二次創作小説(紙ほか)

Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.7 )
日時: 2023/11/13 11:08
名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: GNo3f39m)

『第一回狼裁判』
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ユキナリ達七人は、廊下に残っている血の跡を辿っていた。

ユキナリ「...どこまで続いているんでしょう...。」

シンイチ「だいぶたどり続けてるが...まだなのだろうか...。」

チエ「あ、足跡はここに入ってますね...。」

血の跡は、扉の向こうに続いていた。
そこは、トイレ・シャワールームだった。

ジュン「ここはトイレとシャワーと風呂の部屋だったな...。」

ネム「あ、僕わかったかも〜。」

ジュン「ん、なにがだ?」

ネムが何かに気づいたらしい。
五人はネムの言葉に耳を傾けた。

ネム「もしかしたら狼の人はうっかりタケオさんの血溜まりを踏んじゃって、ここで証拠隠滅のために靴の裏についた血を洗い流そうとしたんじゃないかな〜。」

ユウヒ「なるほど...そうかもしれません...。」

ユキナリ「よし...調べるために、入ってみましょう...。」

ユキナリ達はトイレ・シャワールームの扉を開け、調べるために内部に入ろうとした、が...。

トワ「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

チエ「キャーーーーーッ!?」

なんとタイミング悪く、シャワーを浴び終えたばかりのトワが下着を穿いている途中のところに出会してしまった。

ユキナリ「ご、ごめんトワ君...!き、気づかなかった...!」

トワ「い、いいよ別に...ってか早く外出ろよ!人が服着てるとこジロジロ見るな!!」

シンイチ「わ、悪かったね...。」

数分後、トワが服を着終わったため、再びユキナリ達はトイレ・シャワールームに入った。

ジュン「で、お前はどうしてシャワーを浴びていたんだ?」

トワ「あぁ、ちょっと今の状況に不安が募ってきてね...。」

チエ「す、すみません...覗くつもりはなかったんです...。」

トワ「もう気にしてないよ。」

ユキナリ「(うーん...血の足跡を辿って着いた先がトイレ・シャワールーム...そしてそこでトワ君がシャワーを浴びていた...。もしかして...トワ君が狼...?でも、証拠がこれだけじゃまだ確証は持てないな...。)」

と、その時...。

メリー「12時間経ちましたので、狼裁判を行います...!参加者の皆さんは集まってください...!」

ユキナリ「(い、いよいよか...でも、まだ証拠が足りない...。なんとか乗り切るしかないか...。)」

そして生存者は皆、狼裁判が行われる法廷のような場所に集まった。

メリー「そ、それではみなさん!全員揃いましたね?い、今から狼裁判を開廷いたします...!」

コウ「本当にやるんだな...。」

オサム「今は、従うしかありません...。」

メイ「もう...電気はイヤ...。」

当然生存者は皆乗り気ではないが、気にせずメリーは続けた。

メリー「お、狼裁判ではみなさんに狼が誰なのかを推理してもらいます...!そして、狼を一人選んで処刑してください!」

スミレ「ということは、今から確実に誰か一人が●ぬということですね...。」

コタロウ「マジっすか...。」

メリー「その通りです!そして、見事狼を処刑できれば脱出への扉が開かれます!みなさんの名推理を期待しますよ!それでは第一回狼裁判の開廷です!」

第一回狼裁判、開廷...!

タツヤ「まずは、状況を整理しよう。」

アスナ「確か昨日の夜、武器庫でタケオさんが血を流して●亡しているのが発見されたよね。」

シンイチ「私が遺体を詳しく調べたところ、●因は首を後ろから刃物のような物で、刺されたことによる出血多量で間違いないだろう。」

ユウト「そして、武器庫を見張ってた残りの三人が容疑者の名に挙がってたよね...。」

ダイゴ「だ、だから俺たちじゃねぇって...!!」

リツ「そーやってムキになってるのがより怪しーな?」

確かにダイゴ達は犯行をしていない。
だが、本人達とユキナリ、チエ、ネム以外は事情を知らないため、なおも一蹴した。
すると、三人のアリバイを把握しているユキナリが割って入った。

ユキナリ「そ、そのことなんだけど...ダイゴさん達は、狼じゃありません...。」

ショウマ「はぁ?ユキナリ君何言ってんだ...?」

アオリ「三人が狼でないと証明できるものはあるの...?」

ユキナリ「はい...実は俺、三人から当時の状況を聞きました。」

四人で武器庫を見張ってた時、ユウヒが玩具のゴキブリに驚いて一目散に逃げて行き、その後をカレンが追いかけたこと、そして、ダイゴが体調を崩してトイレに駆け込み、三人が戻ってくるまでタケオが一人で見張っていた時に狼に襲われた可能性があること、それら全てをユキナリは皆に証言した。

リンタロウ「なるほど...それが本当なら、三人がタケオさんを襲うなんてできないね♪」

ミサキ「でも、それだけじゃ狼はまだわからへんな...。」

ジュン「それなら、かなり有力な証拠がある。」

カズサ「有力な証拠?」

ジュン「ああ、実は現場には血でできた足跡が残されていてな、それが現場の外に続いていて、それを辿った先にトイレ・シャワールームがあった。」

ネム「狼の人はうっかり血で足跡を作っちゃって、靴の裏についた血を洗い流すために、シャワールームに行った可能性があるんだ〜。」

オサム「なるほど...確かにかなり有力ですね...。」

ユキナリ「そして...俺たちがたどり着いたシャワールームには、トワ君がいたんだ...。」

ミホ「じゃあ、狼はトワ君ってこと...?」

トワ「はぁ!?ち、違うよ!!」

トワはあらぬ誤解をかけられたため、必死に否定するが皆の目つきは変わらない。

タクヤ「だったら、お前じゃないって証拠はあるのか...?」

トワ「えっ...。」

タクヤにそう聞かれたトワは言葉を失った。

マキ「トワ君、どうなの...?」

トワ「証拠は...ない...。」

サトル「ないなら...狼は君かもしれないね...。」

トワ「ち、違うってば...!!」

トワは皆に問い詰められ、次第に涙目になっていった。

ユキナリ「(...本当に、狼はトワ君なのかな...?)」

ユキナリは心の中でそう呟くと、記憶の中に見逃しているものはないか探し始めた。
そして、それを見つけたようだ。

ユキナリ「...いや、トワ君は狼じゃないかもしれない...。」

コウ「ほう...ならばそれを証明してみせろ。」

ユキナリ「はい...。トワ君、靴を片方だけでいいから、貸してもらえないかな...?」

トワ「...俺の無実が証明できるなら...。」

ユキナリ「ありがとう...。」

ユキナリは、トワから借りた靴をまじまじと観察し始めた。

ユキナリ「...やっぱり...そうだったんだ...。」

メイ「どういうこと...?」

ユキナリ「トワ君はやっぱり狼じゃない...!」

コタロウ「説明してくださいっす...。」

ユキナリ「実は念の為、足跡を写真に撮っていたんですが...よく見てみてください。」

皆が写真とトワの靴を見比べると、あることが判明した。

リンタロウ「トワ君の靴の裏と写真の足跡、全然違うね♪」

ジュン「本当だ...それに、俺たちが足跡を初めて見つけた時、たまたまトワがシャワーを浴びてた可能性もあるが...。」

ヒロム「なら、トワは狼じゃないか...だが結局、狼はまだわからないままだな...。」

ユウヒ「そういえばユキナリさん...現場で名刺入れを拾ったんでしたよね...?」

ユキナリ「そういえば...。」

ユウヒにそう聞かれたユキナリは現場で拾った名刺入れを取り出した。

ユキナリ「あの、現場にはこれが落ちていて...。」

ヒロシ「ああっ!それ、僕の名刺入れです!」

ユキナリ「ヒロシさんのだったんだ...。」

ヒロシ「いやー、ありがとうございます!」

ユキナリ「ど、どういたしま...。」

コウ「ちょっと待て。」

ヒロシがユキナリが拾った名刺入れを受け取ろうとしたが、それをコウが静止した。

コウ「ヒロシさん...なぜあんたの名刺入れが現場に落ちていたんだ?」

ヒロシ「えっ!?な、なぜって...。み、みんなで現場を見た時に落としてしまったんだと思います...!」

スミレ「あの...ヒロシさんって現場を廊下の方から眺めて、そのまま別の部屋に行ったんじゃ...?」

ヒロシ「えっ!?そ、そうでしたっけ...?」

ヒロシの発言に若干の焦りが見えてきていた。

メイ「あれ...?」

ユキナリ「ん、メイさんどうしたの...?」

メイ「ヒロシさんの...ズボンのポッケ...。」

ヒロシ「え?」

メイの指摘通り皆がヒロシのズボンのポケットを見ると、妙な膨らみがあった。

チエ「な、なんでしょう...妙に膨らんでいますね...。」

メイ「中身...見せて...。」

ヒロシ「え、えっと...。」

ユウト「まどろっこしいから無理やり見ちゃえば...?」

ショウマ「だな。ヒロシさん、ちょっと失礼するぞ。」

ヒロシ「あっ...!ちょ、ダメ...!」

ショウマとタクヤが無理やりポケットから取り出すと、とんでもない物が出てきた。

ダイゴ「これは...サバイバルナイフ!しかも血がついてるぞ...!」

カレン「こっちは玩具のゴキブリ...。」

ユウヒ「あっ...!それ、僕が武器庫で見たのと同じです...!」

シンイチ「ふむ...一気に疑惑が傾いたな。」

ヒロシ「ち、違うんです...!あっ、きっと僕がシャワーを浴びてる時に狼がズボンのポケットに忍ばせたんですよ...!それで、僕に疑惑が向くように、その時に名刺入れを持ち出して現場に置いていったんだと思います...!」

ヒロシは必死に自分の考えを訴えるが、まるで信じてもらえていない雰囲気だった。

リツ「うわ、見苦しー。」

ヒロシ「じ、じゃあ逆に聞きますけど...?それだけじゃ僕が狼なんて断定できませんよね...?」

スミレ「どういうことですか...?」

ヒロシ「だって、ダイゴさん達に急用ができて場所を離れたってタケオさんが残ってるんですよ?そしたらどうやってサバイバルナイフを手に入れるんですかね...?」

チエ「あ、それなら...。」

ヒロシが必死に抵抗するが、チエは思い出したかのように食べ物の入ったビニール袋を取り出した。

チエ「これ、現場に落ちてたんですけど...。」

マキ「あら、食べかけの食べ物がいっぱいね。」

チエ「私が思うに...ヒロシさんは差し入れとしてこれをタケオさんに渡して、食べ物に注意を惹きつけている間にサバイバルナイフを手に入れて...そのままタケオさんを襲ったんだと思います...。」

コタロウ「なるほど...可能性大っすね...。」

チエの推理にヒロシ以外は納得していた。

ヒロシ「...い、いい加減にしろよテメェら...!!!」

リツ「うわっ!ぎ、逆ギレだ!」

トワ「こ、怖い...!」

すると、途端にヒロシが態度を一変させ、声を張り上げた。

ヒロシ「さっきから一方的に俺が狼って決めつけやがって...!!そんな方法、誰だって思いつくんじゃねぇのかよ...!?えぇ!?」

ネム「むぅ〜、確かに。これなら僕でもできるしね〜。あっ、そういえば...。」

すると、ネムも思い出したかのようにポケットから何かを取り出した。

ネム「病室にこんなのが落ちてた〜。」

サトル「ふむ...これは下剤のようだね...。おや...しかもいくつか使ってある形跡が...。」

ダイゴ「あっ!もしかして...!」

ダイゴが何かに気づいたようだ。

ダイゴ「ヒロシさん...あんた、俺のコーヒーに下剤盛っただろ?」

ヒロシ「!!ななななな、なんのことだよ...!?」

ミサキ「どういうことなん...?」

ダイゴ「俺とタケオさんで見張ってた時間があったって言ったよな、その時にヒロシさんが俺たちにコーヒーを差し入れに来たんだ。」

ヒロシ「!!」

ダイゴ「ゲームが始まってからコーヒーしか飲んでない俺が、いきなり腹壊すなんておかしいと思ったぜ。でも、下剤入りコーヒーを飲ますのはどっちでも良かったんだよな?そして、残ったもう片方に時間差で食べ物を差し入れて、その間に武器を手に入れて、流れで奇襲を図った...だよな?」

ユウヒ「じゃあ、ゴキブリで僕を脅かしたのも...!」

カレン「見張り組を分散させるための作戦だったんだな...。」

ヒロシ「!!!!!」

三人の推理はピタリだったようで、ヒロシはかなり動揺した。

ユキナリ「じゃあ、やっぱり狼はヒロシさんなんだね...。」

ヒロシ「ち、違います...僕じゃありません...!信じてください...!!!」

ヒロム「もう諦めろ。狼はあんたで間違いない。」

ヒロムの言葉にヒロシ以外が頷く中、メリーが場を仕切り始めた。

メリー「そ、それではみなさん...今回の処刑対象は"三浦ヒロシ"でいいですか?」

ユキナリ「はい...。」

シンイチ「異論はないよ。」

カレン「異議なし...。」

ヒロシ「そ、そんな...!み、ミホさん!!あなた弁護士なんでしょ!?ここ法廷なんだから僕の弁護をしてくださいよ...!」

ミホ「...ごめんなさい...。」

ヒロシ「......!」

ミホに拒否されたヒロシは、顔色を変えて絶望した。

リツ「都合のいいやつだな...。」

ウルフ「それでは、これより三浦ヒロシの処刑を行う...。」

メリー「サラリーマンのヒロシさんには、サラリーマンらしい処刑法を用意したので、ぜひ楽しんでください!」

ヒロシ「た、楽しめるかぁぁぁぁぁぁっ!!」

ヒロシは抵抗虚しく、メリーとウルフに処刑場へと無理やり連れて行かれた。

メリー「それでは、処刑を開始します!」

ヒロシ「い、いやだぁぁぁぁぁぁぁ...!!やめてくれぇぇぇぇぇぇ!!」


『それでは処刑を始めます』


ヒロシは胴体と足をイスに縛り付けられ、立つことができない状態にされた。

そして、彼の目の前にある机に仕事で使われるような資料が山積みになっている。

『仕事を全て終えたら生き残れるぞ』

ウルフにそう唆されたヒロシは、助かるために無我夢中で仕事をこなし始めた。

ヒロシは目の前にある資料を全て片付け、ホッとした束の間...。
彼の机に、新たな仕事の資料が追加された。

『......!?』

そう、ウルフは机の上にある資料で全てとは一言とも言っていない。
ヒロシは動揺しつつ再び無我夢中で仕事をこなし始めるも、今度は仕事の途中で次々と資料が追加されていった。
...やがて、上の方の資料がもはや見えないほど、いつのまにか山積みになっていた。

『う、うわぁぁぁぁぁぁっ...!!」

すると、積み上げられすぎた資料がバランスを崩し、バサバサとヒロシに向かって落ちていった。
ヒロシは数え切れない資料の山に押しつぶされ、窒息して息絶えた...。

『処刑完了』

小島タケオ・狼の犯行により●亡
三浦ヒロシ・処刑により●亡

生存者・残り28/30人

...続く。