二次創作小説(紙ほか)
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- とある魔法使いの奇譚 -ハリー・ポッター-
- 日時: 2018/03/19 13:30
- 名前: 姶良 (ID: 3NNM32wR)
「生き残った男の子」ハリー・ポッターがホグワーツに入学した年、とある少女もホグワーツに入学することとなった。
少女の名前はラヴィニア・スミス。
これは、マグル生まれの平凡な魔女が「ハリー・ポッター」の世界にどう影響を与えるかを描いた物語である。
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- Re: とある魔法使いの奇譚 -ハリー・ポッター- ( No.1 )
- 日時: 2018/03/19 15:00
- 名前: 姶良 (ID: 3NNM32wR)
第一話 ハリーくん
イギリス、サレー州に住むアーノルド・スミス氏とその妻のコニー・スミス夫人はいたって普通の人間に見えたし、実際に普通の人間だった。
スミス氏は穴あけドリルの会社で蟻のように働かされていたし、でっぷりとした赤ら顔の社長には少なからず腹を立てていた。
コニー夫人は最近「クソ」だとか「キチガイ」だなんて言葉ばかりを使う娘のラヴィニアに手を焼いていた。
「誕生日にこんなデブたちと動物園なんてクッソみたいだわ。ねえ、あなたもそう思わない?」
つい昨日のことだった。ラヴィニアがスミス氏の勤務先の社長の家に呼ばれ、誕生日を社長の息子たちと動物園で過ごすことが決定したのは。
「少しばかり」ガタイの良い息子のダドリーちゃんとその友人たちはどちらかといえば可愛いほうに分類されるラヴィニアと一日を過ごせることを喜んでいたし、社長の甥っ子であるハリー少年も例外ではなかった。
「そうだね……でも、僕は動物園に来れたことが嬉しいから……」
「私はもう五回目。蛇なんて見飽きちゃった」
ハリーが持っている一番安いレモンのアイスを奪い取って舐めながら、ラヴィニアは言った。「あ、私のチョコアイス食べる?私レモンのほうが好きみたい」
ハリーはどぎまぎしながら頷いた。レモンのアイスもおいしいけれどチョコアイスは二段重ねで豪華な仕立てになっていたし、何より……。
「ラヴィニア、蛇だぞ!一緒に見ないか!?」
「わたし、へび、こわーい。ハリーくん、行ってくれば?」
「ラヴィニアも一緒に行こうよ、今まで見たのとは違う蛇かもしれない」
そうかなあ、と笑ってラヴィニアはレモンのアイスをまた舐めた。だいたい、蛇はそんなに好きじゃないのだ。しかしかわいいハリー君の頼みなら仕方ないか、と笑ってふかふかした椅子から立ち上がった。
その間にもダドリーたちは全く動かない蛇に興味を失ったようで、コアラを見に行くと騒いでいた。
「——ほら、いつもの蛇と一緒だわ」
ラヴィニアがレモンアイスの棒を近くにあったごみ箱に捨てた瞬間のことだった。ハリーは緑色の目を輝かせ、蛇を見つめていた。
いや、見つめていただけではなかった——蛇と『話していた』のだ。
「ハリーくん、ねえ……」
「ピアーズ!見ろよ!どけハリー、この蛇すごいぞ!」
ごつい体のダドリーにハリーはあっさりと突き飛ばされてしまった。ちょっとひどいんじゃない、とラヴィニアが言った瞬間のことだった。
「わあああ!」
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