二次創作小説(紙ほか)
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- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり
- 日時: 2014/12/21 16:21
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
11作品目、「雨のち*you*水たまり」です!
この話は、コタロウが初の主人公(≧▽≦)
イメージ曲は『雨のちsweet*drops』なのです。
それではプロローグからGO!
- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり ( No.1 )
- 日時: 2014/12/21 16:40
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
プロローグ
はあああぁぁぁ。
ため息が出た。季節は6月、夏になる時だ。
今は雨が降っている。おれの手には傘を持っていた。
おれはコタロウ。雨が嫌いだ。傘なんて荷物、持ちたくない。
傘を傾け、雨が降っているか手を伸ばす。
あれ、降ってない?
全然雨の雰囲気がしなくなり、ふと見れば、虹が出ていた。
なんで気付かなかったんだろう。辺りはおれしかいないけど、こんな中おれだけ傘さすのが恥ずかしい。
傘を閉じて歩く。家までまだ少し距離がある。
ここの通路はよくある一本道だ。歩きと自転車だけで車は通らない。
そこをただのんびりと歩いていると、チリンチリンとベルが鳴った。
「!?」
よろけ、水たまりにバシャッといく。いったたたた……
「いった〜い。何?もう!」
「え!?ああ、すみません……って、ん!?」
てっきり自転車に乗ってた人に言われたと思ったら、水たまりから声が聞こえた。
立ちあがると、いつの間にか公園の裏に来ていて、そこに水たまりがあった。
「公園の裏にこんな所…あったんだ」
おれは周囲を見渡した。そこに、
「ちょっと、まずは謝るのが先でしょ!?ここで寝てたら急にあんたが倒れてきたんだから!!」
「え…、あ、ゴメンナサイ」
その声に謝らされた。それで、水たまりを見ると、可愛らしい女の子が映っていた。
これ、変じゃね?水たまりに映るのは普通おれなのになんでこんな女の子が映ってんだ?
「ちょっと、変って思ったでしょ、失礼な。あたし、雨降った後の水たまりに住んでるの。よろ」
「ふーん、おれ、コタロウだけど。よ、よろ…?」
「今日からあたしとコタロウは友達ね!だから、雨が降った日の放課後は、ここに必ず来てね!」
おれとそいつは、そう約束したのだった。
そいつの名前はさよりんといった。
- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり ( No.2 )
- 日時: 2014/12/21 20:29
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
一
「コタロウ、今日雨降るから傘持っていきなさい」
「え?」
父さんに言われ、天気予報を見た。確かに、雨のマーク。
…やった!
おれは、あの日から雨が大好きになった。
だって、さよりんに会えるから。
父さんに言われた通り傘を持って学校に行った。
学校は嫌だ。だって、おれが弱くて、何も言わないから女子達がおれの物を盗んだり隠したりする。
こんな時、さよりんみたいな明るい子に出会えてよかったと思う。
「あ…!」
学校に行くと、もうすでに上履きがなかった。ああ。隠されたのか。またか。
もう慣れている。物を取ったりすること以外何もしないからそんな大げさに思わないけど。
今度は上履きか。今までは宿題、消しゴムや鉛筆、手提げバッグくらいは取られていた。
…なんか、考えるな。
傘を取られたらどうしよう。雨の中傘が無かったらさよりんに余裕で会えない。それだけは避けたい。
おれは折り畳みだからバッグに入れようとしたけど、やめた。
どこに入れようか…引き出しの中じゃ取られる。どこに置こう。
…そうだ、裏庭の方に隠そうかな。
裏庭に行って、草の所に傘をそっと隠した。あとは、帰り際に忘れなければ大丈夫だ。
放課後になった。
「バイバーイ」という声が響く。そんな中、おれは急いで裏庭に向かった。
取られてないよな。大丈夫だ、絶対取られてない。
草をかきわけた。……あった。よかった。
おれはその折り畳み傘を手に、雨の中傘をさし、急いで例の場所に走った。
例の…、公園の裏!通称は「秘密基地」だ!
向かっている途中に雨はやみ、その水たまりにたどり着いた。
さよりんは、後ろを向いて何かをしていた。
「さよりん、来たよ」
さよりんは振り返った。
「コタロウ?あ!来た来た!もう、遅すぎー!!」
「ごめん、何してたの?何かしてたよね」
「え?ああ、花占いだよ」
「何占ってたの?」
さよりんは少し考えて口を開いた。
「コタロウには、ぜ——ったい教えてあげない!」
そのさよりんの迫力のこと。
「何で!?教えてよ!いいじゃん、別に教えてくれても」
「だめ!!」
さよりんは一切花占いのことを教えてくれなかった。
でも、さよりんといると、すごく幸せになれる。
信頼してるし、悩み事相談しちゃってもいい系??
「ねえ、さよりん」
さよりんは「ん?」という目をした。
「おれ、学校嫌だな」
「ええ!?何でよ!?」
「なんか女子に泥棒される」
「は?ひどくない?先生に言っちゃいな!」
「いや、言わなくても解決できないかな」
さよりんはまた考えた。
先生に言うと、もっと泥棒すると思う。
「じゃあ脅せば?『これ以上盗んだら○○するぞ』って」
「脅す…」
「そうだよ、そういうヤツらは脅しに弱いんだよ」
確かに。『これ以上盗んだら今までの事全部先生に言うぞ』みたいに言うとやめそうだ。
「ありがと。じゃあ明日やってみるね」
「うん!がんばれよ!」
そう言ってさよりんに手を振って家に入った。
ありがとう、さよりん。
- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり ( No.3 )
- 日時: 2014/12/23 10:35
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
二
———無かった。…おれの、筆箱が。
今は休み時間。いつの間にか、筆箱が取られていた。
見ると、そんなおれを見て女子がクスクス笑っていた。
「見て。アイツ。困ってるよ」
「うわぁ。気持ち悪い!」
コイツらだ。おれに泥棒しないと笑えない、損なザコ。
おれは覚語を決めた。
「もう泥棒とか二度としないで。今度したら今までの事全部先生に言いつけるから———…」
今、目の前に今まで取られていた物が帰ってきた。
あれから女子は「何よ」とか「ムカつく」とか言っていたが、おれに物を返してくれたのだ。
嬉しい。早速さよりんに知らせたい。走って帰った。
「さよりん!」
例の水たまり…秘密基地に来た。
ん?さよりんがいなかった。
「さよりん…?」
さよりんが水たまりに映らない。おれは水たまりを手で触ってみた。
ピチャピチャと音がする。冷たくて気持ちいい。
「コタロウ…」
「来た!」
さよりんがはしっこの方から出てきた。ん、寝てたのか。
「何?もうこんな時間なの?ふあああぁぁ。昼寝してた」
「さよりん!今日ね、あの女子に言い返したよ!」
さよりんは眠気が取れたのか、目を見開いた。
「本当!?やったね!これでもう大丈夫だ!!」
さよりんが喜んでくれた。おれのために、さよりんが喜んでくれたんだ。
明日は雨降るかな。
今、ちょっとだけ気に入ってるパジャマに着替えてベッドに入っている。
今日、これで目を閉じたら、明日も雨のち君に会えるかな———…?
『最近梅雨に入ったばかりですので、今日も雨が降り続けるでしょう。みなさん、傘を忘れずに』
その声が耳に入った瞬間、おれは立ち上がった。
「コタロウ、どうしたの?」
「いや、なんでもない!」
母さんがおれを見つめる。おれは嬉しすぎて飛び回りそうだった。
その日の学校。
ちゃんと何も取られていない。よかった。
でも、雨、よくふるなぁ。教室の窓から外の雨を見た。
さよりんは、今、何をしているのだろうか。
嬉しいが、気になる。
と、そこに、おれの物を取った女子とは別の女子に話しかけられた。
「ねえねえ、コタロウくんは初恋の人とかいるの?」
———は??初恋の人??
ああ。いるんだよなぁ。こういう女子。おませな女子がね。
おれの初恋の人と言えば、あの水たまりに映るアイツだ。
「別に」
「そういう言い方はいるんだよねぇ!ねえ、誰?」
「この教室にいないから」
「いるんじゃない?」
うっとうしいだろ。何、勝手に決めつけてんだ。ここにいる女子に興味なんてない。
「いねぇよ!」
そう言うとおれは教室を出た。
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