎた資料がバランスを崩し、バサバサとヒロシに向かって落ちていった。
ヒロシは数え切れない資料の山に押しつぶされ、窒息して息絶えた...。

『処刑完了』

小島タケオ・狼の犯行により●亡
三浦ヒロシ・処刑により●亡

生存者・残り28/30人

...続く。

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.8 )
日時: 2023/11/14 19:10
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: S6dv/qbT)

『Another side Ep.1』
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ヒロシの処刑の瞬間を目の当たりにした生存者は皆、顔を青ざめて立ち尽くしていた。

ユキナリ「ほ、本当に処刑されちゃった...。」

アスナ「...地味だけど、結構エグかったね...。」

ウルフ「お前たちに人の命を心配してる暇はないぞ。今から、処刑された人間が本当に狼だったのか答え合わせだ。」

リツ「そういやそうだったな...。」

ウルフ「もし正解なら脱出の扉が開く。」

メリー「それでは皆さん!心の準備はいいですか?」

もし不正解だったなら、無実の羊を無駄●にさせたことになる...。
名状し難い何かが生存者全員を襲いつつ、緊張の結果発表が始まる...。

メリー「それでは、答え合わせスタートです!」

『狼か、羊か?』

スポットライトがメリーとウルフに交互に当たりながら、生存者に焦らしと緊張を与えていく。
そして、スポットライトが止まったのは...








ウルフだった。

メリー「お見事!正解です!皆さんの推理通り、三浦ヒロシが狼でした!」

正解だったことにメリーが賞賛しつつ、ヒロシの犯行の全てを生存者に説明した。

メリー「彼は武器を手に入れるため、武器庫に狙いをつけたのですが...見張りが厳重だったためまずは見張りを減らそうと企てました...たまたま持っていたジョークグッズのゴキブリの玩具を利用し...立花ユウヒと黒橋カレンを武器庫から遠ざけました...。」

カレン「今でも疑問なんだが...本当になんで、たまたまゴキブリの玩具を持っていたんだ...。」

コウ「永遠の謎だな...。」

メリー「そして、王生ダイゴと小島タケオの二人だけになったところに、片方は普通のコーヒー、もう片方は下剤入りのコーヒーを差し入れに持って行きました...。」

ダイゴ「あっぶねぇ...!下剤入りを飲んだのがタケオさんの方だったら、俺が●んでたかもしれねぇのか...。」

メリー「そして小島タケオ一人だけになったところに、注意を惹きつけるべく...しばらく経った後に食べ物を差し入れとして持って行き...小島タケオが食べるのに夢中になっている間にサバイバルナイフを手に入れ...そのまま小島タケオを●害した...これが、今回の●害の全容ですね...。」

マキ「それにしても連続で差し入れに来たのに、よく怪しまなかったわね...。」

シンイチ「タケオもタケオで、よくもまああっさりと引っかかったもんだな...。」

メイ「...ヒロシさん...本当に処刑されちゃったんでしょ...?」

トワ「これ...俺たちが●したようなものなの...?」

周りがタケオの悲惨ながらもマヌケな最期に呆れる中、ヒロシを処刑した罪悪感でメイとトワは泣きながら震えた声でそう言った。

ユキナリ「な、泣かないで...メイさん、トワ君...。」

チエ「そ、そうですよ...あの人もタケオさんの事を●してたから、自業自得ですよ...。」

ヒロム「...どちらにせよ、もう後戻りはできんな...。」

全員の表情に、緊張と不安が広がる...。

ユキナリ「...とにかく、俺たちの推理は正しかった。ということは...脱出の扉が開くんだよね?」

ウルフ「その通りだ。狼の処刑に成功したため、脱出の扉が開く。」

メリー「それではいきますよ!オープンザ!ドア!」

『ギィィィ...』

生存者は皆開いた扉の先に導かれ、脱出に成功した...。
...かのように思われたが...。

ユキナリ「!?こ、ここは...。」

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一方、その頃...。

『警視庁・捜査第一課』

『ガチャ...』

ソウシロウ「おはよう♪」

ツバキ「おはようございます、警部。」

カイト「おはようございます...。」

コトハ「おはようございます!」

ここは、東京都の警視庁捜査第一課の部屋。
緩やかな表情をした警部の『神崎ソウシロウ』と、彼と同じ警部である生真面目な『一条ツバキ』と彼らの部下である表情が厳つい『鳳凰カイト』、そして同じく元気のいい『榎本コトハ』が課の一員として勤めている。

ソウシロウ「さぁて♪今日はどのお菓子を食べようかな〜♪」

カイト「いや、たった今出勤したばっかじゃないっすか...。」

ソウシロウが出勤して早々お菓子の入っている机の引き出しを漁り始めたため、カイトはツッコんだ。

ソウシロウ「あっ、マカロン発見♪いただきま〜す♪う〜ん、美味しい♪」

ツバキ「警部、またお菓子ばっかり食べて...。」

コトハ「しょうがないですよ、お菓子は美味しいですもん♪」

ソウシロウ「そうそう♪」

マカロンを食べてご機嫌なソウシロウはコトハに笑顔で賛同した。

カイト「はあ...マジでソウシロウさんの下で警察を続けられる自信がねぇっすわ...。」

ツバキ「...気持ちはわかる...。だが、そのうち慣れるさ...。」

カイトはソウシロウの貫禄の欠片もない姿にガックリと肩を落とし、ツバキは彼の肩にポンと手を置いて励ました。

と、その時だった...。

エレナ「お、お巡りさん...!助けてください...!!」

刑事「ち、ちょっと君!勝手に入ってはダメだよ!」

課の部屋の扉がバンと勢いよく開いて外国人らしき女性の『三浦エレナ』と、彼女を追いかけてきた刑事が入ってきた。

ツバキ「お、落ち着いてください...どうかされましたか...?」

エレナ「お、夫が...夫が帰って来ないんです...!!」

ソウシロウ「まあまあ、落ち着いてください...ゆっくりでいいので、詳しくお聞かせください。」

数分後、ようやく落ち着きを取り戻したエレナは事情を話し始めた。
彼女の夫は『三浦ヒロシ』...狼ゲームで最初に処刑された参加者であった。

エレナ「あ、私の名前がまだでしたね...。私、『三浦ヒロシ』の妻の三浦エレナと申します...。」

ソウシロウ「ではエレナさん...。旦那さんがいつから帰ってきていないのか教えてください...。」

エレナ「は、はい...夫が帰ってこなかったのは昨夜で...昨日の朝は普通に会社へ出勤する夫を見送ったんですが...いつもの帰宅時間に帰ってこなくて...残業かバスの走る道が混んでいるかと思って、しばらく待っていたんです...。」

ソウシロウ「なるほど...それで...?」

エレナ「それで...夜中の9時を回っても帰ってこなかったので、夫の勤める会社に問い合わせたんですが...上司の方から既に定時で退勤したと...それで、私は先に寝て待っていたんですが...今朝になっても帰ってなくて...不安になってしまったんです...。」

ソウシロウ「なるほど...よくわかりました...。」

エレナ「ま、まさか...夫は何か事件に巻き込まれたんじゃ...!!」

コトハ「お、落ち着いてください...!」

頭を抱えて慟哭するエレナをコトハは必死に宥めた。

エレナ「もし夫の身に何かあったら...私...私...!」

ソウシロウ「エレナさん...旦那さんは必ず見つけ出して保護します。なので、我々捜査第一課に任せてください。」

エレナ「...は、はい...お願いします...!」

エレナはソウシロウからその言葉を聞くと、安心して緊張の糸が切れたように身体をグッタリとさせた。

カイト「...ソウシロウさん...もしかしたら、今俺たちが調査してる大量行方不明事件と、何か関係があるかもしれません...。」

ソウシロウ「僕もそう思うよ...。」

ツバキ「この短期間で27人もの行方不明者が出ている...やはり普通じゃ考えられないですね...。」

ソウシロウ「よし、今日から本格的に行方不明者に近しい人や場所を捜査してみようか...。」

三人「はい...。」

刑事四人は只事ではないこの事件の捜査を始めることにした...。

...続く。
____________________
第1章・完