第10話何を渡されたのかと手元を見ると、1枚のお札だった。おそらく、人間界で言われている“いちまんえん”というものだろう。なぜ渡されたか分からず、渡された“いちまんえん”をぼうっと眺めていると、「それを受け取ったからには、明日から確り働いてもらうよ」そう言って、中年親父……かつのり社長は、僕に向かって笑いかけてきた。……働く?僕が?実感こそ湧かなかったが、胸の奥に小さいけれど暖かな光が差し込んだような気がした。