二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 東方探偵屋 〜Next stage〜
- 日時: 2016/09/15 01:48
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: 4olN.zSL)
- プロフ: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=645
名も無き探偵が帰ってきた。
これから始まるは不思議な話。
探偵屋は今日も人里に……。
※注意※
・東方探偵屋の続編です。
・オリキャラ出てきます。
・文才は無いです(涙)
そう、探偵は新しく進む。
最高の仲間と共に……幻想を。
〜追記〜
御感想等は上のURLで御願いします。
話の提案も此方で御願いします。
リメイクを中断します。
代わりに、続編を書きます。
理由は投稿速度の低下です。
御理解御願いします。
- Re: 東方探偵屋 〜Next stage〜 ( No.4 )
- 日時: 2016/08/05 08:48
- 名前: ほーんけ&亞兎 (ID: SM/hU6wg)
すみません、せーげんでいけませんorz
別館で話すのも…ダメですよね…orz
ですが、パソコンでいってみますね
時間がある際に…
- Re: 東方探偵屋 〜Next stage〜 ( No.6 )
- 日時: 2016/09/15 01:47
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: 4olN.zSL)
第一章 美しき夜の地下街
嫌われ者の辿り着く末路は地底。そんな地底には、沢山の妖怪が住んでいたりする。今では、大きな異変が解決されたと同時に、地上の者達との仲も戻りつつある。地底は美しき景色を隠し持っている。まるで、夜の人里のようなのだが、其処に人は存在しない。
?「最近の地底は、上の者達との仲を縮めています。これは素晴らしい事でしょう。しかし、古明地家の私達から見れば、それは秘密が明かされる予兆に過ぎません。貴女の地下街管理地区が見つかれば、博麗の巫女が黙ってはいません……後は分かりますね?」
地底の中心に聳え立つ地霊殿の主は、目の前のソファに座る少女に話す。少女は紅茶を無言で飲み、主の落ち着いた表情を見て答えた。
?「さとり様、相変わらず鋭い勘の持ち主ですね。しかし、地下街を見つけられるのは……精々、あの伝説の妖怪ぐらいでしょう。今の地底では、地上の妖怪が侵入することを禁止しております。人間の勘などで見つかる場所じゃないですよ、我々の地下街は。」
地霊殿の主…さとりは表情を曇らせた。彼女の把握していることは完璧。しかし、彼女には可能性という言葉が存在しないらしい。四天王の鬼から聞いた話によれば、怪しい探偵が地底で目撃されたらしく、小さな下級妖怪を操って捜索をしている。
さとり「…人里で話題の探偵屋を御存知でしょうか?名前は鍵宮 蓮と言い、彼の周りとの繋がりも広いです。」
?「……鍵宮 蓮?」
地下街は地底よりも下の世界。上の上に存在する世界などは知らなくて当然であった。しかし、その世界の神様達が現れることは有った。
?「貴女が話す人間が私の地下街に辿り着く方法を知っていると…仰りたいのですか、さとり様。」
さとり「方法までは知らずとも、その人間が手前まで来ていたことは真実ですよ。少し前に起きた事件を思い出してみてください。」
地底の洞窟での事件が思い出される。地下街の道中で下級妖怪と上級妖怪が手を組んでいたらしく、憎き者への復讐を行おうとした事件。しかし、復讐は自分達に帰ってきたらしく、主犯の上級妖怪は死亡が確認されたのだ。
?「人間が上級妖怪を殺すなどは有り得ません。それこそ、仲間が居ない限りは絶対に倒せないハズですよ。」
さとり「目撃されたのは人間だけじゃなく、地上の妖怪や霊達も有ります。上級妖怪でも苦戦するでしょう。」
?「…それが事実ならば、私が上の世界に出て捜索しましょう。その人間の始末は会ってから考えます。」
さとり「そうですね、意外な所で役に立って貰えるかもしれません。情報屋の貴女にも、この私にも……。」
少女は立ち上がると、静かに笑った。この主との約束は守っていない。つまり、地下街に地上の妖怪を来させたりは普通にしている。地下街の存在が博麗の巫女に伝わらなければいい話。喋ろうとする者は始末するだけだ。
さとり「せめて、この約束ぐらいは守ってくださいね…情報屋さん。」
?「…貴女は本当に、私の心を読むのが御好きな方ですね。」
ー少女移動中ー
眩しい太陽を手で隠しながら歩く少女。金髪のツインテールは肩まであり、とても懐かしい探偵の格好をしている。紅の瞳を彼方此方に動かしながら、人里の中心を歩き回る。
?「うぅ、眩しいのは嫌ですね。」
何年間は地下街に居た為、太陽に馴染めていないのだ。涼しさも消え、暑苦しさが身体を襲う。普通に歩いている人々が凄く勇ましく見えてくる。
?「ハァ…ハァ……」
フラフラしながら歩く少女は、前方から来る何かに気付かなかった。その何かは、少女の横を通り過ぎたが、何か嫌な予感を感じたのだ。刹那、『泥棒』と大きな声で叫ぶ商売人が現れた。少女は溜め息を吐くと、薄暗い裏路地に走っていく。それと同時に、大通りを走る探偵が現れる。
?「逃がしませんよッ!!」
探偵は必死に呼吸をしながら走る。この時に人里で起こっていた事件は…連続盗難事件と言われていた。探偵である蓮は稗田家から依頼を受けている最中であった。
ー探偵追跡中ー
蓮は人里の中を動き回る盗人を追う。しかし、盗人はスピードが速い。蓮は右腕の機械からワイヤーを放ち、建物の間を跳んでいく。蓮は先回りを狙っているのだ。盗人は大体が妖怪であり、そんなに知能が優れていない為、こういう頭脳を使った奇襲に弱い。
蓮「……!…見つけましたッ!!」
盗人「!?」
屋根の上を走る蓮は、下の道を走ってくる妖怪を見つける。そして、屋根から飛び降りる。突如と前方に現れた蓮に驚いた盗人は後ろを振り向くが、探偵が隙を見逃さなかった。
蓮「大人しくしてくださいッ!!」
彼の放つワイヤーが盗人の右足に巻き付けられ、盗人を転ばせる。蓮は疲れた表情を浮かべながら近づく。
蓮「ようやく…捕まえましたよ……」
盗人「ククク…」
しかし、疲れた蓮の表情は驚きに変わる。盗人は胸ポケットから出したナイフを投げる。蓮はギリギリで回避するが、もう一本のナイフが彼の機械に命中する。狂った音と共に、盗人の右足に巻き付けられたワイヤーが解かれてしまう。蓮は盗人を睨む。
蓮「まだ…逃げるつもりですか。」
盗人「ふん、甘いんだよッ!!」
盗人は地面を思いっきり蹴ると、空中に跳ぶ。そして、屋根の上に乗っかる。蓮は悔しそうな表情を浮かべる。
蓮「待ってくださいッ!!」
盗人「誰が待つか……ブフッ!?」
刹那、盗人の顔面に何者かの蹴りが命中した。屋根からバランスを崩すと共に落ちた盗人は、急いで起き上がろうとするが、彼の周りに何発もの銃弾が撃たれた。穴が空く地面を見た盗人は動けなかった。蓮は屋根の上を見る。
?「それ以上は動いてはなりません。大人しく捕まってください。」
それを聞いた蓮は、目の前に倒れている盗人を捕まえた。少女は屋根から降りてくる。そして、盗人を捕まえた蓮を見る。探偵の格好をする少女を見て、不思議な表情を浮かべた。二人の運命は此処から動き出した。
ーContinued nextー
- Re: 東方探偵屋 〜Next stage〜 ( No.7 )
- 日時: 2016/09/26 01:10
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: DQJOp3IC)
幻想郷の地上は陽気な世界であるが、地下は異なっている。陽気ではあるが、それは特別な者達だけだった。
?「……。」
地底へと続く巨大な穴に落ちる金髪の魔法使い。彼女は地底の更なる下に在る世界を目指していた。
ゴォォォォォッ!!
冷たい風が身体に吹き込み、その風が音を発す。少女は少しだけ笑いの表情を浮かべると、後方から飛んできた箒に乗っかる。彼女は幻想郷の強者でもあり、普通の人間でもあり、魔法使いでもある。その名は……。
第二章 静かな始まり
地獄に存在する都、『旧都』の上空を物凄い速度で駆け抜けていくのは、霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)であった。彼女は先程とは違って、面倒な表情を浮かべていた。彼女が目指す世界は、全てを知る者達すら知らぬ世界。
魔理沙「……!」
魔理沙は暗い洞窟を見つけると、入口で箒から降りた。そして、右手に箒を持ちながら、暗い洞窟の中へ入っていく。此処では、死神の殺害が起こっている。何者が殺ったのかは知らぬが、その者が幻想郷の秘密を知ってしまったのなら、放っておくワケには出来ないのだ。彼女は親しい情報屋を護る為に、遥々と来たのだ。
魔理沙「ん……?」
彼女が辿り着いたのは、行き止まりの場所であった。何時もならば、此処で地下街に向かうことが出来るのだが、それを邪魔するかのように、強大な怨念が飛んでいる。彼女は怨念を見る。
魔理沙「おい、好き勝手に飛ぶのは良いんだが…場所を考えてくれ。」
?「好き勝手に飛ぶだと?馬鹿言え、俺は復活の儀式を行っているのだ。」
魔理沙は怨念の正体を知っている。此処最近は来ていなかったが、今では妖怪達が裏で取引や犯行、儀式を行う場所になっている。目の前に居る怨念は、その全てに該当する者だった。
魔理沙「死神、お前ぐらいの上級の霊なら、何処でも甦れるハズだぜ?」
死神「ふん、地下街に行くのならば、さっさと行けばいいだろう。」
彼女は死神の怨念を冷たい眼差しで見ると、マジックアイテムを取り出す。
死神「な…何をするつもりだッ!?」
魔理沙「いや、地下街の事を知っているのなら、黙って飛ばせられない。それにな…お前は掟破りだぜ?」
地下街の掟破りに与えられるのは、確かな死であった。その死を下すのは地下街の暗殺者だが、その者の目を誤魔化す輩は、この魔法使いが担当する。
死神「掟破りだとッ!?俺は地下街の事を誰にも話したりは絶対に「いいや、してるぜ。」!?」
刹那、怨念に閃光が走る。死神は悲鳴と共に、七色の光に浄化された。煙を出すマジックアイテムを仕舞う魔理沙は、奥に在る壁を触りながら言う。
魔理沙「お前は少なくとも、地上の妖怪と連絡を取り、此処で犯行を実行していたんだぜ。地上の妖怪の出入りは許されてるが、そういう基本とした掟を破ってるハズだ。」
重たい音と共に、壁は横に移動していく。そして、其処に現れたのは……更に下へと続く階段であった。
魔理沙「そんな『掟破り』は死んで当然じゃないか、死神さんよ。」
魔法使いは暗い階段を降りていく、その背中は闇に包まれていく。そして、壁は元の位置に戻っていくのであった。
ー探偵会話中ー
阿求「……そうですか、盗難事件の犯人を捕まえてくれたのですね。」
蓮「かなり凶暴な妖怪でしたよ。あの妖怪の被害に遭った方々が居なくて…本当に安心しました。」
稗田家の屋敷の中で、会話をしているのは、一度、見たものは忘れぬ能力を持つ稗田 阿求と、最近、人々に人気で忙しい探偵屋を営んでいる鍵宮 蓮(かぎみや れん)であった。阿求は薄暗い部屋の中で、読んでいた書物を本棚に戻しながら、蓮から結果を聞いていた。
阿求「そうですね、椛さんが協力してくだされば、その右腕の機械は破損していなかったかもしれませんね。」
蓮「椛さんは普段の仕事で忙しいので…しかし、あの妖怪には一人では、歯が立ちませんでしたね。」
阿求「……と言いますと?」
彼女は蓮に聞いた。今回の事件で蓮に協力した人物が気になったのだ。通りすがりの巫女、通りすがりの親しい妖怪……通りすがりばかりだが。
蓮「それが、見知らぬ方に助けて戴いたんです。その方は無言で消えちゃったんですが…どうも、人里では見慣れぬ姿でしてね。」
阿求「人里には優れた才能を隠し持つ人間が存在します。近い中で、また会えるでしょう。特に…蓮さんみたいな素晴らしい方には、神様も味方してくれるに違いありませんね。」
蓮「ハハ…そうだと嬉しいですね。」
阿求「先程、引き取った妖怪の方は、私が事前に頼んだ博麗の巫女に退治して貰いますね。」
蓮「どうか、その間は厳重に警戒してくださいね…相手は妖怪ですから。」
阿求「えぇ、分かりました。最後まで、御心配をしてくださって感謝します。本当にありがとうございます。」
蓮「いえいえ、探偵ですから。」
蓮は阿求に微笑むと、大事な鹿撃ち帽を被り、一礼をしてから出ていった。外に出た蓮は記録を書く為、探偵屋に戻ろうとした。
?「あら、蓮じゃない。」
蓮「霊夢さん!」
彼はパッと笑顔になり、目の前に立っている巫女に返事する。巫女の名前は幻想郷でも有名な博麗 霊夢(はくれい れいむ)であった。彼女は笑顔の蓮に軽く微笑むと、近くに在る阿求の屋敷を見た。そして、屋敷を見ながら聞く。
霊夢「流石は探偵屋さんね、良いタイミングで捕まえてくれたじゃない。」
蓮「いえいえ、これも『見知らぬ方』が助けてくれたからなんですよ。」
霊夢「『見知らぬ方』…ねぇ。どんな奴かは聞いてみたいけど、今は阿求を待たせてるから今度、その話を聞かせてくれないかしら?」
蓮「はい、勿論です!」
彼は霊夢に手を振ると、自分の探偵屋へ戻っていった。そんな彼の背中を静かに見ていた霊夢は……嫌な勘を感じ取っていたのであった。
ーContinued nextー
- Re: 東方探偵屋 〜Next stage〜 ( No.8 )
- 日時: 2016/09/29 01:49
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: Sw1Spevx)
第三章 美しき幻想の景色
暗い闇を歩き続けると、奥に小さな灯火が見えてくる。魔理沙は灯火に近づいていく……その灯火は、別世界の入口であった。トンネル状の道を抜けると、辺りが煉瓦で出来た町が姿を現した。この町の彼方此方にライトが付けられており、その光が闇を掻き消す。
魔理沙「……変わらないんだな。」
この町は現代に近い技術を用いている。しかし、其処から先へ進化したことは……一度も無かったのだ。何度か道を曲がっていくと、小さな探偵屋が姿を現した。魔理沙は扉の前に立つと、軽くノックをして入る。明るい光とベルの音が歓迎してくれる。
?「おや、来てくれましたか。」
回転椅子に座り込んでいる少女は、此方に向けた背中を回転させ、魔理沙の姿を己の視界で確認する。魔理沙は帽子を取ると、座り込む少女に軽く投げた。パシッと片手で受け取った少女は、魔理沙の帽子から出てきた手紙を見る。そして、クスクスと小さく笑う。
魔理沙「ルナ…確認しておくが、其所に書いてあることは事実なのか?」
探偵の格好をした少女……『ルナ』は手紙を作業台に置くと、紅茶を淹れる準備に取り掛かる。途中、魔理沙の質問について答える。
ルナ「そうですね、人里の探偵屋さんが彼処に来ていたことは事実です。名前は大罪人の息子である鍵宮 蓮と言い、今は沢山の妖怪や人間達と縁を築き上げながら、探偵屋を営んでいるようですね。貴女は知ってるのでは?」
彼女の長い話を聞きながら、ソファに寛ぐ魔理沙は、聞き返された質問に手を横に振りながら答えた。
魔理沙「私は聞いたことが無いぜ、巷で話題の探偵屋の話は聞いてるが。」
彼女の目の前にあるテーブルに、熱々の紅茶を持ってきたルナは、「聞いたことが有るんじゃないですか。」と言いながら、魔理沙の前に紅茶を置く。
ルナ「今日は地上に出てみたんです。結構、地上って暑いんですよね。」
魔理沙「馬鹿、地下街が異常に寒いだけなんだぜ。旧都で降る雪も見なければ、地獄に近いハズなのに寒いし、此処は何時でも『真冬』だぜ。」
彼女は地下街への不満を言い終えると、熱々の紅茶を見る。白いティーカップから湯気が出ているのが、この目でハッキリ見える。ルナは心配をするが、魔理沙は彼女に右手を出し、「心配するな。」と言わんばかりに、左手で持ち手を持ち、紅茶を飲む。
魔理沙「ルナの淹れる紅茶は美味しいんだぜ。今度、地上に居るメイドさんの紅茶と飲み比べてみたいな。」
向かい側のソファに座るルナは、少しだけ照れていた。彼女は照れた顔を誤魔化す為に、話題を戻した。
ルナ「それで、実際に会ってみたんですが…何だか、怪しさを感じましたね。何かを隠しているような…。」
魔理沙「ルナ、お前の能力は『隠し事を暴く』能力なんかじゃないだろ?『探偵と情報屋を両立する者の勘』って言うのなら…信じてみるけどな。」
ルナ「探偵屋の面で話しましょうか。彼と妖怪の集団を勇儀さんが目撃していらした事は確かですし、古明地家のさとり様も妖怪を使って調査しています。勿論、あの方は『地底』だけしか見ませんがね…。」
魔理沙「……成る程、地上と地底を調査するのは大変だったな。ルナの仕事への真面目さは相変わらず…か。」
彼女は紅茶を静かに飲みながら話す。ルナは地下街で、蓮と同じく探偵屋を営んでいるが、情報屋としての顔も持っている。そして、もう一つの顔も有るのだが、信頼に置ける者にしか…その職業を話すことは無い。魔理沙は彼女の職業を全て知っているからこそ、ルナという人物の凄さに驚く。
魔理沙「それで…どうするんだ?」
紅茶をテーブルに置いた魔理沙は、真剣な表情でルナに聞く。彼女は数秒の沈黙と共に、辿り着いた答えを述べる。その答えは……
ルナ「『警戒』で様子を見ましょう。私は暫く、地上で暮らしますかね。」
白い湯気を見ながら呟いたのを、魔理沙は静かに聞き、心配な顔をする。そして、暫く何かを考えた後に、ルナの名前を呼び、彼女に意見を聞かせる。
魔理沙「暮らすって…何処に住むつもりなんだ?人里で家を買うのか、材料調達で家を建築するのか……それとも、私の家に一定の間だけ住むか、この中から決めれば良いんだぜ。」
ルナ「魔理沙さん…!!」
彼女は何時から、こんなにも素晴らしく優しい友人を持っていたのだろう。ルナは彼女に三つ目の選択肢を選ぶことを話した。魔理沙はニッコリと笑顔になり、「宜しくな、ルナ!」と言ってくれた。ルナも微笑んで頷いた。
〜少女準備中〜
作業台で拳銃の弾を入れるルナ。彼女は命を護る為の六発を入れていく。そして、ポケットに忍ばせると…探偵屋の扉を開けた。光が消えて、ベルが鳴る。外の壁に魔理沙が背中を預けて立っている。魔理沙は身支度を終えたルナを見ると、横に立てた箒を持つ。
魔理沙「それじゃあ、行くんだぜ!」
元気な彼女は箒に乗る。そして、後ろにルナも乗った。ルナは魔理沙の後ろ姿を見ていた。魔理沙は此方に少しだけ振り向き、ニッコリと笑う。
魔理沙「しっかり掴まってろよ!」
ルナ「はい、勿論です。」
互いに顔を見て頷くと、魔理沙は箒にエネルギーを込めて、一気に解放させた。風のように、勢いのある音が其処に残っていた。二人は地下街の上空を飛んでいる。魔理沙にとっては寒く、ルナにとっては涼しい風が吹く。二人は先が闇のトンネルに加速して入る。
ルナ「中々、スリルですね…っ!」
魔理沙「これぐらい平気だぜっ!!」
彼女達は物凄い勢いで階段を上昇し、奥に見える壁の封印を解き、横に移動させた。二人は横に移動した壁が作った空洞を通り抜けると、洞窟の中を全速で駆け抜ける。氷柱のような石が当たりそうで恐ろしいが、魔理沙は楽しんでいた。二人は洞窟を出ると、上空に上昇する。そして、地底の空を飛ぶ。魔理沙は速度を落とした。
魔理沙「ルナ、下を見てみるんだぜ!」
ルナは下を見てみる。すると、灯が点いた美しき都が見えてくる。地獄にも素晴らしい景色が存在するのは確かであった。ルナは幸せそうな顔をしていた。
ルナ「綺麗ですね…本当に。」
魔理沙「地上だって負けてないぜ。」
魔理沙は落とした速度を上げる。再び、暗い洞窟に入っていく。冷たい空気を切り抜ける流星は、地上に続く大きな穴を花火のように飛び、一気に地上へと出てきた。魔理沙は更に上へと上昇していく。妖怪の山の頂上と変わらぬ程の高さまで来た時、ルナの視界に美しき幻想の風景が映った。
ルナ「これは……!!」
其処に映ったのは、夕陽が沈む幻想郷であった。妖怪の山が黒く見え、綺麗な橙の空が広大に在る。ルナは風を身に感じながら、静かに見ていた。
魔理沙「これが…地上の世界だぜ。幻想郷には四季が存在して、その季節毎に景色が変わってくんだぜ。春ならば、桃色の桜が満開になって、夏ならば、青く晴れた空に緑の自然が現れ、秋ならば、焦げ色の紅葉が見れて、冬ならば、辺りは銀世界になるんだぜ!」
ルナの頭の中で、幻想郷の四季が描かれる。彼女は初めて、地上に興味を持った。『もっと見てみたい』という心が芽生え始めたのだ。彼女は魔理沙の背中に横顔を付ける。
ルナ「四季ですか…私の住む場所にも、四季が在ったら嬉しいですね。」
魔理沙「…今の季節は『夏』の終わりだぜ、これから『秋』が始まるんだぜ!美味しい旬の食べ物がいっぱい有るから、一緒に食べれると良いな。」
ルナ「……そうですね。」
夕焼けの空を見るルナは、少しの時間だけ…このままで居たいと思うのであった。そう、このままで……。
ーContinued nextー
Page:1 2