二次創作小説(紙ほか)
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- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー
- 日時: 2013/12/27 17:00
- 名前: 牙鬼 悠登 (ID: 3UNlfhyM)
こんにちは、牙鬼というものです。この小説は、こちらの妄想で書いており、所々文が変かもしれませんが、感想、批評、訂正などございましたら、是非お願いします。
RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー
ープロローグー
始まりは、1つの世界と1人の神様のみしかいなかった。いつの日か、そのものは何も
なかった大地の世界に生命を生み出した。それからは時に生命に大地の恵みを与え、時に
神罰を称した災害を起こした。
そんな彼はあるとき、1つの考えを出した。
『生命に、神の力を分け与えてみよう』
彼は、自らの力を生命に与えた。
こうして新たなる感覚ー「想像」は生まれた。生命は頭脳を使ううちに頭が良くなり、
その進化した者たちの中から人類は生まれた。
人々は誰も見たことない世界や生き物、更には新たな種族までも頭の中に作っていき、
この空想は交差しない現実となっていった。それぞれは「異世界(パラレルワールド)」
と呼ばれるようになり、人々はその中でそれぞれの日々を続けていた。
しかしある日のこと、ある1つの世界が消えた。原因は戦争による自滅だった。神は人
々の愚かしさを感じた。
『人というものはいつか過ちを犯す。それは自らを壊してしまい、この世界ではそれが大
きくなってしまったのであろう。その結果がこの有様であり、これはきっとどこかで同じ
ことを繰り返さないための教訓となるだろう』
神は自らに残る力を使い、世界中に警告をした。
だがそれからというもの、1つまた1つと世界が消えていった。その原因は様々で病気
もあれば超災害、終焉と凄まじい早さで世界の消滅は続き、ついに100兆を超えていた
異世界は、2年でたった40個ほどにまで減ってしまった。
神はそのあまりにも速い滅びのスピードに、愕然とした。
『何故、ここまで世界達がこのように無残に消えているのだ?』
神はその理由を探るべく、とある1つの世界に降りた。ちょうどいま恐ろしい嵐が人々
を襲い、絶望のどん底に落ちそうになっていた世界であった。
しかし、遅かった。そこはもう廃墟と化し、草木は死に絶えていた。その光景に神はひ
どく落ち込み、その場に座りこんだ。
すると、どこからか1人の足音がした。
『だれかいるのか!?』
神は生き残っていた者の姿を見ようと後ろを向いた。
そこにいたのは、20代位の顔立ちの男で、影のように光を移さぬ黒い帽子をかぶり、
同じような黒いマントを羽織っていた。その男の目は血よりも冷酷かつ、なおかつ恐ろし
げな赤色で、神は腰を抜かした。
「こんにちは、神よ。私は冥府の神、ハデス」
その名を聞き、神ははっとした。
『お前か、私の大切な世界達を滅ぼしているのは?なぜこのようなことをする?』
ハデスは鼻で笑って分かりきったような顔をした。
「何故って?単なる私の趣味ですよ。彼らのあの恐怖に落ちた顔、何も出来ずに絶望して
いるその哀れようが面白いのでしてね」
ハデスがクス笑いしていると、神は激怒した。このような卑劣な者の暇つぶしで沢山の
異世界を壊されたのか。
神はその怒りをぶつけるようにその手に雷を生み出し、目の前の卑劣な男に放った。し
かし、ハデスの体が煙のように消え、雷は空を切り、遥か彼方にあった山々を一瞬で灰に
してしまった。後にはハデスの姿はなかったが、狂った笑い声が響き渡った。
そこで神は悟った。
『ハデスを止めるには、私の今ある力だけでは足りない。人々に与えた神の力が必要だ。
そのためには異世界を超え、全てを統率する者が必要になる。探さねば』
神はその大地に拳を当てると大地は砕け、みるみるうちに4つの武器へと変わった。
『この武器に、異世界の力をまとめる最強の力を与えておこう。その力が異世界全ての理
をも崩し、神をも超える力となるために・・・』
そして神はそれらを天に投げると、謎の空間の入口が開きその中に消えていった。
4つの武器はある1つの世界めがけ、導かれるように光のように飛んでいった。
- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー ( No.1 )
- 日時: 2013/12/27 17:07
- 名前: 牙鬼 悠太 (ID: 3UNlfhyM)
ー1、運命の日(旅たちの日)ー
「行ってきまーす」
5月、俺も高校2年になった。今日もいい天気でなによりだ。
俺の名は、海原智志(うなばら さとし)。剣道部の主力部員だ。実力はというと、こ
の前の全国剣道大会で3位に入ったほどだ。江戸時代から何年も守ってきた家に父と母の
3人で住んでいる。
父は俺の剣道の師範で、元世界に名を轟かせたこともあった選手だった。その父の血が
あったからこそ、俺はここまで強くなれたんだ。そんな父を俺は尊敬したい。
「海原君、おはよー」
後ろから声をかけられて、俺は声のかかった方を向いた。
「あ、おはよう。ハル」
彼女は幼なじみの旭泉晴香(ひいずみ はるか)。とても可愛いと評判で、学校でいろ
んな男子から声をかけられているらしい。俺は気楽に「ハル」と読んでいる。まあ、昔か
らそう呼んでいるし。
「あれ?真斗と麗さんは? いつも隣ん家だから、一緒に来るはずだろ?」
「そうなんだけど、今日は麗さんが忙しいようなので、遅れてくるらしいの」
「へえ、そうなんだ」
「まあ、そのおかげで2人きりになれたから・・・すこしうれしい、かな?」
ん?何か言ったようだが・・・、まあ、いいか。
真斗と麗さんは俺達の昔ながらの友である兄弟で、弟の西蓮寺真斗(さいれんじ まさ
と)とその姉、西蓮寺麗(さいれんじ れい)の2人ことだ。
それなら真斗1人ででも来ればいいのに、なんでだ?とそう考えていると、後ろから聞
きなれた声がした。
「おーい、サト兄、ハル姉。おはよー」
その声は紛れもなく、真斗の物であった。
「おはよー。真斗」
「いやー、姉貴が遅れるから1人で来ちまったよ」
真斗は大のラノベ(つまり表紙や挿絵にアニメ調のイラストを多用している若年層向け
の小説)が大好きかつ、銃の知識もあると言ったいわゆるオタクである。
まあ、コイツはこう話していれば、普通の男子高校生なんだが、「アレ」がなければ・
・・。
ふと真斗が何かに気付いたかのように、向こうにあるバス停を見た。
「どうした?」
そこにいるのは、別の学校の女子高校生3人だけであった。
「サト兄・・・、あそこのB93の姉ちゃんかわいくない?」
俺とハルはそれを聞かれ、二人して落胆した。
そう。コイツは筋金入りのムッツリでもあり、「1回見ただけで女子のスリーサイズを
完璧に当ててみせる」と自称するほどなのだ。全く・・・。どう成長すればこんな変態に
なるんだ?
「真斗!またそんな言うんじゃないの!」
すると、もう麗さんがそこにいた。いつここに来たんだ?
麗さんは、俺の学校の生徒会長で、その美しさ、器用さ、そして発言力から、学校中の
みんなから尊敬されている。
しかも美人で料理は絶品、おまけに合気道などの武術にも長けている。ここまで完璧な
人は、そんじゃそこらにはいないだろう。
「なんだよ。B74、W61、H76の姉貴」
「「「・・・・・・」」」
そうでした。
麗さんの身体はスラリとしたスレンダーな身体で、そのスリーサイズは、この変態弟の
せいで暴露されっぱなしなのでした・・・。
って!麗さん!激怒オーラ出ていますよー!
「この、バカ弟がぁーーー!!」
そう言いながら麗さんが出した左足は、真斗のお腹にめり込み・・・真斗は向かい側の
歩道の壁にめり込んだ。だけど真斗はすぐにめり込んだ顔を引っ張り出し、道路を横切っ
てこっちに戻ってきた。なんちゅう回復力なんだよ・・・。
「ったく、姉貴のツッコミはいつも強すぎなんだよ」
「何よ!乙女心を弄ぶアンタが悪いんでしょうが!」
確かに乙女心を弄ぶ奴、女性を泣かす奴は最低であろう。
「ねえ、海原君、みんな、学校の時間は・・・」
「あっ!やっばい!!あと5分じゃん!!急ごうぜ!」
「うん」
「おうっ!」
「そうね」
これがいつもの登校する時の俺たち4人の日常である。まあ、遅刻はまだしたことない
が。それから学校に着いたのはのは3分後のことだ。
それからはいつもどおりに授業を受け、部活動をして、学校を出たのは6時半すぎだっ
た。
「いやー、今年はまたみんな張り切っているなぁ。俺も頑張るか」
下駄箱から靴を取り出し、校門を出ようとすると、そこにはハルの姿があった。
「どうしたんだ?いつもならもう部活終わって、家で踊りの稽古してる時間だろ?」
ハルの家は、さまざまな古典舞踊の先生をしている父と母がいるんだが、2人共海外に
長期にわたる出張中で、祖母の明美さんがハルのめんどうをみているのだ。明美さんもま
た、古典舞踊がお上手で1度ハルの稽古を見たときは、その見事なまでの上手さに驚いた
ものだ。
「えっとね、今日は、海原くんに話があって・・・」
「話って?」
「この前、駅前に新しく綺麗な喫茶店が出来たのは知っているでしょ?海原くんは部活な
い明後日、そこに行かない?」
「え?いいけど、それなら明日でもいいぞ」
「え!?明日って土曜日でしょ?剣道部は?」
「今日、顧問に『お前は十分強いし、明日は俺1人でも出来るから、少し休みでも取りな
さい』って言われてさ」
「そ、そうなんだ・・・」
「そっちは何か明日用事でもあるの?」
「ううん!何もないよ!それじゃあ、明日の10時いつものバス停で」
「お、おう・・・」
何か顔赤かったが、ハル熱でもあるのか?
それから俺は薄暗い空の中、我が家に帰ってきた。
「ただいまぁ」
「おう。お帰り、智志」
家に帰ると俺の父である海原慎吾(うなばら しんご)が、新聞を見ながら俺を迎え
てくれた。
「父さん、明日は部活ないんだけどちょっと外出するわ」
すると、父さんが何かを察したような顔をしながら、こっちを向いた。
「え?土曜は部活ではなかったか?」
「訳あって来なくてもいいとよ。だから、ハル・・・旭泉さんと駅前までね」
それを聞いた父さんは少しニヤッとした顔をした。一体何だ?
「ほほう、ついにお前も女とデートするようになったか」
「と、父さん!デートって言い過ぎだよ!」
いきなりそう言われ、俺の心の中にモヤモヤした気持ちがうずまき始めた。何なんだ、
こんな感情!さっぱり分からん!
もちろん、この会話は台所にいた母にも聞こえているわけで・・・。
「あらあら、智志にも彼女が出来たの?母さん嬉しいわ」
「ちょっ、母さんまでなにいってるんだよ!ハルは俺の幼なじみであって、彼女じゃない
だってば!」
「じゃあ、なんで駅前まで2人きりで行くんだ?」
「え?そりゃハル、じゃなくて旭泉さんが誘ってくれたから」
「智志・・・、お前かなりの唐変木だな。そこんとこ気づけよな」
は?どういうことだよ?
そんな話をしながら、俺は一晩中モヤモヤしながら寝ることになった。このモヤモヤし
た気持ちはいったい何なんだ?
旭泉家では、三味線の奏でる曲に合わせ、晴香が優雅に舞をしていた。着物という動き
づらい格好をしているのだが、まるでその動きは風に舞う桜の花びらのようだった。
「やっぱり、お母さんに似て上達が早いわぁ。その内、大きな舞台でも踊れるかもね」
「そ、そうかな?」
晴香はこういった褒め言葉とっても恥ずかしい。
「そういえば、明日はどうするの?」
ボッ!突然、晴香の顔が桜のように真っ赤になり、恥ずかしがっているのが見え見えに
なっていた。
「じ、実は、海原君と2人で駅前に行く約束をしたの」
「まあ・・・」
それを聞いた明美さんは、目をぱっちり開け、喜んだ。
「ついに晴香も告白する勇気が芽生えたのね」
「なっ!?」
それを聞き、さらに晴香の顔は真っ赤になった。
「まあね。昔っからハルちゃん、智志君の隣にいつもいたからね。そりゃあ、好きになっ
てもおかしくないわねぇ。で、智志君の方はどうなの?もしかして、両思い?焼けるわね
ぇ〜」
「わ、私お風呂入るね」
「あらあら、デートのために早めに寝るのかしら?」
晴香はもうここまで言われ、顔のほてりは限界になっていた。
(おばあちゃん、ああ言ってくれるのはいいけど、これじゃあ恥ずかしくて寝られないよ
ぅ)
こうして晴香はお風呂に入った後布団の中に潜ったが、なかなか寝られなかった。
- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー ( No.2 )
- 日時: 2013/12/27 17:20
- 名前: 牙鬼 悠太 (ID: 3UNlfhyM)
「もうすぐ10時か・・・。ハル、まだかなぁ?」
そう言いながら、俺は昨日父さんに言われたことを思い出した。
(お、俺はまだ女の子と付き合うなんて考えてないのに・・・)
すると向こうから、ハルの姿が見えた。そして俺は一瞬・・・、見とれてしまった。ハ
ルの格好は水色の水玉模様のワンピースに白い上着といった女の子らしい格好で、その頬
の赤みと対比してとても綺麗だった。
「お待たせ・・・」
「お、おう。その服可愛いな」
「あ、ありがとう」
その頬は、さらに真っ赤に染まっていた。そういえば、ハルはよく女の子らしいことを
褒めると、こういうふうに恥ずかしがっていたっけ。
「じ、じゃあ行くか」
「そ、そうね」
そうして俺たちは横になった歩き出した。
その後ろに小柄な追手がいるのに気づかずに・・・。
「フフフ・・・。イイ感じイイ感じ♪」
追手の正体は真斗だった。実は昨日のうちに、2人が約束をしたことを知っていて、智
志が家を出てからこっそり尾行していたのである。
「全く、2人とも恥ずかしがり屋なんだから。手ぐらい繋げばいいのになぁ・・・」
「何しているのよ、真斗」
(ギクッ。この声は・・・)
ゆっくりと顔を後ろに向けるとそこにいたのは・・・、
「あ、姉貴!!」
「全く、いい年して何尾行なんかしているの?」
麗さんの言っていることは事実だ。だが、真斗は動じなかった。
「そういう姉貴も2人の後追っていたくせに。僕は知ってるんだぜ。このデートは、姉貴
が企てたものだってことぐらいね」
「うぐっ」
そう言われ、麗さんも流石に言葉を返せなかった。生徒会長の力を使って、海原智志を1
日フリーにさせ、更には駅前の喫茶店の予約までしているのは、全て麗さんが用意したも
のなのだったからだ。
「だ、だって・・・晴香ちゃんって昔っから智志くんに好意向けているのに、更なるアタ
ック決めていなかったんだもの。これを機会に、2人の間を縮めて欲しいのよ」
「それもそうだな。にしても・・・」
「ん?」
「ハル姉の胸、去年より5センチほど大きくなってないか?こりゃそのうちDからEに」
ゴキッ(麗さんの鉄拳により、真斗の背骨が外れた音)
「アンタの頭の方がもう少し成長したほうがいいわよ」
「は・・・はい・・・」
自業自得である。
すると、麗さんが何かに気づき、慌てて辺りを見渡した。
「どしたんだ?」
「いえ。何か殺気を感じて・・・」
こうして2人は、尾行を再開した。
そのあとを、何やら不穏な影が横切った。
「じゃあ、カプチーノお願いします」
「俺、エスプレッソとシフォンケーキ」
「かしこまりました」
智志たちが注文すると、店員は注文を書きとめると直ぐに店内に戻っていった。
「それにしてもこのテラス、カップルの客多いな」
「そ、そうだね・・・」
テラスには6つのテーブルがあり、そのうち4つは男女のカップルだ。ある1組は「は
い、あーん」までしている始末だ。見ている方まで恥ずかしくなってしまうものだ。
「おまたせいたしました」
2分も経たないうちに、注文の品が全て出てきた。出来立てなのかシフォンケーキから
はうっすらと湯気か出ている。
「このケーキ、意外と大きいな。2人で食べようぜ」
「そ、そうだね」
そう言いながら、晴香は周りのカップルを羨ましそうに見渡した。
「どうしたんだ?そんなに気になるのか?」
「え?う、うん・・・。きっと、私たちも同じ様に見られてるってこと・・・だよね?」
「あ・・・・・・」
そう言われ、智志はは照れくさくなった。
そんな2人のやり取りを、西園寺兄弟は店内の席からにやにやしながらこっそり覗いて
いた。
「まあ。晴香ちゃん、大胆なこと言ったわね」
「そこで無自覚でも『はい、あーん』ぐらいのサービスでもしちゃえばいいのに」
そんなことを知らずに、智志は心の内で奮闘していた。
(なんか、カップルとして見られるのってすごい恥ずかしいな。俺たち付き合ってないの
に・・・)
「なあ、」
「え?」
「店内の席に移るか?なんかカップルなんて恥ずかしいし」
それを聞いた西園寺兄弟は豪快に椅子から落ちてしまい、立ち上がると2人のところに
ダッシュで向かっていった。
「サト兄、そこはダメだろ!せっかくの雰囲気台無しじゃないか!」
「少しは女の子をエスコートできるようになりなさい!」
「真斗!?」
「麗さんまで!」
「「あ」」
沈黙。うっかり出てきてしまった2人はこのあとの甘い展開を諦め、智志たちの相席に
座ることにした。
「なんで2人がここに?」
「そりゃあ、ここのお茶がうまいから、ラノベ買った帰りに姉貴と寄ったんだよ」
「そ、そうなのよ。ここのアップルティーがお気に入りでね」
そうして2人は合わせてあいそ笑いをした。上手く口裏を合わせて切りぬける2人のコ
ンビネーションは、流石兄弟である。
「面白いご兄弟てすね」
すると、いきなり声をかけられ、4人は一斉にそちらを向いた。そこにいたのは、光す
ら移さないような黒い帽子をかぶり、同じような黒いマントを羽織った20代位の姿の男
だった。
「あの、どちらさ」
すると突然、智志の言葉より早く、麗さんが動いた。
「あなた、さっき私たちの事見ていた奴ね?何者?」
そう聞かれた男は驚きもせず、苦笑したと思うと狂った様に笑い始めた。
「これは失礼。では率直に」
すると男は右手をマントから出したかとおもうと、その手に何やら奇妙な円形の模様が
浮かび上がり・・・、
「海原智志、消えてください」
突如青い炎が智志に向かって飛んできた。
「危ない!!」
麗さんが突然智志に覆いかぶさってきて、智志を守ったが、炎は麗さんの背中に直撃し
てしまった。
「「麗さん!!」」
「姉貴!!」
麗さんは背中を炎に焼かれ、苦しみはじめた。それを見ていた店内にいた人々は悲鳴を
上げ、騒然と化した。しかし、その黒ずくめの男はまた狂った様に笑っていた。
「アハハハハ!やはり自分を盾にしたか!やっぱり人間は愚かですねぇ」
俺と真斗は払いながらやっとのことで炎を消したが、麗さんの体は焼きただれて、何と
も言えない異臭がした。
「よくも麗さんにこんなことを!」
俺は無我夢中でそいつに襲い掛かったが、男は簡単に避けたかと思うと今度は空にその
右手をかざした。
「さあ、地獄変の幕開けです!」
すると今度は、巨大な円が曇った空に浮かび、いくつもの青い炎が街中に降り注いだ。
周りで悲鳴が聞こえ、どこからか生き物の焼ける匂いまでしてきた。
「もうやめろ!やめるんだ!」
それを聞き、男は智志の方をその赤い目で見てきた。
「いいでしょう。まあ、この世界も終わらせようとしていたので」
するとこんどは智志、ハル、真斗の下に円ができたと思うと、そこから血に染まった鎖
が何本も出てきて、智志たちの動きを封じた。
「これは!?」
すると、男はニヤリと笑うと、今度はマントに隠した左手を出してきた。その腕は人の
腕とは思えない異様な形だった。血に染まったような黒い色をした鎧のような表面、刻み
込まれた見たことのない文字、そして鋭く尖った指先はまるで呪われた物のようだった。
「さて、解体ショーと行きますか」
男はこの時を待ちわびていたかのように笑い、左手から伸びたような紫色の刃で・・・
智志の左腕を肘から切り落した。
「「「「!?」」」」
俺は目の前のことが信じられなかった。ぼとりと落ちる俺の左手、男の嬉しそうな狂っ
た笑い顔、噴水の水のように溢れる俺の血、驚きを隠せないようにみるハルたちの顔が、
俺の視界に刻まれた。
「ああああああああああ!!!」
体を動かせないまま、俺は流れ出る血を見ていることしか出来なかった。
「どうです?死ぬ前に無残に切られたお味は?じゃあ、今度は友達が死んで行くところで
も見てみますか?」
そう言いながら、男はハルの体を持ち上げた。
「「!?」」
「い、いや・・・いやーーー!!!」
ハルがどんなに叫ぼうと男の腕は緩みもせず、狂った笑い声を響かせるだけだった。
「やめろーーー!!!ハルに、俺の友達に手を出すなぁ!!!」
だが、男の左腕はゆっくりとハルの心臓に近づいていった。
このままではハルは・・・
「やめろーーーーーー!!!」
俺の心が限界になった時、不思議な現象が起きた。
ハルの体が消えたのだ。
「「「「!?」」」」
次に麗さん、真斗、そして俺とまるで瞬間移動したかのように消え、それと同時に俺の
記憶もそこで一度途絶えた。
- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー ( No.3 )
- 日時: 2013/12/27 17:56
- 名前: 牙鬼 悠太 (ID: 3UNlfhyM)
「クソッ!彼らはどこへ!?」
男ーハデスは4人を見失い、辺りを見渡した。だが彼らの姿は当然なかった。あるのは
燃えさかる大地だけ。
「ふっ、まあいいでしょう・・・。次に会った時は必ず殺して」
すると突然、ハデスの頭の中がくらみ始めた。
(なんだ、これは?)
それと同時に、記憶が書き換えられていった。
(これは、まさか過去が変わっているのか!?)
そこには、いつもある4人の姿があった。1人は右手に雷光を帯びたガントレットをし
た髪の長い女、1人は銀色の銃を持った小柄なメガネをかけた少年、1人は赤い双剣を持
った少女、そして龍の彫刻が刻まれた青い剣と、白い義肢を持った青年だった。
その顔はーーー
(まさか・・・)
「そういうことか・・・」
ハデスはなにもなも理解したかのような顔をし高らかに、狂った様に笑った。
「絶対殺してやりましょう・・・、あの男だけは・・・」
そう言い放つと、今にも燃え尽きそうな喫茶店を後にした。
(ん・・・。ここは?)
気がつくと、周りは真っ暗だった。体はまるで浮いているように軽く、火傷でもしてい
るのか、体中が少し暑かった。
(俺、確かあの黒ずくめの男に・・・、そうだ!ハル!真斗!麗さん!)
だが、返答はなかった。。
みんなのうち麗さんは大火傷を負っているのだ。早く治療してもらわなくては。
『安心しなさい。君のご友人はみんな無事です』
どこからか声がした。俺は周りを見渡すと、光に包まれた1つの剣を見つけた。
その剣は淡い青をしていて、金属のような光沢がかかっていた。そして俺の目を何より
引いたのは、刀で言うつばのところに施された龍の彫刻だ。
(なんだ、この剣は?何か強い力を感じる気が・・・)
その声は、その剣から聞こえてきた。
『それより、君の腕の方が心配だ』
そうだった。俺の腕は切り落とされたままであった。すぐに俺は左手を見ようとすると
そこに光が凝縮してはじけた。そこには、白く輝くガントレットのような義肢が付いてい
た。
軽く動かしてみると、それはあたかも本当に自分の腕かと思うぐらいによく動いた。
『では、私の話を聞いて欲しい。君は見ただろう。あの男の狂ったような様を』
(あの男?あ、あいつのことを知っているのか!?)
その質問に答えるように、光の周りが少し揺れた。
『男の名はハデス。奴は異世界を渡り、その世界の核を砕いて世界を破壊尽くしているの
だ。破壊というよりは、消されていると言っても過言ではない』
消される?
(奴もそんな事言いながら、俺を殺そうとしていた)
『やはりか。危ないところで救えてよかった。そんな君たちに、頼みたいことがある』
(頼み?一体どんな?)
『6つの異世界を回り、その世界にいる6人の力を集めハデスを止めてくれ』
俺は絶句した。
ハデスを止める?あんな奴、俺みたいなもんに止められるのか?それに異世界?一体全体
どうなっているんだ!?
『君には私の力を込めて作り出した、この『青龍』を授けよう。君の力となるだろう』
(よくわからないが、聞きたいことがあるんだ。お前は一体誰なんだ?)
それと同時に俺は突然眠気が差してきた。
『私は、全ての異世界を作り出した・・・、名は・・・だ・・・』
大切なところだけ途切れて誰なのか分からないまま、俺の意識はまた薄れていった。
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