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二次創作小説(紙ほか)
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- 鳳翔さんの台所1 艦これ (クロスロード)
- 日時: 2017/06/28 07:50
- 名前: ルシファ・マーシャ (ID: vJF2azik)
1946年6月のおわり。
鳳翔は、台所で夕食の準備をしていた。
「人参、人参……」
今日の味噌汁の具材。
「すみません、棚に人参、ありますか?」
鳳翔の問いかけに、返事はない。
古びた台所に、響いただけ。
問いかけの余韻が、鳳翔の肩を落とした。
……そうだ、もういないのだ。
長い黒髪を揺らしてた、あの人は。
3ヶ月ほど前、長門はアメリカに旅立った。
酒匂と共に、水平線に消えてしまった。
終戦の後、鳳翔が台所にいると、ひょっこりと現れたのが、長い黒髪と真っ赤な瞳。高い身長。
……長門だった。
どうやら、暇をもて余したのか、それとも気まぐれなのか、鳳翔を手伝いに来たらしい。
鳳翔は彼女の黒髪を自分と同じように結んであげて、一緒に台所に立った。
それは、8月の終わりから、3月の半ばまで続いた。
………そう、アメリカに旅立つまで。
まだ実感が持てなかった。
自分の横で笑っていた人が、戻れぬ航海へ出て、消えてしまうなんて。
鳳翔は包丁を握りしめた。
悲しくて、切なかった。
その時、鳳翔は手のひらに何やら違和感を覚えた。
…………何?
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