二次創作小説(紙ほか)

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 ポケモン不思議のダンジョン 星の探検隊
日時: 2017/08/30 12:16
名前: 沙羅 ◆rbfwpZl7v6 (ID: JD0cm25P)

同名タイトルでリメイクします。

 こちらのスレでは初めまして!沙羅と申します。
 ポケダンの新作が出るということもあり、息抜きも兼ねてポケダンのSSも書きたいという思いになりました。あの友情のストーリー、大好きなので。本来は映像版に書くべきなのは了承していますが、諸事情によりこちらに立てています。

 世界観としては「探検隊」ですが原作沿いではなく、原作の要素を借りたまったく別の物語です。救助隊とかランクの設定が出てくるくらいですね。
 批評・アドバイスなどはいつでも歓迎しています。作品の向上に努めたいので分かりにくい、こうした方がいいなどのアドバイスがありましたらコメントを頂けると嬉しいです。

 それでは前置きはこれくらいにして、注意事項を書きます。

注意事項

・更新が極端に遅いです。月に一、ニ回程と思います。

・ポケダンにそぐわない暗い描写があります。暴言等。序盤はとくにきついです。特に主人公が初期は冷たい言葉遣いが多いです。ご了承下さい。 

・登場ポケモンのしゃべり方は作者のイメージです。一部探検隊やマグナゲートから引用することもあります

・荒らし(誹謗中傷)や小説の宣伝のみ、小説に関係のないコメントの類いはスルーします。ご容赦下さい。

・登場ポケモンはアローラまでです。

・メガ進化、Z技なし


それでは、お楽しみください!

本編

Re:  ポケモン不思議のダンジョン 星の救助隊 ( No.18 )
日時: 2017/09/04 12:57
名前: 沙羅 ◆GU/3ByX.m. (ID: uEbB9U69)
プロフ: 序章

 どすん、と森の一角で音が上がる。
 嗚呼、駄目か。そう他人事のように思いながら、地面に倒れる。全身に痛みが響くのを感じながら、意識を手放しかけていた。倒れた者は、イーブイと言うポケモンである。兎に似た長い耳、首を覆うふさふさした毛。短い手足。本来なら全身茶色であるが、このイーブイは、薄汚れてはいるが白かった。ごく稀に生まれる、所謂色違いと言われる、通常とは体色が異なるポケモンなのだ。そのイーブイの身体には赤いシミや切り傷が多く見られ、その身体で無理をして、限界を超えてしまったらしいことが分かった。

(いい。私はここで終る運命だったのだから)

 霞がかかる意識の中、全身の感覚が徐々に抜けていくのを感じていると。不意に遠くから声がした。

「おい、大丈夫か?」

 心底驚いたような声に、イーブイの意識が現実に引き戻される。微かに残った力で頭を持ち上げると、一匹のポケモンが視界に映り込む。白い身体に、青い横の線が入った白の翼。カモメによく似たポケモン、名はキャモメと言った。海辺でよく見かけるポケモンであるが、こんな深い森にいるポケモンではない。

「まだ意識はあるな。動けるか?」
(キミは……)

 白い翼であちこち触れながら、キャモメは問うてくる。何か答えようとするが、口は呼吸音を吐き出すだけで。言葉にならない。何とかイーブイが首を左右に動かすと、キャモメの顔が険しくなる。

「すぐに手当が必要だな。すぐ近くに俺の家がある。行こう」

 キャモメは軽く羽ばたくと、イーブイの傷口に触れないよう鉤爪で身体をぐっと掴んだ。そのまま飛んで連れて帰ろうとしたようだが、イーブイの身体は持ち上がらない。キャモメは顔を真っ赤にし、激しく翼を上下させるが彼女の身体は持ち上がらなかった。
 やがて諦めたキャモメはイーブイの身体から離れると、ぜえぜえと荒い息を吐く。何度か深呼吸をして落ち着くと、困った顔になった。

「く、『この姿』だと力が入らないか。困った」

 逡巡するように辺りを見回す。そして足下で倒れるイーブイに目をやると困った顔から何か決意したような顔に変化する。

「だが、あんたの怪我を治す方が先か。周りにポケモンはいないし、問題ないだろう。よし!」

 掛け声をかけると、突然キャモメの身体が発光を始めた。強い閃光にイーブイが思わず目を閉じる。光が消えた頃にゆっくりと目を開けると、そこには別のポケモンがいた。

(な、このポケモンは……)

 イーブイよりも大きく。それでいてなんとも奇妙なポケモン、それがイーブイの感想だった。
 まず、空を飛んでいるが、イーブイが知る鳥ポケモンたちと特徴が全く違った。白く丸い身体に首、手があり、青い翼は腰の辺りから三角形のものが生えている。くちばしもないし、鉤爪もなく、おおよそ鳥ポケモンらしくない。初めて見るポケモンだ。
 驚くイーブイを他所に奇妙なポケモンは、短い両手を伸ばしイーブイを掴むとそのまま一気に空高く舞い上がる。風がビュン、とイーブイのくすんだ毛並みを逆撫でた。

「待っていてくれ、すぐに助ける」

 切れ長の赤い瞳を向けながら、奇妙なポケモンはそうイーブイに声をかける。それで緊張の糸が切れたのか。イーブイは、自分の意識が闇の底に沈んでいくのを感じた。

Re:  ポケモン不思議のダンジョン 星の探検隊 ( No.20 )
日時: 2017/08/28 13:57
名前: laef (ID: lwyoqLK1)

イーブイは一体どうなるの?
続きをお願いします!

Re:  ポケモン不思議のダンジョン 星の探検隊 ( No.21 )
日時: 2017/08/30 17:17
名前: 沙羅 ◆GU/3ByX.m. (ID: JD0cm25P)

断章 悪夢の軌跡

 ——嗚呼、嫌な夢だ。とイーブイは思った。酷く体調が悪い時、あるいは自身の心が酷く不調な時によく見る。いつもの夢だった。遠い昔のはずの夢、誰かによく似た夢。当たり前の光景だ。

『イーブイ。聞いているのかい』
『……はい、ヨル様』
『全く、麓に続く道でセカイイチ一つとってこいって言う仕事も満足に出来ないのかお前は。使えない』
『でも、あそこは不思議のダンジョンだよ。怖いポケモンがいっぱいいて、セカイイチを取りにいけないよ』
『言い訳は無用だよ。罰として夕飯は抜きだよ。それと、セカイイチを持って帰るまで家に入れないよ』
『……ごめんなさい、お母様。でも、不思議のダンジョンは怖いよ』
『あっ……』
『これだから色違いは駄目なんだよ。見た目は醜悪、出来損ないだし、全く役に立たない。屑でのろまで生きる価値がないポケモンだねぇ』
『だから、一人でやるんだよ。誰もあんたを助けちゃくれないよ』
(わたしは、色違い。だからダメなんだ)
(だから、誰も助けてくれないんだ。色違いのわたしに生きる価値がなんかないって、思ってるから)


Re:  ポケモン不思議のダンジョン 星の探検隊 ( No.22 )
日時: 2017/08/30 12:20
名前: 沙羅 ◆GU/3ByX.m. (ID: JD0cm25P)

!laef様
 お待たせしてしまい、すみません。
 イーブイについては次のお話で詳細を書きますので、もう少しだけお待ち頂けるとありがたいです…!近いうちに書けるよう、精進いたします。コメントありがとうございました!
 

Re:  ポケモン不思議のダンジョン 星の探検隊 ( No.23 )
日時: 2017/12/22 21:39
名前: 沙羅 ◆GU/3ByX.m. (ID: 66mBmKu6)

 イーブイの意識は、深い眠りと浅い眠りの狭間にいた。
 時折意識が覚醒しかかるのだが、すぐに熱に溶かされて深く沈んでいく。怪我のせいで、熱が出たらしかった。意識が浮上しては、沈んで。それを何回繰り返しただろうか。不意に、イーブイは目が覚めた。
 身体をゆっくりと起こすと、ワラがやたら身体にまとわりついてくる。足下に目をやると、ワラが寝床となるようびっしりと敷き詰められていた。どうやら、寝かされていたらしい。

(ヨルの家ではない、な)

 嫌な夢を見たので、ここがいつもの家かと思ったが。違う。
 木製で、丸い形の部屋。色々なものが並んだ棚に、暖炉、テーブルに椅子。水を貯めた大きな石の入れ物が近くにある。どう見ても、知らない家だ。ここはどこだろう、と首を傾げていると背後で物音がした。
 身構えて振り向くと、木の実が乗った皿を両翼で持ったキャモメがいた。イーブイと目が合うと、破顔する。

「ああ、良かった。気がついたか」
(何者だ?)

 ほっとした顔になると、キャモメは皿を地面に置き、イーブイの元に近づいてくる。笑顔のキャモメと対照的にイーブイは目つきを鋭くした。威嚇するように全身の毛が逆立つが、キャモメは気にせず寄ってくる。

(動けない私をどうするつもりだ)
 
 知らないポケモンは、何をするか分からない。何をされるのかと身がまえるイーブイ。片翼をゆっくりと伸ばすキャモメ。反撃しようとしたイーブイだが、身体が言うことを聞かない。だるくて、動かせないのだ。キャモメは、そのままイーブイの額に触れた。思わず目を瞑るイーブイだが、額あたりに柔らかい羽毛が当たっただけ。目を開けてみると、キャモメは反対の羽で自信の額に触れていた。どうやら、イーブイの体温を測っていたようだ。

「熱、すっかり下がったようだな。水は飲めそうか?」
(ヨルのように、毒や麻痺になるものを入れている可能性がある。無闇に口には出来ない)
 
 キャモメは水瓶から水をすくうと、木の椀に入れてイーブイの前に置く。熱があったせいか、喉はカラカラ。当然、目の前の水はイーブイにとって大変魅力的なものである。が、イーブイにとって他者から差し出される水は、得体が知れない。危険なものだ。
 何度も水を見て、神経質に匂いを嗅いでいると、キャモメが声を出してわらった。

「はは、変なものは何も入ってない。俺が証明してやろう」

 お椀を両翼で持つと、キャモメは少しだけ水を飲んだ。まさか自分で毒味をすると思わなかったので、イーブイはくりくりした目を見開いた。キャモメは特に倒れる様子もなく、ピンピンしていた。唖然とするイーブイに向け、キャモメは微笑む。

「な、大丈夫だろう? ほら、イーブイ。あんたも飲んでみるといい」

 改めてイーブイの前に椀を置き、キャモメは水を勧めた。
 目の前にある椀にじっと目を落とした後、しばらくイーブイは椀と睨み合う。キャモメが毒味をしたのだから大丈夫と思う気持ちと、やはり信じられない気持ちとが拮抗し、どうするべきか悩んでいたのだ。結局、水を飲みたいと言う生理的欲求に負けイーブイは立ち上がる。そして、いそいそと前足で椀を移動し始める。こちらに微笑みかけるキャモメを見ていると、居心地悪いので背中を向けたのだった。顔を傾け、舌を伸ばして水をすくい、飲み込む。ひんやりとした心地よい冷たさが、喉を潤していく。

(……美味しい)

 安全だと分かったイーブイは、夢中になって水にありつく。あっと言う間に椀は空になり、イーブイは水を飲み干した。おかげで、だるさが幾分か和らいだ。

「水も飲めるようなら、大丈夫か。良かった。ほっとしたよ」

 イーブイの体調が良くなったことを喜ぶキャモメ。イーブイが返事を寄越さなくても、気にせず話しかけてくる。相変わらずイーブイは、機嫌が悪そうに顔をしかめてキャモメに背中を向けて座っていた。その時キャモメは思い出したように、

「あ、そういえば自己紹介がまだだったな。俺はカナタ。見ての通り、キャモメだ」

 背中を向けて、だんまりを決め込むイーブイに自己紹介をした。このキャモメは、カナタと言うらしい。種族など言われなくても分かる、とイーブイは内心で毒づく。

(いちいち言わなくても、見れば分かる。キャモメはその辺にうじゃうじゃいる、多い種族だからな)
「で、イーブイ。あんたは? 名前は? どこから来たんだ? なんであの森の入口に倒れていたんだ?」
(……うるさいキャモメだな)

 黙っているイーブイに、カナタは遠慮なく質問をぶつけてくる。イーブイが黙っていれば、大抵のポケモンは怖がって逃げるか黙って去っていくものだ。よほど鈍いのかもしれない。面倒くさそうに立ち上がり、少しだけ振り向く。うるさい、と言いたげに目付きを鋭くする。すると、ようやくカナタはイーブイの機嫌が悪いことに気づいたようだ。すまなそうな顔になる。

「その、機嫌を悪くしてるのか? 一つ心当たりがあるんだがあんたはメスのイーブイか?」

 イーブイは目付きを鋭くしたまま、頷く。すると、カナタはどこか合点が言ったようにため息をついた。

「あー、やはりそうか。怪我の手当とは言え、見知らぬ異性に身体を触られたんだ。不快になるよな。すまない」
(異性に触られようが、どうでもいいが)

 相手にするのも馬鹿らしいと、イーブイはまたカナタから顔を逸らす。

「ところで、あんたは美しいイーブイだな。毛並みが綺麗で顔立ちも整っていて。真っ白な身体は、雪の精霊のようだ。毛を汚し、ボサボサにするのはもったいない」

 すると、イーブイの片耳がぴくりと動いた。信じられないことを言っている、と言った感じに振り返って呆れた声を出す。

「……キミは正気か」
「ようやく口を開いてくれたな」

 カナタはどこか嬉しそうに笑う。自虐的な笑みを浮かべながら、イーブイは鼻でカナタを笑った。

「分かっている。下手なお世辞は、不要だ」
「お世辞? 面白いことを言うな。これは俺の本心だ」

 冗談を言っていると思ったのか、カナタは笑い飛ばそうとする。しかし、イーブイの態度は崩れない。

「内心では、どうせ私のことを怖いとか不気味だとか思っているだろう? 育て親にすら気味の悪い色だと言って、嫌われたくらいだからな。どうだ、笑えるだろう?」
「そんなことはない。その毛色、俺は好きだぞ。普通のイーブイより、なんというかな。神秘性が増して、目を惹くからな」

 じっと見つめてくるカナタと目を合わせていると、イーブイは何とも言えない気持ちになった。
 育て親のポケモン、ヨルは色違いのこの身体を不気味だ、嫌いだと散々罵ってきた。そのせいで、イーブイは自身の見た目を醜悪なのだと思っていた。カナタのように、綺麗だなんて言われたことがない。おべっかと思っていても、見た目を褒められると変な気持ちになる。
 その気持ちから逃げるように、イーブイはまたカナタに背中を向けた。

「キミは、色々とおかしい。気が狂っているとしか思えない」

 醜悪な自身を美しいとヒョウする得体の知れない気味の悪さに、イーブイは突き放すように言う。が、カナタは相変わらず呑気に笑うだけだ。

「そうだなー。俺は変わっているな。妹にもよく言われたもんだ」

 と、カナタは何かを思い出したように両翼を動かした。

「ああ、いけない。俺はそろそろ仕事に行かないといけないんだ」
「そうか」

 この面倒くさいキャモメからようやく解放され、ほっとしたイーブイ。名残惜しそうなカナタと違い、イーブイは背中を向けたまま素っ気なく返事をするだけだ。

「近くのダンジョンだから、帰りは夕方になるな。しばらく一人にしてしまって申し訳ないが、約束は約束だからな。まだ怪我は完全に治ってないんだ。安静にしていてくれ。家にある水や食べ物は、好きにしていいからな」

 手早く準備をすると、カナタは慌てた様子で家を出て行き静寂が訪れる。 色々と張っていた気が緩み、イーブイは微睡みの中に落ちていった。


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