二次創作小説(紙ほか)
- Re: 狼ゲーム アナザーストーリー ( No.8 )
- 日時: 2023/11/14 19:10
- 名前: プリズム ◆59OUQ9cTJw (ID: S6dv/qbT)
『Another side Ep.1』
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ヒロシの処刑の瞬間を目の当たりにした生存者は皆、顔を青ざめて立ち尽くしていた。
ユキナリ「ほ、本当に処刑されちゃった...。」
アスナ「...地味だけど、結構エグかったね...。」
ウルフ「お前たちに人の命を心配してる暇はないぞ。今から、処刑された人間が本当に狼だったのか答え合わせだ。」
リツ「そういやそうだったな...。」
ウルフ「もし正解なら脱出の扉が開く。」
メリー「それでは皆さん!心の準備はいいですか?」
もし不正解だったなら、無実の羊を無駄●にさせたことになる...。
名状し難い何かが生存者全員を襲いつつ、緊張の結果発表が始まる...。
メリー「それでは、答え合わせスタートです!」
『狼か、羊か?』
スポットライトがメリーとウルフに交互に当たりながら、生存者に焦らしと緊張を与えていく。
そして、スポットライトが止まったのは...
ウルフだった。
メリー「お見事!正解です!皆さんの推理通り、三浦ヒロシが狼でした!」
正解だったことにメリーが賞賛しつつ、ヒロシの犯行の全てを生存者に説明した。
メリー「彼は武器を手に入れるため、武器庫に狙いをつけたのですが...見張りが厳重だったためまずは見張りを減らそうと企てました...たまたま持っていたジョークグッズのゴキブリの玩具を利用し...立花ユウヒと黒橋カレンを武器庫から遠ざけました...。」
カレン「今でも疑問なんだが...本当になんで、たまたまゴキブリの玩具を持っていたんだ...。」
コウ「永遠の謎だな...。」
メリー「そして、王生ダイゴと小島タケオの二人だけになったところに、片方は普通のコーヒー、もう片方は下剤入りのコーヒーを差し入れに持って行きました...。」
ダイゴ「あっぶねぇ...!下剤入りを飲んだのがタケオさんの方だったら、俺が●んでたかもしれねぇのか...。」
メリー「そして小島タケオ一人だけになったところに、注意を惹きつけるべく...しばらく経った後に食べ物を差し入れとして持って行き...小島タケオが食べるのに夢中になっている間にサバイバルナイフを手に入れ...そのまま小島タケオを●害した...これが、今回の●害の全容ですね...。」
マキ「それにしても連続で差し入れに来たのに、よく怪しまなかったわね...。」
シンイチ「タケオもタケオで、よくもまああっさりと引っかかったもんだな...。」
メイ「...ヒロシさん...本当に処刑されちゃったんでしょ...?」
トワ「これ...俺たちが●したようなものなの...?」
周りがタケオの悲惨ながらもマヌケな最期に呆れる中、ヒロシを処刑した罪悪感でメイとトワは泣きながら震えた声でそう言った。
ユキナリ「な、泣かないで...メイさん、トワ君...。」
チエ「そ、そうですよ...あの人もタケオさんの事を●してたから、自業自得ですよ...。」
ヒロム「...どちらにせよ、もう後戻りはできんな...。」
全員の表情に、緊張と不安が広がる...。
ユキナリ「...とにかく、俺たちの推理は正しかった。ということは...脱出の扉が開くんだよね?」
ウルフ「その通りだ。狼の処刑に成功したため、脱出の扉が開く。」
メリー「それではいきますよ!オープンザ!ドア!」
『ギィィィ...』
生存者は皆開いた扉の先に導かれ、脱出に成功した...。
...かのように思われたが...。
ユキナリ「!?こ、ここは...。」
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一方、その頃...。
『警視庁・捜査第一課』
『ガチャ...』
ソウシロウ「おはよう♪」
ツバキ「おはようございます、警部。」
カイト「おはようございます...。」
コトハ「おはようございます!」
ここは、東京都の警視庁捜査第一課の部屋。
緩やかな表情をした警部の『神崎ソウシロウ』と、彼と同じ警部である生真面目な『一条ツバキ』と彼らの部下である表情が厳つい『鳳凰カイト』、そして同じく元気のいい『榎本コトハ』が課の一員として勤めている。
ソウシロウ「さぁて♪今日はどのお菓子を食べようかな〜♪」
カイト「いや、たった今出勤したばっかじゃないっすか...。」
ソウシロウが出勤して早々お菓子の入っている机の引き出しを漁り始めたため、カイトはツッコんだ。
ソウシロウ「あっ、マカロン発見♪いただきま〜す♪う〜ん、美味しい♪」
ツバキ「警部、またお菓子ばっかり食べて...。」
コトハ「しょうがないですよ、お菓子は美味しいですもん♪」
ソウシロウ「そうそう♪」
マカロンを食べてご機嫌なソウシロウはコトハに笑顔で賛同した。
カイト「はあ...マジでソウシロウさんの下で警察を続けられる自信がねぇっすわ...。」
ツバキ「...気持ちはわかる...。だが、そのうち慣れるさ...。」
カイトはソウシロウの貫禄の欠片もない姿にガックリと肩を落とし、ツバキは彼の肩にポンと手を置いて励ました。
と、その時だった...。
エレナ「お、お巡りさん...!助けてください...!!」
刑事「ち、ちょっと君!勝手に入ってはダメだよ!」
課の部屋の扉がバンと勢いよく開いて外国人らしき女性の『三浦エレナ』と、彼女を追いかけてきた刑事が入ってきた。
ツバキ「お、落ち着いてください...どうかされましたか...?」
エレナ「お、夫が...夫が帰って来ないんです...!!」
ソウシロウ「まあまあ、落ち着いてください...ゆっくりでいいので、詳しくお聞かせください。」
数分後、ようやく落ち着きを取り戻したエレナは事情を話し始めた。
彼女の夫は『三浦ヒロシ』...狼ゲームで最初に処刑された参加者であった。
エレナ「あ、私の名前がまだでしたね...。私、『三浦ヒロシ』の妻の三浦エレナと申します...。」
ソウシロウ「ではエレナさん...。旦那さんがいつから帰ってきていないのか教えてください...。」
エレナ「は、はい...夫が帰ってこなかったのは昨夜で...昨日の朝は普通に会社へ出勤する夫を見送ったんですが...いつもの帰宅時間に帰ってこなくて...残業かバスの走る道が混んでいるかと思って、しばらく待っていたんです...。」
ソウシロウ「なるほど...それで...?」
エレナ「それで...夜中の9時を回っても帰ってこなかったので、夫の勤める会社に問い合わせたんですが...上司の方から既に定時で退勤したと...それで、私は先に寝て待っていたんですが...今朝になっても帰ってなくて...不安になってしまったんです...。」
ソウシロウ「なるほど...よくわかりました...。」
エレナ「ま、まさか...夫は何か事件に巻き込まれたんじゃ...!!」
コトハ「お、落ち着いてください...!」
頭を抱えて慟哭するエレナをコトハは必死に宥めた。
エレナ「もし夫の身に何かあったら...私...私...!」
ソウシロウ「エレナさん...旦那さんは必ず見つけ出して保護します。なので、我々捜査第一課に任せてください。」
エレナ「...は、はい...お願いします...!」
エレナはソウシロウからその言葉を聞くと、安心して緊張の糸が切れたように身体をグッタリとさせた。
カイト「...ソウシロウさん...もしかしたら、今俺たちが調査してる大量行方不明事件と、何か関係があるかもしれません...。」
ソウシロウ「僕もそう思うよ...。」
ツバキ「この短期間で27人もの行方不明者が出ている...やはり普通じゃ考えられないですね...。」
ソウシロウ「よし、今日から本格的に行方不明者に近しい人や場所を捜査してみようか...。」
三人「はい...。」
刑事四人は只事ではないこの事件の捜査を始めることにした...。
...続く。
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第1章・完