二次創作小説(紙ほか)
- Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.6 )
- 日時: 2023/11/12 19:48
- 名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: GNo3f39m)
『最初の犠牲者』
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悲鳴が聞こえたのは、武器庫の方からだった。
ユキナリ「ど、どうしました...!?」
ユウヒ「あ...あれ...!!」
ダイゴ「おいタケオさん!!おい!!しっかりしろ!!」
ユウヒが指を指す先には、出血多量でうつ伏せに倒れているタケオと、タケオを揺さぶって必死に呼びかけるダイゴと、タケオの容態を確認するサトルの姿があった。
ユキナリ「た、タケオさん...!?」
ダイゴ「さ、サトルさん...!タケオさんは...!?」
サトル「......。残念だが...もう、手遅れのようだね...。」
ミサキ「そ、そんな...!」
ヒロシ「まさか...本当に●されるなんて...!!」
とうとう最初の犠牲者が出てしまった。
それだけでも残りの参加者を十分すぎるぐらい戦慄させた。
すると突然、メリーが姿を現した。
メリー「ど、どうやら狼が羊を●したようですね...!」
ユキナリ「うわっ!び、びっくりした...!」
メリー「そ、それでは、ルールに従い今から12時間後に狼裁判を開廷します!その間に狼が誰なのか推理してくださいね...!」
そう言うと、メリーは再び姿を消した。
カレン「ま、まさか...本当に...。」
シンイチ「ふむ...●害現場は武器庫...●されたのはタケオさん...犯人はあの三人の中にいる可能性が高いな。」
コウ「ありえるな...。」
周りの視線は、タケオと共に武器庫の見張りをしていたダイゴ、カレン、ユウヒの三人に向けられた。
ダイゴ「お、俺じゃねぇよ...!」
カレン「私でもない...!」
ユウヒ「ぼ、僕も違います...!」
シンイチ「残念だが、君たち以外の者がやったという証拠がない限りは、容疑は晴らすことはできないぞ。」
三人は違うと否定するが、シンイチの言葉であっさりと一蹴されてしまった。
ヒロム「まあいい...とにかく現場を調べよう...。」
ジュン「ほら、容疑者候補は邪魔だから別の部屋へ行ってろ。」
ジュンは三人に向けて手をシッシッと動かした。
ダイゴ「くっ...このやろう...!」
カレン「仕方ない、今は素直に従おう...。」
ユウヒ「うぅ...僕じゃないのに...。」
気分を害した三人は足早に現場を出て別の部屋へと向かった。
メイ「そんな言い方ないよ...。」
ユキナリ「そ、そうですよ...。」
ジュン「悪く思うな...誤魔化すために現場を荒らされちゃたまらんからな...。」
ユキナリ「(俺も、狼が誰かを突き止めるために調査してみよう...まずは...あの三人にその時の状況を聞いてみるか...。)」
ユキナリはまず、ダイゴから話を聞くことにした。
ダイゴ「...くそっ...!!」
ユキナリ「な、なんかすごくイライラしてるみたいだ...。まあ、無理もないよね...。」
ダイゴはリビングのソファに座って、イライラしている様子で頭を掻きながら貧乏ゆすりをしていた。
ユキナリ「あ、あの...ダイゴさん...。」
ダイゴ「なんだよ...!?」
ユキナリ「ひっ...と、突然で、すみませんが...タケオさんの遺体を発見した時の状況を聞かせてくれませんか...?」
ダイゴ「お、お前...俺を信じてくれるのか...?」
ユキナリ「え、えぇ、まあ...。」
ダイゴ「あ、ありがとうユキナリィィ!」
ユキナリ「ぐぇっ、ぐ、ぐるじぃ...。」
ダイゴは信用してくれる人が現れた喜びで涙を流しながらユキナリに強めに抱きついた。
ダイゴ「俺たち四人で警備してる時に、ユウヒが突然ゴキブリに驚いて一目散に逃げて行って、その後をカレンさんが追いかけて行ってな...で、俺とタケオさんがそれを確認したら、ただの玩具でさ。」
ユキナリ「ん?玩具のゴキブリ...?」
ダイゴ「ああ。本物なら自然だが、玩具なんて不自然にも程があるだろ?」
ユキナリ「た、確かに...玩具だったら、誰かが動かす必要がありますからね...。」
ダイゴ「それを使ったやつが、誰かが武器庫にいる俺たちを分散して、その間に残ったタケオさんを●したかもしれねぇんだ。」
ユキナリ「なるほど...確かにそれなら、辻褄が合いますね...。」
ダイゴ「だろ?でもなぁ、一番肝心なのは誰がやったってことなんだよな...。」
ダイゴとユキナリは誰の仕業か結局わからず、頭を抱えて悩んだ。
すると、ユキナリはあることに気付いた。
ユキナリ「あれ...ダイゴさんとタケオさんはそれからどうしたんですか...?」
ダイゴ「あぁ、呼び戻すのも面倒だからそのまま見張りを続けたけど...あ、そういえばヒロシさんが俺とタケオさんに差し入れにとコーヒーを持ってきて、喜んで俺たちは飲んだんだけど...俺がそのしばらく後になぜか腹壊しちまってさ、タケオさんに後を任せてトイレに駆け込んだよ。多分その間にタケオさんは●害されたんだと思うぜ。」
ユキナリ「な、なるほど...。」
ダイゴ「ま、念の為ユウヒやカレンさんにも確認してくれねぇか?俺たち三人のアリバイを合わせりゃ、疑いも晴れるかもしれねぇし。」
ユキナリ「わ、わかりました...。」
ユキナリは一度ダイゴと別れ、ユウヒとカレンにも話を聞くことにした。
カレン「......。」
ユキナリ「あ、カレンさんだ...。」
次にユキナリが見つけたのはカレン。
カレンは大部屋のイスに座って顔を暗くしていた。
カレン「...私に何か用か...?」
ユキナリ「は、はい。実は...。」
ユキナリはついさっきダイゴに聞いたことをカレンに説明した。
カレン「あぁ、逃げたユウヒを追いかけたのは事実だ。」
ユキナリ「そ、そうだったんですね...。」
カレン「...にしても玩具のゴキブリだったのか...全く、子どもみたいな手段だな...。」
ユキナリ「俺もそう思います...。」
そう言ったユキナリは、今度はユウヒに話を聞こうとしたが...。
ユキナリ「あれ...そういえば、ユウヒ君はどこに...?」
カレン「武器庫を出て別れてから、それきり見てないが...。」
ユキナリ「そ、そうですか...ありがとうございます...。」
カレン「まあ、あの臆病さだ...きっとどこかに隠れているんじゃないか...?」
ユキナリ「な、なるほど...確かに...。」
そう言うとユキナリはカレンとも一度別れ、ユウヒを探すことにした。
ユキナリ「うーん...。ユウヒ君...どこにいるんだろう...?」
ユキナリはユウヒを探すべく廊下を歩いていた。
すると、どこからか泣き声が聞こえた。
「うっ...うぅ...。」
ユキナリ「ん...泣き声...?」
その泣き声は、今ユキナリが通り過ぎようとした物置から聞こえてきた。
ユキナリ「だ、誰だろう...?」
ユキナリは声の主を確認するために、物置の扉を開けて中に足を踏み入れた。
ユキナリ「あっ...!」
ネム「ユウヒ君〜、大丈夫〜?」
ユウヒ「だ、大丈夫なんかじゃありませんよ...。僕じゃないのに、言いがかりもいいとこですよ...!」
チエ「お、落ち着いてください...。」
そこには、体育座りをして組んだ腕の中に蹲って泣いているユウヒと、彼を慰めるネムとチエの姿があった。
ユキナリ「こ、ここにいた...。」
ネム「あ、ユキナリ君だ〜。」
チエ「あ、ど、どうも...。」
ユウヒ「っ...ぅ...。」
ユウヒは泣きじゃくって聞くに聞けない状態だが、真犯人を突き止めるためにユキナリは聞くしかなかった。
ユキナリ「ね、ねぇ、ユウヒ君...。」
ユウヒ「な、なんですか...。」
ユキナリ「...ダイゴさんやカレンさんから聞いたんだけど、警備してる時にゴキブリを見たのは...本当...?」
ユウヒ「...そ、そうですが...。」
チエ「ど、どういうことですか...?」
ユキナリ「実は...。」
ユキナリはダイゴとカレンから聞いたことを、三人に説明した。
ネム「なるほど〜、チンパンジーは別の人なんだね〜。」
チエ「あの、それを言うなら"真犯人"ですよ...。」
ユキナリ「だから、今度は真犯人の証拠を集めていこうと思うんです。」
チエ「そ、そうなんですね...。だったら、私たちにもお手伝いさせてください。」
ユキナリ「え、いいんですか...?」
ネム「いいよ〜。三人が犯人じゃないってわかった今、やることはそれ一つだからね〜。」
ユウヒ「ぼ、僕も...真犯人の尻尾を掴みたいです...!」
ユキナリ「あ、ありがとうございます...!」
一致団結した四人は物置を後にして真実を突き止めるべく、再び現場へと捜査をしに向かった。
ユウヒ「あ、あの...ユキナリさん...。」
ユキナリ「ん?どうしたの?」
ユウヒ「その...僕を信じて、話を聞いてくれて...ありがとうございます...。」
ユキナリ「ううん、気にしないで。」
そう言ってユキナリは、ユウヒの頭をそっと優しく撫でた。
そして、現場にたどり着いた四人は探索を始めた。
シンイチ「ん?何の用かな?」
ユキナリ「俺たちも、真犯人を突き止めるために現場を捜査しようと思って...。」
ネム「そうそう〜。」
ジュン「ふん、構わんが...お前だけは何にも触るなよ。」
ユウヒ「わ、わかりました...。」
ジュンはユウヒにそう釘を刺した。
ユキナリ「本当の狼を突き止めるに、証拠を集めないとね...。」
チエ「ええ、タケオさんの遺体や現場を、くまなく調べてみましょう...。」
ユウヒとタケオ以外の武器庫にいる人物は皆、タケオの遺体や武器庫に証拠が残っていないか探し始めた。
すると、ユキナリは気になる物を二つ見つけた。
ユキナリ「(なんだろう、これは...やけに重いな...。)」
ユキナリはタケオの近くに落ちていた黒いカード入れを見つけた。そして...。
ユキナリ「(...これは...血...?靴の裏の形をしているけど...。)」
今度は靴の裏の形をした血の跡を見つけた。
その跡は、武器庫の出入り口まで続いていた。
ユキナリ「(もしかして...犯人の足跡...?念の為覚えておこう...。)」
それから数分後、各々見つけた物や気づいたことを出し合っていた。
シンイチ「ふむ、他に目立った痕跡はないことから...彼は後ろから首を刺されて●んだようだな。」
ユキナリ「でも...どうやってタケオさんの隙をついて後ろから奇襲したんでしょう...?警備してたのなら、ここのサバイバルナイフは使えないはずですし...。」
ジュン「確かに...だが俺が調べたところ、あそこに掛けてあるナイフは、一本無くなっていたぞ...。」
ネム「むぅ〜、じゃあどうやってタケオさんの警備を潜り抜けたんだろうね〜?」
チエ「あ、そういえば...タケオさんの近くに、こんなものが...。」
そう言うとチエはいくつか食べかけの食料入ったビニール袋を差し出した。
ネム「わぁ、食べ物だ〜。」
チエ「あの...私が思うに、きっとタケオさんが食べるのに夢中になっている間に、隙をついてナイフを手に入れ、そのままタケオさんを●害したのかと...。」
シンイチ「なるほど...可能性はあるな。」
ユキナリ「あ、そういえば俺も、こんなのを見つけたんですが...。」
ユキナリは先ほど見つけた黒いカード入れを出した。
ジュンはそれを手に取り、中身を確認した。
ジュン「これは...名刺入れだな。」
ネム「もしかして、狼の人が落としたやつかな〜?」
ジュン「かもしれないな。」
ユキナリ「それからもう一つ、気になるものが...。」
ユキナリは床に残っている血でできた靴の跡を皆に見せた。
ユウヒ「これは...犯人の足跡でしょうか...?」
チエ「かもしれませんね...。」
ユキナリ「この跡を辿っていけば、何か掴めるかも...。」
シンイチ「よし、この部屋から出てどこに向かっているか、辿ってみよう。」
七人は武器庫の外に続いている足跡を辿って、その先にある真実を知るために廊下を歩き始めた...。
...続く。