二次創作小説(紙ほか)

Re: 〜 徒然Diary 〜 ( No.17 )
日時: 2025/06/16 12:52
名前: ねずみかちょー。 ◆qvdBsJ.aJU (ID: b92MFW9H)

第16話

翌朝のこと、外で野鳥が鳴いている声で目が覚めてしまった。

寝ぼけ眼で布団を畳んでいると、いつの間にかキツネ目男…長田(おさだ)が傍に立っていた。

足音も立てずにどうやって来たんだ…!

僕が声も出せずに戸惑っていると、長田は感情のこもっていない平坦な声でこう告げた。

「朝食をお持ちしました」

言われるまま、板張りの床に腰を下ろし、改めて出された朝食とやらを眺める。
秋刀魚(サンマ)の姿焼き、ワカメと油揚げの味噌汁、やけに薄っぺらい沢庵(たくあん)、茶碗にこんもりと盛られた白米…
昔ながらの日本の朝飯、って感じだ。

僕は、並んでいる食べ物に手をつける前に胸の前で手を合わせ、「いただきます」と呟く。
これは、遠い故郷の母ちゃんから教わった作法だ。貧乏で、日々の食べるものにも困る事もあるくらいだったが、時折食べ物にありつけると、母ちゃんは決まって「食べられることに感謝しなさい」と言って、僕にこの作法を真似させたものだ。
それが今も染み付いているから、食事の前はこうすることに決めている。